オフィス移転のプロジェクトマネジメント(PM)とは?
業務範囲・委託先選定のポイントを紹介

2026年7月7日公開
  • レイアウト

オフィス移転は、物件選定から設計・工事・引っ越しまで多岐にわたるタスクを抱える大規模なプロジェクトです。通常業務と並行して進めることがほとんどであるため、担当者の負担はかなり大きく、専門的な知識がないとスケジュール遅延やコスト超過にもつながりかねません。

本記事では、オフィス移転におけるプロジェクトマネジメント(PM)の役割や業務範囲、外部に委託するメリット、委託先の選び方のポイントを解説します。

1. オフィス移転のプロジェクトマネジメント(PM)とは?

オフィス移転におけるプロジェクトマネジメント(PM)とは、移転に関わるすべての業務を計画・実行・管理し、プロジェクトを成功に導くための一連のプロセスを指します。

物件選定、レイアウト設計、各種工事の手配、予算管理、行政届出、引っ越し手配など、移転に伴って発生する多岐にわたるタスクを、決められた期間・予算の中でまとめ上げるのがPMであり、その推進役を担う人物がプロジェクトマネージャーです。

移転プロジェクトは多くの場合、数カ月単位で進行する長期プロジェクトとなるため、膨大なタスク数をこなさなくてはなりません。専門的な知識・経験なしに進めると、スケジュール遅延・コスト超過・手戻りといったリスクが高まるため、移転における専門的な知見をもつ業者への依頼がおすすめです。

2. PMとオフィスコンサルの違い

PMとオフィスコンサルを混同されている方も少なくありませんが、両者は役割が異なります。オフィスコンサルは、オフィス移転・改装全般を総合的に支援するサービスです。一方、PMはプロジェクト全体の進行管理・コスト・品質・リスクなどを管理し、移転を計画通りに進めるための役割・業務を指します。

オフィスコンサルのサービスを提供する企業の業務範囲では、PM機能が含まれているケースも多いでしょう。一方でPM専業の企業もあり、設計・施工は別業者に依頼した上でPMだけを委託する形も存在します。

オカムラでは、オフィスづくりをサポートする「プロジェクトマネジメント」「コンサルティング」のソリューションをご用意しています。

プロジェクトマネジメント|オカムラのソリューション

コンサルティング|オカムラのソリューション

オフィスコンサルに関しては以下でも解説していますので、参考にしてください。

オフィス移転コンサルとは? 役割やメリット、選び方のポイント

3. オフィス移転PMの主な役割と業務範囲

オフィス移転PMが担う業務は多岐にわたります。以下に主な業務領域と具体的な内容を整理します。

■オフィス移転PMの業務領域と具体的な内容

業務領域

具体的な内容

タスク・スケジュール管理

・全体スケジュールの策定

・タスクリストの作成

・各種工事の進捗管理 など

コスト管理

・予算案の作成

・見積精査・コスト査定

・コスト最適化の提案 など

体制構築・関係者調整

・社内体制構築のアドバイス

・業者間の役割分担の明確化

・関係者連絡網の整理 など

会議・情報管理

・定例会議の運営
・アジェンダ、議事録作成
・各種届出書類の取りまとめ など

品質管理

・納入製品の検査および工事管理
・竣工図書の取りまとめ など

運用支援

・文書削減の支援
・社内向けマニュアルの作成
・社内向け説明会の実施 など

以下では、各業務領域の内容と重要性をそれぞれ解説していきます。

タスク・スケジュール管理

移転プロジェクトに必要なタスクを洗い出し、全体スケジュールを策定する役割です。物件選定から引き渡しまで、各工程の順序や依存関係を整理しながら同時並行で進める必要があり、その量は担当者が想定する以上になることも珍しくありません。

特に重要なのは、遅れが生じた際の対応です。進捗の遅れが確認された場合には原因を特定し、スケジュールの組み直しや関係者への共有を迅速に行うことが求められます。一つのフェーズの遅延が後工程に連鎖するリスクがあるため、状況を把握した上で優先順位を判断する力が必要です。

コスト管理

移転全体の予算計画を策定し、各工程の見積もりを精査・管理します。業者から提示されるコストが適正かどうかを判断するには、専門的な知見が必要です。経験のある担当者が関与することで、コストの過不足を防ぎやすくなるでしょう。

また、設計変更やスケジュール遅延が追加コストにつながるケースも少なくありません。計画段階からリスクを把握し、予算をコントロールしていくことが、予算内で移転を完了させるためのポイントです。

