
役員室のレイアウト事例や家具選び・設計のポイントを紹介
オフィスの役員室は、経営判断や重要な意思決定が行われる場であり、企業の印象を左右する重要な空間です。役員の働き方や来客対応の頻度によって求められる環境は大きく変わるため、実際の使い方を踏まえて整えることが求められます。
本記事では、役員室の役割やレイアウトを考える際のポイント、家具選びの考え方、実際に設置されている役員室の事例を解説します。
目次
1. オフィスの役員室とは?

役員室とは、役員が業務や意思決定を行うための専用空間です。一般的な執務エリアと比べて機密性や独立性が求められるケースが多く、経営に関わる重要な判断が日常的に行われる場として位置づけられています。一方で、近年では役員の業務内容や働き方に合わせてオープンなレイアウトを採用するケースも増えています。まずは、経営判断のスピードや質を支える場として、どのような役員室が必要かを考えることが設計の出発点になるでしょう。
2. オフィスの役員室の役割
企業によって、役員の業務の重心や来客の頻度、会議のスタイルはさまざまです。そのため、まずは「どの役割の比重が高いか」を整理することが、設計の方向性を決める出発点になります。以下で紹介する役員室が持つ主な役割を確認しながら、自社の役員室に本当に必要な機能を考えてみましょう。
執務
執務空間としての役割は、役員室の中核を担うものです。役員の業務は、資料の確認や意思決定に向けた情報整理など、個人で深く思考することが日常的に求められます。限られた時間の中で正確な判断が求められるため、執務の効率を高める環境を整えることが重要です。
来客対応
役員室は、社外の人に企業の姿勢や価値観を伝える接点としての役割も持ちます。重要な来客への対応の場として使われるケースもあり、空間の印象や応対のしやすさが企業イメージに影響を与えることもあるでしょう。来客の際には、フォーマルな場面でも自然な対話が生まれるような空間であることが求められます。特別感や格式を演出しながら、応対のしやすさも両立できる空間を目指しましょう。
機密情報の管理
役員室は、経営に関わる機密情報を扱う場として、情報を適切に管理する役割もあります。未公開の意思決定や重要なやり取りが、不用意に外部へ伝わらない状態を整えなければなりません。個室型にするか、パーティションで区切るかによっても、確保できるセキュリティのレベルは変わるため、役員室に求める機密性の水準を整理した上で検討しましょう。
経営会議・打ち合わせ
役員室は、1対1の面談だけでなく、複数人での経営会議や打ち合わせが行われる場としても使用されます。日常的な会議とは異なり、意思決定や重要な調整が行われる場面が多いため、集中して議論できる環境が整っているかどうかが重要です。また、経営会議や打ち合わせで使用するプロジェクターやモニターなどの映像設備、WEB会議に対応したカメラやマイクなどの機器配置も、事前に計画しておくと良いでしょう。
3. オフィスの役員室をレイアウトする際のポイント
役員室のレイアウトは、役員自身が使いやすい環境を整えることが求められます。ここでは、役員室のレイアウトを考えるときに押さえておきたいポイントを確認していきましょう。
要件を整理する
役員室のレイアウトを検討する前に、まずは要件を整理しておくことが大切です。「執務中心」「来客対応中心」「会議中心」のどれに近いのか、また機密性とコミュニケーションのどちらを重視するかなど、方向性を整理することで、必要な設備や家具の選択肢が絞り込まれます。
■主に確認したい要件
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要件 |
確認したい内容 |
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使い方 |
執務中心か、来客対応中心か、会議中心かなど、役員室に求める主な役割を整理する |
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必要な広さ |
役員本人の執務に加え、来客人数や会議人数を踏まえて、必要な面積や収容人数を確認する |
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予算 |
改装・新設にかけられる費用の上限を踏まえ、優先して投資する部分と抑える部分を見極める |
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セキュリティ |
機密情報を扱う前提で、視線の遮り方、資料保管、入退室管理、音漏れ対策などを検討する |
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家具 |
役員用デスク、会議テーブル、応接セット、収納など、必要な家具の種類と優先順位を整理する |
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設備 |
モニター、WEB会議機器、電源、通信環境、照明、空調など、業務や会議に必要な設備を確認する |
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動線 |
来訪者が入室してから着席するまでの流れや、執務スペースと応接・会議スペースの行き来など、部屋の中で人の動きが交差しにくい配置になっているかを確認する |
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デザイン |
企業イメージや役員室に求める印象に合わせて、内装デザインや素材、色合いを整理する |
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運用 |
清掃のしやすさ、家具の配置変更のしやすさ、来客時や会議時の使い方など、日常の運用まで考える |
また、実際に部屋を利用する役員の意見を取り入れることも大切です。担当者だけで要件を固めると、実際の使い勝手とずれてしまうことがあります。利用者の視点を設計の初期段階から組み込んでおきましょう。
ゾーンを分けて整理する
役員室のレイアウトを検討する際は、空間を「執務ゾーン」と「応接・会議ゾーン」に分けて考えることが重要です。ゾーンを明確に区分すると、執務時と来客・会議時の切り替えがしやすくなるほか、用途ごとに適した環境を整えやすくなります。
ゾーンの区分けは、物理的な壁を設けなくても、家具の配置や向き、照明の明るさの差、床材の切り替えなど、内装の要素を組み合わせることで実現可能です。何を選び、どう組み合わせるかは、室内の広さや求める雰囲気によって変わります。いずれの場合も、「執務ゾーンと応接・会議ゾーンがどこで分かれているか」が使い手に伝わる設計にすることが重要です。
動線と視線に配慮する
来訪者と役員それぞれの動線と視線に配慮することも欠かせません。来訪者は入室後にどこへ向かえばよいか迷いやすいため、応接・会議ゾーンを扉から自然に目に入る位置に設け、そこまでの流れがわかりやすい配置にしておくといいでしょう。また、入室した際に最初に目に入る場所を意識してインテリアを整えることで、空間全体の第一印象もコントロールしやすくなります。
さらに役員側への配慮も必要です。役員席の後ろを人が通ると集中しにくくなるほか、机上の資料や作業中の画面が来訪者の目に入りやすくなり、セキュリティ上のリスクにもなります。来訪者の動線が執務エリアを横切らないよう、通路の位置を設計段階から検討しておくことが重要です。
4. オフィスの役員室のレイアウトパターン
役員室の代表的なレイアウトパターンをご紹介します。それぞれの特徴や向いているケースを把握しておくことで、自社に合った設計の方向性が見えやすくなるでしょう。
個室型レイアウト

