
ベンチャー企業のオフィスづくりのコツ
成長を支える環境の整え方
オフィスは「作業をする場所」から、生産性・採用・企業文化を形成する戦略的な拠点へと変わりつつあります。特に事業成長のスピードが速いベンチャー企業では、人員や組織の変化に合わせてオフィス環境を適宜アップデートしていく必要があります。
本記事では、ベンチャー企業のオフィスづくりで求められること、取り入れたいスペース、向いているオフィス形態、移転の流れまでを解説します。
目次
1. ベンチャー企業の特徴とオフィスづくりの考え方
ベンチャー企業とは、新しいサービスやビジネスモデルをもとに成長を目指す企業のことです。一般的な企業や大企業と比べて組織や事業の変化が大きく、人員が短期間で増減するケースも少なくありません。
限られた人員や予算のなかで事業成長や採用活動を進めなければならないからこそ、組織づくりを支えるオフィス環境の重要性は高くなります。オフィス環境を「コストの一つ」ではなく「投資」として捉える考え方は多くの企業に共通しますが、ベンチャー企業では特にその傾向が強いといえます。
採用力の強化や社員同士のコミュニケーション促進、組織カルチャーの醸成など、成長スピードを支える要素として、オフィス環境を戦略的に整えていくことが重要です。
2. ベンチャー企業のオフィスづくりで重要な視点
ベンチャー企業がオフィスづくりを進める上で、特に意識しておきたいポイントがあります。大企業とは異なる環境だからこそ求められる重要な視点を紹介します。
拡張性と柔軟性の確保
ベンチャー企業では、事業拡大などにより短期間で人員が大きく変わることも珍しくありません。増員を見越したレイアウト設計や、可変性のある家具の選定など、将来の変化に対応できる拡張性をあらかじめ持たせておくことが大切です。
企業ブランドの体現
歴史がまだ浅いベンチャー企業にとって、オフィスは企業のビジョンや文化を社内外に伝える重要な接点のひとつです。「どんな会社でありたいか」を言語化した上で空間設計に落とし込むことで、オフィス自体がブランドの発信につながります。
また、オフィス環境は採用の場面でも大きな影響を与えます。立地や清潔感、デザイン性などはもちろん、働き方の自由度が感じられるレイアウトも重要な要素になるでしょう。
コミュニケーションが生まれる場づくり
ベンチャー企業の強みは、組織の機動力とスピーディな意思決定にあります。この強みを活かすには、メンバー同士が自然に会話・相談できる空間設計が不可欠です。
オープンなレイアウトやカジュアルに立ち話できるスペースなど、偶発的なコミュニケーションが生まれやすい環境を意識することで、新しいアイデアや連携が生まれやすくなります。
コストパフォーマンスの意識
成長初期のベンチャー企業では、オフィスよりも採用や開発に資金を優先したいというケースは少なくありません。その場合は、初期費用を抑えながら、機能性とデザイン性を両立させる選択が求められます。コストをかける部分・抑える部分に優先順位をつけ、限られた予算のなかで最大の効果を引き出す視点が重要です。
3. ベンチャー企業が検討したいオフィス形態
オフィス環境を整える上では、自社の成長フェーズや予算に合ったオフィス形態を選ぶことも重要です。ベンチャー企業が検討したい代表的な3つのオフィス形態と、それぞれの特徴を紹介します。
賃貸オフィス
自社専用の空間を自由に設計・運用できるオフィス形態です。長期的にブランドや文化を反映した空間づくりが可能で、事業の拡大・成長を見据えてオフィスを構築したいベンチャー企業に向いています。一方で、敷金や内装工事などの初期費用や長期契約の負担が大きく、短期的な柔軟性は低い点に注意が必要です。
居抜きオフィス
前テナントの内装をそのまま引き継いで入居できる賃貸オフィスです。内装工事費用を大幅に削減でき、最短2週間程度で入居可能なケースもあるため、資金効率とスピードを重視するベンチャー企業にとってメリットがあります。ただし、前テナントの内装がそのまま残るため、自社のブランドイメージに合わせた空間づくりには工夫が必要です。
フレキシブルオフィス
フレキシブルオフィスとは、コワーキングスペースやレンタルオフィス、シェアオフィスなどを含むオフィス形態の総称です。初期費用を抑えながら短期間で利用を開始できるほか、事業規模に応じてスペースを拡張・縮小しやすいことが特徴です。家具やインターネット環境、会議室などがあらかじめ整備されている施設も多く、少人数のチームや創業初期のベンチャー企業に向いています。
一方で、内装やレイアウトの自由度は限られる場合があり、利用人数が増えるとコストが割高になるケースも少なくありません。また、セキュリティ面での対策も確認しておく必要があります。
フレキシブルオフィスの種類や詳しい内容については、以下の記事で解説していますので参考にしてください。
4. ベンチャー企業のオフィスに取り入れたいスペース
ベンチャー企業のオフィスづくりでは、どのようなスペースを設けるかで働きやすさや生産性、コミュニケーションの質などが大きく変わります。ここでは、ベンチャー企業が特に取り入れたいスペースをみていきましょう。
執務スペース

