
オフィスレイアウト変更の進め方!
成功のポイントや事例を解説
オフィスのレイアウト変更は、単なるデスクの配置替えではなく、働き方や組織課題を見直す機会といえます。目的が曖昧なまま進めてしまうと、結果的に使いにくいオフィスになってしまいかねません。オフィスのレイアウトを変更する際は、手順に沿って進めることが成功のカギです。
本記事では、レイアウト変更のメリットや進め方、成功のポイントを解説します。
目次
1. オフィスのレイアウト変更の進め方
オフィスのレイアウトを変更する際は、課題整理から設計、運用までを計画的に進めることが重要です。ここでは一般的な進め方を6つのステップに分けて紹介します。
①プロジェクトの推進体制を整える
オフィスレイアウトの変更は、これまで総務部門が中心となって進める企業が多くありましたが、働き方の多様化や業務内容の高度化に伴い、近年はさまざまな部門のメンバーで構成するプロジェクトチームで進めるケースが増加。この背景には、働き方の多様化や業務内容の高度化により、現場ごとに求められるオフィス環境が異なってきたことなどがあります。
レイアウト変更の目的や規模に応じて、意思決定者や利用者を含めた推進体制を整えることで、社員のニーズを把握しやすくなります。さらに、社員自らオフィスづくりに関わることで、オフィスへの愛着や活用意識の向上も期待できるでしょう。
こうした社員参加型の体制づくりの一例として、社員が主体的にオフィス運営にかかわる「オフィス自治会」という仕組みを取り入れる企業もあります。オフィス自治会は、社員自身がオフィスの課題や改善案を話し合いながら運用していく取り組みで、レイアウト変更後の運用フェーズにおいても効果を発揮しやすい点がメリットです。くわしくは以下の記事で解説していますので参考にしてください。
オフィス自治会が会社を変える! 社員の主体性が育てる快適なオフィス
②現状の課題を整理し、コンセプトを策定する
オフィスレイアウトの変更を成功させるためには、まず現在のオフィスが抱える課題を把握することが重要です。従業員アンケートやヒアリング、オフィス利用状況の調査などを行うことで、「会議室が不足している」「部署間のコミュニケーションが少ない」「周囲の雑音や会話で集中しづらい」などの課題が見えてきます。
その上で、企業は「会議室不足を解消する多様な打ち合わせスペース」「チームや部門を超えた一体感」「集中できる環境」など、レイアウト変更の方向性となるコンセプトを策定。この工程で目的を明確にしておくことで、その後の設計や運用の判断がしやすくなり、レイアウト変更の効果を高めやすくなるのです。
コンセプト案の例は以下を参考にしてみてください。
<コンセプト案の例>
- 自社にポジティブな感情を持つ(帰属意識)
- 風通しの良いオフィスをつくる(協同・協働)
- 多目的に使える空間(選択性)
- 心身ともにいきいきと働く(心身の健康)
- 個人力とチーム力の両立(集中と交流)
- 心地よい快適な設え(快適性)
- チームや部門を超えた一体感(つながり)
- 用途に合わせたセッティング(柔軟性・可変性)
- 多種多様な働き方に対応(柔軟性・俊敏さ)
- 多様な人材のワーカーに対応(多様性)
- 集中環境で生産性アップ(集中)
- アイデアがひらめく空間(創造性)
③必要な空間や要件を整理する
課題やコンセプトが整理できたら、それを実現するために必要な空間や機能を整理します。執務エリアや会議室、集中スペース、コミュニケーションスペースなど、どのような空間が必要なのかを整理し、全体の構成を検討します。将来的な人員増減や組織変更にも対応できるよう計画しておくと、長期的に使いやすいオフィスにつながるでしょう。
オフィス環境の改善における具体的なポイントを以下で解説していますので、こちらも参考にしてください。
オフィス環境を改善するには? 事例から学ぶ働きやすい職場づくり
④オフィスレイアウトを変更する際のスケジュールを決める
オフィスのレイアウト変更では、設計や工事、家具の手配、社内周知など複数の工程が発生するため、事前に全体スケジュールを決めておくことが重要です。特に大規模な変更になる場合は、業務への影響を最小限に抑えるため、オフィス移転コンサルの活用を検討したり、工事やレイアウト変更作業の実施時期を検討したりする必要があります。
また、家具や什器の納期によっては想定よりも準備期間が必要になるケースもあるため、余裕を持ったスケジュールを設定するとよいでしょう。
失敗しないオフィス移転の流れは? 注意点やスケジュール、チェックリスト
オフィス移転コンサルとは? 役割やメリット、選び方のポイント
⑤具体的なレイアウトを設計し、工事を実施する
策定したコンセプトや計画をもとに、具体的なレイアウト設計を進めます。執務エリアや会議室、集中スペース、コミュニケーションスペースなどの配置を検討しながら、業務効率やコミュニケーションを考慮した動線を設計することが重要です。また、現在の働き方だけでなく、将来的な人員増減や組織変更にも対応できるよう、柔軟性を持たせたレイアウトを検討するとよいでしょう。
