オフィスづくりのコラム
COLUMN
おしゃれなオフィス実例10選!共通点から学ぶ空間づくりのヒント
オフィスをおしゃれにしたいと考えていても、「具体的にどうすれば良いのかわからない」と悩んでいる方は多いのではないでしょうか。おしゃれな空間をつくるには、単なる見た目の美しさだけでなく、使いやすさや企業らしさを表現する工夫も重要です。
本記事では、実際の導入事例10選を紹介しながら、おしゃれなオフィスに共通するポイントやデザインの工夫を解説します。
目次
1. おしゃれなオフィスが注目される理由
近年では、オフィスは単なる「働く場所」ではなく、企業の価値や文化を体現する場としての役割も担うようになっています。採用競争が激化する中で、特にオフィスのデザイン性は企業ブランディングにおいても大きな意味を持つようになりました。
また、おしゃれなオフィスは、来訪者からの印象だけでなく、社員の働きやすさや満足度に与える影響も大きいものです。視覚的に洗練された空間は、業務へのモチベーションや生産性を高め、社員同士の自然なコミュニケーションを促進する効果もあります。
コロナ禍以降は、働き方改革やリモートワークの普及により、「オフィスに行く意義」が問われる時代になりました。社員が「行きたくなるオフィス」「集いたくなる空間」を実現するために、デザインと実用性を兼ね備えたおしゃれなオフィスが注目されているのです。
2. おしゃれなオフィスに共通する5つのポイント
多くの場合、おしゃれなオフィスは単に見た目が整っているだけではなく、空間としての機能性や、居心地の良さが備わっています。ここでは、実例から見えてきた共通点を5つに整理し、具体的な工夫を紹介します。
- カラーと素材に統一感がある
- 照明とグリーンで雰囲気と立体感を加える
- 収納が見えない、整った空間
- デザインと実用性を兼ねたアイテム選び
- ブランドや企業文化が反映されている
●カラーと素材に統一感がある
おしゃれなオフィスはカラーと素材に統一感があり、洗練された印象を与えます。例えば「白+木目」や「黒+金属」など、2~3色に色数を絞って構成するだけでも、落ち着きと高級感を感じられる空間にできるでしょう。また、壁・床・什器などに使用する素材の質感をそろえることも、統一感のある空間づくりに効果的です。
●照明とグリーンで雰囲気と立体感を加える
自然光を活かすレイアウトや間接照明・ペンダントライト、グリーンを取り入れることで、オフィスの空間に雰囲気と立体感が加わります。観葉植物やフェイクグリーンも有効で、視覚的なやすらぎを与え、心理的にも快適な空間づくりが可能です。
●収納が見えない、整った空間
おしゃれなオフィスでは、余計なものが視界に入らない工夫がされています。「見せる収納」と「隠す収納」を適切に使い分けると、整った印象を与えられるでしょう。配線類は床下に通したり、ケーブルトレイでまとめたりすることで、見た目のノイズを抑えたすっきりとした空間が実現します。
●デザインと実用性を兼ねたアイテム選び
おしゃれなオフィスでは、見た目の美しさと業務上の使いやすさを両立した什器選びも重要です。例えば、視線を遮らない背の低い収納棚や背板のないオープンラックなどは、空間を分断せず、広がりを感じさせる効果があります。あくまでも「使いやすい」「空間の雰囲気に合う」ことが選定のポイントです。業務効率をサポートしながらも、空間全体の美意識を損なわないアイテムを選びましょう。
●ブランドや企業文化が反映されている
5つのポイントの中でも特に重要なのが、「ブランドや企業文化が空間に反映されている」ことです。単におしゃれな家具を並べるだけでは、見た目は整っていても「中身のない空間」になってしまいます。
本当に魅力的なおしゃれなオフィスには、その企業のありたい姿や価値観、働き方のスタイルが明確に落とし込まれているのです。ロゴや企業カラー、ミッション・ビジョンといった要素をインテリアやレイアウトに活かすことで、空間に一貫性と意味が生まれます。
そうすることで、社員にとっては「自分たちらしい」と感じられる帰属意識の高い場となり、エンゲージメント向上にも直結するでしょう。それだけでなく、来訪者に対しても企業の考え方や姿勢を直感的に伝えることができ、強力なブランディングの手段となります。
3. 共通点から読み解く!おしゃれなオフィス実例10選
ここからは、先に紹介した5つの共通ポイントがどのように実際の空間に取り入れられているのか、具体的な事例をもとにご紹介します。業種や働き方が異なる企業の取り組みから、自社オフィスづくりのヒントを見つけてみてください。
<おしゃれなオフィス実例10選>
●CASE1:森のような安らぎと交流が広がる、"行きたくなる"屋内オアシス

