オフィスづくりのコラム

COLUMN

失敗しないオフィス移転の流れは?
注意点やスケジュール、チェックリスト

2025.11. 4
  • レイアウト

オフィス移転は、物件探しやレイアウト設計、内装工事、引っ越し準備、手続きなど、数多くの業務が発生する一大プロジェクトです。これらを計画的に進めなければ、スケジュールの遅延やコストの増加、社内業務の停滞といったトラブルに発展する可能性もあります。

オフィス移転を成功させるには、全体の流れとスケジュールをしっかり把握し、段階ごとに適切な準備を進めていくことが重要です。この記事では、オフィス移転を円滑に進めるためのスケジュールと流れやよくある注意点、チェックリストもご紹介します。

<目次>

  1. オフィス移転の流れは? スケジュールの全体像を把握しよう
  2. オフィス移転における注意点
  3. オフィス移転を成功させるには専門家のサポートが有効
  4. オフィス移転業者の選び方
  5. オフィス移転は自社に合った進め方とパートナー選びが重要

1. オフィス移転の流れは? スケジュールの全体像を把握しよう

オフィス移転は企業ごとに目指している方向性や事情も異なるため、決まったスケジュールがあるわけではありません。オフィス移転では、自社に合った無理のないスケジュールを組み、「誰が・いつまでに・何を行うか」を明確にすることが第一歩です。スムーズな進行には、全体のスケジュールを早い段階で把握し、計画的に進めていくことが大切になります。

■オフィス移転のモデルケース:100名規模、移転準備期間12カ月

上記のスケジュールは、100名規模のオフィスで移転に約12カ月をかけた場合のモデルケースです。今回はこのモデルケースをもとに、移転の流れをくわしくみていきましょう。

移転準備を抜け漏れなく進めるために、チェックリスト付きの資料もぜひご活用ください。以下より資料ダウンロードができます。

12カ月前〜

<チェックリスト>

  • 移転の目的設定
  • 予算・スケジュールの決定
  • プロジェクトチームの発足
  • 新オフィスの物件選定

オフィス移転を本格的に進める前に、まずは「なぜ移転をするのか」という目的を明確にし、社内で合意形成を図ることがスタートです。業務拡大や働き方改革、老朽化への対応など、目的によって移転の方向性や進め方は大きく異なります。

目的が定まったら、移転にかけられる予算とおおよそのスケジュールを設定し、社内でプロジェクトチームを立ち上げます。各部署からの代表者を選出し、経営層と連携しながら進行する体制を整えましょう。

また、このタイミングで、並行して新オフィスの候補となる物件探しも始めます。立地、広さ、アクセス、周辺環境など、複数の条件を比較検討しながら、理想に近い物件を選定するためには、時間に余裕が必要です。

10~8カ月前

<チェックリスト>

  • 新オフィスの物件選定・要件整理
  • オフィスレイアウトの検討
  • オフィス家具の選定
  • セキュリティやIT環境の検討
  • 電話番号や通信回線の変更準備

この時期には、新オフィスの物件選定と並行して、入居に向けた要件整理やレイアウト検討を進めていきます。必要な席数や会議室の数、リフレッシュスペースの有無、将来的な増員への対応などを考慮しながら、オフィスの構成を設計します。加えて、オフィス家具の選定もこの時期に行ってください。

また、セキュリティやIT環境の要件も整理する時期です。ネットワークの構成、サーバールームの有無、入退室管理など、業務に直結する機能についても、早い段階で検討を始めておきます。あわせて、電話番号や通信回線の変更が必要な場合は、移行に時間がかかることもあるため、この時点で動き始めるのが理想です。

レイアウトやIT環境の検討は、移転後の業務効率や働きやすさに直結する重要なフェーズです。関係者の意見をしっかりと集めながら、方向性を固めていきましょう。

6カ月前

<チェックリスト>

  • 現オフィスの解約予告
  • 引っ越し業者の選定、打ち合わせ
  • 内装工事業者の決定、契約

オフィス移転の6カ月前は、具体的な手配や契約に着手するタイミングです。できるだけ早めに着手することとして、現オフィスの賃貸契約の内容確認と、解約予告の手続きがあります。多くのオフィスでは「6カ月前までの解約通知」が一般的ですが、契約によっては異なる場合もあるため、早めに管理会社やオーナーに確認してください。

