執務室とは?
役割やレイアウト・デザインのポイントを解説【事例あり】

2026年8月4日公開
  • レイアウト
  • 生産性

執務室は、従業員が一日のうち最も長く過ごすスペースです。テレワークやハイブリッドワークが普及した現在、執務室は単なる「作業の場」にとどまらず、コミュニケーションの活性化や生産性の向上、企業文化の体現など、複数の役割を担うようになっています。

本記事では、執務室の定義や役割、代表的なレイアウトの種類、デザインのポイント、家具選びの基準まで解説します。

目次

1. 執務室とは?

株式会社YEデジタル 様

執務室とは、社員が日常業務を行うスペース全体を指す言葉で、デスクやパソコン、OA機器などが集まるオフィスの中心的な空間です。2026年のオカムラの調査によると、オフィス全体の約半分を執務エリアが占めているというデータもあり、10年ごとの変化を見ると、執務室が占める割合は徐々に増加しています。執務室は、オフィスの中で社員が最も長い時間を過ごす場所であり、執務室の環境が働きやすさを大きく左右すると言っても過言ではありません。

なお、執務室と似た言葉に「執務スペース」や「ワークエリア」がありますが、いずれも社員が業務を行う空間を指す言葉として、ほぼ同じ意味で使われることがほとんどです。

2. 近年の執務室に求められている役割

テレワークやハイブリッドワークが普及した現在、出社する目的やオフィスに期待されることが変化しています。執務室は単なる「作業の場」にとどまらず、次のような複数の役割を担うようになっています。

集中して働ける

在宅勤務では自宅環境によって集中度にばらつきが出やすく、「確実に集中できる環境」を求めてオフィスに出社する社員も少なくありません。個人作業に適したブース席やパーティションなど、集中を妨げない設備・レイアウトが執務室に求められています。

チーム内の連携を支える

テレワークの普及により、対面でのコミュニケーション機会が減った分、出社時にチームで話し合いやすい環境を整備する重要性が高まっています。ミーティングスペースの設置や会話が生まれやすい動線設計が、日常的な連携のしやすさに直結するでしょう。

リラックスしながら働ける

長時間のデスクワークが想定される執務室では、気分転換や姿勢のリセットができるスペースが生産性の維持につながります。ソファ席やカウンターテーブルなど、通常のデスクとは異なる座り方・働き方ができるゾーンを執務室内に設けると、気分を切り替えやすくなるのでおすすめです。

企業のカルチャーを表現する

執務室のデザインや空間の雰囲気は、企業のブランドや価値観を体現する場としての役割も担います。例えば、オープンで風通しのよいレイアウトは「フラットな組織文化」を、こだわりのある素材やデザインは「品質やクリエイティビティへのこだわり」を体現することができます。採用活動においても、執務室の雰囲気は候補者が「ここで働きたい」と感じるかどうかに影響する要素の一つです。

3. 執務室の代表的なレイアウト

執務室のレイアウトは、部署の業務内容や組織の規模、コミュニケーションの取り方によって最適な形が異なります。代表的な5種類のレイアウトを見ていきましょう。

対向型

対向型は、同じ部署のメンバーが向かい合う形でグループを組むレイアウト。隣や正面のメンバーと自然に会話しやすく、情報共有やちょっとした相談がしやすいのが特徴です。スペース効率が高く増員にも対応しやすいため、営業やカスタマーサポートなど、チームワークを重視する際に向いています。

背面型

背面型は、チームメンバーと背中合わせでグループを形成するレイアウトです。前方が通路や他チームになるため、個人の作業に集中しやすい環境をつくりやすくなります。振り返るとチームメンバーと向き合えるため、集中と連携を両立しやすく、エンジニアやデザイナーなど専門職のレイアウトに向いています。

縦横型

縦横型は、デスクを縦横にクロスさせ、あえて入り組んだ動線をつくるレイアウトです。通路を行き来する中で異なるチームのメンバーと自然に会話が生まれやすくなります。部署間のコミュニケーションを促進したい場合や、部門横断の連携が多い組織に向いています。

グリッド型

グリッド型は、空間を統一されたモジュールで区画し、ユニットごとに機能を割り当てるレイアウトです。チームごとに必要な環境を選択できるため、業務特性が異なる社員が混在する場合に適しています。将来的なレイアウト変更に柔軟に対応しやすい点も特徴です。