三菱電機本社ビル内のリフレッシュ&コミュニケーションスペース「4rest」は、「仕事の合間に訪れることで気分転換してほしい」というコンセプトのもと、公園や中庭のような開放感のある空間にリニューアルされました。木目や石畳風の素材、豊富なグリーンが心地よさを生み出し、社員が自発的に行きたくなる空間に仕上げられています。エリアごとに異なる雰囲気が設計されており、気分や目的に応じて働く場所を選べるのも魅力です。
<注目すべきおしゃれなポイント>
・色や素材の統一感
石畳風の床材や格子状パーティションなど、屋内にいながら自然を感じられるデザインを採用。木目やグリーンを基調としつつ、黒を差し色として空間を引き締めています。
・照明・グリーンによる演出
窓外の借景や自然光を活かした照明設計と、豊富に配置されたグリーンが心地よい空間を演出。特に窓際のカウンター席は、気分転換に最適な人気スポットです。

・収納・配線がすっきり整っている
マガジンラックと一体化したプランターボックスなどで「見せる収納」もインテリアの一部として活用しています。
・企業文化・ブランドが反映されている
ライブラリーや売店などもデザインに一貫性を持たせることで、統一感のある世界観を表現しています。ペットロボットやボードゲームなどのコミュニケーションを広げるような仕掛けもユニークです。
・デザインと実用性を兼ねたアイテム選びがされている
ロングテーブル、ソファ、カウンター席など、多様な働き方に対応する家具をレイアウト。プランターボックスなどを活用して空間を区切りすぎないことで、使いやすさと視線の抜け感を両立しています。

●CASE2:風通しの良さが強み。垣根のないワンフロアオフィス

「風通しのよさ」を意識して、編集・営業・技術などの部署を1つのフロアに統合し、紙の資料や新聞のバックナンバーもデジタル化。物理的な仕切りとともに心理的な垣根も取り払い、部署を越えた自然な交流が生まれる空間を実現しました。固定席とフリーアドレスを併用するなど、多様な働き方に対応した柔軟なレイアウトも特徴です。
<注目すべきおしゃれなポイント>
・色や素材の統一感
エントランスの壁や床、イスには環境に配慮した素材を採用し、SDGsに取り組む姿勢と統一感を両立。布張りソファや木目調の素材が空間にあたたかみを加え、やわらかな印象を与えています。
・照明・グリーンによる演出
ラウンジには暖色系のLED照明と小鳥のさえずりが聞こえるサウンドシステムを導入し、くつろぎやすい雰囲気を演出。観葉植物も豊富に取り入れられており、鉢のデザインや種類にまで細かなこだわりが感じられます。

・収納・配線がすっきり整っている
個人ロッカーの導入により、フリーアドレスでもデスク周りの整頓を維持しました。新聞のバックナンバーは1ヵ所に集約され、収納棚はカウンターとしても活用されています。また、ペーパーレス化促進のため、コピー機はカード認証の複合機を採用しました。
・企業文化・ブランドが反映されている
ラウンジの中央に設置された大きな時計台は、鮮度のある情報を扱う新聞社においてシンボル的な存在です。廃漁網を再利用したソファや再生素材を用いた装飾には、SDGsの取り組みへの姿勢が表れています。
・デザインと実用性を兼ねたアイテム選びがされている
ブース席・ソファ席・ビッグテーブルなど、業務内容や気分に応じて使い分けができるオフィススペースを整えています。曲線的なテーブルや個性あふれるイスを配置し、まるでカフェで働いているかのような空間に仕上げました。さらに、ポータブルバッテリーの導入で、電源位置に縛られず柔軟な働き方をサポートしています。

●CASE3:発見・発信・吸収が生まれる共創型オフィス

株式会社エスユーエス 様の東京オフィスは、「来訪者に技術力を伝え、社員同士の共創を促す」ことを目的に設計されています。ブラック基調の空間に木目やグリーンを合わせた高級感ある内装、曲線を活かした空間づくり、五感に訴える演出でブランディングと機能性を融合した空間を実現しました。
<注目すべきおしゃれなポイント>
・色や素材の統一感
ブラックを基調に、木目やグリーンをアクセントとした上質感のある空間が特長です。曲線を取り入れたデザインで、柔らかさと動きを演出しています。
・照明・グリーンによる演出
「DX Stage」では、自然映像・音・アロマを活用し、五感で体験できる空間を実現しました。チームで集まれるチームリビングやカフェなどの至る所に観葉植物を配置することで、落ち着いた雰囲気が広がっています。

・収納・配線がすっきり整っている
ポータブルバッテリーの活用により、配線が露出せずオフィスの雰囲気を壊しません。各席が整然と保たれており、視覚的にも快適な空間です。
・企業文化・ブランドが反映されている
受付のプロジェクションマッピングや、水引をモチーフにした会議室名など、京都発のIT企業らしい和とテクノロジーの融合を体現しています。
・デザインと実用性を兼ねたアイテム選びがされている
開発室にはゲーミングチェアを導入し、集中力が求められる作業に配慮。ハイテーブルやホワイトボード付きのブースなど、多様な業務スタイルに対応できる家具が整備されています。