あわせて、引っ越し業者や内装工事業者の選定を進めます。いずれも複数の業者を比較し、見積もりを取得したうえで、サービス内容や対応力を踏まえて最適なパートナーを選ぶことが重要です。特に内装工事業者とは、デザインや工事スケジュール、コストのすり合わせなどが必要になるため、早めに打ち合わせを開始しておくとスムーズでしょう。

4〜2カ月前

<チェックリスト>

  • 工事準備と着工
  • 住所変更や各種届出準備
  • 移転説明会の実施

実際の移転に向けた準備を本格的に始める時期です。まずは内装工事の着工に向けて、設計内容や工程を最終確認し、工事がスケジュール通りに進むように段取りを整えます。什器の搬入やインフラ工事との調整も必要となるため、関係業者との連携が重要です。

また、社外に向けた住所変更や各種届出の準備も進めておきましょう。取引先や関係機関への案内、登記や税務関連の手続きなど、漏れがないようにチェックリストを活用しながら進めると安心です。

社内に対しては、移転後のルールや働き方の変化を周知するための移転説明会を実施します。座席の運用ルールや設備の使い方、新しい通勤ルートなど、社員にとって不安要素となりうる点を事前に共有し、疑問や懸念を解消しておくことで、移転当日の混乱を防ぐことができるはずです。

移転直前〜当日

<チェックリスト>

  • 引っ越し準備、引っ越し作業
  • 原状回復工事への準備

移転の直前から当日にかけては、引っ越し作業と原状回復の対応が中心となります。まず、社内では荷物の梱包や不要物の仕分けを進め、部署単位で荷物の量や優先度を明確にしておくとスムーズです。梱包資材の配布やラベリングのルールもあらかじめ決めておきます。

引っ越し業者とは、事前に搬入・搬出ルートや作業時間を確認し、ビル管理会社との調整も済ませておく必要があります。特に複数フロアにわたる移転や、深夜・休日の作業を伴う場合は、直前になってトラブルが発生しやすいため、念入りな確認が必要です。

また、移転完了後の旧オフィスの原状回復工事では、工程や完了時期をしっかり管理することで、無駄な延長費用の発生を防ぐことができます。この時期は、もっとも慌ただしくなるため、関係者間の情報共有を徹底し、スケジュール通りに移転が完了するよう進行管理を強化しましょう。

移転後

<チェックリスト>

  • 原状回復工事の着工
  • 社内ルールや働き方に合わせた運用調整
  • 各種必要書類の提出

無事に移転が完了した後も、すぐにすべてが整うわけではありません。新オフィスでの運用を安定させるためには、社内ルールや働き方に合わせた環境調整が必要です。実際に稼働してみると、想定していなかった課題や改善点が見つかることも多く、必要に応じてレイアウトや運用ルールを見直す柔軟さが求められます。

また、社外への住所変更届や登記変更、取引先への案内など、移転後に必要となる手続きも確実に行わなければなりません。特に法的な届出や公共機関への申請は、期日が定められているものもあるため、チェックリストを使って漏れなく対応しましょう。

作業の抜け漏れを防ぐには、各フェーズで必要な業務を整理したチェックリストの活用が効果的です。ダウンロード資料「オフィス移転・改装マニュアル」では、煩雑になりやすい必要書類のチェックリストをご用意していますので、ぜひご活用ください。

2. オフィス移転における注意点

オフィス移転には多くの工程があり、それぞれにトラブルの種や見落としやすいポイントが潜んでいます。このセクションでは、実際の移転現場でよく起きる代表的な注意点をピックアップして解説します。

<オフィス移転における注意点>

  • 解約通知は契約期間を必ず確認する
  • 費用を確認する
  • 社員への説明や社内周知は必ず実施する

解約通知は契約期間を必ず確認する

移転計画が始まったら早めに確認すべきなのが、「現オフィスの解約条件」です。多くのオフィスビルでは、解約予告は6カ月前までと定められているケースが一般的ですが、契約内容によっては3カ月や、逆に1年以上前の通知が必要となるケースもあります。

この通知を忘れたり遅れたりすると、旧オフィスの賃料と新オフィスの賃料が重複してしまうリスクもあります。二重家賃は企業にとって大きな負担となるため、スケジュールに余裕をもって対応することが重要です。

解約の通知期限だけでなく、原状回復の範囲や手続き方法についても、契約書の内容を事前に把握しておきましょう。特に、原状回復工事にビル指定業者の利用が義務づけられている場合は、費用が高くなったり、工事期間が延びたりすることがあります。