体制構築・関係者調整

移転プロジェクトには社内の各部門に加え、不動産会社・設計会社・施工業者・什器メーカー・引っ越し業者など多くの外部関係者が関わります。PMはこれらの関係者間の役割分担を明確にし、情報共有の窓口を一元化することで、連絡の行き違いや認識のずれを防ぐ役割を担います。

また、プロジェクトメンバーの選定・意思決定フローの整理といった社内体制を早期に構築しておくことも、スムーズな進行のための重要な準備です。関係者が増えるほど調整コストは増大するため、体制を整備する段階から専門家の知見を借りることが効果的といえるでしょう。

会議・情報管理

定例会議の設定・運営、アジェンダや議事録の作成・共有を通じて、プロジェクト全体の情報を一元管理します。関係者が多いほど情報が分散しやすく、認識のずれが生じやすいため、情報管理の仕組みを整えることが重要です。

行政手続きや契約関連などの各種届出書類の取りまとめと、期限管理もPMが担う場合が少なくありません。書類の提出漏れや期限超過は手続き全体に影響するため、書類管理を一括して担える体制づくりがプロジェクト全体の円滑な進行につながります。

品質管理

品質管理は、工事や什器の納入時に、設計・仕様通りに仕上がっているかを確認する業務。不具合や仕様との相違を見逃すと、移転後の運用に支障が出るため、引き渡し前の確認が特に重要です。

完成した建物・設備の図面や資料(竣工図書)の管理も品質管理の一環として行います。竣工図書は移転後の修繕や点検などの際にも参照されるため、正確に保管・管理しておくことで、業者への確認や調査にかかる時間・コストを削減できるでしょう。

運用支援

運用支援は、移転完了後の運用フェーズを見据え、社内向けマニュアルの整備や社内説明会の実施をサポートすることです。新しいオフィスでの働き方ルールを整理することで、移転後の混乱を防ぎやすくなります。

書類削減・ペーパーレス化など、移転を機に進めたい取り組みの支援を含むケースもあります。PMが関与する範囲はプロジェクトの完了にとどまらず、移転後のオフィス活用まで見越した支援が求められることもあるでしょう。

4. オフィス移転におけるPM業務の流れ

PMが関与するタイミングは、移転の検討段階から始まり、完了後の運用フォローまで続きます。代表的な流れを確認しておきましょう。

移転プロジェクトは各フェーズが連動しているため、抜け・漏れがプロジェクト全体に影響します。PMが全体を見渡しながら各タスクの優先順位と担当を整理し、スムーズに進めていくことが重要です。

5. PM業務を外部の支援会社に委託するメリット

移転プロジェクトのPMは、自社の総務・管理部門が担うケースもありますが、経験豊富な外部の支援会社に委託するケースも増えています。ここでは外部委託の主なメリットを紹介します。

担当者の業務負担を大幅に軽減できる

移転に関わる調整・手続き・会議運営などを外部の支援会社に任せることで、社内担当者は通常業務を止めずに移転を進められます。複数業者との窓口を一元化できる点も、情報管理・連絡調整の負荷を減らすことにつながるでしょう。外部のPMの活用で、確認漏れや対応遅延を防ぎ、担当者が本来の業務に集中しやすい環境を整えられます。

コスト管理・最適化につながる

経験豊富な外部の支援会社は、見積もりの精査や業者選定のノウハウを豊富に持っています。適性コストを見極めながらプロジェクトを進行することで、手戻りや重複発注による余分なコストを防ぎやすくなります。また、什器の廃棄費用や原状回復費用などの見落としがちなコストを事前に把握できることもメリットです。結果的に、計画通りのコスト管理が実現しやすくなるでしょう。

トラブル・リスクを事前に防げる

オフィス移転は数年〜十数年に一度のプロジェクトであり、社内に十分なノウハウが蓄積されていないことも少なくありません。外部のPMは過去の経験から想定されるリスクを事前に洗い出し、適切な対策を提示することで、計画の遅延や追加対応を未然に防ぎます。

移転後の運用まで見据えた計画が立てられる

委託先によっては、移転完了後の効果検証・改善提案まで支援してくれる場合もあります。移転を単なるオフィスの「場所替え」にとどめず、働き方の改善や生産性向上につなげる視点を持てるのも、外部委託を活用するメリットです。移転後に「レイアウトが思ったように機能していない」「社員が新しいオフィスに慣れていない」といった課題が生じることは珍しくありません。運用フェーズまで見据えたサポートを受けることで、働き方の改善までつなげられます。

6. 外部のオフィス移転PMが必要になるケース

外部のオフィス移転PMに依頼することでさまざまなメリットがありますが、すべての移転で必要になるわけではありません。以下のようなケースでは、特に外部への委託を検討する価値が高いといえます。

