フォンブース(ワークブース)で叶う多様な働き方!
種類や導入の流れを解説

2025年12月2日公開
  • ABW
  • 生産性
  • 集中

テレワークやハイブリッドワークの普及により、WEB会議や電話を利用する機会が増加しています。その一方で、「周囲の音や会話が気になって集中できない」「会議内容が漏れそうで不安」といった悩みは多くの企業が抱えている課題です。

こうした課題を解決するための設備として、注目を集めているのが「フォンブース」です。この記事では、フォンブースの定義や種類、導入によるメリット、設置のポイントや事例までをわかりやすく解説します。

<目次>

  1. フォンブースとは? オフィスに必要とされる理由
  2. フォンブースの種類と特徴
  3. フォンブース導入のメリット
  4. フォンブース導入の流れ
  5. フォンブース導入前に確認したい消防法
  6. フォンブース導入事例
  7. 自社に合ったフォンブースで快適な働き方を実現

1. フォンブースとは? オフィスに必要とされる理由

フォンブースとは、電話やWEB会議、集中作業などのために設置される小型の個室空間のことです。防音性が高く、周囲の音や視線を気にせず、静かに作業できるスペースとして注目されています。オカムラでは「ワークブース」と呼びますが、「フォンブース」「集中ブース」などさまざまな呼び名があり、いずれも「静かな個別空間を確保する」ことが目的です。

近年では、リモート会議やオンライン商談の増加に加え、フリーアドレスの普及により固定席が減ったことで、落ち着いて話せるスペースが不足する傾向にあります。こうした背景から、フォンブースはオフィスの課題を解決し、働き方の多様化を支える設備として導入が進んでいます。

<フォンブースの主な活用シーン>

  • WEB会議や電話(オンラインミーティング、取引先との商談)
  • 集中作業や資料作成
  • 1on1ミーティングや面談
  • 来客対応や面接などの機密性が必要な打ち合わせ

このように、フォンブースは多様なシーンで活用できるため、設置場所や用途に合わせて最適なタイプを選ぶことが重要です。以下では、なぜフォンブースが求められているのかをくわしく解説していますので、参考にしてください。

なぜオフィスに集中できるワークブースの導入が必要なのか

2. フォンブースの種類と特徴

フォンブースにはさまざまな種類がありますが、主に「用途」「防音性」「設置方法」によって、大きく4つのタイプに分類されます。自社の利用目的やオフィス環境に合わせて、最適なタイプを選ぶことが大切です。ここでは、それぞれの特徴を詳しく解説します。