執務室は、社員が日常業務を行うメインスペースです。ベンチャー企業では人員の増減が起こりやすいため、固定席を持たないフリーアドレスの導入で座席数の過不足を減らしたり、可変性の高い家具を選んでレイアウトを柔軟に変更したりすることで、変化に柔軟に対応しやすくなります。また、チームの連携と個人の集中を両立できるレイアウト設計が重要です。
執務室とは? 役割やレイアウト・デザインのポイントを解説【事例】
WEB会議スペース

近年はオフィス内でWEB会議をする機会が増えており、会話の内容が周囲に聞こえてしまうと情報漏えいや集中の妨げにもなりかねません。音や映像が漏れにくいブース型スペースを設けることで、安心して会議に集中できる環境が整います。集中作業の場としても活用でき、限られたスペースを効率よく使えるメリットもあります。
フォンブース(ワークブース)で叶う多様な働き方! 種類や導入の流れを解説
ミーティングスペース

カジュアルに会話ができるオープンなミーティングスペースは、スピーディな意思決定が求められるベンチャー企業でもよく取り入れられています。クローズドの個室と併せて気軽に立ち寄れるオープンなミーティングスペースを設けることで、日常的なコミュニケーションの活性化につながります。人員増加に伴う会議室不足の解決策としても有効です。
オフィスのミーティングスペース設置例を紹介! 空間を活用する方法は?
集中スペース

オープンなレイアウトが多い傾向にあるベンチャー企業のオフィスほど、個人が深く集中できるエリアの確保が重要です。コミュニケーションが活発なオフィスだからこそ、集中エリアとのメリハリが生産性の維持につながります。
カフェ・ラウンジスペース

カフェやラウンジといったスペースは、リフレッシュにはもちろん、部署を超えたコミュニケーションや気軽な打ち合わせの場としても活用できます。フラットな組織文化を持つベンチャー企業との相性がよく、偶発的な会話やアイデア交換を促しやすい環境をつくれます。執務スペースとは異なる家具や雰囲気を取り入れることで、気分を切り替えながら働ける点も魅力です。
5. ベンチャー企業のオフィスづくりの流れ
オフィスづくりは、現状の課題からコンセプト、物件選定、レイアウトまで段階的に進めることが大切です。特に成長スピードの速いベンチャー企業では、採用計画の変動や組織変更も起こりやすいため、将来の拡張性を意識しながら各ステップを進めることがポイントです。
■ベンチャー企業のオフィスづくりの流れ
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流れ |
内容 |
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課題の把握 |
現オフィスの課題を洗い出し、方向性を定める。ベンチャー企業では人員の急増や組織変更もあるため、現状だけでなく近い将来の変化も視野に入れて課題を整理することが重要 |
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コンセプト設計 |
次の成長フェーズを見据え、オフィスの役割や働き方を定義。数年後の規模感を想定した上でコンセプトを設計する |
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条件・予算の設定 |
成長計画にもとづき、必要な広さや設備、予算を決める。初期費用を抑えつつ拡張性を持たせるため、居抜き物件の活用やフリーアドレスの導入なども検討するといい |
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物件検討 |
設定した条件に沿った物件を探し、比較・検討する。居抜き物件やフレキシブルオフィスなども選択肢に入れると初期コストを抑えやすい |
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レイアウトの検討 |
柔軟性や成長に対応できるレイアウトを設計し、働きやすさを最大化する |
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内装工事と設備導入 |
決定したレイアウトに沿って内装工事を進め、必要な家具・設備を設置する |
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引っ越し |
業務への影響を最小限に抑えるため、IT環境の移設や社内周知などの事前準備と関係各所との連携を行い、引っ越しを実施する。新しいオフィスでの運用をスタート |
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運用後の見直し |
実際の運用を通じて課題を洗い出し、成長に合わせた改善や最適化を続ける。ベンチャーは組織の変化が速いため、半年〜1年単位での定期的な見直しを習慣化したい |
オフィスを移転する際の詳しい手順や流れは以下の記事でも解説しているため、ぜひ参考にしてください。
失敗しないオフィス移転の流れは? 注意点やスケジュール、チェックリスト
6. 小規模・可変性のあるオフィスの事例
ここでは、小規模ながら働く人のことを丁寧に考えてつくられたオフィス事例を3つ紹介します。スペースの使い方やコンセプトの落とし込み方など、自社のオフィスづくりのヒントとしてぜひ参考にしてみてください。
業務に合わせてエリアを使い分ける「ガレージ風オフィス」(約180㎡/約30名)

