I-DeAが変える共創の在り方

── 大学病院がコワーキングスペースをつくった理由

I-DeAが変える共創の在り方

── 大学病院がコワーキングスペースをつくった理由

この記事は2022年7月 6日に公開されたものです

新潟大学医歯学総合病院コワーキングスペース 様

242㎡ / 61席 / 2021年12月納入
お客様のファーストオーダー

企業と大学と病院をつなぐ
オープンイノベーションの出発点

長らく活用できていなかった建物の再利用構想をきっかけに今回、旧歯学部附属病院跡地の改装を行います。 目指しているのは産学連携の拠点となるようなコワーキングの場。 これには企業と大学が新たな価値を共創するような、オープンイノベーションの場をつくりたいという我々のメッセージがこもっています。 国立大学の附属病院としても、新潟県内の共働の場としても、新たな挑戦です。 

我々は、ここから生まれたプロダクトやサービスを、隣接する大学病院で実用化に向けたプロトタイピングを行いながら社会実装していくという、壮大なストーリーを描いています。 大学病院が運営するコワーキングスペースだからこそできることがあると期待しています。 

BEFORE
オカムラのアンサー

知識・情報・イノベーションが巣立っていく場所
“Innovator’s Nest”

お客様からのご要望をもとに、まずコワーキングスペースでオープンイノベーションを起こすためにはどのような場が最適なのか、チームで検討を重ねました。 その場に来て個人が仕事をして帰る機能的なコワーキングスペースの要素だけではなく、その場に留まって人と人が交わるためには、「居心地の良い空間」である必要があります。 さらに「居心地の良い空間」とは、公園や緑に囲まれたようなオープンでリラックスできる「自然を身近に感じられる場」とも通ずると考えました。 

そこでご提案したコンセプトが「Innovator’s Nest」です。 木に作られた鳥の巣(Nest)のように自然を身近に感じられる居心地のよい空間とすることで、多くの人々が集い、快適に活動できるコワーキングスペースであってほしいという想いを込めています。 アイボリー、グレー、木目をベースに、明るくくつろぎ感のあるデザインにすることで、訪れる方を優しく迎え入れる空間を演出しました。 家具の形状にもひとつひとつこだわり、自然なコミュニケーションが生まれるような工夫をしています。 

この場から様々な人が交流を行い、互いに知見を高めあっていく。 ここに集えば新しい発見が生まれる「知識が集まるNest」。 交流から生まれた新しい発見を通して育ち、最後には未来へ羽ばたいていく「未来を創るNest」。 この場所のもつ多様な可能性を表現しました。 


コワーキングスペースのあるライフイノベーションハブ棟
新潟大学医歯学総合病院 外来棟

大学病院がコワーキングスペースを運営する意味

新潟大学医歯学総合病院の歯学部研究棟横に静かに佇む空間、それが同大学病院が運営を行うコワーキングスペース「I-DeA(アイデア)」です。 歴史を感じる外観からはなかなか想像できないような、ワクワクする空間がエントランスの外から伺い知れます。 I-DeAとは、Innovation Design Atelierのこと。 デザイン性の高い家具に囲まれることで利用者のイマジネーションを刺激します。 

大学病院が運営を行う理由は、実務的な運営だけではなく、ここから生まれたプロジェクトを具現化していくために、伴走しながら支援をする役目も担っているから。 プロジェクトのコーディネートやコミュニティの形成にも積極的に関わります。 コワーキングスペースの構想時に描いた社会実装のストーリー実現を強く願い、ここに集う人々と共に一歩ずつ突き進んでいく体制は整っています。 

コーヒーとソファで専門領域を超える

中に入ってまず目に入るのは、下がり天井のある落ち着いたカフェコーナー。 白いタイルは開放的で、気軽に入りやすい雰囲気を醸し出しています。 カウンターは、立っていても座っていても目線が合うように高さが設計されています。 雑談が思わず熱狂し長時間になっても、足かけがあるハイスツールなら小柄な方でも足が浮いたままにならず、座り心地を損ないません。 会員同士が談笑をしながら親交を結べるよう、小さな工夫が施されています。 

カウンターは多角形にすることで、通路幅が少し狭くなり、人の流れを程良く滞留させることができます。 これも、自然とその場での交流を促進させるためのひと工夫です。 また、カウンター側面が見えると、空間に抑揚が出る効果も。 所々に配置されたグリーンは空間に潤いと彩りを加え、居心地の良さを演出しています。 奥にある意匠性の高いソファエリアは、リラックスした雰囲気でソロワーク利用や、グループでコミュニケーションもとれるスペース。 オープンな場所で従来にはないディスカッションが生まれることで、利用者が専門領域を超えて交流や共創ができる場となります。 

リアルな交流が起こす化学反応

左側のワークスペースでは、企業が自社の製品・技術を医療や周辺分野に展開できる可能性を感じてもらえるよう、定期的なセミナーが開催されています。 イベントは人と人とのネットワーキングを誘引し、イノベーションを加速させます。 異なる知を持つ人々が集まり、知見が混ざり合って化学反応が起こる、そんなポイントとなる交流エリアになることを期待しています。 

左右のソファ席とハイカウンター以外は、フレキシブルにレイアウトを変更できる家具を採用。 セミナーや研究会を開催するときは、家具を移動させ空間を広く使うことができます。 奥のステージは、イベント時は天井からプロジェクターを壁に投影するスクリーンとなり、普段は腰掛けて作業ができるベンチとしても使用が可能。 あらゆるシーンで使える機能的なエリアです。 

アイデアを編むのは“集中”と”交流”のプロセス

交流エリアの反対側には、集中エリアが広がります。 大通りに面した窓側席は採光に優れ、開放的で落ち着いた光が差し込むので、リフレッシュしながらの集中作業に最適です。 窓側席に並ぶチェアは、大型でゆったりと座れる「コンテッサセコンダ」。 身体への負担を軽減し、より快適な作業空間を作り上げています。 

こもり感のある個人ブースは、周囲から適度に遮断され没入感のある席です。 ソファ席なのでリラックスしながら没頭して働くことができます。 

知的創造には‟集中“と‟交流”のプロセスが必要です。 個人レベルで思考をじっくり整理し、集中して作業する。 そして会員同士が交流し、一人ひとりが持つすばらしい発想や知識を共有しながら、アイデアを発展させていく。 この“集中と交流”の2つのプロセスを繰り返し、アイデアはカタチとなり質を高めていきます。 

編集後記

国立の大学病院が運営するコワーキングスペースと聞くとなんだか近寄りがたい印象を持ってしまうかも知れませんが、伺ってみるととてもオープンで、ここから何かが生まれそうなワクワクする可能性を感じる空間でした。 既知の取引先以外とのやりとりはなかなかないものですが、こういった場があれば企業や人との新たなマッチングが生まれますね。 

新潟大学の持つ技術やシーズ(研究資産)を高めながら、新たにオープンイノベーションの場を創出された本プロジェクトに、不易流行の精神を感じました。 このコワーキングスペースから、新しいプロダクトやサービスが巣立っていく日を楽しみにしています。 

Project’s Data

業種
コワーキングスペース
団体名
新潟大学医歯学総合病院
プロジェクト名
新潟大学医歯学総合病院コワーキングスペース「I-DeA」プロジェクト
Webサイト
https://i-dea.niigata-u.ac.jp/

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