【個室タイプ】建材型|内装と一体化した本格ブース

建材型は、オフィス内装と一体化して造作する本格的な個室です。壁や天井を建材で施工するため、防音性能が非常に高く、デザインやサイズも自由にカスタマイズできます。

個室タイプの建材型フォンブースの特長

項目

内容

特長

壁や天井を建材で施工するため防音性が高い

適したシーン

WEB会議に利用できる

・オンライン商談に適している

1on1など静かな空間が必要な場面に最適

メリット

・空間デザインに合わせやすい

・長期利用に向いている

注意点

・工事が必要で導入コストがやや高い

・設置までの期間が長い

ライブス パーティション

【個室タイプ】フルクローズ型|完全個室で防音性能抜群

フルクローズ型は、天井・壁・扉が揃った完全個室型のフォンブースです。あらかじめ製造されたユニットを搬入して設置するため、建築工事や設備工事が不要です。

【個室タイプ】フルクローズ型フォンブースの特長

項目

内容

特長

・防音性・換気性能が高い

・利用人数によってサイズを選べる

※最大6名まで対応できる

適したシーン

WEB会議に利用できる

・オンライン商談に適している

・複数人での打ち合わせに対応できる

メリット

・高い防音性で会話内容が漏れにくい

・建築・設備工事不要で、短期間・低コストで完全個室を設置できる

・移設が可能でオフィスレイアウト変更にも対応できる

注意点

・重量があるため床耐荷重や搬入経路を確認する必要がある

・導入前に消防法などの関連法規を確認する必要がある

フルクローズ型ワークブース 「テレキューブ by オカムラ」|株式会社オカムラ

【個室タイプ】セミクローズ型|開放感とコストのバランスが◎

セミクローズ型は、天井がない半個室タイプで、開放感と通気性に優れています。比較的コストも抑えられるため、導入しやすいのが特徴です。

個室タイプのセミクローズ型フォンブースの特長

項目

内容

特長

・防音性はほどほどで、音を適度に遮れる

・通気性が高い

適したシーン

・集中作業に向いている

・機密性の低い打ち合わせに適している

・休憩スペースとしても利用できる

メリット

・換気や明るさが確保しやすい

・比較的低コストで導入できる

・工事不要ですぐに設置できる

・軽量でレイアウト変更時も動かしやすい

注意点

・完全な防音が必要な場面には不向き

スノーハット2

【パネルタイプ】簡単設置できるコンパクトブース

パネルタイプは、机や椅子の周囲をパネルで囲うだけの簡易型ブースです。設置や移動がしやすく、ちょっとした作業や短時間の利用に適しています。

パネルタイプのフォンブースの特長

項目

内容

特長

・軽量で設置や移動が簡単に行える

適したシーン

・短時間のWEB会議に利用できる

・集中作業に向いている

・電話対応にも適している

メリット

・もっとも手軽かつ低コストで導入できる
・レイアウト変更や増設が容易にできる
・工事不要で、短期間で利用を開始できる

注意点

防音性は低めで、周囲の音がある程度聞こえる

ワークブース(パネルタイプ)

3. フォンブース導入のメリット

フォンブースは単なる「個室スペース」ではなく、オフィス全体の生産性や快適さを高める効果を持つ重要な設備です。ここでは、導入によって得られる主なメリットを4つご紹介します。

<フォンブース導入のメリット>

  • 集中力と生産性を高める
  • プライバシーと情報セキュリティを守る
  • オフィス全体の音環境を改善する
  • 柔軟な働き方を後押しする

集中力と生産性を高める

フォンブースは防音性が高く、周囲の雑音や視線を遮断できるため、作業に集中しやすくなります。集中力が高まることで、業務の質やスピードが向上し、生産性アップにもつながるでしょう。また、WEB会議やオンライン商談の際にも、周囲の音に邪魔されることなくスムーズに進行できるため、コミュニケーションの質も高まります。

プライバシーと情報セキュリティを守る

フォンブースは、外部への音漏れが少ないため、機密性の高い内容の会話にも適しています。例えば、人事面談や評価面談、取引先との商談など、プライバシーを守る必要がある場面でも安心して利用可能です。情報セキュリティの観点からも、社外への情報漏えいリスクを軽減する有効な手段です。

オフィス全体の音環境を改善する

フォンブースを使えば、電話やWEB会議の音も周囲に響きにくくなるため、フロア全体がうるさくなりません。執務エリアの静けさが保たれることで、他の社員も集中しやすくなり、業務効率の向上にもつながります。

柔軟な働き方を後押しする

フォンブースは、ABWActivity Based Working)やフリーアドレス制とも相性が良く、業務内容に応じて最適な場所を選ぶ働き方をサポートします。個別ブースを活用することで、自分の仕事に最も集中できる環境を自ら選択できるため、多様な働き方に柔軟に対応できます。

4. フォンブース導入の流れ

自社に合ったフォンブースを導入するためには、目的や設置環境を整理し、段階的に検討を進めることが重要です。ここでは、導入までの一般的なステップを4段階に分けてご紹介します。

ステップ1:目的と利用人数を整理する

まずは、フォンブースをどのような目的で使うのかを明確にしましょう。WEB会議中心なのか、集中作業用なのか、あるいは複数人でのミーティングに使いたいのかによって、選ぶべきタイプが変わってきます。また、利用頻度や同時利用人数を想定しておくことで、必要な台数や広さを具体的に検討しやすくなります。