オカムラでは、赤坂にある自社ビルのワンフロアを改装し、周囲に気兼ねせず作業に取り組めるデザイナー専用のセカンドオフィスを整備しました。コンセプトは、自動車を格納する場所であると同時に、ものを保管する倉庫や、作業を行う工房としても使われる「ガレージ」。
デザイナー同士のコミュニケーション活性化や創造力向上に取り組むため、ものづくりに集中する「工房エリア」と、コミュニケーションやデスクワークを行う「執務エリア」を明確に分けるレイアウトを採用しました。執務エリアには、休憩や雑談もできるカフェエリアも設置しています。業務の内容によってエリアを使い分けられる設計は、少人数チームのオフィスづくりにも参考になるでしょう。


創造性を解き放つ、デザイナーの"秘密基地"|株式会社オカムラ
開放感と居心地のよさを両立したオフィス(約300㎡/約30名)

富山に本社を置く北電情報システムサービス株式会社 様が東京事業所の移転に伴い目指したのは、地元から離れて働く社員に都内で働くメリットを感じてもらえるようなオフィスづくり。転勤してきたばかりの社員がすぐに馴染むことができるよう、コミュニケーションが取りやすい環境を整えました。
コンセプトは「Terrace Office」。執務スペースには基本的にフリーアドレスを採用する一方で、機密情報を扱う部署の部屋には、壁を設けてセキュリティを確保しつつ、ガラス張りにすることでオープンな印象に。社員同士のコミュニケーションが自然に生まれるよう、出入り口付近にコミュニケーションエリアを配置するなど、限られたスペースを活かした工夫が参考になります。


もっと会社を好きになってもらうために、オフィスができること|北電情報システムサービス株式会社
「仲間を近くに感じられる」距離感にこだわったオフィス(約300㎡/約100名)

株式会社イルグルム 様は、新しい働き方に対応したよりよい環境を実現するために、大阪本社オフィスの再構築を行いました。新しい大阪本社では、仲間をもっと身近に感じられるオフィスを目指し、執務エリアには、壁をほとんど設けないオープンなレイアウトを採用。オフィスのどこにいても見ることができる執務室中央の円形カウンターには自然と人が集まり、偶発的なコミュニケーションが生まれやすい仕掛けになっています。
一方で、集中して作業ができるエリアもしっかりと確保。カフェエリアに隣接している「窓側集中エリア」では、シェルフでちょっとした壁をつくるほか、飲食とWEB会議を禁止することで、周囲の空間と近い距離感を保ちながらも、集中しやすい環境を整えています。また高集中エリアは、このオフィスの中で最も周りとの距離感が遠い空間で、一人で黙々と作業したいときやWEB会議を行うときに重宝されています。


