
オフィスの給湯室の役割とは?
近年の傾向や最新事例を紹介
給湯室といえば、オフィスの共用部に設置されているシンクや冷蔵庫のみのシンプルな空間をイメージすることが多いでしょう。これまでのオフィスでは、主に飲食や水回りの機能を担うバックヤードとして扱われてきました。しかし、働き方の多様化や出社の価値が見直される中で、オフィスに求められる役割は変化しています。
こうした流れの中で、社員同士が自然につながり、気持ちを切り替えられる場として、共用スペースの重要性が高まっているのです。給湯室も単なる設備スペースではなく、リフレッシュや偶発的なコミュニケーションを生む共用スペースへと進化しています。
本記事では、給湯室の役割や近年の傾向、導入事例、導入する際のポイントを解説します。
目次
1. オフィスの給湯室の役割とは?

オフィスの給湯室とは、社員が飲み物を用意したり、冷蔵庫を利用したり、食器を洗ったりするために設けられた共用スペースを指します。一般的には、電気ポットやコーヒーマシン、シンク、冷蔵庫などが設置され、執務エリアとはやや離れた場所に配置されることが多い空間です。
休憩そのものを目的とするリフレッシュスペースとは異なり、給湯室は、飲み物の準備や昼食の温め、食器の洗浄など、働く上で必要となる日常的な行為を支えるための設備スペースという位置づけが中心になります。そのため、給湯室は使いやすさや効率性が重視され、空間としての快適性やデザイン性は優先順位が高くないケースも少なくありません。
2. 近年は給湯機能を持つ「共用スペース」が増加傾向
近年では、働き方の多様化が進んだことから、オフィスに出社する価値をどのように提供するかが見直されています。その中で、社員同士のコミュニケーションを活性化させ、リフレッシュを促す共用スペースの重要性が高まっています。
給湯室における「給湯機能」は、こうしたコミュニケーションやリフレッシュを促す上で大切な役割を果たします。業務の合間に飲むコーヒータイムや、昼食・軽食をとる時間は、社員同士の自然な会話が生まれやすく、気分転換のきっかけにもなるものです。加えて、椅子やカフェテーブルなどを配置することで、社員が立ち寄りやすく、滞在しやすい空間になります。例えば、カフェスペースやパントリー、ミニキッチンと呼ばれる空間は、給湯機能を持ち合わせた共用スペースの一例です。
最近では、給湯室を独立した設備スペースとして設けている場合もあれば、パントリーやカフェスペースと組み合わせる形で整備する企業も増えています。どの共用スペースに何の役割を持たせるかは、企業の働き方やオフィスの設計方針次第で異なります。
3. オフィスの給湯室を他スペースと組み合わせるメリット
給湯室は、社員が自然に立ち寄る共用スペースです。ここでは、オフィスの給湯室を他スペースと組み合わせた場合の主なメリットについて整理していきましょう。
社員のちょっとしたリフレッシュの場になる
給湯室は、デスクから一度離れて気持ちを切り替える、身近なリフレッシュスペースとしての役割も担っています。温かい飲み物を用意したり、水を飲みに立ち上がったりするわずかな時間でも、視線や姿勢、思考がリセットされ、集中力の回復につながることがあります。
長時間同じ席で作業を続けていると、知らないうちに疲労やストレスが蓄積しがちです。短時間でも自然に立ち寄れる場所がオフィス内にあることで、ちょっとした休憩が取りやすくなり、心身のコンディションを整えられます。
社員同士の偶発的なコミュニケーションを生む
もともと給湯室は、部署や役職を越えて社員が顔を合わせやすい場所です。飲み物を準備しているあいだのちょっとした挨拶や雑談から、業務中には生まれにくいカジュアルなコミュニケーションが生まれます。
こうした偶発的なやりとりが、ちょっとした情報共有や相談の入り口となり、職場の風通しをよくするのです。会議室での打ち合わせとは異なり、構えずに言葉を交わせる場は、組織内の関係性を支える役割も担っています。
社員が自然と集まり、会話が生まれる空間は「マグネットスペース」と呼ばれることもあります。給湯室をほかのスペースと組み合わせることで、社員が立ち寄るきっかけが増え、交流が生まれやすくなるでしょう。
社員のエンゲージメント向上に寄与する
使いやすくて居心地のよい共用スペースは、「会社が働く環境に配慮している」というメッセージとして機能します。ちょっとした休憩が取りやすい、清潔に保たれた共用スペースがあることは、日々の働きやすさの一部として社員の満足度に影響します。
また、リフレッシュや偶発的なコミュニケーションが生まれる環境が整っていると、職場への心理的な距離が縮まり、組織への愛着や一体感の醸成にもつながるでしょう。こうした日々の積み重ねを通じて、社員のエンゲージメントを支えます。
4. オフィスの給湯室の役割も担う共用スペースの導入事例
近年では、給湯室の役割を兼ねた共用スペースを設置するケースが増えています。ここでは、その事例を見ていきましょう。
社員食堂から生まれ変わった共創空間「Co-Lab」

