
オフィスの照明が働きやすさを左右する!
照明の種類と選び方
オフィスの照明は、働きやすさや生産性に直結する重要な要素です。明るさや色温度の違いは集中力や快適さに影響を与えるだけでなく、デザイン性や空間の印象にも大きく関わってきます。また、省エネや環境配慮の観点からも、照明を見直す企業が増えています。
この記事では、オフィスの照明の役割から代表的な照明の種類、選び方、事例を通じて、快適で機能的なオフィスづくりのヒントを紹介します。
<目次>
1. オフィスの照明を重要視すべき理由

オフィスにおける照明は、単なる明るさの確保にとどまりません。社員の健康や集中力、コミュニケーションの促進、さらには企業のブランディングやコスト削減にも影響する重要な要素です。ここでは、オフィス照明がなぜこれほどまでに重要視されるのか、その理由を5つの視点から解説します。
<オフィス照明が重要な理由>
- 社員の健康を守る
- 集中力・生産性を高める
- コミュニケーションを促す
- ブランドイメージを演出する
-
コスト・環境負荷を抑える
社員の健康を守る
オフィスでの長時間作業において、照明は社員の身体的な負担を軽減する重要な役割を果たします。例えば、まぶしすぎる光や照度のムラは、眼精疲労や肩こり、頭痛、自律神経の乱れを引き起こす要因にもなりかねません。適切な明るさや色温度の照明を導入することで、目や体へのストレスを減らし、健康的に働ける環境を実現できます。特に休憩スペースには、暖かみのある照明を設けることで、リラックス効果を高め、心身のリフレッシュを促せるでしょう。
集中力・生産性を高める
社員のパフォーマンスを高めるには、オフィスの照明環境の整備が欠かせません。暗すぎたりまぶしすぎたりする環境では、集中力が続かず、作業効率が落ちてしまいます。照明の明るさや色味を適切にすることは、集中しやすく快適な状態を維持するための基本です。また、スペースの目的に応じて照明を使い分けることで、仕事と休憩のオンオフを切り替えやすくなり、結果として生産性の向上につながります。照明は、働く環境を最適化するために重要な要素なのです。
コミュニケーションを促す
照明は、空間の印象を大きく左右し、人と人との心理的な距離感にも影響を与えます。やわらかい光や適度な明るさの照明は、空間に安心感や温かみをもたらし、自然な会話を引き出す助けとなります。特にカフェスペースやフリースペースなど、社員がリラックスして過ごす場所では、明るさを抑えた落ち着いた照明が有効です。こうした照明環境は、社員同士の関係性を深め、活発なコミュニケーションを生み出す土台となります。
ブランドイメージを演出する
照明は、オフィスの印象を大きく左右し、企業のブランドイメージを視覚的に伝えるための重要な要素です。明るさや色味、照明器具の配置を工夫すれば、洗練された雰囲気や親しみやすさ、高級感など、来訪者に与える印象を自在に演出できます。空間全体のデザインコンセプトに合わせて照明を選定・配置することで、企業の世界観や価値観を一貫して表現し、他社にはない独自性を生み出せます。
コスト・環境負荷を抑える
オフィス照明を見直すことで、ランニングコストの削減と環境負荷の軽減も両立できます。例えば、LED照明や人感センサーを導入することで、無駄な点灯を防ぎ、光熱費の大幅な削減が可能です。LEDは使用できる期間が長く、交換頻度も少ないため、メンテナンスや交換にかかるコストも抑えられます。さらに省エネ性能の高い照明設備は、CO₂排出量の削減にも貢献し、企業の脱炭素経営やESGへの取り組みにおいても高く評価される要素となるでしょう。
2. オフィスの照明計画の考え方
オフィス照明を選ぶ際には、照明器具そのものの種類やデザインだけでなく、「空間をどのように照らすか」という全体の照明計画が重要です。照明計画とは、空間の用途や働き方に応じて、明るさ・色温度・照らし方をゾーンごとに設計し、「働きやすさ」「省エネ」「デザイン性」などをバランスよく満たすことを目指すものです。
その中でも、オフィスで多く採用されている代表的な照明方式が以下の2つです。ここでは、それぞれの特徴と活用シーンについて解説します。
<オフィスで主に取り入れられる照明方式>
- オフィス全体を均一に照らす「全般照明方式」
- 作業と空間の明るさを分けて設計する「タスク・アンビエント照明方式」
全般照明方式
全般照明方式は、天井に照明を均等に配置し、オフィス全体を均一な明るさで照らす方式です。どの席にいても一定の照度が確保されるため、従来型の固定席オフィスで多く採用されています。照明器具の配置がシンプルなので、レイアウト変更時にも再設計の手間がかかりません。また、導入や維持のコストを抑えやすい、運用面しやすいのも特徴です。一律の明るさが求められる執務スペースや会議室など、ベーシックな照明方式として広く活用されています。
タスク・アンビエント照明方式
タスク・アンビエント照明方式は、作業(タスク)に必要な場所の照明と、空間(アンビエント)全体の照明を分けて設計する方式です。例えば、デスクや会議テーブルなど、手元で作業を行う場所には十分な明るさを確保し、それ以外の周辺エリアには控えめで落ち着いた照明を取り入れることで、余計な光の刺激を減らし、作業に集中しやすい環境を実現できます。このように、空間ごとに光の強弱を調整することで、省エネと快適さの両立が可能です。特に、フリーアドレスやABW(Activity Based Working)など多様な働き方が求められるオフィスにおいて、有効な照明計画として注目されています。
オフィスでは、働き方やレイアウトに応じて「全般照明方式」と「タスク・アンビエント照明方式」を使い分けるのが一般的です。照明計画を立てる際には、ただ明るさを確保するだけでなく、「どんな働き方を支えたいか」「来訪者にどんな印象を与えたいか」といった目的をあらかじめ整理しておくことが、機能性とデザイン性を兼ね備えた空間づくりを成功させるカギとなります。
3. オフィスにおける照明の種類
オフィスで使われる照明には、空間の用途や目的に応じてさまざまな種類があります。ここでは、オフィスでよく使われる代表的な照明6種類について、役割や使用シーンとともに紹介します。
<オフィスにおける照明の種類>
- ベースライト
- ダウンライト
- ペンダントライト
- スポットライト
- 間接照明
- ライン照明
ベースライト

