オフィスに仮眠室をつくるメリットとは?
設計のポイントや事例を紹介

2026年4月7日公開
  • ウェルビーイング
  • 生産性

働き方の多様化や生産性向上への関心が高まる中、オフィスに「仮眠室」を設ける企業も増えています。仮眠室は単なる休憩スペースではなく、集中力の回復やコンディション調整を支える空間のひとつです。しかし、「本当に必要なのか」「どのように設計すれば機能するのか」と悩む企業担当者も少なくありません。

本記事では、オフィスに仮眠室を導入する必要性やメリット・デメリット、設計のポイント、事例を紹介します。

1. オフィスに仮眠室は本当に必要? その重要性とは

「オフィスに仮眠室は本当に必要なのか」と疑問に感じる担当者も少なくありません。しかし、眠気は多くのビジネスパーソンが日常的に直面している課題です。

2019年にオカムラが実施した調査では、「日勤中眠気を感じる頻度はどのくらい?」という問いに対し、「ほぼ毎日」と回答した人が32%、「週1~数回」が48%という結果が出ています。つまり、週に1回以上、日勤中に眠気を感じている人は約8割にのぼりました。

眠気は、ランチ後や睡眠不足時、単純作業を行う場面で強く感じられる傾向があり、放置すると集中力や作業効率の低下につながる可能性があります。こうした背景を踏まえると、仮眠は単なる休息ではなく、パフォーマンスを回復させるための手段のひとつといえるでしょう。短時間の仮眠によってコンディションを整える環境を用意することは、働き方の改善や生産性向上を支える取り組みとして重要性が高まっているのです。

2. オフィスに仮眠室を導入するメリット

オフィスに仮眠室を設けることで、働き方や職場環境にさまざまな良い影響が期待できます。ここでは、仮眠室を導入することで得られる主なメリットを見ていきましょう。

集中力や生産性の回復につながる

仕事中に強い眠気を感じた状態では、集中力が低下し、作業効率や判断力にも影響が出てしまいかねません。短時間でも仮眠をとることにより、頭がリフレッシュされ、その後の業務に集中しやすくなります。仮眠室があることで、眠気を我慢するのではなく「コンディションを整えてから戻る」という選択が可能になるため、結果として、生産性の維持や業務の質の向上につながるでしょう。

社員の健康やコンディションに配慮できる

仮眠室の導入は、社員の健康やコンディションに配慮した職場環境づくりの一環として位置づけられます。睡眠不足や疲労を抱えた状態での業務は、心身への負担も大きくなりがちです。職場に仮眠室を設置することで、社員が自分の状態に合わせて休息をとりやすくなります。会社による社員の健康やコンディションへの配慮は、持続的に働ける職場づくりにつながるのです。

エンゲージメントの向上につながる

「休息が必要なときに休める」という安心感は、社員が働きやすさを実感する要素のひとつ。仮眠室が用意されているだけでなく、実際に社員が使おうと思える空間にすることが重要です。「会社が社員のコンディションに配慮している」と感じられる環境は、信頼感や帰属意識を育みます。その積み重ねが、仕事への前向きな姿勢を生み、エンゲージメントの向上に寄与するのです。

企業イメージや採用面での評価につながる

社員の健康や働きやすさに配慮した設備は、企業姿勢をわかりやすく伝えるメッセージになります。仮眠室は、「社員を大切にしている企業」として取引先や採用候補者に印象づけることができるでしょう。健康や働きやすさを重視する企業であることは、採用活動においても重要なポイントになります。仮眠室の導入は、福利厚生の充実にとどまらず、企業イメージの向上に寄与する可能性もあるのです。

3. オフィスに仮眠室を導入するデメリットと対応策

仮眠室にはさまざまなメリットがある一方で、導入にあたっては注意すべき点もあります。事前に課題を把握し、対策を講じることが重要です。

眠りが深くなりすぎると業務に戻りにくくなる

仮眠は短時間で集中力やパフォーマンスの回復を促しますが、30分を超える長めの睡眠になると眠りが深くなり、起床後にぼんやりしてしまうことがあります。こうした状態は、仮眠直後の作業効率をかえって下げてしまう可能性があるため注意が必要です。

対応策として、1530分程度の短時間利用を想定したルールを設けることなどが検討できます。アラームの活用や利用時間の目安を明確にするなど、スムーズに業務へ戻れる工夫が求められるでしょう。

周囲の理解がないと使われない可能性もある

仮眠室を設けても、「サボっている」と思われないか不安で使いづらいという心理的なハードルがあり、結果的に利用率が低いままになるケースもあります。こうした課題に対しては、仮眠の目的を「集中力回復・健康配慮・生産性向上のための休息」と明確に社内で共有することが重要です。上司や経営層が率先して利用するなど、心理的な抵抗を下げる取り組みも有効でしょう。