移転規模が大きい場合

移転先の面積が大きい、または従業員数が多い場合、関わる業者・工程・決裁の数が増え、プロジェクト全体の複雑さが増します。スケジュール管理やコスト管理を一元的に担うPMがいないと、各所で情報の齟齬や手戻りが発生しやすくなるでしょう。外部のオフィス移転PMに委託することで、複雑な工程を整理・統括し、プロジェクトを計画通りに完遂しやすくなります。

関係会社が多い場合

グループ会社や関連部署が同一拠点に集約する場合など、調整すべきステークホルダーが多いケースでは、窓口の一元化と合意形成の管理が不可欠です。社内リソースだけでは対応しきれない場面も多いため、外部のオフィス移転PMに委託することで社内の負荷を軽減できます。

通常業務と並行して進める場合

移転プロジェクトの担当者が総務・管理部門の兼任であるケースは多く、日常業務をこなしながら移転対応を進めることで、確認漏れや対応遅延が生じやすくなります。外部にオフィス移転PMを委託することで、担当者は本来の業務に集中しながら、移転プロジェクトを確実に進められるでしょう。

初めて移転を行う場合

数年〜十数年に一度しか経験しないオフィス移転は、社内にノウハウが蓄積されていないことがほとんどです。進め方の誤りが後になって大きなコスト増やトラブルにつながるリスクもあります。経験豊富な外部のオフィス移転PMを活用することで、想定されるリスクを事前に洗い出し、トラブルや追加コストの発生を未然に防げます。

短期間での移転が求められる場合

契約満了や賃料交渉の都合など、タイトなスケジュールで移転を完了させなければならないケースでは、優先順位の整理と並行作業の管理が重要です。経験豊富な外部のオフィス移転PMが全体工程を把握・調整することで、限られた期間内でも抜け漏れなくプロジェクトを完遂できます。

拠点が複数にわたる場合

複数拠点の統廃合や同時移転など分散したプロジェクトでは、情報共有や進捗管理の難易度が一段と上がります。外部のオフィス移転PMによる横断的な管理により、拠点間の情報齟齬や対応漏れを防ぎ、全拠点の移転を一体的に進めることが可能です。

7. 委託先を選定する際のチェックポイント

自社のプロジェクトに合ったパートナーを選ぶためには、いくつか事前にチェックしておきたいポイントがあります。以下でくわしく紹介します。

委託できる業務範囲を確認する

外部PMの選定の際は、委託できる業務範囲を事前に確認することが大切です。物件探しから移転後のフォローまで一貫して担う会社もあれば、特定フェーズのみを担当する会社もあります。そのため、「スケジュール管理だけ頼みたい」「業者調整も含めてすべて任せたい」など、自社が必要とする範囲をあらかじめ整理した上で、プロジェクト開始前に確認・合意しておくことが重要になるでしょう。

また、追加費用が発生するケースもあるため、契約内容の確認も忘れずに行ってください。後から「想定外の費用がかかった」という事態を防ぐために、業務範囲と費用の関係を丁寧に確認することが大切です。

複数社から見積もりを取る

外部PMの選定の際は、複数の委託企業から見積もりを取り、費用とサービス内容を比較することが基本です。このとき、費用の安さだけで選ぶのは避けましょう。対応範囲が限定されていたり、別途費用が発生したりするケースもあります。見積もりの内訳を丁寧に確認した上で、自社のニーズに対してトータルのコストパフォーマンスが高い会社を選ぶことが重要です。

比較検討の際には、条件が異なると単純比較ができなくなるため、各社に対して同じ条件で見積もりを依頼することがポイントになります。

自社のプロジェクトと近い移転実績があるか確認する

外部PMの選定の際は、規模・業種・ビル特性など、自社のプロジェクトと類似した移転実績を持つかを確認しましょう。オフィス移転の経験・知見は実績を通じて蓄積されるものであり、委託先選定における信頼性の判断材料として最も重要な指標になります。

企業ホームページに掲載された事例や担当者へのヒアリングなどから、自社プロジェクトへの適性を見極めることが大切です。「似たような規模・条件の移転を経験しているか」という観点で確認することで、より的確な判断が可能になります。

8. オフィス移転の成功はPM業務の体制づくりがカギ

オフィス移転は、物件選定や設計、工事、引っ越し、社内調整など、多くのタスクを並行して進める大規模なプロジェクトです。限られた期間・コストで関係者との調整を適切に管理するためには、PM業務を機能させるための体制づくりが欠かせません。

特に、通常業務と並行して移転を進める場合は、担当者の負担が大きくなりやすく、進行管理や情報共有が属人化してしまうケースも。社内外の役割分担を整理し、必要に応じて専門企業の支援を活用することで、移転プロジェクトをスムーズに進めやすくなるでしょう。

オカムラでは、オフィス移転・改装をトータルでサポートしています。オフィス移転をご検討されている方は、お気軽にご相談ください。

移転・改装など空間づくりに関するご相談

プロジェクトマネジメント|オカムラのソリューション

よくある質問

Q:オフィス移転のプロジェクトマネジメントとは何ですか?