ベースライトは、オフィス全体を均一に照らす基本的な照明です。視認性が高く、長時間の作業でも目が疲れにくい明るさを確保できるため、執務スペースや会議室など、安定した照度が求められる場所に多く採用されています。
ダウンライト

ダウンライトは、天井に埋め込むタイプの照明で、光源が見えにくいため空間をすっきりと見せることができます。シンプルかつ洗練された印象を演出できるため、エントランスや会議室など、来訪者の目に触れやすい場所でよく使われています。
ペンダントライト

ペンダントライトは、天井から吊り下げるタイプの照明で、デザイン性が高く、空間のアクセントとして活用されます。特に、カフェスペースやリフレッシュルームなど、くつろぎを重視した空間に適しており、温かみのある光でリラックスした雰囲気を演出できます。照明そのものがインテリアとして機能する点も大きな特徴です。
スポットライト

スポットライトは、光を一点に集中させて照らす照明で、展示物や壁面など特定の対象を強調したいときに効果的です。プレゼンテーションスペースや企業理念を掲げた壁、アート作品のライトアップなどに活用することで、視線を集めたい場所にメリハリを加えられます。空間に動きや個性を与える演出手段としても有効です。
間接照明

間接照明は、壁や天井に光を反射させて空間を照らす照明で、やわらかく自然な明るさを作り出します。ラウンジやエントランスなど、落ち着きや高級感を求める場所に最適です。光源が直接見えないため目にも優しく、リラックスできる空間を演出できます。
ライン照明

