オフィスづくりのコラム
COLUMN
オフィス移転にかかる費用は?
相場と費用削減のコツを解説
オフィスの移転を検討するとき、まず気になるのが「一体いくらかかるのか?」という費用面ではないでしょうか。オフィス移転には、物件契約や内装工事、引っ越し作業など多くの工程が伴い、それぞれに応じたコストが発生します。
無駄な出費を抑え、スムーズな移転計画を立てるために、まず費用の全体像や相場を把握しておきましょう。この記事では、オフィス移転にかかる費用の内訳や費用を抑えるための工夫、移転業者の活用メリットについて解説します。
<目次>
1. オフィス移転にかかる費用の種類と費用を抑える工夫
オフィス移転にかかる費用は、大きく分けて以下の3つに分類されます。
<オフィス移転にかかる費用分類>
- 新オフィス入居にかかる「契約関連費用」
- 内装工事やインフラ整備にかかる「内装工事費用」
- 実際の引っ越しにかかる「引っ越し費用」
これらはそれぞれの段階で発生するもので、移転規模や選ぶ物件、タイミングなどによって大きく変動します。ここでは、それぞれの費用の内訳と、できるだけコストを抑えるための具体的な工夫について解説します。
新オフィス入居にかかる契約関連費用

新たなオフィスに入居する際には、物件契約に関連する初期費用が発生します。これらの費用は見落とされがちですが、全体の予算に大きく影響するため、事前に把握しておくことが重要です。
■新オフィス入居にかかる契約関連費用の一覧
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費用項目 |
概要と費用相場 |
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前賃料 |
入居初月の家賃を前払いするもので、賃料の1~2カ月分が必要 |
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敷金 |
貸主に預ける保証金で、退去時の原状回復に充てられる。小規模オフィスの場合は4カ月~半年分、中規模オフィス以上の場合は半年~1年分が相場 |
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礼金 |
契約時に貸主へ支払う謝礼で、賃料の1~3カ月分が一般的 |
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仲介手数料 |
不動産会社への手数料で、会社ごとに異なるが、多くは賃料の1カ月前後 |
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保証会社費用 |
保証会社を利用する際に発生し、賃料の1カ月分程度がかかる |
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火災保険料 |
火災や損害補償に備える保険料で、2年契約でおよそ3万円前後 |
新オフィス入居にかかる契約関連費用は、家賃以外にも敷金・礼金・仲介手数料など、さまざまな初期費用が発生します。これらの費用は、物件の立地やビルのグレードによって大きく異なり、同じエリア内でも築年数やビルの管理状況によって相場が変動します。そのため、複数の物件を比較検討することで、エリアごとの相場を把握しやすくなるでしょう。また、保証会社の利用費や火災保険料などは契約時に見落とされがちな項目であるため、事前に確認しておくことが大切です。
費用を抑えるための工夫としては、以下のような交渉・調整が有効です。
<新オフィス入居にかかる費用を抑える工夫>
- フリーレント交渉:入居後1〜3カ月間の賃料を無料にしてもらう交渉で、初期費用の負担を軽減できます
- 支払条件の調整:敷金の分割払いが可能かどうかを確認したり、退去時に返還される条件を明確にしたりしておくことで、資金繰りを柔軟にできます
内装関連費用

新オフィスを快適に使えるように整備するためには、内装工事やインフラ整備、空間に合った什器(デスクや椅子など)の導入が必要不可欠です。内装関連の費用は、オフィスの広さやレイアウト、デザインへのこだわり、工事の種類によって大きく異なります。
以下は、主な内装工事にかかる費用項目とその相場です。
■内装関連費用の相場
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費用項目 |
概要と費用相場 |
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内装工事費 |
床・壁・天井や間仕切りの施工などで、坪あたり約10万〜30万円が目安 |
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インフラ工事費 |
電気・電話・LANなどの配線工事にかかり、1人あたり5万〜15万円程度 |
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什器購入費 |
デスク・椅子・会議テーブルなどの購入費で、1人あたり20万〜30万円ほどが相場 |
内装工事費は、工事区分(A工事/B工事/C工事)によってコストに大きな差が出ます。特に「B工事」はビルの指定業者に依頼しなければならないケースが多く、他の工事と比較して割高になる傾向があります。また、デザインへのこだわりが強いほど、仕上げ材やレイアウト変更に費用がかさむ点にも注意が必要です。
費用を抑える工夫としては、以下のような方法が効果的です。
<内装関連費用を抑える工夫>
- 居抜き物件の活用:前入居者の内装を再利用することで、施工費を大幅に削減できます
- 什器のリユース・リース利用:中古什器やリースを活用して新規購入のコストを抑えることが可能です
- フリーアドレス導入:社員一人ひとりに固定席を割り当てず、共有デスクを活用することで什器の数を減らし、面積効率も向上します
- 無線LANの導入:有線LANと比較して配線工事が少なくて済むため、工事費削減につながります
- B工事を減らす:壁を建てる必要のない、ワークブースで会議室を代替することで、コストの高いB工事を抑えることができます
内装工事費用はオフィスの快適性や使いやすさに直結する重要な投資ですが、工夫次第で費用を最適化することが可能です。無理に削減するのではなく、目的に沿って優先順位を整理しましょう。
引っ越し費用