費用を確認する

オフィス移転では、全体の費用を事前に把握しておくことが重要です。中でも、内装工事の費用は「どこまで誰が対応するか」によって大きく異なり、ビル側指定の業者を使うケースでは費用が高くなることもあります。また、引っ越しや工事が集中する3月・9月などの繁忙期は、通常期に比べて費用が上がりやすいため、スケジュールを調整することでコストを抑えられることもあるでしょう。

また、費用の見積もりは初期費用だけでなく、移転後のランニングコストも含めたトータルでの予測が欠かせません。早めの段階で複数社に見積もりを依頼し、比較検討することが大切です。

オフィス移転の費用に関しては、以下の記事で解説していますので参考にしてください。

オフィス移転にかかる費用は? 相場と費用削減のコツ

社員への説明や社内周知は必ず実施する

オフィス移転は、経営層や総務部門だけで完結するものではありません。社員全員が当事者であり、日常の業務環境が大きく変わることへの不安や混乱が生じやすいイベントでもあります。そのため、社内への十分な情報共有と丁寧な説明が欠かせません。

移転に関する情報が共有されないまま進んでしまうと、「どこに何があるかわからない」「移転当日の動きが見えない」など、業務の停滞や不満の原因となります。こうしたリスクを防ぐために移転説明会を行い、社員の不安を早期に解消することが重要です。

新オフィスのレイアウトやルール、引っ越し時の動き、郵便物や宅配便の扱いなど、日々の業務に関わる基本的なことこそ丁寧に伝える必要があります。口頭だけでなく、スライド資料や社内ポータルでの案内、紙での配布資料など、複数の手段を活用して確実に周知しましょう。

スムーズな移転には、社員一人ひとりの理解と協力が不可欠です。移転のメリットや背景も含めて伝えることで、新しいオフィスへの期待感を醸成し、ポジティブな移行につなげていきましょう。

3. オフィス移転を成功させるには専門家のサポートが有効

オフィス移転は、物件選定、レイアウト設計、内装工事、什器の選定、IT・通信環境の整備、廃棄物の処理、原状回復、各種手続きなど、幅広い分野の業務が複雑に絡み合う大規模なプロジェクトです。しかも、限られた時間と予算のなかで、通常業務と並行して進めなければなりません。

こうした移転業務を社内だけで完結させようとすると、担当者に大きな負担がかかるだけでなく、スケジュールの遅延やコストの膨張、判断ミスといったリスクも高まります。そこで有効なのが、オフィス移転の専門家や移転業者のサポートを活用することです。

経験豊富なパートナーであれば、工程ごとの進行管理やスケジュール調整、コストの最適化、業者間の調整まで一括して対応してくれるため、移転にかかる社内の負担を大幅に軽減できます。さらに、物件や内装、働き方の改善に関する専門的な提案も期待でき、より質の高い移転を実現することが可能です。

移転が決まったら、できるだけ早い段階で専門業者に相談し、自社の課題や目的に合った支援体制を整えておくことが、スムーズなプロジェクト進行への第一歩となります。

4. オフィス移転業者の選び方

オフィス移転は専門知識と多方面の調整力が求められるため、社内だけで完結させるのは困難です。多くの企業が、物件選定からレイアウト設計、引っ越し、原状回復までを一貫してサポートしてくれる専門業者の力を借りて移転を進めています。

オフィス移転業者を選ぶ際は、目的や課題に合ったパートナーを選ぶことが移転成功のカギです。このセクションでは、業者選びで確認しておきたい4つのポイントをご紹介します。

<オフィス移転業者の選び方>

  • 必要なサービスが受けられるか
  • 提案力・対応力があるか
  • サポート体制はしっかりしているか
  • オフィス移転の実績が豊富か

必要なサービスが受けられるか

オフィス移転業者を選ぶ際には、まず自社が必要とするサービスがその業者に揃っているかを確認することが基本です。移転に関わる業務は多岐にわたるため、物件紹介だけを行う会社、内装工事だけを請け負う会社、引っ越しや廃棄のみ対応する会社など、業者ごとに対応範囲が異なることも少なくありません。

できれば、物件探しからレイアウト設計、内装工事、什器の選定・調達、引っ越し、原状回復までをワンストップで対応できる業者を選ぶと、工程ごとの分断がなくなり、スムーズな進行につながります。特に、担当者の負担軽減やスケジュール調整の面で大きな効果を発揮するでしょう。