自由型

自由型は、特定の型に縛られず、企業のコンセプトや働き方に合わせて自由に設計するレイアウト。ソファ席・スタンディングデスク・ラウンジエリアなど、多様な家具・ゾーンを組み合わせやすく、ABWを導入するオフィスとの相性が良いのが特徴です。

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4. 執務室をデザインする際のポイント

ここでは、執務室をデザインする際に押さえておきたいポイントを紹介します。

コンセプトの設計

執務室のデザインを進める前に、「どのような働き方を実現したいか」「現状の課題は何か」を整理し、コンセプトを設計しておくことが重要です。コンセプトが明確になると、デザインの方向性に一貫性が生まれます。

例えば、「コラボレーションが生まれるオフィス」をコンセプトにするなら、会話が生まれやすいオープンな空間や動線の工夫が必要です。反対に「集中できるクリエイティブなオフィス」をコンセプトにするなら、静かなゾーンの確保や個人作業に適した家具の選定も優先すべき事項になるでしょう。このように、コンセプト次第で設計の方向性が変わるのです。

1人当たりのスペースとデスクサイズ

執務室をデザインする際は、1人当たりのスペースを適切に確保することが快適な作業環境の前提になります。一般的なデスクサイズは幅1200mm・奥行き700mm程度が標準で、モニターを複数使用する場合は幅広のデスクが望ましいでしょう。また、デスクでの作業時間が短い営業職と、長時間デスク作業を行う技術職、事務職ではデスクサイズを柔軟に調整することも大切です。

通路幅の設計

執務室のデザインにあたっては、オフィス内をスムーズに移動できるよう通路幅や動線の設計も重要になります。メイン通路は、人がストレスなく通れるよう1600mm以上を目安に確保すると良いでしょう。そのほかにも、デスク(座席側)と通路のスペース、両側がデスク(座席側)同士のスペースも同様に1600mm程度確保しておけると安心です。

各通路幅の目安寸法は下図を参照してください。

■通路幅の目安

動線の設計

執務室の動線は、コンセプトや働き方に合わせて設計することが重要です。例えば、「コミュニケーションを活性化したい」というコンセプトであれば、社員が自然と顔を合わせやすくなるような動線を意図的につくることが有効です。

具体的には、コピー機・給湯室などの共用設備をオフィスの中央に配置することで、異なるチームのメンバーが自然に顔を合わせる機会が生まれます。また、連携が多いチーム同士を近くに配置することでも、日常の動線の中でコミュニケーションが生まれやすくなるでしょう。

カラー・照明・グリーンの活用

執務室のカラーや照明、グリーンは、社員の集中力や気分、疲労感に直接影響する要素であり、比較的取り入れやすいのもポイントです。

■カラー・照明・グリーンの活用方法

種類

用途

カラー

壁や家具の色は空間の印象を左右する。集中を促したい執務エリアにはホワイト・グレー・ベージュなど落ち着いたトーン、コミュニケーションを活性化したいエリアにはアクセントカラーを取り入れるのも有効

照明

執務室の照明は作業効率に影響する。デスク作業には750ルクス前後の明るさが推奨されており、エリアごとに照度を変えることで集中とリラックスを切り替えやすくなる

グリーン

オフィスにグリーンを置くことで、ストレス軽減や空気環境の改善に効果があるとされている。デスク周りや通路などに取り入れることで執務室全体の居心地が向上する

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5. 執務室のデザイン事例

コンセプトに合わせた執務室の設計が社員の働きやすさにつながります。ここでは、実際の執務室のデザイン事例を見ていきましょう。

社員同士の健康とコミュニケーションに配慮した執務空間

執務エリア

株式会社シバタ 様では、社員一人ひとりがより健康で幸せに働ける環境づくりの一環として、別々の場所にあった営業本部と首都圏事業部を移転・統合し、新たなオフィスを構えました。執務エリアの中央には低めのキャビネットを配置することで、部署ごとのエリアをゆるやかに分けながら、収納量を確保。立ち話や雑談も生まれやすい設計にしています。

また、特徴的なのは全席に導入された電動昇降デスク。これにより立ち作業への切り替えが可能になり、座り過ぎによる健康リスクを軽減。シェルフで区切られた共有エリアには、ハイテーブルをはじめとする多様な席が並び、クイックな打ち合わせや一時的な作業スペースとして活用されています。働きやすさとコミュニケーションの両面に配慮された執務空間です。

