オフィスづくりのコラム

COLUMN

オフィスのミーティングスペース設置例を紹介!
空間を活用する方法は?

2025.10. 7
  • ABW
  • コミュニケーション

テレワークの浸透や働き方の多様化が進む中、オフィスの役割は「作業をする場所」から「人と交流し、新しい価値を生み出す場所」へと進化しています。そのなかでも注目されているのが、従業員同士のリアルな対話を促すミーティングスペースです。従来のフォーマルな会議室とは異なり、気軽に話せる空間をオフィス内に設ける企業が増えています。

本記事では、ミーティングスペースの定義や会議室との違い、設置するメリット、種類や導入事例、さらに利便性を高める工夫まで具体的に解説します。

目次

  1. ミーティングスペースとは? 会議室との違い
  2. 適切なミーティングスペースを設置するメリット
  3. ミーティングスペースの種類【事例付き】
  4. ミーティングスペースの利便性を上げる工夫
  5. オフィスにおけるミーティングスペースは交流と創造の拠点

1. ミーティングスペースとは? 会議室との違い

ミーティングスペースとは、従業員が気軽に集まって会議や打ち合わせ、情報交換などを行える空間のことです。特徴は「自由度の高さ」と「オープンさ」で、堅苦しさがなく、自然なコミュニケーションを促す点にあります。

一方で、似た役割を持つ会議室は、主に商談や意思決定などフォーマルな場面に使われることが多く、完全に仕切られたクローズドな空間です。

両者を整理すると以下のような違いがあります。

■ミーティングスペースと会議室の違い

 

ミーティングスペース

会議室

目的

情報交換、情報共有、アイデア出し

協議、意思決定、商談

シーン

カジュアル

フォーマル

仕切り

オープン、セミクローズ

クローズ

テレワークが一般化した今だからこそ、対面の価値が再認識されています。従来の「予定調和型の会議室」から、偶発的な出会いや気軽な相談ができるミーティングスペースへのシフトは、働き方改革の一環としても注目されているのです。

2. 適切なミーティングスペースを設置するメリット

オフィスにミーティングスペースを設けることは、単なる打ち合わせの効率化にとどまらず、従業員同士の交流や創造性を引き出す大きな効果があります。ここでは、代表的な3つのメリットを紹介します。

<適切なミーティングスペースを設置するメリット>

  • カジュアルで話しやすい雰囲気が生まれる
  • 使いたい時に使える偶発的な利用が可能
  • ミーティング以外の用途にも活用できる

●カジュアルで話しやすい雰囲気が生まれる

ミーティングスペースの大きな特徴は、オープンなつくりによって心理的な圧迫感が少なく、自然に会話を始めやすいことです。パーティションで閉じられていない空間や、リラックスできる家具配置は、上下関係を感じさせにくく、若手従業員や初対面の相手ともフラットに話しやすい雰囲気を生み出します。

結果として、普段の業務では生まれにくい意見交換やアイデアの共有が促進され、組織全体のコミュニケーション活性化に寄与します。フォーマルな会議室では得られにくい「柔らかいつながり」を生み出す点が、ミーティングスペースの大きな魅力です。

●使いたい時に使える偶発的な利用が可能

多くのミーティングスペースは予約制ではなく、フリーに使える設計になっています。そのため「ちょっと相談したい」「すぐに確認したい」と思ったときに、思い立ったその場でミーティングを始められるのが大きな利点です。

短時間で済む打ち合わせや立ち話感覚のすり合わせにも最適なので、わざわざ会議室を予約して移動する手間も不要になります。結果として、仕事のスピードが上がり、意思決定や行動がスムーズに進むようになるでしょう。このような偶発的に利用できる場があることで、従業員同士の対話が自然と増え、組織内のコミュニケーションもより活発になります。

●ミーティング以外の用途にも活用できる

ミーティングスペースは打ち合わせのためだけでなく、休憩やランチ、ちょっとした集中作業など、多目的に利用できる柔軟な場としても活用できます。用途が限定されないからこそ、従業員が自然に立ち寄りやすく、偶然の出会いや会話が生まれるきっかけになるのです。

また、イベントや勉強会などの社内コミュニティ活動の拠点としても活用できます。オープンな場に人が集まることで、新しいつながりやアイデアが生まれやすくなり、組織の一体感や創造性を高める効果が期待できるでしょう。

