
サウンドマスキングとは?
オフィスの快適な音環境を保つ仕組み
オープンオフィスやハイブリッドワークが普及し、場所にとらわれない柔軟な働き方が一般的になってきた近年、オフィスにおける「スピーチプライバシー」の確保が重要な課題となっています。
スピーチプライバシーとは、会話の内容が第三者に漏れ聞こえないようにし、プライバシーを守る考え方のことです。周囲の声が気になって業務に集中できない、会議室からの音漏れによって機密情報の漏洩リスクが生じるといった音環境の悩みに対し、「サウンドマスキング」が注目されています。
本記事では、サウンドマスキングの概要や注目される背景、その仕組みについて分かりやすく解説します。
<目次>
- サウンドマスキングとは?
- サウンドマスキングが注目される背景
- サウンドマスキングに期待される効果
- オカムラの「Sound Conditioning System(サウンドコンディショニングシステム)」の特徴
- サウンドマスキングでスピーチプライバシーを守ろう
1. サウンドマスキングとは?
オフィスでのスピーチプライバシーを守る方法として、壁などの物理的な仕切りを増やすといった対策がありますが、これにはコストがかかるだけでなく、オープンな空間が持つ開放感やコミュニケーションのしやすさを損なう可能性もあります。
そこで有効な解決策となるのが「サウンドマスキング」。これは会話を完全に消し去るのではなく、意図的に「マスキング音」と呼ばれる快適な音を流すことで、会話の内容を聞き取りにくくする技術です。周囲の騒音や会話を背景音に紛れ込ませることで、スピーチプライバシーを守りながら、心地よい音環境を実現できます。
オフィスの音環境を整える方法には、サウンドマスキング以外にもいくつかの考え方があります。ただし、それぞれの効果や目的は異なるため、以下で違いを確認しましょう。
■サウンドマスキングと類似技術の違い
|
快適な音環境を実現する技術 |
特徴 |
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サウンドマスキング |
自然な環境音を流し、会話を聞き取りにくくする |
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吸音 |
音を吸収して残響を減らす |
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遮音 |
音を遮る |
|
防音 |
音を防ぐ技術の総称 |
2. サウンドマスキングが注目される背景
さまざまな防音技術があるなかで、なぜ今サウンドマスキングが注目されているのでしょうか。その背景には、現代のオフィス環境や働き方の変化が大きく関わっています。
情報セキュリティの重要性
企業にとって情報漏洩の防止は最優先事項のひとつです。会議室や受付、執務エリアでの会話には、機密情報や顧客の個人情報、あるいは従業員の人事情報などが含まれることがあります。意図しない「音漏れ」によるセキュリティリスクを回避するために、会話の内容を判別しにくくするサウンドマスキングが有効です。
オープンオフィスの普及
近年、多くの企業で自席を持たないフリーアドレス制や、壁の少ないオープンな空間デザインが採用されています。開放的な空間は活発なコミュニケーションを生む一方で、周囲の視線や「音」によるプライバシーの欠如が課題です。物理的な壁を立てずに、音によってパーソナルな空間を確保できるサウンドマスキングは、オープンオフィスと非常に相性が良い技術といえます。
ハイブリッドワークの拡大
オフィス出社とリモートワークを組み合わせるハイブリッドワークが浸透し、出社日には対面での質の高いコミュニケーションが求められるようになりました。その一方で、オフィス内で集中して作業を行いたい場面も並行して存在します。周囲の雑音を和らげ、集中しやすい環境と会話しやすい環境を両立させる手段として、サウンドマスキングの重要性が増しているのです。
3. サウンドマスキングに期待される効果

サウンドマスキングを導入することで、オフィス環境には多面的なメリットがもたらされます。単なる騒音対策に留まらない、具体的な4つの導入効果について見ていきましょう。
セキュリティリスクを回避する