共有エリア

固定席+共有エリアで集中と交流を両立。70周年企業の新拠点|株式会社シバタ

集中と交流がゆるやかにつながる執務空間

ベースワークエリア

福井コンピュータホールディングス株式会社 様では、北陸新幹線の延伸を機に、福井県内3拠点目となる新オフィス「Visionary Hub Fukui」を福井駅前に開設しました。執務フロアとなる13階は、「コミュニケーションエリア」「ベースワークエリア」「フォーカスエリア」の3つにゾーニング。

社員同士の交流を重視し、カフェカウンターやソファ、コーヒーメーカーなどが設置された「コミュニケーションエリア」と、パネルに囲まれた電動昇降デスクやフルクローズ型のワークブースが設置された「フォーカスエリア」。そして執務フロア中央に配置された「ベースワークエリア」は、交流と集中をゆるやかにつなぐ空間として、適度なコミュニケーションを取りながら執務ができる空間となっています。

コミュニケーションエリア
フォーカスエリア

社内外の交流とイノベーションを生み出すオフィス|福井コンピュータホールディングス株式会社

活発なコミュニケーションを生む執務空間

執務エリア

日東電工株式会社 様は、尾道事業所が抱えていた「会議室が少ない」「執務エリアが狭い」「休憩室がない」といった課題に、新棟を増築することで解決に取り組みました。増築後の執務エリアでは、グループアドレスを採用し、部署内のコミュニケーションも活発に。従来使用していたデスクの他、昇降デスクや台形デスクなど数種類があり、その日の気分によって自由に選択できます。

また、ミーティング席を執務席と色違いのカーペットでゾーニングし、壁側にはワークブースを設置。社員食堂内にはリフレッシュエリアを設けることで、当初抱えていた課題を解消しながら、社員同士の交流とつながりを生む執務空間となっています。

ワークブース(執務エリア)
リフレッシュエリア(社員食堂)

「これからのNittoを支えていく」若手中心のプロジェクトとともに|日東電工株式会社

6. 執務室で利用する主要家具と選び方

執務室の家具は、社員が長い時間使うものだからこそ、デザインだけでなく機能性・耐久性・空間との調和を総合的に考えて選ぶことが重要です。ここでは、執務室で利用する主要家具を選ぶポイントを紹介します。

デスク

デスクは執務室の中心となる家具であり、業務内容に合ったサイズ・形状を選ぶことが基本です。近年は姿勢の変化や健康への意識の高まりから、座位と立位を切り替えられる電動昇降デスクを導入する企業も増えています。長時間のデスクワークによる腰への負担を軽減できるほか、気分転換にもなり集中力の維持にもつながるでしょう。

デスク|オカムラの製品情報

チェア

一日の大半を過ごす椅子は、座り心地と身体へのフィット感が社員の健康と生産性に直結します。腰・背中を支えるランバーサポートや、座面・アームレストの高さ調整といった機能があるものを選ぶと、体格の異なる社員それぞれに合わせやすいのでおすすめです。フリーアドレスやABW、共用席には、調整範囲が広く耐久性の高いモデルが向いています。

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チェア|オカムラの製品情報

収納

執務室の整理整頓は、作業効率と空間の印象に直接影響します。デスクサイドの個人ロッカーや書類キャビネットなど、用途に応じた収納を適切に配置することで、デスク周りをすっきり保てるでしょう。また、収納をあえてオープンにして「見せる収納」として活用する方法も。空間の抜け感やデザイン性を高める効果も期待できます。

収納・ラック・ロッカー|オカムラの製品情報

ワークブース

ワークブースは、執務室内に設置する個室・半個室タイプの集中スペースで、WEB会議や集中作業によく活用されています。天井付きのボックス型や遮音・吸音性能のあるパネルなど形状はさまざまで、執務室の広さや求める遮音レベルに応じて選べるのが特徴です。会議室を占有せずに個室環境をつくれるため、スペース効率の改善にもなるでしょう。

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ワークブース|オカムラの製品情報

カジュアルワーク向け家具

ソファやロビーチェア、ハイテーブル・カウンターテーブル、ファミレス席など、通常のデスクとは異なる姿勢や雰囲気で働けるゾーンをつくる家具を活用する方法も。ソファ・ラウンジチェアはリラックスした姿勢での作業や気分転換に、ハイテーブル・カウンターテーブルはスタンディングやカジュアルなミーティングに向いています。ファミレス席は気軽なコミュニケーションを促す効果も期待できるでしょう。