福井コンピュータホールディングス株式会社 様では、かつて社員食堂として利用されていたフロアをリノベーションし、「Co-Lab」と名付けた共創空間へと再生しました。コロナ禍で閉鎖された食堂を、個人業務が多い開発メンバー同士の交流を促進する場として再定義したプロジェクトです。
フロアには、イベントや勉強会に活用できるコラボレーションエリアと、個人やチームで作業ができるワークエリアを配置。その中心に位置するのが、改装前の水回り機能を活かした「ファミリーキッチン」です。
冷蔵庫や自販機を集約し、飲食を通じて自然に社員が集まる設計とすることで、キッチンは単なる設備スペースではなく、コミュニケーションが生まれる"求心力のある場所"へと進化しました。社員食堂の配膳口だった横長の窓は、ホワイトボードとして再活用され、掲示や情報共有の場としても機能しています。
明るく開放的なコラボレーションエリアと、落ち着いた雰囲気のワークエリアをゆるやかにつなぐこのキッチンスペースは、交流と集中を両立させるハブとして機能しています。設備を活かしながら、空間の役割を再定義することで、給湯機能を持つスペースが職場のコミュニケーションを活性化させるエリアへと変化した好例といえるでしょう。


社内外の交流とイノベーションを生み出すオフィス|福井コンピュータホールディングス株式会社
執務と交流をつなぐアイランド型ミニキッチン

日東電工株式会社 様では、執務エリアに隣接する、既存棟と新棟をつなぐスキップフロアに交流エリア「Connect」を設けています。集中して業務に取り組む場所と、気持ちを緩められる場所を近接させることで、働くリズムに自然な切り替えが可能です。
このエリアの中心にあるのが、アイランドスタイルのミニキッチンです。給茶機が設置され、弁当箱やコップを洗いながら立ち話が生まれるなど、自然と会話が始まる仕掛けが組み込まれています。
周囲にはイスとテーブルが配置され、短時間の休憩から打ち合わせまで柔軟に使える居場所を確保。テーブルには新棟建設時に出た伐採木を活用し、資源を大切にする姿勢を空間そのものに反映しています。さらに、新しい光の表現を生み出す同社の光制御技術「RAYCREA™」による演出を加えたことで、空間は企業の高い技術力を体感できる場としても機能しています。


「これからのNittoを支えていく」若手中心のプロジェクトとともに|日東電工株式会社
自宅のようなパントリーを起点に広がる、豊かな交流

ローランド ディー.ジー.株式会社 様では、交流エリアにリビングのような居心地のよさを取り入れ、カジュアルな対話が自然に生まれる空間づくりを行っています。2階の交流エリアに設けられたパントリーは、自宅のキッチンをイメージしたデザインです。
ランチタイムにはケータリングを受け取る社員が集まり、挨拶や雑談が交わされるなど、日常の動線がそのまま交流のきっかけになります。カウンターチェアに座って向き合いながら話せる設計も、対面コミュニケーションを後押しする工夫のひとつです。
同エリアには、半円型のステップベンチも設けられています。ここでは社内イベントが開催され、海外拠点とオンラインで成功事例を共有する場としても活用されています。そのほかにも4名掛けのテーブルや窓側のカウンター席など、用途に応じて選べる多様な席を配置している点も特長です。全体をナチュラルカラーで統一し、明るく話しやすい雰囲気をつくることで、社員同士の自然な交流が生まれやすい空間となっています。


世界のワクワクをデザインするために想像力を加速させるワークプレイス|ローランド ディー.ジー.株式会社
カフェカウンターが「紡ぐ」コミュニケーション

小泉産業株式会社 様では、2フロアに分かれた執務フロアを1フロアに集約し、もうひとつのフロアをコミュニケーションエリアへと再構築しました。キーワードは「紡ぎ」。中央に配置されたカフェスペースが結び目となり、リラックスしたりフレキシブルに利用したりすることで、異なる機能を持つ複数のエリアをゆるやかにつないでいます。
カフェカウンターのやわらかな間接照明が空間全体に広がり、立ち寄りやすい雰囲気を演出。テーブルを並べ替えて大人数で打ち合わせを行ったり、ソファ席でランチを楽しんだり、コーヒーブレイクで一息ついたりと、そのときどきの目的に合わせて使い分けられます。
この交流拠点は、改装前のアンケートで挙がった「交流や休息の場がない」という課題を解消するために生まれました。さらに、季節ごとの装飾やイベント開催など、社員みずからが場づくりに関わることで、空間は継続的に活性化されています。
こうした場の活性化は、会社全体のエンゲージメント向上にもつながっているでしょう。


