
オフィスのカフェエリアが注目される理由と活用法を解説
在宅勤務からオフィスへと人が戻りつつある中、改めて「カフェエリア」へ注目が集まっています。以前のオフィスでは喫煙室が休憩や談話の役割も担っていましたが、時代の変化とともに喫煙室は減少。一方でオフィス内にカフェエリアをつくり、コミュニケーションの起点とする場面も増えてきています。休憩する場としてだけではなく、執務エリアや会議室とは異なる特性を持ったワークスペースとして、カフェエリアが機能するシーンが増えているのです。
そこで今回は、いまカフェエリアが注目されている背景や得られるメリット、そして空間をより有効に活用してもらうためのアイデアまでを一挙にご紹介します。
目次
- オフィスのカフェエリアがなぜ注目されている?
- カフェエリアがもたらす4つのメリットと仕掛けアイデア
- 応用編・カフェエリアの活用方法
- まとめ
1. オフィスのカフェエリアがなぜ注目されている?
■オフィスの中のカフェエリアとは?
カフェエリアとは、ドリンクや軽食などの仕掛けによってワーカーが自然と集まり、会話が生まれることを目的としたスペースを指します。「マグネットスペース」としての機能を果たしているケースもあり、企業によって詳細な定義は異なります。このコラムでは、カフェ・カフェエリア・カフェスペース・カフェテリア・食堂・リフレッシュエリアを下記の通りに区別しました。
カフェ : オフィスにバリスタや専門スタッフが常駐し、コーヒーを中心としたドリンク提供サービスを付帯する空間。
カフェエリア/カフェスペース : オフィス内に設けられた、軽食や飲み物が置いてあるエリアやスペース。
カフェテリア/食堂 : 食事を提供する場所を指す。広いスペースを持ち、大勢の人が同時に食事をすることができるように設計されていることが多い。
リフレッシュエリア : 従業員がリラックスしたり休憩したりするために設けられるエリアを指す。
■多様なカフェエリアのデザイン事例
ここでは、バラエティに富んだカフェエリアの実例を3つご紹介します。

ドリンクコーナーのそばにカウンターテーブルとハイチェアを配置し、立ち話のようなカジュアルな会話ができる場を実現。

キッチンスペースに電子レンジやコーヒーマシンなどを設置。飲食の準備をしに来た人と、カウンターで作業をする人が出会いやすくなる仕掛け。

フロアの中央に四面のカウンターとドリンクコーナーを設置。執務中のリフレッシュはもちろん、カジュアルなイベントも実施できるスペースに。
■食堂・カフェエリアを設置する理由
企業における食堂・カフェエリアの役割に注目が集まっています。そして、従来のように単なる休憩スペースとしてだけではなく、さまざまな機能を持ったものに変化しています。
その背景には、社員同士のカジュアルなコミュニケーションを活性化させたいという企業側の狙いがあります。部署や役職の垣根を越えた何気ない会話は、ときに斬新な発想や新たな交流の種となるからです。業種・企業問わずイノベーションが求められる昨今、従来の執務スペースや会議室にはなかった空間をつくることで、現場から生まれる新たなアイデアへの期待が高まっているのです。
2. カフェエリアがもたらす4つのメリットと仕掛けアイデア
■カフェエリアのメリット
・コミュニケーション活性化
オープンなカフェエリアでは、よりカジュアルな交流や意見交換が発生しやすくなります。プライベートな話もしやすくなるため、それまで知らなかった互いの人柄や意外な一面を知るきっかけとなり、ワーカーの心理的安全性やエンゲージメント向上にもつながるでしょう。
・仕事の生産性向上
開放的なカフェエリアで作業をすることで気分が切り替わり、メリハリがつけられるでしょう。また休憩で立ち寄るついでに他の人と雑談をすることで気分転換もでき、集中力の維持や生産性アップが期待できます。
・イノベーション創出
さまざまな部署の人が利用するため、普段のチーム・組織を越えた交流が期待できます。何気ない雑談から新しいアイデアが生まれたり、社内の知り合いが増えることで業務における部署間の連携が取りやすくなったりします。
・健康促進やウェルビーイング
こうした空間の導入はワーカーの健康維持やストレス軽減にも効果的です。ワーカーが気軽に利用できる休憩スペースがあることで、職場でもリラックスできる空間を持つことができます。

加えて、上記のようなメリットに魅力を感じる採用候補者へのアピールや、企業のブランディングにつながる効果もあります。
■人が集まる仕掛けの例
ここまでカフェエリアを設置する意義やメリットをご紹介しましたが、ただ設置するだけでは実際の活用につながりません。そこで、自然と人が集まる仕掛けを考える必要があります。
◎美味しい食事やお菓子、ドリンクを用意すること

◎掲示板や落書きボードなど、情報交換の場としての仕掛け
◎自然と人が集まるように、人の行き来が多い導線上に配置すること
より効果的なのは「人が40秒とどまる工夫をすること」。オカムラが早稲田大学と行った研究では、同じ場所に40秒以上とどまると会話が発生する確率がアップすることがわかっています(※1)。
※1 オフィスづくりのコラム | カフェスペースがコミュニケーションを促し、イノベーションを生み出す | 株式会社オカムラ (okamura.co.jp)

3. 応用編・カフェエリアの活用方法
カフェエリアを導入する際、独立して設置すると、従来通り「休憩するだけの場所」となってしまう可能性があります。そこで、執務エリアとの境界線をあいまいにして、自然と足を踏み入れるような設計が効果的です。併せてコミュニケーションシーンをカフェのまわりに配置すると、さらなる相乗効果が生まれます。
ここでは、カフェエリアの考え方の拡張+αとして、3つの活用シーンをご紹介しましょう。
■ミーティングスペース、商談スペースと組み合わせる
カフェのまわりにミーティングスペースや商談スペースを配置することで、カジュアルな雰囲気でミーティングができる空間が実現します。人通りのあるオープンスペースで打ち合せを行うことで、飛び入り参加率も高まるかもしれません。目的に応じて働く場所を選ぶ「ABW」(※2)のスタイルに組み込むことで、効果を最大化できるでしょう。

※2 ABW[Activity Based Working]とは、仕事の内容や目的に合わせて働く場所を選択する働き方のこと。
■情報交換の場としての機能を持たせる
掲示板や自己紹介カード、おすすめ図書コーナーなどと合わせて導入してみましょう。自分の専門とは異なる分野への興味につながったり、共通点を持つ人との交流のきっかけとなったりします。

■イベントスペースを兼ねる
可動式の家具を採用すればレイアウトの変更が容易になり、社内イベントやリクルート活動にも使えるスペースとなります。

4. まとめ
コロナ禍を機にリモートワークを導入した企業の中には、徐々に出社中心のスタイルに戻そうとしている企業もあるでしょう。また引き続きリモートワークを積極的に続ける企業でも、自宅とオフィスのそれぞれが担える機能を見直すフェーズに入っていくことになります。いずれのケースにおいても、これからのオフィスづくりにおいてはオフィスならではの空間への投資が求められます。
工夫をこらしたカフェエリアがあることは、「オフィスに行くこと」の意義や価値を感じさせる大きな要素の一つです。ぜひカフェエリアをつくるメリットをご理解いただいた上で、自社に合った活用方法を探求してみてください。
なおオカムラには、実際に社員が働きながら働き方の実証実験を行うラボオフィスがございます。今回のようなカフェエリアに限らず、さまざまな働くシーンをご見学いただけますので是非参考にしてみてください。
イラスト:Masaki
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