ステップ2:設置場所と環境条件を確認する

設置予定の場所について、動線、換気、電源、ネットワーク環境といった条件をチェックしておくことが大切です。フォンブースは密閉性が高いため、適切な換気ができるか、電源コンセントの位置は問題ないかなど、事前確認が必要です。また、共用部に設置するのか、執務エリア内に設置するのかといった場所の選定も、利用者の利便性に大きく関わります。

ステップ3:メーカー選定と見積もり比較

設置場所と環境条件を確認したら、複数のメーカーや製品を比較検討しましょう。防音性や換気性、デザイン性、コスト、アフターサポートの有無など、チェックすべきポイントは多岐にわたります。レイアウト図面を準備して相談すると、より具体的な提案やアドバイスを受けやすくなります。

ステップ4:設置と運用ルール策定

設置後は、誰もが公平に快適に使えるよう、運用ルールを整備することが重要です。利用予約の方法、使用時間の制限、清掃・換気の管理方法などを決め、社内で周知しましょう。また、フォンブースの利用目的や期待される効果を社員に共有しておくと、活用が定着しやすくなります。

5. フォンブース導入前に確認したい消防法

フォンブースを導入する際には、製品の種類や設置場所によって、消防法などの防災関連法規に配慮する必要があります。特に注意が必要なのが、天井付きの「フルクローズ型」や「建材型」のフォンブースです。これらは密閉性が高く、避難経路や換気、安全面などに影響を及ぼす可能性があるため、事前に関係各所との調整や確認を行うことが求められます。

設置工事やレイアウト変更を伴う場合は、ビル管理者や消防署と連携し、安全基準に沿った対応を行いましょう。法令を遵守することで、安全性を確保しながら安心して運用できるフォンブース環境を整えられます。

消防法については以下の記事で詳しく解説しているので、参考にしてください。

オフィスに壁を建てるときの注意点とは? 散水障害と消防法対策を解説

6. フォンブース導入事例

ここでは、実際にフォンブースを導入している企業の事例をご紹介します。導入の目的や設置タイプ、利用シーンなどを参考に、自社への導入イメージを深めてみてください。

建材型

北電情報システムサービス株式会社 様

北電情報システムサービス株式会社 様では、1on1ミーティングやWEB会議などを行うために、建材型の個室を2室設置。それぞれ「山の部屋」「海の部屋」と名付け、富山をイメージした内装デザインで統一感を持たせています。コンパクトながらも圧迫感のない広さで、会話や作業に集中できる空間づくりが実現されています。

フルクローズ型

日本グッドイヤー株式会社 様

日本グッドイヤー株式会社 様では、国内外の社員と日常的にWEB会議を行うため、高い吸音性と遮音性を備えたフルクローズ型のフォンブースを導入。集中して業務を進められるスペースとして活用されています。

ハニューフーズ株式会社 様

ハニューフーズ株式会社 様の執務エリアには、複数人で使えるフルクローズ型のフォンブースを設置。社内会議やWEB会議のスペースとして活用されており、柔軟なコミュニケーションを支える設備となっています。

セミクローズ型

株式会社プライムアシスタンス 様

株式会社プライムアシスタンス 様では、透明なガラスパネルで囲われたセミクローズ型のフォンブースを窓際に設置。自然光を取り込むことで、明るく開放感のある空間となっており、カジュアルなミーティングなどに活用されています。

パネルタイプ

トヨタユナイテッド奈良株式会社 様

トヨタユナイテッド奈良株式会社 様では、壁際にパネルで囲った集中スペースを設けました。適度にプライバシーが保たれる構造で、集中して作業したいときに活用されています。

株式会社荒谷建設コンサルタント 様

株式会社荒谷建設コンサルタント 様の執務スペース奥には、電動昇降デスクを吸音パネルで囲んだソロブースを設置。立ち作業も可能な環境にすることで眠気対策にもなり、集中力の維持に貢献しています。

7. 自社に合ったフォンブースで快適な働き方を実現

フォンブースは、WEB会議や電話、集中作業など、現代の多様な働き方を支えるために欠かせないオフィス設備です。設置することで、フロアがうるさくならず、プライバシーも確保され、生産性の向上につながるなど、さまざまなメリットがあります。