個室型は、執務スペースと応接スペースを1室に収め、壁と扉で空間を明確に区切ったパターンです。機密性や落ち着いた執務環境を確保しやすく、役員室としての独立性が高いのが特徴といえます。
重要書類を扱いやすいこと、機密性の高い会話をしやすいこと、内装や家具によって特別感や格式を出しやすいことが、個室型のメリットです。来客対応・役員会議・集中した執務の時間が多い役員には、特に向いています。
一方で、壁や扉を設ける分、導入コストが上がりやすく、周囲との日常的なコミュニケーションは減りやすい点に注意が必要です。コストと機密性・独立性のバランスを考慮しながら、自社の状況に合った判断をしましょう。
半個室型レイアウト

半個室型は、ガラスやパーティションでゆるく区切り、開放感と一定の独立性を両立したパターンです。周囲のエリアとのつながりも保ちながら、一定のプライバシーを確保したい場合に向いています。
閉鎖感を抑えながらセキュリティを確保しやすいことや、可動式パーティションなどを使えば来客時や会議時に柔軟に対応できることがメリットです。フルオープンでは機密性が確保できないものの、完全な個室にするほどではないという企業にも選ばれやすいレイアウトパターンといえます。
ただし、個室型ほどの機密性は確保しにくいため、視線対策や音漏れ対策・防音性の補強をどこまで行うかは検討しなければなりません。状況に応じた工夫を組み合わせましょう。
オープン型(グループまたは独立席)レイアウト

