生産性を高めるオフィスづくりのポイントとは?

2026年6月11日公開
  • 生産性

「生産性を高めたい」と思いつつも、オフィスの環境をどう整えれば生産性が高まるのか、なかなか具体的なイメージが持てない方も多いのではないでしょうか。生産性とは、人・時間・お金といったリソースに対してどれだけの成果を出せたかという考え方で、単なる快適性の問題ではなく、働く場が成果にどうつながるかという視点が土台になります。

この記事では、生産性・労働生産性・業務効率化の違いや、生産性向上に関するオカムラの調査データ、生産性を高めるオフィスづくりのポイントをわかりやすく解説します。

1. 生産性・労働生産性・業務効率化の違い

「生産性」「労働生産性」「業務効率化」は、オフィスの話でよく混ざって使われる言葉です。生産性を高めるオフィスの環境づくりについて考える前に、それぞれの意味の違いを整理しておきましょう。

生産性と労働生産性の違い

生産性とは、投入したリソース(人・設備・時間など)に対してどれだけ成果を出せたかを表す考え方。対して労働生産性は、人の働きにフォーカスし、一人あたり・一時間あたりでどれだけの成果が生まれたかを見る指標です。端的にいうと、生産性は「全体の効率」、労働生産性は「人あたりの効率」を示します。

生産性と業務効率化の違い

業務効率化は、ムダな時間や手間を省いて仕事の流れをよくすることです。一方、生産性を上げるというのは、同じ人数・同じ時間でも成果の中身をよくすることを指します。

では、オフィスの生産性と業務効率化を例に考えてみましょう。会議時間の短縮や書類の電子化は業務効率化の例ですが、ムダを削るだけでは、アウトプットの質までは変わらないこともあるのです。オフィス環境の改善も同様で、ムダを減らすだけでなく、集中や対話がしやすい場を整えることで、成果の質まで高められる可能性があります。

2. 【調査データ】生産性の向上とオフィス環境の関係

一般社団法人日本オフィス家具協会が実施した調査では、「オフィス環境が仕事へのモチベーション・成果に影響するか」という質問に対し、「モチベーションに影響する」と答えた方が約7割、「仕事の成果に影響する」と答えた方が約6割というデータがあります。このデータから、オフィスの環境が生産性向上に与える影響は大きいといえるでしょう。

一方で、オフィスへの満足度に関する調査では、「オフィスの家具」「オフィスの内装」「オフィスへの愛着」の3つの観点で低い結果が出ています。環境の重要性は認識されている一方、満足度には改善の余地が残されている状況です。

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3. 【調査データ】生産性の高い人は、場所にとらわれずに働いている?

生産性とオフィスの使い方には、関係があるのでしょうか。オカムラが東京大学稲水研究室・ディスカバリーズ社と共同で行った調査では、ワーカーの「クリエイティビティ」をアンケートで測定し、ビーコン(位置情報技術)でオフィス内の行動パターンを把握しました。ここでいうクリエイティビティとは、独創的なアイデアを思いつく力だけでなく、実行したり周りを巻き込んだりする実務的な能力も含む概念です。

結果として、クリエイティビティのスコアが高い人ほど、出社した日のオフィス滞在が「35時間」という傾向が確認されました。勤務時間は約8時間であるため、ずっとデスクに張り付いているわけではなく、外出したり時差出勤したりしていることになります。一方、極端に短い滞在や、長時間デスクに張り付くどちらのパターンでも、スコアが低めに出やすいことも示されています。

こうした働き方は、ABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)の考え方とつながります。ABWとは、仕事の内容や目的に応じて、働く場所や時間を選択できるワークスタイルのことです。例えば、集中したいときは静かな集中スペース、アイデアを出したいときは交流が生まれやすいオープンスペースを選ぶというように、業務に最適な環境を自分で選べます。

今回の調査結果は、こうしたABWの「場所を使い分ける働き方」が、クリエイティビティの向上と結びつく可能性が読み取れるでしょう。

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4. 生産性を高めるオフィスづくりのポイント

生産性に関わる環境要素は、大きく3つのグループに整理できます。「体と感覚に働きかける環境」、「働きやすさを高める空間設計」、「人の行動を引き出す空間」です。それぞれの要素と、押さえておきたいポイントを以下にまとめました。

体と感覚に働きかける環境

照明・温度・音・色・視線など、働く人が無意識に感じる環境要素は、集中力やモチベーションに直接影響します。意識しにくいぶん見落とされがちですが、ここが整っていないと、どんな工夫も効果が出にくくなるおそれがあります。

照明

集中作業には昼白色・白色系、リラックスや対話を促したい場合には電球色が向くといわれています。スペースの目的に応じて照明を使い分けることで、仕事と休憩の切り替えがしやすくなり、生産性の向上にもつながります。

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温度・湿度

温度・湿度も重要で、暑すぎ・寒すぎ・乾燥などの身体的な不快感は、作業効率を下げ、生産性の低下にもつながります。快適な温度には個人差もあるため、座席位置などによって環境が偏りすぎないよう、空調計画と併せて検討しましょう。