ソファ・ロビーチェア|オカムラの製品情報

7. 執務室の環境を整えて、社員の働きやすさを高めよう

執務室は社員が一日の大半を過ごす場所だからこそ、社員の働きやすい環境を整えることで、社員満足度や生産性の向上につながります。

執務室づくりで重要なのは、まず「どのような働き方を実現したいか」というコンセプトを明確にすることです。コンセプトを起点に、レイアウトや動線、家具などを組み合わせていくことで、社員が長く働きたいと思える執務室をつくれます。

オカムラでは、課題の把握から設計、施工、家具の選定まで、トータルでオフィスづくりをサポートしています。オフィスの新設や移転、改装をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。

移転・改装など空間づくりに関するご相談

よくある質問

Q:執務室のレイアウトにはどのような種類がありますか?

A執務室の代表的なレイアウトには、対向型・背面型・縦横型・グリッド型・自由型の5種類があります。「チームワークを重視したい」「集中しやすい環境を整えたい」「部署を超えたコミュニケーションを活性化したい」など、目指す働き方やコンセプトに合わせて選ぶことが重要です。

Q:執務室の1人当たりのデスクスペースの目安はどのくらいですか?

A1人当たりのデスクスペースの目安は、幅1200mm・奥行き700mm程度で、モニターを複数使用する場合は幅広のデスクが望ましいでしょう。また、デスクでの作業時間によってデスクサイズを柔軟に調整することも大切です。

Q:執務室をデザインする際のポイントを教えてください。

A執務室をデザインする際は、まず「どのような働き方を実現したいか」というコンセプトを明確にすることが出発点です。その上で、レイアウトや動線設計、カラー・照明・グリーンの活用、家具の選定など、複数の要素を組み合わせながら空間全体を設計していくことが重要です。また、執務室のデザインにおいては1人当たりのデスクスペース、通路幅の確保も重要なポイントになります。


イラスト:Masaki

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オフィスづくりに関するQ&A

Q1

オフィス移転や改装を検討しはじめるタイミングは、いつが良いですか?

A1

社員数や内容によって異なりますが、100名規模のオフィスの場合、移転予定の1年前、改装の場合は6か月前からの検討が理想です。
現状課題の整理や物件選定、レイアウト設計、施工期間などを考慮すると、余裕をもった準備期間を設けることでスムーズに進められます。
オカムラでは、初期段階からお客様のニーズや課題を伺い、スケジュール立案や検討資料づくりをサポートしています。 お問い合わせ

Q2

オフィスづくりを依頼すると、どこまでサポートしてもらえますか?

A2

オカムラでは、オフィスの企画・設計・施工・運用までを一貫してサポートします。
働き方や組織課題を丁寧にヒアリングし、レイアウト、家具、照明、ICT環境などを総合的にデザインします。
また、移転・改装後のアンケートや改善提案を通して、働き方の変化に寄り添った空間づくりを支援します。 オカムラのオフィスづくりソリューション

Q3

オフィス改装の費用はどのくらいかかりますか?

A3

改装の内容や規模、目的によって費用は大きく変わります。
例えば、部分的なリニューアルなのか、働き方改革を目的とした全面リニューアルなのかによっても必要な費用は異なります。
具体的な金額を知りたい場合は、現状の課題やご希望をお伺いしたうえで、最適なプランをご提案いたします。まずはお気軽にお問い合わせください。 お問い合わせ

Q4

まだ具体的な計画がなくても、相談して大丈夫ですか?

A4

もちろん大丈夫です。
多くのお客様が「何から始めればいいか分からない」という段階からご相談されています。
オカムラでは、丁寧なヒアリングを通して課題整理や事例紹介、スケジュール・費用感の目安提示など初期検討をサポートします。
「移転か改装か迷っている」、「まずはイメージを膨らませたい」など、どんな段階でもお気軽にご相談ください。 お問い合わせ

Q5

自社に合った働き方やレイアウトがわかりません。どうすれば良いですか?

A5

オカムラでは、オフィスづくりの初期検討をサポートする無料ツール「OFFICE KIT」をご用意しています。
質問に答えるだけで、自社に合った働き方の方向性やレイアウトタイプが見えてきます。
まだ具体的な計画がなくても活用できる内容です。ぜひ一度お試しください。 OFFICE KITで診断する