オープン型は、執務エリアの一角に役員席を設け、周囲とのコミュニケーションを取りやすくしたパターンです。部門との距離を近く保ちたい場合や、日常的な会話や意思決定のスピードを重視する組織に向いています。
社員とのコミュニケーションが取りやすく、現場の空気感や変化を把握しやすいことが大きなメリットです。また、3つのパターンの中では比較的導入コストを抑えやすい点も、選ばれる理由のひとつになっています。
セキュリティ性や独立性は低くなりやすいため、機密性の高い会話や来客対応をどこで行うかを、別室運用も含めて考える必要があります。役員室としての機能を一部分散させる形になるため、全体の設計と併せて検討しましょう。
5. オフィスの役員室への導入で検討したい家具・内装
役員室は、家具や内装を含めた空間全体で印象や使いやすさが決まります。家具と内装を一体で検討することで、役員室としての完成度が高まりやすくなるでしょう。役員室に適した家具の選び方と内装の考え方をご紹介します。
執務用デスク
執務用デスクは、業務の中心となる家具として使いやすさを優先して選ぶことが大切です。書類やデバイスを広げても余裕のあるサイズを確保することで、作業のしやすさにつながります。
長時間の使用を想定するなら、高さ調整機能がついた昇降デスクの導入も選択肢のひとつです。座りっぱなしを防ぐことで体の負担を軽減でき、業務の集中力を保ちやすくなります。デスク周辺の収納についても、書類やデバイスが手の届く範囲に収まるよう整えることで、業務効率も上がるでしょう。
素材やデザインは内装全体のトーンと合わせて選ぶと、空間としての統一感が生まれます。役員室にふさわしい格式を保ちながら、実用性も満たせるデスク選びが重要です。
応接・会議用デスク
来客対応や打ち合わせに使用するテーブルは、利用人数や用途に応じたサイズ、形状を選ぶことが大切です。近すぎず遠すぎない距離感を保てるテーブルを選ぶことで、自然な対話がしやすい環境をつくりやすくなります。
応接用途と会議用途の両方で使う場合は、汎用性のあるサイズと配置を意識することも欠かせません。拡張できるテーブルや可動式のチェアを組み合わせることで、人数に応じた使い方ができるようになります。
また、テーブルの高さも重要な要素です。応接には低めのローテーブルが馴染みやすい場合もありますが、長時間の会議では標準の高さのテーブルのほうが使いやすいことも。主な用途を確認した上で、バランスの良い選択をしましょう。
チェア
チェアは、執務用と応接・会議用で求められる役割が異なります。そのため、それぞれの用途に適したものを選ぶことが大切です。
例えば執務用チェアは、一日の多くの時間を過ごす場所だからこそ、疲れにくいチェア選びが業務の質を支えます。そのため、座面の高さ調整や背もたれのサポート機能など、体格や業務内容に合わせて細かく調整できるタイプがおすすめです。一方、応接用や会議用チェアは、見た目の印象と座り心地のバランスが重要になります。来客に与える印象を意識しながら、長時間の打ち合わせでも疲れにくいものを選びましょう。
以下では、執務用チェアの選び方をご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
社員のエンゲージメントを左右する「椅子の選び方」~オフィスチェア編~
内装の考え方
内装の色・素材・照明の組み合わせによって、役員室の印象は大きく変わります。企業のブランドイメージや、役員が大切にしているスタイルに合わせて方向性を定めることが重要です。
例えば、重厚感や信頼感を打ち出したい場合は、ダークカラーを基調にしたデザイン。明るさや開放感を意識したい場合は、ホワイト系のカラーを取り入れる方法もあります。照明は天井照明だけでなく、デスクライトや間接照明を組み合わせることで、場の雰囲気を調整しやすくなるでしょう。
家具と内装は別々に選ぶのではなく、空間全体のイメージに合わせて設計すると、役員室としての一体感が生まれます。来客に伝えたい企業の姿勢を、空間デザインで体現することを意識してみてください。
6. オフィスに役員室を設置した事例
レイアウトの方針や空間づくりの考え方は企業によってさまざまです。ここでは、オカムラが手がけた役員室の設置事例をご紹介します。
社員とのコミュニケーションを重視したオープン型

エア・ウォーター・エンジニアリング株式会社 様の新本社「グローバルエンジニアリングセンター」では、個室を設けずオープン型の社長席を採用しています。
執務エリアに社長席をオープンに配置することで、社員ともコミュニケーションが取りやすくなっています。社長席のすぐそばには、木製の丸テーブル席を設け、周囲に観葉植物を設置。柔らかくリラックスした雰囲気の中で、社長を交えた話し合いにも活用されています。
世界を見据え、他拠点を集約。大阪湾に生まれた新本社|エア・ウォーター・エンジニアリング株式会社
執務フロアの一角に役員エリアを集約したオープン型