提案力・対応力があるか

オフィス移転は、決まった工程をその通りにこなすだけではありません。限られた予算や期間のなかで、いかに効率的に、そして働きやすい環境を実現できるかが求められます。そのため、依頼されたことを実行するだけでなく、課題に応じた提案ができる業者であることが重要です。

例えば、「コストを抑えたい」という要望に対して、什器のリユースやフリーアドレスの導入を提案できるか、「会議室が足りない」といった課題に対して、ワークブースなど代替案を示せるかといった、提案の幅と質が問われます。

また、移転プロジェクトは予期せぬ変更やトラブルがつきものです。急な仕様変更やスケジュール調整への対応力も、業者選びの大きな判断材料となります。打ち合わせのスピード感や、担当者とのコミュニケーションのしやすさも含めて、「この業者なら信頼できる」と思えるかを見極めましょう。

サポート体制はしっかりしているか

オフィス移転には、多くの関係者や業者が関わり、想定外のトラブルや変更が発生することも少なくありません。そのため、プロジェクト全体を通じて安定したサポートが受けられるかどうかは、業者選定の大きなポイントとなります。

例えば、レイアウトの微調整や設備トラブルへの対応、備品の追加手配など、細かな変更が移転直前や当日に発生するケースもあります。そうした場合でも、柔軟かつスピーディーに対応できる体制が整っているかどうかを、事前に確認しておきましょう。

また、引っ越し後も、家具や設備の配置調整、アフター対応などが必要になることがあります。移転後のフォローアップがしっかりしているか、専任担当がつくかなど、サポート体制の質にも注目したいところです。

オフィス移転の実績が豊富か

業者を選ぶ際には、これまでにどのようなオフィス移転を手がけてきたか、実績を確認することも重要な判断材料です。業種や規模、目的によってオフィス移転の進め方は大きく異なるため、自社と似た条件での移転経験があるかどうかは大きな安心材料となります。

例えば、IT系スタートアップと歴史ある老舗メーカー、成長期による拡張移転と業務集約時の移転とでは、課題も異なります。そうした多様なケースに対応してきた業者であれば、状況に応じた柔軟な対応力や、トラブルを未然に防ぐためのノウハウも豊富です。

オカムラ公式サイトでは、オカムラが手がけたオフィス移転・改装事例を多数ご紹介しています。規模や課題、入居ビルのタイプなどから絞り込んで閲覧できるため、計画の参考になる内容です。詳しくは以下のリンクからご覧ください。

オカムラのオフィスデザイン事例

5. オフィス移転は自社に合った進め方とパートナー選びが重要

オフィス移転にかかる期間や進め方は、企業の規模や目的によってさまざまです。1年以上かけて準備するケースもあれば、工夫次第で短期間で完了できることもあり、自社に合った計画を立てることが何より重要です。

物件選びから内装、引っ越し、各種手続きまで多くの工程が伴う移転は、自社だけで進めると負担やリスクも大きくなりがちなので、移転に精通したパートナーが頼りになります。

オカムラでは、物件選定から内装設計、什器選び、引っ越し、原状回復までをワンストップでサポート。企業の目的や働き方に合わせた移転計画をご提案し、安心して本業に集中できる環境を支援します。

オフィス移転についてのご相談は下記からお問い合わせください。

移転・改装など空間づくりに関するご相談

オフィス移転の進め方をより詳しく知りたい方は、以下の資料もぜひご活用ください。

よくある質問

Q:オフィス移転はいつ頃から準備を始めるべきですか?

A:一般的には、物件確定から引っ越し完了まで約612カ月程度の期間が必要とされます。ただし、企業規模や移転内容によって大きく異なり、100名規模でも1年以上かけて準備するケースもあれば、500名以上でも工夫次第で1年以内に完了できる場合もあります。まずは「いつまでに移転したいか」を起点に、逆算して計画を立てることが大切です。

Q:現オフィスの解約はいつまでにすればいいですか?

A:多くのオフィス物件では、解約通知は「6カ月前まで」と定められていることが一般的です。ただし契約内容によって異なる場合があるため、まずは賃貸借契約書を確認し、原状回復の条件や費用負担の有無も併せて把握しておくことをおすすめします。

Q:専門業者に依頼すると、どこまで対応してもらえますか?

A:業者によって異なりますが、物件探しからレイアウト設計、内装工事、什器の選定、引っ越し、原状回復、さらには移転後のアフターフォローまで対応している会社もあります。オカムラでは、これらをワンストップで支援し、お客様の目的や課題に応じた最適な移転プランをご提案しています。


イラスト:Masaki