オフィス移転では、物件契約や内装工事だけでなく、実際に人やモノを新オフィスに移動させる「引っ越し作業」にも大きなコストがかかります。さらに、旧オフィスを原状回復するための工事費や不要什器の処分費用なども含めると、大きな金額になります。
以下は、代表的な引っ越し関連費用の項目と相場です。
■引っ越し費用の相場
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費用項目 |
概要と費用相場 |
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移転費用 |
書類や什器を運搬するための費用で、社員1人あたり2万〜5万円程度がかかる |
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原状回復工事費 |
旧オフィスを入居時の状態に戻す工事で、小規模オフィスは坪単価3万〜5万円、中規模以上オフィスは坪単価10万〜20万円が相場 |
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廃棄物処分費 |
不要になった什器や書類などの処分費用で、2t車なら7万〜8万円、4t車なら10万〜15万円ほど必要 |
これらの費用は、移転の人数や荷物の量、オフィスの広さ、さらには移転時期によっても変動します。特に注意したいのが、引っ越し業者の繁忙期(3月など)です。この時期は引っ越し業者の需要が集中し、通常期の1.5倍近い費用がかかることもあります。
また、原状回復工事も費用が高騰しやすいポイントです。特にビル側から「指定業者による施工」を求められる場合、相場よりも高額になりやすく、事前の契約内容の確認が重要です。
費用を抑える工夫として、以下のような対策が有効です。
<引っ越し費用を抑える工夫>
- 移転時期を調整:繁忙期(最繁忙期2~3月、繁忙期4~5月)を避けて閑散期に移転することで引っ越し費用を抑えられます
- 不要什器の買取サービスを利用:使わなくなった什器を処分するのではなく、買取業者に売却することで、廃棄コストの削減とリユースによる環境配慮が両立できます
- 廃棄処分をまとめて依頼:複数業者に分けて依頼するよりも、一括で引き受けてもらえる業者を選ぶことで、手間とコストの両方を削減できます
引っ越し費用は、物理的な移動に関わるだけでなく、退去対応にも関わるため、移転プロジェクトの最終工程として慎重に計画することが求められます。
2. 移転後の運用フェーズでかかる費用にも注目