設計内容が固まったら、内装工事や什器の搬入・設置、レイアウト変更作業を実施。新しいレイアウトで円滑に運用していくため、会議室の利用方法などの必要な運用ルールを事前に整備・周知しておくことが大切です。
⑥効果検証と分析を行い、改善する
オフィスレイアウトの変更は、実施して終わりではなく、その後の運用や改善も重要です。変更後は、当初設定した目的が達成できているかを確認するため、企業は利用状況や従業員の反応を調査します。
例えば、企業はアンケートやヒアリングを実施し、コミュニケーションの変化や働きやすさ、スペースの使われ方などを確認。期待した効果が得られていない場合は、運用ルールの見直しやレイアウトの調整を行い、より働きやすいオフィスへ改善していきます。継続的に検証と改善を繰り返すことで、オフィスのレイアウト変更の効果を最大化できるのです。
2. オフィスのレイアウト変更を成功させるポイント
オフィスレイアウトの変更では、同じ予算や面積でも進め方によって得られる効果が大きく変わります。ここでは、レイアウト変更を成功させるために特に押さえておきたいポイントを紹介します。
目的を明確にする
レイアウト変更を成功させるためには、「なぜ変更するのか」を明確にすることが重要です。コミュニケーションの活性化や業務効率の向上、出社したくなるオフィスづくりなど、目的によって適したレイアウトは異なります。目的が曖昧なまま進めると、レイアウト変更自体が目的となり、せっかく時間とコストをかけても、期待した成果が得られないという事態にもなりかねません。解決したい課題や実現したい働き方を明確にした上でレイアウトを検討し、課題解決や従業員の行動変容につなげましょう。
従業員の意見を取り入れる
オフィスを日常的に利用するのは従業員です。そのため、現場の意見を把握しながら計画を進めることが重要になります。アンケートやヒアリングを通じて現在のオフィスに対する不満や改善要望を収集し、実態に即したレイアウトを検討しましょう。
また、計画段階から従業員が関わることで、新しいオフィスへの理解や愛着が生まれ、オフィスをより主体的に活用するきっかけにもなります。利用者の視点を取り入れながら計画を進めることは、より満足度の高いオフィスにするために重要なのです。
将来を見据えて計画する
オフィスレイアウトの変更は、現在の課題解決だけでなく、将来の変化にも対応できるように計画することが重要です。組織の拡大や人員増減、働き方の多様化など、企業を取り巻く環境は常に変化しており、変更後のオフィスがその変化に対応できるかどうかも考慮しておかなければなりません。例えば、可動性の高い家具や柔軟に変更しやすいレイアウトを採用すれば、将来的な組織変更や人員増減にも対応しやすくなります。
特に成長スピードが速く、人員の増減が起こりやすいベンチャー企業では、拡張性や柔軟性をあらかじめ持たせたオフィスづくりが求められるでしょう。ベンチャー企業のオフィスづくりに関しては、以下で解説しているので参考にしてください。
ベンチャー企業のオフィスづくりのコツ 成長を支える環境の整え方
オフィスづくりの専門家(オフィス移転コンサル)を活用する
オフィスのレイアウト変更では、課題整理やコンセプト策定、設計、工事など多くの検討事項が発生します。オフィスづくりの知見を持つ専門家を活用することで、自社だけでは気づきにくい課題や改善案を得られます。また、プロジェクト管理や各関係者との調整負担も軽減できるため、担当者の負担軽減にもつながるでしょう。
特にレイアウト変更の経験が少ない企業や複数部署を巻き込む大規模なプロジェクトでは、社内のリソースだけで進めることが難しい場合も少なくありません。フリーアドレスやABWの導入の検討など働き方そのものを見直すレイアウト変更では、空間づくりだけでなく運用設計まで含めた検討が求められます。専門家の持つ蓄積されたノウハウや事例をもとに、自社だけでは実現しにくかった効果的なレイアウト変更を進めやすくなるでしょう。
オフィス移転コンサルやプロジェクトマネジメント(PM)支援などを活用しながら進めることで、レイアウト変更の効果を高めやすくなります。
オフィス移転コンサルとは? 役割やメリット、選び方のポイント
オフィス移転のプロジェクトマネジメント(PM)とは? 業務範囲・委託先選定のポイントを紹介
3. オフィスのレイアウト変更にかかる費用
オフィスのレイアウト変更にかかる費用は、変更の規模や内容によって大きく異なります。間仕切りの設置や内装工事を伴う場合は工事費や什器費用が発生し、変更の規模が大きくなるほど費用も高くなる傾向があります。また、変更後の運用にかかるランニングコストも含めて全体像を把握した上で計画を立てることが重要です。
費用の内訳や相場、コストを抑えるための工夫については、以下の記事でくわしく解説しています。
4. 【目的別】オフィスのレイアウト変更で課題を解決した事例
ここでは、オフィスのレイアウト変更で働き方の見直しや課題解決を実践した事例を紹介します。
【コミュニケーション活性化】曲線の動線が生み出した「たまり場」