3. ミーティングスペースの種類【事例付き】

ミーティングスペースと一口にいっても、その形はさまざまです。用途や目的に合わせて設計を工夫することで、業務効率の向上やコミュニケーションの質の向上につながります。ここでは、代表的な種類とあわせて、実際の導入事例をご紹介します。

<ミーティングスペースの種類>

  • オープンミーティングスペース
  • セミクローズミーティングスペース
  • スタンドミーティングスペース
  • ステップベンチ×スクリーンミーティングスペース

●オープンミーティングスペース

ユニ・チャーム株式会社 様

オープンミーティングスペースとは、パーティションなどで区切らず、オフィスの一角に設けられた開放的な打ち合わせスペースです。フリーアドレスABWActivity Based Workingの広がりとともに注目され、気軽に利用できる場として多くの企業で導入が進んでいます。

オープンな雰囲気が心理的な距離を縮め、アイデアを共有しやすい環境です。ユニ・チャーム株式会社 様でも、従業員同士が立ち寄りやすい位置にオープンスペースを設け、偶発的なコミュニケーションや創発的なアイデア交換を促しています。

さらに、キャスター付きのテーブルやスタッキングチェア、可動式ホワイトボードを導入することで、利用シーンに応じて柔軟にレイアウトを変更できるのもポイントです。使い勝手の良さが、日常的な利用を促しています。

●セミクローズミーティングスペース

ローランド ディー.ジー.株式会社 様

セミクローズミーティングスペースは、パーティションや植栽などで周囲を部分的に囲い、一定のプライバシーを確保しながらも、完全に閉じない開放感を残した空間です。オープンさと落ち着きのバランスが取れているため、少人数での打ち合わせなどに適しています。

ローランド ディー.ジー.株式会社 様では、適度に視線を遮りつつも明るさを感じられる空間づくりにより、話しやすさと安心感を両立。プロジェクトメンバーや部署の仲間が集うやぐら型の「BUSHITSU(ブシツ)」は、4名までの会議に最適なスペースと大型モニターを備え、周囲に開かれたデザインが特徴です。フォーマルな会議室では硬くなりがちな対話も、こうした場であればリラックスして進められます。

●スタンドミーティングスペース

株式会社オカムラ

スタンドミーティングスペースは、高さのあるテーブルやハイスツールを設置し、立ったまま、または短時間だけ行う打ち合わせに適した空間です。座って行う会議に比べて集中力が持続しやすく、議論がスピーディーに進むため、会議時間の短縮にもつながります。

株式会社オカムラでは、このスタイルを積極的に導入し、短時間でのすり合わせや意思決定を効率的に実現。必要以上に長引かない打ち合わせ環境は、従業員の時間の有効活用を促し、業務全体の生産性向上にも寄与しています。

●ステップベンチ×スクリーンミーティングスペース

ユニ・チャーム株式会社 様

ステップベンチとスクリーンを組み合わせたミーティングスペースは、オープンな場でありながら多人数が集まりやすく、カジュアルな対話や情報共有を促す空間として機能します。段差のあるベンチに座ることで発言者と聞き手の視線が自然に集まり、プレゼンやディスカッションが進めやすいのも特徴です。

ユニ・チャーム株式会社 様では、オープンスペースにステップベンチと大型スクリーンを導入。従業員がリラックスした姿勢で参加できるため、心理的なハードルが下がり、自由な意見交換が生まれやすい環境を整えています。

4. ミーティングスペースの利便性を上げる工夫

ミーティングスペースを有効に活用するためには、ただ設置するだけでなく「使いやすさ」や「快適さ」を高める工夫が欠かせません。従業員が自然に集まり、ストレスなく活用できる空間であれば、日常的なコミュニケーションが活性化し、組織全体の生産性向上にもつながります。

ここでは、利便性を高めるための工夫をご紹介します。

<ミーティングスペースの利便性を上げる工夫>

  • 可動式家具の採用
  • 昇降式テーブルの導入
  • ミーティングスペースの配置の工夫
  • 吸音材・パーティションで話しやすさを確保
  • ICT環境を整えてリモート・ハイブリッドにも対応

●可動式家具の採用

ミーティングスペースをより柔軟に活用するには、可動式の家具を取り入れる方法があります。キャスター付きのテーブルやチェア、移動可能なホワイトボードなどを採用すれば、利用人数や目的に応じてレイアウトを簡単に変更できます。