音は、外部からの騒音(入り)と、声や会話の漏れ(出)の両面を意識した設計が大切です。遠慮なく発言できる音環境は、対話の質にも影響します。対策の一例として、意図的にマスキング音を流すことで周囲の会話を聞こえにくくする「サウンドマスキング」という手法も検討できます。

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カラー

カラーは暖色が活動性を高め、寒色が落ち着きをもたらすなど、生理・心理の両面に働きかけます。空間の用途に合ったカラー設計は、働く人の気分や行動を自然に誘導し、集中力やコミュニケーションの活性化を後押しします。

視線

視線は、正面より斜め方向からの視線のほうが気になりやすい傾向があります。視線ストレスは集中力の低下にもつながるため、席の向きやパーティションの配置で適切なプライバシーを確保することが重要です。

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働きやすさを高める空間設計

「どこに何があるか」「人がどう動くか」というオフィスの設計は、日々の働きやすさに影響します。意図して設計することで、無駄が減り、仕事の流れがスムーズになるでしょう。

レイアウト

レイアウトでは、デスクの向きや配置によって、コミュニケーションのしやすさと集中度が変わります。例えば対向型は情報共有や相談がしやすい一方、集中作業にはやや不向きな面もあります。業務内容やスペースの用途に合わせた配置の設計が、働きやすさと生産性の両立につながるでしょう。

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動線

よく使う設備や部署間の移動距離が短くなる動線設計は、無駄な移動を減らします。日々の小さな移動の積み重ねが業務効率に影響するため、使い方の実態に即した動線を意識して設計することが大切です。

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ゾーニング

ゾーニングとは、集中作業・オンライン会議・打ち合わせ・来客対応など、さまざまな業務の目的に合わせてオフィス空間をエリアに分ける考え方です。エリアの切り分けが社員の行動パターンを自然に導き、それぞれの場面で求められるパフォーマンスを引き出しやすくします。

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ABW

ABWは、業務内容や目的に応じて働く場所を自律的に選べる働き方です。テレワークやハイブリッドワークの普及とともに注目されており、場所の使い分けが気持ちの切り替えを促し、生産性の向上につながると考えられています。

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収納

デスクまわりや共有スペースが整理されていると、必要なものをすぐに取り出せるため、探し物による時間のムダや作業の中断を防ぐことができます。収納の仕組みを整えることは、日々の業務をスムーズに進めるための基本的な土台といえます。

人の行動を引き出す空間

集中・休憩・対話といった行動や、場所の使い分けは「やろうと思えばできる」環境ではなく、「自然とそうなる」空間設計によって促されます。以下のようなスペースが、社員の行動パターンをつくっていくのです。

集中スペース

音と視線を遮断できるフォンブースや個室ブースは、集中作業や、会議内容の漏れを防ぎたいオンライン会議にも対応し、作業の質を高めます。「集中したいときに集中できる場所がある」という安心感が、働く人のパフォーマンスを支えます。

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リフレッシュスペース

一人で静かに休める場所、同僚と気軽に話せる場所のどちらとしても使えるリフレッシュスペースは、気分転換と集中の切り替えを促します。休憩の質が上がることで、業務パフォーマンスの維持も期待できます。

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ミーティングスペース

予約不要でサッと集まれる小規模なミーティングスペースがあると、従来のフォーマルな会議室では生まれにくかった気軽なコミュニケーションが生まれます。少人数での素早い意見交換が日常的に起きやすくなることで、議論や意思決定のスピードが上がり、円滑に業務を行えるようになります。

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ラウンジ/カフェスペース

部署を超えた異なるメンバーが自然と集まるラウンジやカフェスペースは、休憩・作業・来客対応など多目的に使えるだけでなく、意図せず生まれる偶発的なコミュニケーションを促します。こうした日常的な交流の積み重ねが、組織横断的なつながりや情報共有の土台になります。

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5. 生産性を高めるオフィスをつくるためのステップ

実際に生産性を高めるオフィスをつくるには、以下の4つのステップで進めると整理しやすいでしょう。まずは現状把握から順に進めることが大切です。

1. 現状の課題を把握する

「集中できない」「コミュニケーションが取りにくい」など、今のオフィスで感じている不便や非効率を洗い出すことが出発点です。現場の実態を把握する上で、社員へのアンケートや行動観察も有効な手段になるでしょう。声を集める際は、「どんな場面で困っているか」を具体的に聞くと、改善の方向性が定めやすくなります。

2. 働き方に合わせて必要なスペースを整理する

自社の業務内容や働き方の特性を踏まえ、どんなスペースが必要かを整理します。集中作業が多いのか、チームの対話が重要なのかによって、優先すべき設計は変わります。ABWのように、場所の使い分けを前提とする場合は、集中・対話・リフレッシュの各スペースがそろっているかを確認してみるといいでしょう。

3. レイアウトや運用ルールを見直す

既存のレイアウト変更や運用ルールの整備で改善できることも多くあります。集中エリアが形骸化していたり、設置したスペースが意図した使われ方をしていなかったりと、空間が十分に活かされていないケースも少なくありません。まずは大きなコストをかけずにできる見直しから着手するのも、一つの有効な方法といえるでしょう。

