オフィスづくりのコラム
COLUMN
会議室の主要レイアウトを8種類ご紹介!シーン別に最適な配置を解説
会議室のレイアウトをどう設計するかによって、会議の進行や成果は大きく変わります。例えばフォーマルな意思決定の場であるにも関わらず、発言者の顔が見えにくいレイアウトでは、議論が深まりにくくなってしまうでしょう。
この記事では、会議の目的に応じた代表的なレイアウト8種類の特徴を解説するとともに、シーン別の活用法、快適な空間づくりのためのチェックポイント、多様な会議スタイルを紹介します。
目次
1. 主要8種類の会議室レイアウトと特徴
会議室のレイアウトには、用途や会議の目的に応じたさまざまな種類があります。ここでは、オフィスでよく採用される代表的な8種類のレイアウトと、それぞれの特徴や適した活用シーンをご紹介します。
<オフィスの代表的なレイアウト>
- ロングテーブル型(長机)
- ラウンド型(丸テーブル)
- コの字型
- U字型(WEB形式)
- ロの字型
- 島型(グループ型)
- スクール型
- シアター型
●ロングテーブル型(長机)
ロングテーブル型は、主催者が進行しやすく、意思決定が求められる会議に向いているレイアウトです。上下関係が明確になりやすく、フォーマルな印象を与えるため、経営層や役員クラスの会議、重要な意思決定を行う場に適しています。
●ラウンド型(丸テーブル)
全員の顔が見渡せるラウンド型の丸テーブル形式は、対等な立場で意見交換をしやすいのが特徴です。小規模なミーティングやブレインストーミング、ディスカッションに向いており、柔らかい雰囲気で発言を促したい場におすすめです。
●コの字型
三方向を囲み、一方向を開けた構成のコの字型は、進行役やプレゼンターが立つスペースを確保しやすく、スクリーン投影との相性も良好です。参加者同士の視線が通りやすく、研修やプレゼンテーション、質疑応答のある会議に適しています。
●U字型(WEB形式)
U字型はコの字型に近い構成で、モニターやカメラを設置しやすい形状です。対面とオンラインの両方を取り入れるハイブリッド会議に最適で、参加者同士の視認性を保ちつつ、画面上の情報も共有しやすい形式です。
●ロの字型
ロの字型は、テーブルを四角に配置し、参加者が内側を向く形式のレイアウトです。全員の目線が中央に集まりやすく、均等な発言の機会を持たせたい協議や情報交換の場で重宝します。ラウンド型と違って、テーブルを増減させることで、参加人数に合わせた席数に変更できます。
●島型(グループ型)
島型は複数のテーブルに分かれて配置したレイアウトで、グループごとのディスカッションやワークショップに向いています。小チームでの作業や意見交換の活性化を促す場におすすめです。
●スクール型
スクール型は、セミナーや社内研修、勉強会など、講義形式の会議に最適です。長机と椅子を前方に向けて整然と配置するレイアウトで、受講者が講師の話を集中して聞ける環境を整えます。
●シアター型
シアター型は椅子だけを前向きに並べたレイアウトで、大人数を収容できます。講演会や全社会議など、発表者中心の構成に適しており、スペースを効率的に使えるのが利点です。
2. シーン別に選ぶ!おすすめ会議室レイアウト
会議室のレイアウトを選ぶ際は、部屋の広さや参加人数だけでなく、「どのようなシーンで使うか」を明確にすることが重要です。ここでは、よくある会議シーンごとに最適なレイアウトとその理由を一覧でまとめました。レイアウトを検討する際の参考にしてください。
■利用シーンに適した会議室のレイアウト
利用シーン |
適したレイアウト |
理由 |
意思決定会議 |
ロングテーブル型 ロの字型 |
上下関係や発言順が明確で進行管理がしやすい |
定例ミーティング (例:チーム内会議、部門進捗共有) |
ロングテーブル型 ロの字型 島型 |
全員の顔が見えることで情報共有や発言がしやすい |
ブレインストーミング (例:企画会議、新規アイデア出し) |
ラウンド型 島型 |
カジュアルな雰囲気で意見交換を促すため自由な発想が生まれやすい |
プレゼン・お客様対応 (例:提案・発表、社外打ち合わせ、商談) |
コの字型 ロの字型 ラウンド型(少人数時) |
発表者に自然と注目が集まり、対面でのコミュニケーションや質疑応答がしやすい |
研修・勉強会・報告会 (例:新人研修、スキルアップ講座、社内報告会) |
スクール型 島型 コの字型 |
集中して聴く環境とグループワークやディスカッションの両立が可能 |
セミナー・講演会 (例:社内外向けの講演、全社会議) |
シアター型 スクール型 |
大人数を収容しやすく、整然とした配置ができ、集中しやすい空間がつくれる |
面接・採用活動 (例:応募者面談、説明会) |
ロの字型(複数) ラウンド型(少人数) |
対話がしやすく、信頼感や安心感を与えるフラットな配置 |
3. 快適な会議室を作るためにチェックしておきたいポイント
会議を円滑に進めるためには、会議室のレイアウトが重要です。しかし、ただレイアウトを整えるだけでは快適な空間とはいえません。実際の利用シーンを想定し、空間全体の設計や設備面にも目を向けることが重要です。ここでは、快適で使いやすい会議室をつくるためのチェックポイントを紹介します。
<使いやすい会議室をつくるためのチェックポイント>
- 防音・遮音はできているか
- オンライン会議に対応できているか
- 家具や備品は目的に合っているか
- 寸法・動線は問題ないか
●防音・遮音はできているか
機密性の高い会議や集中を要する打ち合わせでは、音漏れや外部の雑音が大きなストレスになります。壁やドアに吸音材を用いたり、隣室との間に遮音層を設けたりするなど、設計段階から防音・遮音対策を講じることで、安心して会話できる環境をつくることができるでしょう。
●オンライン会議に対応できているか
ハイブリッド勤務が広がる中、WEB会議への対応は会議室設計において欠かせないポイントです。カメラやマイク、スピーカーの配置はもちろん、背景の整備、通信環境、照明の明るさや色味も映りに大きく影響します。また、配線が露出しないように設計された床や必要な機器をスマートに収納できる工夫も、快適性に直結するため確認してください。
WEB会議の環境づくりについては、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
●家具や備品は目的に合っているか
会議の種類や規模に応じて、テーブルの大きさや形状、モニターの位置なども変わってきます。用途に応じてレイアウト変更ができるよう、可動式の家具を選ぶと柔軟に対応しやすくなるでしょう。さらにシ統一感のあるデザインを選ぶと、集中しやすく整理された印象も与えられます。
●寸法・動線は問題ないか
参加者が快適に移動できることも、会議の進行をスムーズにする重要な要素です。イスの後ろに十分なスペースがあるか、通り道に障害物がないかなどの確認はもちろん、特に壁際やドア付近は実際の動き方を想定してレイアウトすることを心掛けましょう。
4. 多様化する会議室のスタイル
働き方や会議の目的が多様化する中で、会議室も従来の「個室+固定レイアウト」にとらわれない柔軟なスタイルが求められるようになってきました。ここでは、実際のオフィスで導入されている多様な会議室のスタイルと、その特徴・メリットをご紹介します。
<会議室のスタイル例>
- 可動式家具で多用途ミーティングに対応
- スタンディングミーティングでスピーディな意思疎通を実現
- 視線と音をほどよく遮る"半個室感"で集中できる空間
- オンライン会議に最適な「WEB会議ブース」の活用
●可動式家具で多用途ミーティングに対応