ユニ・チャーム株式会社 様の本社移転プロジェクトでは、7フロアで構成されていたオフィスを3フロアに集約し、プロジェクトのコンセプトである「社員の一体感を高める大きなワンフロアのようなオフィス」を実現しました。
役員エリアは3フロアのうちの最上階にあたる42階執務フロアの一角に設けられており、部門長の席を集約。部門長同士がコミュニケーションを取りやすい環境が整備されています。役員席にはL字型のデスクが採用され、その場で打ち合わせにも対応可能。手元が周囲から見えにくくなるようパーティションを配置することで、開放的なフロアの中でもセキュリティに配慮した設計です。
複数フロアがひとつの空間としてつながり一体感を生むワークプレイス|ユニ・チャーム株式会社
執務エリアとつながりながら専用の役員会議室を確保したオープン型

特殊電極株式会社 様の新本社では、「社員とコミュニケーションをとりながら働きたい」という社長の意思を反映し、社長・役員の執務スペースを一般社員の執務エリアとシームレスにつないだオープン型を採用。社長・役員の執務スペースは、グレーの床材やダークブラウンのデスクなどシックな色調でまとめられています。
役員がそろっての重要な会議は役員会議室で実施しており、落ち着いたカラーの設えで良い緊張感を持って会議に臨めます。

個室型の活用で集中できる執務環境と本格的な議論の場を両立

福井コンピュータホールディングス株式会社 様の新拠点では、独立した個室のCEO室を設けています。執務用のデスクには、電動昇降デスクを導入し、健康への配慮とともにスピーディーな意思決定ができる空間です。
さらに同社では、役員会議室も独立して設けました。ロの字型にテーブルを配置し、インタラクティブディスプレイを導入。壁面には作り付けのソファも設置され、参加人数の増加にも対応しています。明るく意見交換がしやすい環境が整えられています。

社内外の交流とイノベーションを生み出すオフィス|福井コンピュータホールディングス株式会社
特別応接室に隣接した個室型でスムーズな来客対応を実現
ハニューフーズ株式会社 様の社長室は、木の温かみを活かしつつ装飾を抑えたシンプルな設えとすることで、企業としての清潔感や誠実さを体現しています。また、用途に応じて使い分けられる特別応接室や会議室が隣接しているため、来客の規模や目的に応じた柔軟な対応が可能です。
各部屋にWEBミーティング用のカメラが備えられており、グループ会社のメンバーや遠隔地とのコミュニケーションも円滑にとれるよう配慮されています。


7. 役員室は働き方に合わせて設計しよう
役員室は、経営判断や来客対応などを担う重要な空間であり、その企業の役員が業務に集中しやすい環境を整え、業務効率を上げるための機能を整える必要があります。しかし役員室の在り方は、役員の働き方や使い方によって大きく変わるものです。まずは「何のための空間か」を整理するところから始め、執務・来客対応・会議・セキュリティといった役割の優先順位を決めましょう。
オカムラでは、働き方や組織課題のヒアリングからレイアウト設計・デザインまで、オフィスづくりをトータルでサポートしています。オフィスづくりに関する資料もご用意しておりますので、ぜひお気軽にご活用ください。
よくある質問
Q:役員室にはどのような役割がありますか?
A:役員室の役割は、主に「執務」「来客対応」「会議・打ち合わせ」「セキュリティ」の4つが挙げられます。役員によって各役割のバランスは異なるため、自社の役員室に必要な役割を整理することが設計の出発点です。
Q:役員室のレイアウトを考える際のポイントは何ですか?
A:役員室のレイアウトでは、「要件の整理」「ゾーンの区分け」「動線と視線への配慮」の3点が重要です。まず用途と必要な機能を明確にし、執務ゾーンと応接・会議ゾーンを分けた上で、来訪者と役員それぞれの動線・視線を考慮したレイアウトを検討しましょう。
Q:役員室のレイアウトパターンにはどのようなものがありますか?
A:役員室の代表的なレイアウトパターンには、「個室型」「半個室型」「オープン型」があります。機密性と独立性を重視するなら個室型、開放感と一定のプライバシーを両立したいなら半個室型、社員とのコミュニケーションを優先するならオープン型が向いています。
イラスト:Masaki
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