●CASE4:ビジョンを体現し、共創と交流を促すオフィス
<注目すべきおしゃれなポイント>
旭化成株式会社 様の本社オフィスは、「次の100年へ」という企業ビジョンを空間で体現し、共創と交流の活性化を図ることをテーマに設計。エントランスには企業カラーのブルーが取り入れられ、先進性とブランドイメージを象徴しています。ワークラウンジには、自然光を活かした開放的な設計に加え、豊富なグリーンが心地よさを演出。展示エリアや共創スペースでは企業のビジョンを体感でき、交流が生まれやすいおしゃれな空間が実現されています。
「次の100年へ」働き方と共創を進化させる本社オフィス|旭化成株式会社
●CASE5:心地良さと交流が共存する、行きたくなるおしゃれ空間

<注目すべきおしゃれなポイント>
中外製薬株式会社 様のオフィスは、「社員が自然と集まりたくなる空間づくり」をテーマに、木の質感やナチュラルカラーを活かした内装が特徴です。視線を遮らないガラスの間仕切りや、自然光を取り入れた設計により、開放感と心地よさを両立。交流を促すラウンジやカフェエリアでは、家具の高さや配置にも工夫が凝らされ、自然な会話が生まれる空間に。居心地の良さとデザイン性を兼ね備えた空間となっています。
来たくなるオフィスの魅力は『ヨコ・タテ・ナナメ』のつながり|中外製薬株式会社
●CASE6:輪と和が生まれるオープンフロア

<注目すべきおしゃれなポイント>
ダイコク電機株式会社 様のオフィスは、「人の"輪"とアイデアの"和"を生み出す場」として、オープンフロアの利点を最大限に活かした設計が特徴です。木目を基調にした温かみのある内装に、観葉植物や間接照明を取り入れることで、リラックスできる雰囲気を演出しています。収納や配線も整然としており、視界のノイズが少ないのもポイントです。
部門を越えた人の「輪」×アイデアの「和」が育つオープンフロア|ダイコク電機株式会社
●CASE7:出会いと交流を促す新たなオフィス

<注目すべきおしゃれなポイント>
ユニ・チャーム株式会社 様のオフィスは、「社員の一体感を高める大きなワンフロアのようなオフィス」をコンセプトに、複数フロアをひとつの空間としてつなげた大胆な設計が特徴です。視線が抜けるオープンな空間と、機能的な家具配置が融合し、交流が促進される洗練されたオフィスになっています。
複数フロアがひとつの空間としてつながり一体感を生むワークプレイス|ユニ・チャーム株式会社
●CASE8:社員の目的地となるオフィス

<注目すべきおしゃれなポイント>
森トラスト株式会社 様のオフィスは、社員の目的地となるオフィスを目指して設計された空間です。ホテル事業も手がける同社らしく、エントランスには上質な素材を使い、まるでホテルのような洗練された空間を演出。執務エリアにはチームの拠点や交流スペースを設け、社員同士が自然に集まります。ブランドの世界観を体現しながら、機能性と快適性を兼ね備えた、まさに「目的地」となるオフィスです。
チームの結束を高め、社員の拠り所となるオフィス|森トラスト株式会社
●CASE9:従業員が安心して働ける、落ち着きのあるオフィス

<注目すべきおしゃれなポイント>
四国計測工業株式会社 様のオフィスは、「従業員が健康で快適に働ける環境づくり」を最優先に設計しています。フリーアドレスを採用し、昇降デスクやライブラリーテーブルなど多様なデスクを配置することで、個々に合った働き方を実現しました。木目や落ち着いたトーンの配色が安心感を与え、視覚的ノイズの少ないレイアウトと集中力を高める照明設計が、心身ともに快適に働く環境を支えています。
働きやすさを徹底的に追求した、従業員ファーストなオフィスづくり|四国計測工業株式会社
●CASE10:機能の再定義で新しいオフィス像を創出

<注目すべきおしゃれなポイント>
エイベックス株式会社 様のオフィスは、「出社時にはコミュニケーションを」というビジョンを実現すべく、各フロアの機能を明確に区分し、同じ目的をもった従業員同士のコミュニケーション活性化を図っています。エントランスやカフェテリアの内装には特にこだわり、「エイベックスらしさ」を感じられる工夫を随所に施しました。業務効率とクリエイティブな感性を共存させた、おしゃれで先進的なオフィスです。
4. 「理想の働き方」を形にする、おしゃれなオフィスづくり
おしゃれなオフィスとは、単にデザイナーズ家具や洗練されたインテリアを並べただけの空間ではありません。重要なのは、その企業ならではの文化や理想を空間に落とし込み、「どんな働き方を実現したいか」「どんな企業でありたいか」というビジョンを表現することです。
実例で紹介した各社のオフィスは、共通して見た目の美しさと企業それぞれのカルチャーが表現されており、社員のモチベーションや連携を自然に引き出す工夫にあふれていました。おしゃれで機能的なオフィスをつくるには、自社の価値観を空間でどう表現するかを考えることが第一歩となります。
「おしゃれなオフィスを実現したいけれど、どこから考えればいいのかわからない」という方へ向けて、成功事例やヒントをまとめた資料をご用意しています。ぜひこちらも参考にして、自社らしい空間づくりのヒントを見つけてください。
イラスト:Masaki