運用や管理の負担が増える

仮眠室を導入すると、清掃や備品管理、利用状況の把握など、一定の運用負担が生じます。利用者が増えると、「使いたい時間に空いていない」「長時間利用されている」といった不満が出る可能性も否定できません。

こうした課題への対応策として、予約制や利用時間の目安設定を取り入れる企業もあります。ただし、小規模オフィスや利用頻度が低い場合は、予約制がかえって負担になる場合もあるため、「予約制」「時間制限のみ」「自由利用」など、自社の規模や実態に合った運用方法を選びましょう。また、共用スペースとして、使用後の簡単な清掃や備品の原状復帰などのルールを定めておくのも、無理のない運用を実現するためのポイントです。

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4. 仮眠室を設計するときのポイント

仮眠室は、スペースを確保するだけでは機能しません。実際に利用され、業務パフォーマンスの向上につながる空間にするには、環境・設備・運用の3つの観点から設計することが重要です。

ここでは、仮眠室を設計する際に押さえておきたいポイントを整理します。

安心して休むための「環境」を整える

仮眠室といっても、壁と扉で区切られた個室タイプから、パーティションでゆるやかに区切った半オープンタイプまでさまざま。どの形式であっても共通して重要になるのが、音・光・視線への配慮です。

例えば、執務エリアや通路からの音が入りにくい配置にするなど、周囲を気にせず休める環境づくりが求められます。照明は、間接照明や調光可能な照明を取り入れることで、落ち着いた明るさをつくりやすくなるでしょう。また、ガラス面や人通りの多い場所に設ける場合は、パーティションやカーテンなどで視線をコントロールする工夫も必要です。特に半オープンタイプでは、周囲の視線を感じにくくすることが、心理的な安心感につながります。

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短時間の休息を支える「設備」を充実させる

仮眠室の設備は、「深く眠る」よりも「短時間でコンディションを整える」ことを重視しましょう。例えば、フルフラットのベッドは回復効果が高い一方で、眠りが深くなりすぎる可能性があります。そのため、仮眠の目的や想定利用時間に応じて、角度調整ができる設備や、自然に起きやすい構造のものを選ぶことがポイントです。簡易ベッドやリクライニングチェアなど、身体を起こしやすい姿勢を保てる設備は、仮眠用途に適しています。

さらに、タオルや除菌スプレーなどを備え、利用のたびにリセットしやすい環境を整えておくことも重要です。清潔感のある仮眠室が、次に使う人への安心感につながり、結果として利用の定着を後押しします。

スムーズな利用と定着を支える「運用」を設計する

仮眠室は、設備や環境を整えるだけでは十分に機能しません。利用を前提とした運用設計が、その後の定着を左右するといっても過言ではありません。例えば、「1回の利用時間の目安を設ける」「アラームの音量を決めておく」「使用後は備品を元に戻す」といった基本的なルールをあらかじめ定めておくだけでも、ほかの利用者が使いやすい環境を保ちやすくなります。

併せて、仮眠の目的を「集中力回復やコンディション調整のための休息」として会社から明確に伝えることも大切です。ルールによる秩序づくりと会社からの前向きなメッセージの両面を意識した運用設計が、仮眠室を無理なく根付かせるポイントといえるでしょう。

5. 社員の集中力・生産性を維持する仮眠室の事例

広さや設備、運用方法まで、企業によってさまざまな仮眠室があります。ここでは、オカムラが手がけた仮眠室の事例を紹介します。

短時間で整えるリフレッシュ空間

ダイコク電機 様

ダイコク電機株式会社 様では、コミュニケーションエリア内にリフレッシュコーナーを設け、窓際にマッサージチェアを設置しています。「リラックスできる手段があったほうがいい」という社長の意向から導入され、115分で身体のケアができる仕組みとなっています。

完全な個室ではないものの、柱とパーティションでゆるやかに区切られ、周囲の視線や動線に配慮したレイアウトに。安心して利用できる環境を整えています。

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集中とリラックスを切り替える空間

福井コンピュータホールディングス株式会社 様

福井コンピュータホールディングス株式会社 様では、エリアごとにBGMやアロマを変えることで、働くモードとリラックスの切り替えを促す設計がなされています。

フォーカスエリアに隣接する「ナップルーム」は、業務との距離を適度に保ちつつ、短時間でリフレッシュできる空間です。リクライニングチェアを2台設置し、カーテンで仕切ることで、プライバシーを確保しながら休息を取れます。

社内外の交流とイノベーションを生み出すオフィス|福井コンピュータホールディングス株式会社

個室・チェア・音楽で満足度を高めるリフレッシュ空間

株式会社プライムアシスタンス 様

株式会社プライムアシスタンス 様では、「スタッフにはモチベーション高く仕事に取り組んでほしい!」という思いから、心地よく働ける環境づくりに取り組んでいます。その一環として、仮眠用ベッドやチェアを備えた個室を完備。