例えば、少人数の打ち合わせから大人数でのディスカッション、さらにはイベントやワークショップまで、同じスペースを多目的に使い分けることが可能です。家具を自由に動かせる環境は、従業員の発想や行動を制限せず、利用頻度の向上にもつながります。

●昇降式テーブルの導入

利用者の好みや作業内容に合わせて高さを調整できる昇降式テーブルは、ミーティングスペースの利便性を高めるアイテムの一つです。立ったまま議論を進めるスタンディング形式と、座ってじっくり話し合う形式を柔軟に切り替えられるため、打ち合わせの目的や雰囲気に応じて最適な環境をつくることができます。

短時間でスピード感のある打ち合わせを行いたいときは立ち姿勢、長時間でじっくり検討が必要な場合は着席スタイルと、同じスペースを多用途に活用できるのが大きなメリットです。従業員にとっても、体勢を変えられることは集中力の維持やリフレッシュにつながり、快適な議論環境の実現に寄与します。

●ミーティングスペースの配置の工夫

利便性の高いミーティングスペースをつくるには、配置場所も重要なポイントです。従業員が自然に立ち寄れる場所にあることで利用頻度が高まり、日常的なコミュニケーションが生まれやすくなります。

例えば、エントランス横やカフェスペースの近くなど、気軽に集まりやすい場所に設ければ「ちょっと話そう」というシーンが自然に生まれやすくなるでしょう。また、壁際や柱周りなどのデッドスペースを活用して簡易的な打ち合わせエリアを設けるのも有効です。

さらに、執務室の中央に配置すれば、多くの従業員が目にするため利用を促しやすくなります。このように、動線や利用シーンを考慮した配置は、スペースそのものの価値を高めるのです。

●吸音材・パーティションで話しやすさを確保

オープンなミーティングスペースは利便性が高い半面、周囲の音や視線が気になるという課題もあります。そこで有効なのが、吸音材やパーティションを活用した設計です。

天井や壁に吸音パネルを取り入れることで、声が反響せず会話が聞き取りやすくなります。また、ローパーティションや観葉植物を配置することで、視線をやわらかく遮りながらも開放感を保つことが可能です。完全に閉じない「セミクローズ」な工夫を加えることで、プライバシーとオープン性を両立できます。

こうした工夫により、周囲を気にせず会話できる安心感が生まれ、ミーティングスペースの利用シーンがさらに広がるでしょう。

●ICT環境を整えてリモート・ハイブリッドにも対応

現代のミーティングスペースは、対面だけでなくリモートやハイブリッドでの利用を前提に設計することが求められます。ICT環境を整えることで、オンライン・オフラインを問わずスムーズなコミュニケーションが可能です。

例えば、ディスプレイやインタラクティブホワイトボードを設置すれば、オンライン会議でも対面と変わらない臨場感で議論が進められます。また、電源コンセントやWi-Fiアクセスポイントを充実させることで、従業員がどこからでも快適に参加できる環境を整えられるでしょう。

こうしたICTの整備は、利便性を高めるだけでなく、遠隔地のメンバーも含めた多様な働き方を支える基盤となります。物理的な制約を超えて、人と人をつなぐ仕組みを整えることは、これからのミーティングスペースに求められる要素として欠かせません。

5. オフィスにおけるミーティングスペースは交流と創造の拠点

オフィスのミーティングスペースは、従来の会議室のように「意思決定のための場」にとどまりません。カジュアルな対話や偶発的な出会いを生み出し、組織のコミュニケーションや創造性を高める拠点として機能します。

特にオープンタイプやセミクローズタイプのミーティングスペースは、従業員同士の心理的距離を縮め、アイデア創出のきっかけを与える重要な要素です。スタンド型やステップベンチ型など、目的に応じた多様なスタイルを取り入れることで、さらに柔軟で活発な交流が促されます。

大切なのは、自社の働き方や文化に合ったミーティングスペースを選び、日常的に活用される仕組みを整えることです。オフィスの一角に設けた小さな工夫が、組織全体の生産性やエンゲージメントを大きく変えていく可能性を秘めています。

オフィスに適切なミーティングスペースを設けることは、従業員同士の交流や創造性を引き出す大きなきっかけになるはずです。これからリニューアルを検討されている方は、オフィスづくりの基礎から実践までを学べる資料もぜひご覧ください。


イラスト:Masaki