導入を検討する際には、利用目的や人数、設置場所、法令対応などを事前に整理し、自社に合ったタイプを選定することが成功のポイントです。また、導入後の運用ルールをしっかり整備することで、誰もが快適に利用できる環境が生まれます。働きやすいオフィス環境づくりを進めたいとお考えの方は、専門家に相談して、最適なレイアウトや製品の提案を受けると安心です。

オカムラでは、フォンブースの設置に関するご相談はもちろん、働きやすいオフィス環境を整えるためのご相談を受け付けております。

オフィス移転・改装など空間づくりに関するご相談

また、働きやすいオフィスを実現するためのノウハウを詰め込んだ資料も公開しています。ぜひこちらもご活用ください。

よくある質問

Q: フォンブースの防音性能はどの程度ありますか?

A: フォンブースの防音性能はタイプによって異なりますが、建材型やフルクローズ型であれば、WEB会議や商談の会話が外に漏れにくい高い防音性を確保できます。セミクローズ型やパネルタイプは遮音性が控えめなため、用途に応じた選定が重要です。

Q: フォンブースを導入することでどんなメリットがありますか?

A: 防音性の高い空間で集中力が高まり、生産性の向上につながります。さらに、機密性の高い会話も安心して行えるほか、フロアがうるさくならず、オフィス全体の快適さを保てる点も大きなメリットです。

Q: フォンブースはどんなシーンで活用できますか?

A: フォンブースは、WEB会議や電話対応、集中作業、1on1ミーティング、面接や来客対応など、幅広いシーンで活用できます。特にハイブリッドワークやフリーアドレスのオフィス環境で、静かに話せる個室スペースとして重宝されています。


イラスト:Masaki

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オフィスに関するQ&A

Q1

オフィス移転や改装を検討しはじめるタイミングは、いつが良いですか?

A1

社員数や内容によって異なりますが、100名規模のオフィスの場合、移転予定の1年前、改装の場合は6か月前からの検討が理想です。
現状課題の整理や物件選定、レイアウト設計、施工期間などを考慮すると、余裕をもった準備期間を設けることでスムーズに進められます。
オカムラでは、初期段階からお客様のニーズや課題を伺い、スケジュール立案や検討資料づくりをサポートしています。 お問い合わせ

Q2

オフィスづくりを依頼すると、どこまでサポートしてもらえますか?

A2

オカムラでは、オフィスの企画・設計・施工・運用までを一貫してサポートします。
働き方や組織課題を丁寧にヒアリングし、レイアウト、家具、照明、ICT環境などを総合的にデザインします。
また、移転・改装後のアンケートや改善提案を通して、働き方の変化に寄り添った空間づくりを支援します。 オカムラのオフィスづくりソリューション

Q3

オフィス改装の費用はどのくらいかかりますか?

A3

改装の内容や規模、目的によって費用は大きく変わります。
例えば、部分的なリニューアルなのか、働き方改革を目的とした全面リニューアルなのかによっても必要な費用は異なります。
具体的な金額を知りたい場合は、現状の課題やご希望をお伺いしたうえで、最適なプランをご提案いたします。まずはお気軽にお問い合わせください。 お問い合わせ

Q4

まだ具体的な計画がなくても、相談して大丈夫ですか?

A4

もちろん大丈夫です。
多くのお客様が「何から始めればいいか分からない」という段階からご相談されています。
オカムラでは、丁寧なヒアリングを通して課題整理や事例紹介、スケジュール・費用感の目安提示など初期検討をサポートします。
「移転か改装か迷っている」、「まずはイメージを膨らませたい」など、どんな段階でもお気軽にご相談ください。 お問い合わせ

Q5

自社に合った働き方やレイアウトがわかりません。どうすれば良いですか?

A5

オカムラでは、オフィスづくりの初期検討をサポートする無料ツール「OFFICE KIT」をご用意しています。
質問に答えるだけで、自社に合った働き方の方向性やレイアウトタイプが見えてきます。
まだ具体的な計画がなくても活用できる内容です。ぜひ一度お試しください。 OFFICE KITで診断する