1階の休憩エリアに配置された仮眠用チェアは、ヘッドレストにスピーカーを内蔵し、音楽を楽しみながらリラックスできる仕様です。帰宅前のバス待ち時間など、業務の合間以外の利用にも活用されています。

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6. 仮眠室の導入が働き方の質を底上げする

オフィスの仮眠室は、集中力やコンディションを整え、業務により良い状態で戻るための環境です。多くのビジネスパーソンが日中の眠気という課題を抱える中、短時間でリフレッシュできる仕組みを用意することは、生産性や働きやすさの向上につながります。

一方で、導入にあたってはスペースや運用、社内理解といった課題もあります。重要なのは、「環境」「設備」「運用」の3つをバランスよく設計することです。個室型にするのか、半オープンにするのか、どの程度の設備を整えるのかは、企業規模や働き方によって最適解が異なります。

仮眠室は、特別な設備ではなく、働き続けやすい環境をつくるためのひとつの選択肢です。自社の課題や働き方に合わせて、そのあり方を検討してみてはいかがでしょうか。

以下の資料では、ウェルビーイングの視点から、働きやすい空間づくりのポイントをまとめています。これからのオフィス設計を考えるヒントとしてご活用ください。

よくある質問

Q:オフィスに仮眠室は本当に必要ですか?

A:2019年にオカムラが実施した調査では、「日勤中に眠気を感じる」と回答した人は約8割にのぼりました。眠気は集中力や作業効率の低下につながる可能性があり、短時間の仮眠によってコンディションを整える環境を用意することは、働き方の改善や生産性向上を支える取り組みとして重要性が高まっています。

Q:仮眠室を導入するとどのようなメリットがありますか?

A:短時間の仮眠により頭がリフレッシュされ、その後の業務に集中しやすくなります。また、「必要なときに休める」という安心感が社員の働きやすさにつながり、会社への信頼感や帰属意識を育む効果が期待されます。健康配慮の姿勢を示すことで、企業イメージや採用面での評価につながる可能性もあるでしょう。

Q:仮眠室を機能させるために重要なポイントは何ですか?

A:仮眠室はスペースを確保するだけでは機能しません。「環境」「設備」「運用」の3つをバランスよく設計することが重要です。音・光・視線に配慮した環境づくり、短時間利用を前提とした設備選び、利用時間の目安やルールの設定など、利用を前提とした設計が定着のカギとなります。


イラスト:Masaki

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オフィスづくりに関するQ&A

Q1

オフィス移転や改装を検討しはじめるタイミングは、いつが良いですか?

A1

社員数や内容によって異なりますが、100名規模のオフィスの場合、移転予定の1年前、改装の場合は6か月前からの検討が理想です。
現状課題の整理や物件選定、レイアウト設計、施工期間などを考慮すると、余裕をもった準備期間を設けることでスムーズに進められます。
オカムラでは、初期段階からお客様のニーズや課題を伺い、スケジュール立案や検討資料づくりをサポートしています。 お問い合わせ

Q2

オフィスづくりを依頼すると、どこまでサポートしてもらえますか?

A2

オカムラでは、オフィスの企画・設計・施工・運用までを一貫してサポートします。
働き方や組織課題を丁寧にヒアリングし、レイアウト、家具、照明、ICT環境などを総合的にデザインします。
また、移転・改装後のアンケートや改善提案を通して、働き方の変化に寄り添った空間づくりを支援します。 オカムラのオフィスづくりソリューション

Q3

オフィス改装の費用はどのくらいかかりますか?

A3

改装の内容や規模、目的によって費用は大きく変わります。
例えば、部分的なリニューアルなのか、働き方改革を目的とした全面リニューアルなのかによっても必要な費用は異なります。
具体的な金額を知りたい場合は、現状の課題やご希望をお伺いしたうえで、最適なプランをご提案いたします。まずはお気軽にお問い合わせください。 お問い合わせ

Q4

まだ具体的な計画がなくても、相談して大丈夫ですか?

A4

もちろん大丈夫です。
多くのお客様が「何から始めればいいか分からない」という段階からご相談されています。
オカムラでは、丁寧なヒアリングを通して課題整理や事例紹介、スケジュール・費用感の目安提示など初期検討をサポートします。
「移転か改装か迷っている」、「まずはイメージを膨らませたい」など、どんな段階でもお気軽にご相談ください。 お問い合わせ

Q5

自社に合った働き方やレイアウトがわかりません。どうすれば良いですか?

A5

オカムラでは、オフィスづくりの初期検討をサポートする無料ツール「OFFICE KIT」をご用意しています。
質問に答えるだけで、自社に合った働き方の方向性やレイアウトタイプが見えてきます。
まだ具体的な計画がなくても活用できる内容です。ぜひ一度お試しください。 OFFICE KITで診断する