5. オフィスの給湯室を導入する際のポイント
ここまで見てきたように、給湯室は、社員が集まりやすい特性を活かして、いろいろなスペースと組み合わせた活用が検討されるようになりました。ここでは、自社に給湯室を導入する際に押さえておきたいポイントを紹介します。
目的を明確にする
給湯室を見直す上でまず重要なのは、「空間にどのような役割を持たせたいのか」を明確にすることです。短時間の気分転換がしやすい場にしたいのか、部署を越えたコミュニケーションのきっかけを生み出す場にしたいのかによって、必要な広さや設備、レイアウトの考え方は変わります。単に新しい設備を揃えるだけでは、期待した効果は生まれにくいでしょう。
例えば、社員が気軽に休憩できる場として機能させたいなら、立ち寄りやすさを重視し、執務エリアからの動線や回転のしやすさを検討することがポイントになります。一方で、会話や滞在を促したい場合は、腰を掛けられるスペースや落ち着ける雰囲気づくりが欠かせません。目的を整理することが、設計や運用の軸となり、使われるスペースづくりにつながります。
設置できる場所を事前に確認する
給湯室を設置する際には、設備の配置だけでなく、設置できる場所の条件も確認しておく必要があります。給湯室にはシンクや給湯設備などの給排水設備が必要です。そのため、オフィスビルにテナントとして入居している場合、給排水設備はビル側が行う「A工事」に該当することが多く、テナント側で自由に変更できないケースも少なくありません。
あらかじめビルの設備条件を確認した上で、既存の給湯室の位置を活かしたつくりにする必要があるでしょう。工事に関しては、以下を参考にしてください。
A工事・B工事・C工事の違いとは? 建築工事区分の基礎を解説
設備と空間の居心地も設計する
給湯室というと、給湯器やシンク、冷蔵庫といった設備面に目が向きがちです。しかし、設備を整えるだけでは、社員が自然に立ち寄りたくなる空間にはなりません。照明の明るさや色味、壁やカウンターの素材、色使いといった要素は、空間の印象を大きく左右します。
例えば、間接照明や温かみのある素材を取り入れることで、ほっと一息つける雰囲気が生まれるでしょう。また、短時間でも腰を掛けられるカウンターチェアやスツール、テーブルなどを設ければ、利用の幅は広がります。設備と併せて「どのように過ごしてほしいのか」を考えて反映していくことが、心地よい共用スペースをつくるポイントです。
運用ルールを決める
どれだけ魅力的な給湯室を整えても、日々の運用が伴わなければ、その価値は十分に発揮されません。清掃の頻度やゴミの分別方法、消耗品の補充方法など、基本的なルールをあらかじめ決めておきましょう。また、混雑しやすい時間帯の利用方法や共有物の扱い方などについても、簡単なガイドラインを設けておくと安心です。誰もが気持ちよく使える環境を維持することが、継続的な活用につながります。
さらに、給湯室を単なる設備としてではなく、交流やリフレッシュの場として活かしたいのであれば、その意図を社内に共有することも大切です。空間の目的が共有されれば、使い方も自然と浸透します。設計と併せて運用を考えることが、給湯室を上手に活用するポイントです。
6. 給湯室は、新しい働き方を支える"価値ある共用スペース"
かつての給湯室は、飲み物を準備するための設備スペースという位置づけが中心でした。しかし近年では、働き方の多様化や出社する価値の見直しを背景に、社員同士のコミュニケーションやリフレッシュを支える共用スペースとして活用されるケースも増えています。
コーヒーや昼食などの準備をする日常の行動から、自然な会話のきっかけになることは少なくありません。給湯室が持つこうした特性を、カフェスペースなどの空間と組み合わせることで、交流を促す共用スペースとして機能します。
給湯室の設置を検討する際には、まず「どのような役割を持たせたいのか」という目的を整理することからはじめましょう。飲み物の準備や昼食の温めといった設備としての役割を中心にするのか、社員が気軽に立ち寄り、交流が生まれる場として活用するのかによって、空間のつくり方は変わってきます。
以下の資料では、オフィスづくりをする上で必要な基礎知識をまとめています。理想のオフィスを実現するためのヒントに、ぜひこちらもご活用ください。
よくある質問
Q:オフィスの給湯室とカフェスペースの違いは何ですか?
A:給湯室は、飲み物の準備や昼食の温め、食器の洗浄などを目的とした設備スペースです。一方、カフェスペースは滞在や交流を前提に設計される空間であり、目的や想定する使われ方が異なります。ただし、給湯室も立ち寄りやすい性質を持つため、設計や運用次第でコミュニケーションのきっかけを生む場へと発展させることが可能です。
Q:オフィスの給湯室にはどのような役割がありますか?
A:オフィスの給湯室は、飲み物の準備や昼食の温めといった設備機能を担う場所であると同時に、働く人のリフレッシュや偶発的なコミュニケーションを支える一面も持っています。設計や運用次第で、社員の満足度やエンゲージメントの向上にも寄与する共用スペースへと発展します。
Q:オフィスの給湯室を導入する際のポイントは何ですか?
A:まず、「どのような役割を持たせたいのか」を明確にすることが重要です。飲み物の準備などの設備としての機能だけでなく、社員の交流なども目的にする場合は、必要な設備や空間のつくり方が変わります。さらに、清掃や備品管理などの運用ルールも含めて検討すると、継続的に使われる環境を整えやすくなるでしょう。
イラスト:Masaki
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