4. 専門家に相談する

課題が複雑な場合や、本格的なオフィス改修を検討する場合は、オフィス設計の専門家に相談することで、自社の状況に合った具体的な提案を受けられます。オカムラでは、お客さまのありたい姿を実現するために「コンサルティング」、「設計・デザイン」、「プロジェクトマネジメント」の3領域を支援しています。

くわしくは以下よりご確認ください。

「オフィスの新設・移転・改装・リニューアル」に。理想のオフィス実現ソリューション

6. オフィスを整えることが「生産性向上」への第一歩

調査データが示すように、オフィス環境がモチベーションや成果に関わると感じている方は少なくありません。しかしその一方で、オフィスへの満足度は低い傾向もあり、改善できる余地は大きいといえます。

生産性を高める空間をつくるには、照明や音といった感覚的な要素から、動線・ゾーニング、目的別のスペースまで、多岐にわたるアプローチがあります。これらを整えることが、働く人の集中力・コミュニケーション・行動パターンに影響し、生産性向上につながるのです。

何から着手するかは、自社の業務や課題によって異なります。「今、何が不便か」「どんな行動を引き出したいか」を整理することが、生産性を高めるオフィスづくりの出発点になるでしょう。

オカムラでは、理想のオフィスを実現するために、空間づくりに関するさまざまな資料をご用意しています。ぜひ以下よりご活用ください。

よくある質問

Q:生産性向上と業務効率化の違いは何ですか?

A業務効率化は、ムダな時間や手間を省いて仕事の流れをよくすることです。一方、生産性を上げるというのは、同じ人数・同じ時間でも成果の中身をよくすることを指します。業務効率化は生産性向上の手段のひとつですが、ムダを削るだけではアウトプットの質までは変わらない場合もあります。

Q:生産性と労働生産性の違いは何ですか?

A生産性は人・設備・時間などのリソース全体に対してどれだけの成果を出せたかを表す考え方で、労働生産性は一人あたり・一時間あたりの成果にフォーカスした指標です。生産性は「全体の効率」、労働生産性は「人あたりの効率」と整理するとわかりやすいでしょう。

Q:生産性を高めるオフィスづくりは、何から始めるとよいですか?

A:まず「集中できない」「コミュニケーションが取りにくい」など、今のオフィスで感じている不便や非効率を洗い出すことが出発点です。社員へのアンケートや行動観察も有効な手段になります。その上で、自社の働き方に必要なスペースを整理し、レイアウトや運用ルールの見直しから着手、必要に応じて専門家を頼りましょう。


イラスト:Masaki

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オフィスづくりに関するQ&A

Q1

オフィス移転や改装を検討しはじめるタイミングは、いつが良いですか?

A1

社員数や内容によって異なりますが、100名規模のオフィスの場合、移転予定の1年前、改装の場合は6か月前からの検討が理想です。
現状課題の整理や物件選定、レイアウト設計、施工期間などを考慮すると、余裕をもった準備期間を設けることでスムーズに進められます。
オカムラでは、初期段階からお客様のニーズや課題を伺い、スケジュール立案や検討資料づくりをサポートしています。 お問い合わせ

Q2

オフィスづくりを依頼すると、どこまでサポートしてもらえますか?

A2

オカムラでは、オフィスの企画・設計・施工・運用までを一貫してサポートします。
働き方や組織課題を丁寧にヒアリングし、レイアウト、家具、照明、ICT環境などを総合的にデザインします。
また、移転・改装後のアンケートや改善提案を通して、働き方の変化に寄り添った空間づくりを支援します。 オカムラのオフィスづくりソリューション

Q3

オフィス改装の費用はどのくらいかかりますか?

A3

改装の内容や規模、目的によって費用は大きく変わります。
例えば、部分的なリニューアルなのか、働き方改革を目的とした全面リニューアルなのかによっても必要な費用は異なります。
具体的な金額を知りたい場合は、現状の課題やご希望をお伺いしたうえで、最適なプランをご提案いたします。まずはお気軽にお問い合わせください。 お問い合わせ

Q4

まだ具体的な計画がなくても、相談して大丈夫ですか?

A4

もちろん大丈夫です。
多くのお客様が「何から始めればいいか分からない」という段階からご相談されています。
オカムラでは、丁寧なヒアリングを通して課題整理や事例紹介、スケジュール・費用感の目安提示など初期検討をサポートします。
「移転か改装か迷っている」、「まずはイメージを膨らませたい」など、どんな段階でもお気軽にご相談ください。 お問い合わせ

Q5

自社に合った働き方やレイアウトがわかりません。どうすれば良いですか?

A5

オカムラでは、オフィスづくりの初期検討をサポートする無料ツール「OFFICE KIT」をご用意しています。
質問に答えるだけで、自社に合った働き方の方向性やレイアウトタイプが見えてきます。
まだ具体的な計画がなくても活用できる内容です。ぜひ一度お試しください。 OFFICE KITで診断する