Aオフィス移転のプロジェクトマネジメントとは、物件選定・設計・工事・引っ越し・届出などオフィス移転に関わるすべての業務を計画・実行・管理し、プロジェクト全体を成功に導くための一連のプロセスです。スケジュール管理・コスト管理・関係者調整・品質管理・運用支援など、多岐にわたる業務を統括します。

Q:PM業務は自社と外部、どちらで行うべきですか?

A移転規模が大きい場合、関係会社が多い場合、通常業務と並行して進める場合、初めての移転である場合などは、外部の専門会社への委託を検討する価値が高いといえます。外部に委託することで、担当者の負担軽減・コスト最適化・リスク低減・運用まで見据えた計画立案といったメリットが期待できます。

Q:PM業務の委託先を選ぶ際のポイントは何ですか?

A主に3つのポイントがあります。1つ目は「委託できる業務範囲が自社のニーズと合っているか」、2つ目は「複数社と比較してトータルのコストパフォーマンスが高いか」、3つ目は「自社のプロジェクトと規模・業種・条件が近い移転実績を持っているか」、の3点を事前に確認することが大切です。

QPMとオフィスコンサルの違いは何ですか?

Aオフィスコンサルは、オフィス移転・改装全般を総合的に支援するサービスを指し、PM機能が含まれるケースもあります。一方、PMはプロジェクト全体の進行管理・コスト・品質・リスク管理に特化した役割・業務を指します。PM専業の企業もあり、設計・施工は別業者に依頼しPMだけを委託するケースもあります。


イラスト:Masaki

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オフィスづくりに関するQ&A

Q1

オフィス移転や改装を検討しはじめるタイミングは、いつが良いですか?

A1

社員数や内容によって異なりますが、100名規模のオフィスの場合、移転予定の1年前、改装の場合は6か月前からの検討が理想です。
現状課題の整理や物件選定、レイアウト設計、施工期間などを考慮すると、余裕をもった準備期間を設けることでスムーズに進められます。
オカムラでは、初期段階からお客様のニーズや課題を伺い、スケジュール立案や検討資料づくりをサポートしています。 お問い合わせ

Q2

オフィスづくりを依頼すると、どこまでサポートしてもらえますか?

A2

オカムラでは、オフィスの企画・設計・施工・運用までを一貫してサポートします。
働き方や組織課題を丁寧にヒアリングし、レイアウト、家具、照明、ICT環境などを総合的にデザインします。
また、移転・改装後のアンケートや改善提案を通して、働き方の変化に寄り添った空間づくりを支援します。 オカムラのオフィスづくりソリューション

Q3

オフィス改装の費用はどのくらいかかりますか?

A3

改装の内容や規模、目的によって費用は大きく変わります。
例えば、部分的なリニューアルなのか、働き方改革を目的とした全面リニューアルなのかによっても必要な費用は異なります。
具体的な金額を知りたい場合は、現状の課題やご希望をお伺いしたうえで、最適なプランをご提案いたします。まずはお気軽にお問い合わせください。 お問い合わせ

Q4

まだ具体的な計画がなくても、相談して大丈夫ですか?

A4

もちろん大丈夫です。
多くのお客様が「何から始めればいいか分からない」という段階からご相談されています。
オカムラでは、丁寧なヒアリングを通して課題整理や事例紹介、スケジュール・費用感の目安提示など初期検討をサポートします。
「移転か改装か迷っている」、「まずはイメージを膨らませたい」など、どんな段階でもお気軽にご相談ください。 お問い合わせ

Q5

自社に合った働き方やレイアウトがわかりません。どうすれば良いですか?

A5

オカムラでは、オフィスづくりの初期検討をサポートする無料ツール「OFFICE KIT」をご用意しています。
質問に答えるだけで、自社に合った働き方の方向性やレイアウトタイプが見えてきます。
まだ具体的な計画がなくても活用できる内容です。ぜひ一度お試しください。 OFFICE KITで診断する