ライン照明は、直線的に配置された細長い照明器具で、デザイン性と機能性を兼ね備えた照明です。廊下や執務スペース、会議室などに導入されることが多く、空間に現代的な印象を与えます。光が均一に広がりやすいため、広い空間でも明るさにムラが出にくく、作業効率や視認性の向上にも有効でしょう。
4. オフィス照明の選び方
オフィスの照明は、ただ明るければ良いというものではありません。働きやすさや空間の印象、省エネ効果など、さまざまな要素に関わるため、複数の視点から選ぶことが大切です。ここでは、「明るさ」「色合い」「デザイン」「機能」「コスト」の5つのポイントに沿って、照明の選び方を紹介します。
<照明を選ぶ際の5つのポイント>
- 明るさ(照度)
- 色合い(色温度)
- デザイン・配置
- 機能性(センサー・調光)
- コスト・環境性
明るさ(照度)
照明は、用途ごとに適切な明るさ(照度)を確保することが重要です。オフィス全体を一律の明るさにするのではなく、執務スペース、会議室、休憩スペースなど、エリアに応じて明るさを調整することで、快適さと効率を両立できます。
■用途別に見る明るさの目安
|
用途 |
目安 |
詳細 |
|
執務スペース |
750ルクス前後 |
細かい文字や資料を見る作業が多いため、明るめに設定する |
|
会議室 |
500ルクス前後 |
プレゼンや資料確認に適した明るさにする |
|
休憩スペース |
100~300ルクス前後 |
強い光を避けてリラックスできる明るさにする |
|
廊下/共用スペース |
100~200ルクス |
移動の安全性を確保しつつ、省エネも意識する |
色合い(色温度)
照明の色味である色合い(色温度)は、空間の雰囲気や心理的な印象に影響します。目的に応じて使い分けることで、集中力を高め、リラックスしやすい環境が実現可能です。
■色合いの目安と用途の例
|
色合い |
特長 |
目安 |
用途の例 |
|
昼光色 |
青白い光 |
5000~7000K前後 |
集中力を高めたい執務スペースに最適 |
|
昼白色 |
中間の光 |
4000~5000K前後 |
バランスが良く、会議室や多目的スペースに向いている |
|
電球色 |
オレンジ系の光 |
3000K前後 |
リラックスできる休憩室やラウンジに適している |
デザイン・配置
照明の種類や配置は、空間の印象づくりに大きく関わります。例えば、ダウンライトを使えば洗練された印象になり、ペンダントライトを使えば親しみやすさやデザイン性を高められます。どの照明を、どこに、何のために使うかを明確にすることが照明選びのポイントです。
■照明の種類と用途の例
|
種類 |
イメージ |
用途の例 |
|
ダウンライト |
シンプルで洗練された印象 |
・エントランス ・会議室 |
|
ペンダントライト |
親しみやすさやインテリアのアクセント |
・カフェスペース ・リフレッシュルーム |
|
スポットライト |
特定の対象を強調 |
・展示スペース ・理念を掲げた壁、アート作品 |
|
間接照明 |
柔らかさや落ち着き、高級感 |
・ラウンジ ・エントランス |
|
ライン照明 |
モダンで統一感のある印象 |
・廊下 ・執務スペース |
機能性(センサー・調光)
オフィス照明には、人感センサーや調光・調色機能など、便利で省エネにつながる機能があります。時間帯やシーンに合わせて照明を切り替えることで、同じ空間でも多目的に活用できます。
<照明の主な機能>
- 人感センサー:人がいないときに自動で消灯するため、無駄な点灯を防いで省エネにつながる
- 調光機能:時間帯に応じて明るさを変えられる
- 調色機能:会議やワークショップ時は白色、懇親会では暖色にするなど、シーンに合わせた使い分けが可能
コスト・環境性
照明は、導入コストだけでなく、電気代や交換の頻度といったランニングコストも考慮しましょう。LED照明は初期投資はやや高いものの、消費電力が少なく使用できる期間も長いのが特徴です。長期的に見て大幅なコスト削減につながるだけでなく、省エネ照明の導入はCO₂排出量の削減にも貢献します。企業の脱炭素経営やESG(環境・社会・ガバナンス)対応の一環としても重要な取り組みです。
5. 照明にこだわっている企業の事例
照明は、働きやすい環境を作るだけでなく、企業ごとの働き方や空間の使い方を表現する手段としても活用されています。ここでは、実際に照明を工夫して取り入れている企業の事例を紹介します。
5段階の色味調整と121種類のカラー演出で自然の光を感じられるリフレッシュスペース

株式会社YEデジタル 様では、窓のないオフィス内でも自然の光を感じられるように、照明による工夫が凝らされたリフレッシュスペースを設けています。特徴的なのが、5段階の色味調整と121種類のカラー演出を可能にした照明です。これにより、生木の育成に必要な光を再現するとともに、朝・昼・夕といった時間帯の変化を光で演出し、社員の体内リズムの調整にもつながっています。業務から一時的に離れて心身を整える空間として、照明が大きな役割を果たしています。




サービスコンセプトを形にした"見せられる"オフィス|株式会社YEデジタル
用途に合わせた照明計画により機能性とデザイン性を両立

株式会社エスユーエス 様では、執務エリアやチームリビング、会議室など、用途の異なる空間をシームレスにつなげたレイアウトを採用しています。各エリアの目的に応じて照明の種類や明るさを使い分けることで、集中して働ける場所とリラックスして過ごせる場所のメリハリを演出。特に、用途に応じた光の明暗と照明デザインの工夫により、働く人の集中と交流をバランスよく促し、快適で印象的なオフィス環境を実現しています。