最大のメリットは、情報の漏洩リスクを低減できる点です。顧客情報や企業機密を扱う重要な会議、あるいは社員の個人情報や人事に関わる繊細な会話が室外へ漏れ聞こえるのを防ぎ、意図しない情報漏洩を未然に防止します。
集中力の向上につながる
サウンドマスキングは、社員の集中力向上にも寄与します。静かすぎるオフィスでは、遠くの話し声や小さな物音が際立ってしまい、かえって集中を削いでしまうことも少なくありません。適度な背景音を流すことにより、周囲の雑音が背景音に溶け込み、一人ひとりが目の前の業務に深く没入できる環境が整います。
コミュニケーションが取りやすくなる
サウンドマスキングは、コミュニケーションの活性化という側面でもポジティブな影響を与えます。自分の声が周囲に響き渡っていると感じる環境では、周囲への配慮から無意識に発言を控えてしまいがちです。しかし、サウンドマスキングによって「声の聞こえすぎ」が緩和されれば、周囲を過度に気にすることなく、必要な相談や打ち合わせを自然に行えるようになります。雑談や意見交換はもちろん、チーム内でのスムーズな連携やアイデア共有が生まれやすくなるでしょう。
心理的安全性の向上につながる
自分の会話が周囲に聞かれているのではないかという不安や、逆に周囲の声が耳に入ってくるストレスが解消されることで、1on1ミーティングやオンライン会議、電話対応なども落ち着いて実施できるようになるでしょう。「話しても大丈夫」「聞かれていない」という安心感が職場に広がることで、社員がリラックスして業務に取り組めるようになり、組織全体のパフォーマンスを高める良好な土壌が形成されます。
4. オカムラの「Sound Conditioning System(サウンドコンディショニングシステム)」の特徴

オカムラの「Sound Conditioning System(サウンドコンディショニングシステム)」は、オフィスにマスキング音を取り入れることで、会話の内容を聞き取りにくくし、スピーチプライバシーを守るサウンドマスキングシステムです。オープンオフィスや会議室など、さまざまな業務空間に対応できる点が特長です。
ここでは、サウンドマスキングシステムが実際にどのような音を使い、どのような形で導入できるのかを、「Sound Conditioning System」を例に紹介します。
特殊なオリジナルサウンドで心地よくマスキングする
「Sound Conditioning System」では、空調音に近い自然な環境音をベースとした、人の耳にやさしいオリジナルのマスキング音を採用しています。会話や生活音をやわらかく包み込むようにマスキングするため、音漏れや騒音が目立ちにくく、長時間でも不快感を覚えにくい点が特長です。また、小鳥のさえずりや川のせせらぎといった環境音も用意されており、執務エリアや共用部など、空間の雰囲気に合わせた音環境を演出することもできます。
パーティション内蔵タイプも独自開発

オカムラでは、パーティション内部にスピーカーを内蔵できる独自の工法を開発しています。パーティション全体から柔らかく均一なマスキング音を発生させることができ、特定の方向から音が聞こえる違和感を抑えられる点が特長です。
スピーカーはパーティションの表面から見えないため、室内のデザイン性を損なう心配もありません。さらに、パーティションがないエリア向けに、天井へ設置できるスピーカータイプも用意されており、オフィス全体への導入にも対応しています。
必要に応じた製品・設置方法を選択可能

「Sound Conditioning System」は、設置する場所や空間構成に応じて、スピーカーやアンプの種類を選択できる点も特長です。オープンエリア、会議室、ローパーティションエリアなど、導入場所に合わせた構成が可能です。
スピーカーには、アンプ内蔵型で簡単に設置できるフラットスピーカーのほか、小型ラインスピーカー、天井用スピーカー、パーティション内蔵用スピーカーなどがあります。アンプについても、個室や小規模エリア向けから、中規模エリアに対応できるタイプまで用意されており、用途に応じて選択できます。
以下にオカムラが提供するスピーカー・アンプの種類と特徴をまとめましたので、こちらも参考にしてください。
■スピーカーの種類
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種類 |