日本ガスケット株式会社 様は、部署間の交流不足と空間を有効活用できていないことが課題でした。そこで、「Connect(つながり)」をテーマにしたゾーニングと動線設計でオフィスの見直しを行った事例です。他部署の社員に話しかける際の心理的な壁を取り払い、自然な会話や新しいアイデアが生まれるオフィスを目指しました。

社員同士のつながりを育むため、「コネクトエリア」という交流スペースを新設。人の往来が多い通路に曲線を取り入れることで、気軽に集まれる「たまり場」をつくり、自然と交流が生まれる環境を整えました。さらに執務エリアには、フリーアドレスを導入して部署を超えた交流を促進。大きな会議室を廃止し、執務エリアの拡大や多目的に利用できる会議・コミュニケーションの場に再分配しました。
曲線の通路が生み出した、活気あふれる交流の場|日本ガスケット株式会社
【ABW/フリーアドレス導入】交流と集中を両立する新しい働き方を実現

4階建てのビルに入居する株式会社荒谷建設コンサルタント 様は、各課が各フロアに分かれて配置されていたため、他部門とのコミュニケーションが生まれにくいという課題がありました。プロジェクトでは「社員のコミュニケーションの活性化」「社員の健康」をテーマに4フロアをゾーニング。1階は受付と応接室、2階と4階に執務室、社員がアクセスしやすい3階を多目的スペースという構成にし、課題解決を図りました。

執務スペースでは不要な壁を取り払うことで、フロア全体を見渡せるようになり、気軽なコミュニケーションが自然と生まれる空間に。ファミレス席や電動昇降デスク、ミーティングテーブルなどの多彩な席を設置し、ABWを導入したことで「選ぶ楽しさ」も生まれました。また、多目的に使える共創空間では、ソファ席やハイカウンター席、壁面テーブルなどが設置され、社内外の交流や情報共有に加え、ランチや休憩にも利用できます。動線を意識したゾーニングにより、フロア間の移動を、社員の自然なコミュニケーションを育み、社員の健康をサポートする仕掛けとして活用した事例です。
自社ビル全面改装とフリアドで、交流と集中を生む新しい働き方へ|株式会社荒谷建設コンサルタント
【ウェルビーイング】心身ともに健康的に働ける現代的なオフィス

株式会社JALナビア 様では、数多くの固定席が狭い空間で配置され、コミュニケーションやリラックスできるスペースが少ないという課題がありました。今回のプロジェクトで目指したのは、「Well-being(社員が心身ともに健康的に働けること)」と「ESG(安全快適で持続可能なオフィスにすること)」を取り入れた空間へのアップデートです。


19階に会議室や研修用の教室、倉庫などの機能を集約し、18階は執務とリフレッシュの場へと改装しました。課題となっていた受電部門の執務エリアは、ペーパーレス化と収納棚の削減により、空間の有効活用が実現。通路幅にもゆとりを持たせ、全席に上下昇降デスクを導入、ダイバーシティを重視した空間が広がっています。また、リフレッシュスペースも南側と北側のエリアに1箇所ずつ配置し、休憩やランチタイムに利用されています。
見通しの良い滑走路(Runway)を、堂々と自分らしく歩むように働く|株式会社JALナビア
【働きやすさ向上】複数の課題を新棟増築で解決

日東電工株式会社 様は、「会議室が少ない」「執務エリアが狭い」「休憩室がない」といった課題に、新棟を増築することで解決へ取り組んだ事例です。オフィス面積を拡大したことで足りない機能を確保し、新たなつながりを生むスペースの創出に成功しています。


新たな執務エリアは視界を遮るものがない開放的な空間で、壁側には会議室の代わりに使えるフルクローズ型ワークブースを設置。リニューアルした社員食堂はワークスペースとしても利用でき、奥にはバーのようなハイカウンターやソファ席を備えたリフレッシュエリアも設けられています。
「これからのNittoを支えていく」若手中心のプロジェクトとともに|日東電工株式会社
【イノベーション】部門を超えたつながりとアイデアが生まれるオープンフロア