キャスター付きのテーブルやチェア、可動式のホワイトボードを取り入れることで、人数や目的に合わせて空間を自在に変更できるようになります。アイデア出しやワークショップなど、アクティブな議論を必要とするシーンに最適です。
<メリット>
- 空間の有効活用ができる
- 集中と交流のバランスが取りやすい
●スタンディングミーティングでスピーディな意思疎通を実現

立ったまま打ち合わせができるハイテーブル中心の会議スペースを設けることで、短時間かつ密度の高い意見交換が可能です。椅子を設けないことでスペースを効率的に使えます。
<メリット>
- 短時間で集中できる
- 参加のハードルが低い
- フラットな対話がしやすい
●視線と音をほどよく遮る"半個室感"で集中できる空間

パネルでゆるやかに囲まれた半個室型のスペースは、開放感を保ちながらも周囲の視線や音を適度にカットできます。少人数での打ち合わせやWEB会議に適しており、気軽に使えるのが魅力です。
<メリット>
- 周囲を気にせず会話に集中できる
- 一般的な会議室よりも気軽に使える
- ソファ型でリラックスした対話ができる
●オンライン会議に最適な「WEB会議ブース」の活用

WEB会議やハイブリッドワークの定着により、個人~複数人で利用できる静かなミーティングスペースがあると便利です。WEB会議ブースは、コンパクトながら防音性や設備面で優れているため、多くの企業で導入が進んでいます。
<メリット>
- 防音・遮音性が高い
- 電源やモニター、通信環境が整備されている
- 省スペースでレイアウトしやすい
これらのスタイルは、従来の形式にとらわれない会議室をつくるうえで重要なヒントとなります。目的に応じた空間スタイルのアイデアは、以下の記事で解説しているので参考にしてください。
5. 会議室の最適化が会議の質を高める
会議室のレイアウトは、会議の進行や成果に影響を与えます。会議の目的に応じた最適なレイアウトを選ぶことで、参加者の集中力や意見交換が活発化し、結果として会議の質が向上します。
近年ではオンライン会議やハイブリッドワークの浸透により、会議室には防音性や通信環境、可変性といった要素も求められるようになっています。レイアウトだけでなく、設備・動線・空間全体をトータルで見直すことが、これからの会議室設計には不可欠です。
テレワークやハイブリッドワークが当たり前になった今、オフィスのあり方も変化しています。以下の資料に昨今のオフィスづくりの基礎知識をまとめているので、こちらもぜひ参考にしてください。
イラスト:Masaki