フラットスピーカー(アンプ内蔵型) |
小型ラインスピーカー |
天井付き用スピーカー |
パーティション内蔵用スピーカー |
|
対象設置エリア |
オープンエリア全般 |
主にローパーティションエリア |
主に会議室・オープンエリア全般 |
パーティション設置エリア |
|
電源 |
アンプ内蔵型でコンセントを差すだけで簡単に設置可能 |
アンプからの配線が必要 |
アンプからの配線が必要 |
アンプからの配線が必要 |
■アンプの種類
|
種類 |
間仕切り内蔵タイプ |
天井スピーカータイプ (廉価) |
天井スピーカータイプ (高機能) |
|
対象設置エリア |
個室や小規模エリア向け |
中規模エリア向け |
中規模・多用途エリア向け |
|
スピーカー接続台数 |
4台/1コントローラー |
36台/1コントローラー |
40台/1コントローラー |
|
ノイズ種類 |
1種類 |
1種類 |
10種類 |
|
BGM |
- |
○(外部入力) |
○(外部入力) |
|
音量調整 |
8段階 |
自在調整可能 |
自在調整可能 |
|
対応スピーカー |
・パーティション内蔵用スピーカー ・天井用スピーカー |
・天井用スピーカー ・小型ラインスピーカー |
・天井用スピーカー |
さらに詳しい製品仕様や導入イメージについては、以下のページをご覧ください。
サウンドコンディショニングシステムの効果
オカムラの調査では、「Sound Conditioning System」の導入後、マスキング音をONにした状態では、隣室や通路からの声が「小さく聞こえるが、内容は分からない」レベルまで抑えられることが確認されました。会話の存在は感じられても、具体的な内容が分からないため、スピーチプライバシーの確保につながります。
また、オカムラでは株式会社otonohaが提供する音環境コンサルティングサービス「sound veil(サウンドヴェイル)」の取り扱いも行っています。工事不要でサウンドデバイスを設置するだけで、空間の特性に応じた音環境を整えることが可能です。
5. サウンドマスキングでスピーチプライバシーを守ろう
オープンオフィスやハイブリッドワークが定着した現在、スピーチプライバシーの確保は、働きやすいオフィスづくりに欠かせない要素となっています。会話が聞こえすぎる環境は、集中力の低下や情報漏洩への不安を招き、知らず知らずのうちに業務の質や心理的な安心感に影響を与えてしまいます。
サウンドマスキングは、会話を完全に遮断するのではなく、マスキング音によって「内容が分からない状態」をつくることで、プライバシーと快適さを両立できる手法です。オープンな空間の良さを損なうことなく、安心して話せる・集中できる音環境を実現できる点が特長といえるでしょう。オフィスの音環境に課題を感じている場合は、サウンドマスキングを取り入れ、プライバシーと快適性を両立した職場環境づくりを検討してみてはいかがでしょうか。
これからのオフィスには、集中と交流のバランスをどのようにとるかが求められます。オフィス運用によくあるお悩みとして以下の資料にもヒントをまとめていますので、ぜひこちらもご覧ください。
よくある質問
Q:サウンドマスキングとは何ですか?
A:サウンドマスキングとは、オフィス空間にマスキング音を流すことで、会話の内容を聞き取りにくくし、スピーチプライバシーを守る仕組みです。
Q:サウンドマスキングと防音の違いを教えてください。
A:防音は、音が外に漏れたり入り込んだりしにくい環境をつくる仕組みです。対してサウンドマスキングは、環境音によって会話の内容を聞き取りにくくすることで、オープンオフィスの開放感やコミュニケーションのしやすさを損なわずに、音のプライバシーを確保します。
Q:サウンドマスキングを導入すると、どのような効果が期待できますか?
A:サウンドマスキングの導入により、会話が聞こえすぎることによるストレスの軽減や、集中しやすい環境づくりにつながります。また、会議室や通路からの音漏れを抑え、情報漏洩リスクを低減することも可能です。結果として、スピーチプライバシーに配慮した働きやすいオフィス環境づくりにつながるでしょう。
イラスト:Masaki
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