オフィス移転にかかる費用は、契約時や引っ越し時の初期費用だけではありません。新しいオフィスでの運用が始まってからも、継続的に発生する費用が存在します。ここでは、移転後のランニングコストについて詳しく見ていきましょう。
<移転後の運用フェーズでかかる費用>
- 賃料・共益費・更新料
- 水道光熱費・通信費
- 消耗品・備品の補充
- 保守・メンテナンス費用
賃料・共益費・更新料
新オフィスでは、毎月の賃料に加えて、共益費や更新料といった固定費が発生します。特に共益費は、ビルの管理サービスや設備の内容によって大きく異なるため、契約前に詳細を確認しておくことが重要です。
例えば、同じ賃料でも「共益費込み」か「別途請求」かによって、月々の負担額が変わることがあります。共益費には、エレベーターや空調、清掃、防災設備の維持管理費などが含まれていることが多く、管理体制がしっかりしている物件ほど費用が高めに設定される傾向があります。
また、長期的に入居を続ける場合には、契約更新のタイミングで更新料が発生することもあります。一般的には賃料の1カ月分程度が相場ですが、契約内容によって異なるため事前確認が不可欠です。
水道光熱費・通信費
オフィスの運営に不可欠なのが、水道光熱費やインターネット・電話といった通信費です。電気代は空調や照明、パソコン・OA機器などによって変動し、執務スペースが広いほど消費量も増加します。特に、会議室やリフレッシュスペース、集中ブースなどを設ける場合、それぞれに電源や照明が必要になるため、思っていた以上に電力使用量がかさむことがあります。
一方で、テレワークやハイブリッドワークを導入している企業では、出社率が下がることで光熱費を抑えられるケースもあります。働き方に応じた設備の選定と使用計画が、コスト最適化のカギを握ります。
消耗品・備品の補充
オフィス運営には、日々の業務を支えるための消耗品や備品の補充が欠かせません。プリンター用紙やインク、ペン・ノートなどの文房具といった日常的な消耗品のほか、人数の増減やレイアウト変更に応じて、椅子やデスクなどの備品を追加購入することもあります。
特に移転直後は、新しいオフィス環境に合わせて想定外の備品が必要になるケースが多いため、初年度の予算はやや多めに見積もっておくと安心です。また、会議室用のモニターやホワイトボード、ロッカー、収納棚といった設備も必要に応じて用意する必要があります。備品選定の際には、長期的な使用に耐えられる品質と、将来的な拡張性も視野に入れましょう。
保守・メンテナンス費用
オフィス内の各種設備を安定的に稼働させるためには、定期的な保守・メンテナンスも必要です。空調や電気設備、ネットワーク機器、セキュリティシステムなどは、トラブルが発生すると業務に大きな支障をきたすため、保守契約を結んでおくことが一般的です。
また、複合機やサーバー、電話システムなどをリース契約している場合、保守費用が月額リース料に含まれているケースもあります。その一方で、別途メンテナンス契約を結んでいると、二重契約になってしまうこともあるため、契約内容の重複には注意が必要です。
設備の種類や規模によっては、年間を通じて数十万円単位の保守費用がかかることもあります。無駄のない保守体制を構築しつつ、トラブル対応のスピードやサポート体制も重視した選定が求められます。
3. オフィス移転業者を活用しよう
オフィス移転は、物件選びから契約手続き、内装工事、引っ越し作業、さらには旧オフィスの原状回復まで、非常に多くの工程が発生する複雑なプロジェクトです。これらを社内だけで完結させようとすると、担当者に大きな負担がかかり、通常業務にも支障をきたしかねません。
こうした課題を解消するためには、オフィス移転に特化した専門業者を活用するのがおすすめです。実績のある業者であれば、全体の工程を一貫して管理し、移転に必要な手続きを効率よく進めてくれるため、担当者の業務負担を大きく軽減できます。また、費用の相場や削減のポイントにも精通しており、必要以上の工事や什器購入を避けつつ、限られた予算内で最大限の成果を引き出す提案もしてくれるでしょう。
オフィス移転は単なる「引っ越し」ではなく、今後の働き方や組織のあり方にも直結する重要なタイミングです。専門業者と連携することで、無駄なコストを抑えながら、機能的で働きやすい理想のオフィスづくりが実現しやすくなります。
オフィス移転をトータルに支援してくれるサービスについてくわしく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
また、実際の移転プロジェクトの事例に興味がある方には、こちらのインタビュー記事がおすすめです。

4. オフィス移転は費用全体を見通した計画が成功のカギ
オフィス移転は、「物件契約」「内装工事」「引っ越し」などで大きな費用が発生し、移転後も運用コストが継続してかかります。さらに、立地や工事内容、移転時期によって総費用は大きく変動するため、全体を見通した費用設計が不可欠です。
費用を抑えて理想のオフィスを実現するには、優先順位の明確化と工夫のある予算配分がカギとなります。什器のリユースや居抜き物件の活用、工事内容の見直しなどによって、コストを抑えながら必要な価値を確保することが可能です。
オフィス移転は、企業の働き方や組織の在り方を見直す好機でもあります。信頼できるパートナーと連携し、コストとクオリティのバランスを見極めることで、持続可能で働きやすいオフィスを実現できるでしょう。
オフィス移転についてのご相談は下記からお問い合わせください。
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よくある質問
Q:初期費用を抑えるためにできることはありますか?
A:いくつか有効な方法があります。例えば、フリーレントの交渉や敷金の支払条件の調整、居抜き物件の活用などが挙げられます。また、内装工事では什器のリユースやリースを検討することで、初期コストを削減することが可能です。
Q:引っ越しの時期によって費用は変わりますか?
A:特に3月などの繁忙期は、通常期と比べて1.5倍程度まで費用が高騰することがあります。できるだけ閑散期を狙ってスケジュールを調整することで、引っ越し費用の削減が期待できます。
Q:オフィス移転後にかかる費用にはどんなものがありますか?
A:毎月の賃料や共益費、水道光熱費、通信費、消耗品・備品の購入費用、設備の保守・メンテナンス費用などがあります。これらのランニングコストもあらかじめ見積もり、年間予算に組み込んでおくと安心です。
イラスト:Masaki