7. ベンチャー企業のオフィスづくりを成功させよう
ベンチャー企業のオフィスづくりには、大企業とは異なる独自の視点が求められます。まずは「自社がどんな働き方を実現したいか」というコンセプトを言語化しましょう。
そのコンセプトを軸に、拡張性と柔軟性を持たせた設計、企業ブランドの体現、コミュニケーションが生まれる空間づくり、そしてコストパフォーマンスの意識。これらを総合的に考えることが、ベンチャー企業のオフィスづくりでは重要です。
オカムラでは、課題のヒアリングからコンセプト設計、レイアウト、内装施工、家具選定まで一貫してサポートしています。「何から始めればいいかわからない」という段階からでも、ぜひお気軽にご相談ください。
よくある質問
Q:ベンチャー企業のオフィスづくりで、人員が増えることを見越して工夫できることはありますか?
A:ベンチャー企業のオフィスづくりでは、急な人員増加にも対応できるようフリーアドレスの導入や可変性の高い家具を選ぶことで、人員の増減に柔軟に対応しやすくなります。また、将来の増員を見越してあらかじめ余裕のある広さの物件を選んでおく、フレキシブルオフィスなどの短期契約が可能なオフィス形態を選択することも、移転コストを抑える上で有効です。
Q:限られた予算の中でも、理想的なオフィスはつくれますか?
A:限られた予算内でも理想的なオフィスをつくることはできます。重要なのは、コストをかける部分と抑える部分に優先順位をつけることです。例えば、居抜き物件を活用しながら、要所にこだわりを加えるアプローチもできます。
Q:オフィスづくりを相談するタイミングはいつがいいですか?
A:「何から始めればいいかわからない」という段階からでもご相談いただけます。オフィスづくりは検討事項が多いため、早い段階からご相談いただくことで、選択肢を広げながら理想のオフィスづくりを進めやすくなります。オカムラでは、課題の整理やコンセプト設計など、初期段階からサポートしていますので、具体的なプランが決まっていなくてもお気軽にお問い合わせください。
イラスト:Masaki
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新着納入事例
オフィスづくりに関するQ&A
- Q1
オフィス移転や改装を検討しはじめるタイミングは、いつが良いですか?
- A1
社員数や内容によって異なりますが、100名規模のオフィスの場合、移転予定の1年前、改装の場合は6か月前からの検討が理想です。
現状課題の整理や物件選定、レイアウト設計、施工期間などを考慮すると、余裕をもった準備期間を設けることでスムーズに進められます。
オカムラでは、初期段階からお客様のニーズや課題を伺い、スケジュール立案や検討資料づくりをサポートしています。 お問い合わせ
- Q2
オフィスづくりを依頼すると、どこまでサポートしてもらえますか?
- A2
オカムラでは、オフィスの企画・設計・施工・運用までを一貫してサポートします。
働き方や組織課題を丁寧にヒアリングし、レイアウト、家具、照明、ICT環境などを総合的にデザインします。
また、移転・改装後のアンケートや改善提案を通して、働き方の変化に寄り添った空間づくりを支援します。 オカムラのオフィスづくりソリューション
- Q3
オフィス改装の費用はどのくらいかかりますか?
- A3
改装の内容や規模、目的によって費用は大きく変わります。
例えば、部分的なリニューアルなのか、働き方改革を目的とした全面リニューアルなのかによっても必要な費用は異なります。
具体的な金額を知りたい場合は、現状の課題やご希望をお伺いしたうえで、最適なプランをご提案いたします。まずはお気軽にお問い合わせください。 お問い合わせ
- Q4
まだ具体的な計画がなくても、相談して大丈夫ですか?
- A4
もちろん大丈夫です。
多くのお客様が「何から始めればいいか分からない」という段階からご相談されています。
オカムラでは、丁寧なヒアリングを通して課題整理や事例紹介、スケジュール・費用感の目安提示など初期検討をサポートします。
「移転か改装か迷っている」、「まずはイメージを膨らませたい」など、どんな段階でもお気軽にご相談ください。 お問い合わせ
- Q5
自社に合った働き方やレイアウトがわかりません。どうすれば良いですか?
- A5
オカムラでは、オフィスづくりの初期検討をサポートする無料ツール「OFFICE KIT」をご用意しています。
質問に答えるだけで、自社に合った働き方の方向性やレイアウトタイプが見えてきます。
まだ具体的な計画がなくても活用できる内容です。ぜひ一度お試しください。 OFFICE KITで診断する