6. オフィスづくりでは、働き方やブランドに合った照明選びを
オフィス照明は、ただ空間を明るくするだけでなく、社員の健康や集中力、コミュニケーション、そして企業の印象や価値にも大きく影響します。照明の種類や明るさ、色合い、配置を工夫することで、働きやすさと企業らしさを両立した空間づくりが可能です。
オフィスづくりでは、つい机や椅子などの什器に目が向きがち。しかし、照明もまた、働き方やブランドにふさわしい環境を整えるために欠かせません。空間全体の印象を左右する要素として、照明計画にも意識を向けることが大切です。
以下の資料では、照明を上手に活用したオシャレなオフィス事例を多数ご紹介しています。照明選びのヒントに、ぜひご活用ください。
よくある質問
Q: オフィス照明の適切な明るさはどれくらいですか?
A: 適切なオフィスの明るさは、スペースの用途や目的によって異なります。目安としては、執務スペースでは750ルクス前後、会議室では500ルクス前後、休憩スペースでは100〜300ルクス前後です。用途に応じた照度設計を行うことで、作業効率や快適性の向上につながります。
Q: オフィス照明におすすめの種類を教えてください。
A: おすすめの照明は、空間の用途によって異なります。執務エリアには均一に明るさを確保できる「ベースライト」、会議室やエントランスにはすっきり見せられる「ダウンライト」、カフェスペースには雰囲気づくりができる「ペンダントライト」などがおすすめです。用途や目的に合わせて照明を使い分けることを意識すると良いでしょう。
Q: オフィス照明をLEDにするとどんなメリットがありますか?
A: LED照明は、省エネ性と長寿命が特長で、光熱費の削減や保守コストの低減に効果があります。さらに、人感センサーや調光機能と組み合わせることで、不要な点灯を抑え、電力消費の効率的な管理が可能です。こうした取り組みは、企業の脱炭素経営やESG対応にもつながります。
イラスト:Masaki
おすすめ記事
新着納入事例
オフィスに関するQ&A
- Q1
オフィス移転や改装を検討しはじめるタイミングは、いつが良いですか?
- A1
社員数や内容によって異なりますが、100名規模のオフィスの場合、移転予定の1年前、改装の場合は6か月前からの検討が理想です。
現状課題の整理や物件選定、レイアウト設計、施工期間などを考慮すると、余裕をもった準備期間を設けることでスムーズに進められます。
オカムラでは、初期段階からお客様のニーズや課題を伺い、スケジュール立案や検討資料づくりをサポートしています。 お問い合わせ
- Q2
オフィスづくりを依頼すると、どこまでサポートしてもらえますか?
- A2
オカムラでは、オフィスの企画・設計・施工・運用までを一貫してサポートします。
働き方や組織課題を丁寧にヒアリングし、レイアウト、家具、照明、ICT環境などを総合的にデザインします。
また、移転・改装後のアンケートや改善提案を通して、働き方の変化に寄り添った空間づくりを支援します。 オカムラのオフィスづくりソリューション
- Q3
オフィス改装の費用はどのくらいかかりますか?
- A3
改装の内容や規模、目的によって費用は大きく変わります。
例えば、部分的なリニューアルなのか、働き方改革を目的とした全面リニューアルなのかによっても必要な費用は異なります。
具体的な金額を知りたい場合は、現状の課題やご希望をお伺いしたうえで、最適なプランをご提案いたします。まずはお気軽にお問い合わせください。 お問い合わせ
- Q4
まだ具体的な計画がなくても、相談して大丈夫ですか?
- A4
もちろん大丈夫です。
多くのお客様が「何から始めればいいか分からない」という段階からご相談されています。
オカムラでは、丁寧なヒアリングを通して課題整理や事例紹介、スケジュール・費用感の目安提示など初期検討をサポートします。
「移転か改装か迷っている」、「まずはイメージを膨らませたい」など、どんな段階でもお気軽にご相談ください。 お問い合わせ
- Q5
自社に合った働き方やレイアウトがわかりません。どうすれば良いですか?
- A5
オカムラでは、オフィスづくりの初期検討をサポートする無料ツール「OFFICE KIT」をご用意しています。
質問に答えるだけで、自社に合った働き方の方向性やレイアウトタイプが見えてきます。
まだ具体的な計画がなくても活用できる内容です。ぜひ一度お試しください。 OFFICE KITで診断する