ダイコク電機株式会社 様では、社員が横断的に交流する場所がなく、経営理念にある「イノベーション」をオフィスから感じづらいという課題がありました。そこで、倉庫として利用していた本社ビルの1フロアをフルリノベーション。仲間同士がつながり高め合う「輪」と、普段の業務環境から離れて心を切り替える「和」をコンセプトに、社員同士の接点を増やすワークプレイスを生み出しました。


コミュニケーションエリアには、日本家屋のような小上がり空間をはじめとする、用途に応じた多様な「集う場」があります。一方ワークエリアには、高さやサイズ、デザインが異なる多彩な席を配置し、作業内容や集中度に合わせて座席が選べるようになっています。ワークエリアにはサウンドコンディショニングシステムを導入することで、ワンフロアの限られたスペースの中に壁をつくらず、コミュニケーションエリアとワークエリアをシームレスにつなぎました。
5. オフィスレイアウト変更は目的に沿って計画的に進めよう
オフィスのレイアウト変更は、デスクの配置替えにとどまらず、働き方や組織の課題を見直す機会でもあります。その目的は、コミュニケーションの活性化や集中環境の整備などさまざまですが、いずれも「なぜ変更するのか」を明確にした上で計画を進めることが成功のカギです。
また、従業員の意見を取り入れたり、将来の変化を見据えて設計したりすることで、より働きやすく長く使いやすいオフィスを実現しやすくなります。ただし、オフィスレイアウトの変更は多くの関係者を巻き込む一大プロジェクトです。進め方や知見の有無によっても成否が分かれるため、専門家の知見も活用しながら、自社に合ったオフィスづくりを進めましょう。
オカムラでは、レイアウト変更のご相談から設計・施工まで一貫してサポートしています。オフィスづくりでお困りの際は、お気軽にご相談ください。
よくある質問
Q:オフィスのレイアウト変更はどのように進めればよいですか?
A:オフィスのレイアウト変更の進め方は、一般的に「推進体制の整備」「現状の課題整理とコンセプト策定」「必要な空間や要件の整理」「スケジュールの設定」「レイアウト設計と工事の実施」「効果検証と改善」という6つのステップで進めます。まずは推進体制を整備し、「なぜ変更するのか」という目的を明確にした上で、各ステップを順に進めていくことが、スムーズなレイアウト変更につながります。
Q:オフィスのレイアウト変更にはどのくらいの費用がかかりますか?
A:変更の規模や内容によって大きく異なります。間仕切りの設置や内装工事を伴う場合は工事費や什器費用が発生し、変更の規模が大きくなるほど費用も高くなる傾向があります。詳しくは以下の記事を参考にしてください。
Q:レイアウト変更を社内だけで進めることはできますか?
A:オフィスのレイアウト変更は、小規模な変更であれば社内だけで対応できるケースもあります。しかし、大規模なプロジェクトや働き方そのものを見直す変更では、専門家の知見を活用することがおすすめです。より効果的なレイアウト変更を進めやすくなります。
イラスト:Masaki
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オフィスづくりに関するQ&A
- Q1
オフィス移転や改装を検討しはじめるタイミングは、いつが良いですか?
- A1
社員数や内容によって異なりますが、100名規模のオフィスの場合、移転予定の1年前、改装の場合は6か月前からの検討が理想です。
現状課題の整理や物件選定、レイアウト設計、施工期間などを考慮すると、余裕をもった準備期間を設けることでスムーズに進められます。
オカムラでは、初期段階からお客様のニーズや課題を伺い、スケジュール立案や検討資料づくりをサポートしています。 お問い合わせ
- Q2
オフィスづくりを依頼すると、どこまでサポートしてもらえますか?
- A2
オカムラでは、オフィスの企画・設計・施工・運用までを一貫してサポートします。
働き方や組織課題を丁寧にヒアリングし、レイアウト、家具、照明、ICT環境などを総合的にデザインします。
また、移転・改装後のアンケートや改善提案を通して、働き方の変化に寄り添った空間づくりを支援します。 オカムラのオフィスづくりソリューション
- Q3
オフィス改装の費用はどのくらいかかりますか?
- A3
改装の内容や規模、目的によって費用は大きく変わります。
例えば、部分的なリニューアルなのか、働き方改革を目的とした全面リニューアルなのかによっても必要な費用は異なります。
具体的な金額を知りたい場合は、現状の課題やご希望をお伺いしたうえで、最適なプランをご提案いたします。まずはお気軽にお問い合わせください。 お問い合わせ
- Q4
まだ具体的な計画がなくても、相談して大丈夫ですか?
- A4
もちろん大丈夫です。
多くのお客様が「何から始めればいいか分からない」という段階からご相談されています。
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- Q5
自社に合った働き方やレイアウトがわかりません。どうすれば良いですか?
- A5
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