ホテリングとは?
注目される背景やメリット・導入のポイントを解説

2026年2月3日公開
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コロナ禍以降、リモートワークやハイブリッドワークが普及し、オフィスの出社率は日によって大きく変動するようになりました。その流れの中で、固定席を持たないフリーアドレスを導入する企業も増えています。

一方で、「出社が集中すると席が足りない」「誰が出社しているのかわからない」といった運用面の課題が顕在化しているのも事実です。例えば、対面で打ち合わせをしようと出社したものの、相手が在宅勤務で会えなかったり、チームメンバーの居場所が分からずコミュニケーションの機会を逃してしまったりするケースも少なくありません。

こうしたフリーアドレス運用の課題を解決し、オフィスのスペース効率と働きやすさを両立させる仕組みとして注目されているのが「ホテリング」です。

本記事では、ホテリングの基本的な考え方や注目される背景、導入によるメリット・デメリット、導入のポイントを解説します。オフィスを「ただ働く場所」ではなく、「行きたくなる場所」にするためのヒントとして、ぜひ参考にしてください。

1. ホテリングとは?

ホテリング(Hoteling)とは、オフィス内の座席や会議室、集中ブースなどのワークスペースを、ホテルを予約するように事前に予約してから利用する仕組みのことです。フリーアドレスを導入しているオフィスでは、社員が自由に席を選べる一方で、「出社したのに空いている席が見つからない」「誰がどこで働いているのかわからない」といった運用上の課題が生じやすくなります。

ホテリングは、こうしたフリーアドレスの課題を解決し、出社人数や在席状況を可視化しながら、限られたスペースを効率的に活用するための運用手法です。社員は出社前に、専用のシステムやアプリを使って利用日時や席・スペースを予約し、その情報をもとにオフィスを利用します。これにより、席や会議室を「行き当たりばったり」で探す必要がなくなり、管理者・利用者の双方にとって計画的で使いやすいオフィス運用が可能になるのです。

ホテリングの基本的な利用イメージは、次のとおりです。

ホテリングでは「事前予約」と「チェックイン/チェックアウト」を通じて、オフィスの利用状況を可視化します。

フリーアドレスの運用方法のポイントなどは以下の記事でもまとめているので、ぜひ参考にしてください。

フリーアドレスとは? 目的や事例、失敗しない運用のポイント

2. ホテリングが注目される背景

ハイブリッドワークの普及により、多くの企業ではすでにフリーアドレスを導入しています。しかし近年、その運用は「席を自由に使える状態をつくる」段階から、「どう使われているかを把握し、最適化する」次のフェーズへと移行しつつあります。

出社率が日によって大きく変動する中、空席が多い日でも賃料や光熱費といったコストは発生し続ける一方、出社が集中する日には席や会議室が不足するなど、スペース運用の非効率が顕在化しています。フリーアドレスを導入しただけでは、こうしたムラを解消しきれないケースも少なくありません。

また、会議室や集中ブース、ラウンジなど多様なワークスペースを整備していても、利用状況を正確に把握できていないと、「実際には空いているのに使えない」「誰がどこにいるのかわからない」といった問題が起こりやすくなります。その結果、対面での打ち合わせやちょっとした相談の機会を逃してしまうこともあります。

こうした背景事情から、出社状況やスペースの利用実態を可視化し、データをもとに柔軟なレイアウト変更やスペース最適化につなげる必要性が高まっています。フリーアドレスの課題を補いながら、限られたオフィス空間で働きやすさを最大化する仕組みとして、ホテリングが注目されているのです。

3. ホテリングを導入するメリット

ホテリングは、出社状況やスペースの使われ方を可視化することで、オフィス全体の運用が見直しやすくなる点が大きな特長です。その効果は、オフィスを管理する立場だけでなく、実際に働く社員一人ひとりにも及びます。ここでは、管理者と利用者、それぞれの視点からホテリング導入のメリットを整理します。

管理者のメリット:データにもとづいてオフィス運用とスペース活用を最適化できる

ホテリングを導入すると、出社率や座席・会議室の利用状況といったデータを継続的に把握できるようになるほか、誰が・いつ・どこの席を利用しているのかが可視化されます。これにより今まで感覚や経験に頼りがちだったオフィス運用を、実態に即した判断へと切り替えることが可能になるのです。

例えば、予約データをもとに利用率を分析すれば、必要以上に確保していた席数を見直したり、あまり使われていないスペースを別用途に転用したりといった改善につなげることができます。こうした見直しは、賃料や光熱費などのオフィス維持コストの最適化に寄与するだけでなく、社員が使いやすい空間づくりにも直結します。

オフィスの使われ方を「見える化」し、データにもとづいて改善を重ねていくことで働きやすさと経営効率の両立を図れる点が、管理者にとっての大きなメリットです。

<具体的なメリットの例>

  • 出社人数の傾向を把握し、席不足や過多を防げる
  • 座席や会議室の利用率をもとに、レイアウト改善の判断ができる
  • 余剰スペースをミーティングスペースやカフェエリアなどに再活用できる
  • 在席状況を把握しやすくなり、緊急時の対応や情報共有がしやすくなる

利用者のメリット:業務の目的に合わせて確実に席を確保できる

ホテリングの大きな特長は、出社前の段階で「どこで・どのように働くか」をあらかじめ決められる点にあります。予約制によって座席や会議室を事前に確保できるため、「出社したのに空いている席がない」「使いたい場所が埋まっている」といった不安や混乱を防ぐことが可能です。

また、在席状況が可視化されることで、誰が出社しているのかを事前に把握しやすくなります。「○○さんと対面で相談しようと思って出社したのに、在宅勤務だった」といった行き違いが減り、対面での打ち合わせやちょっとした相談の機会を逃しにくくなる点も利用者にとってのメリットです。

さらに、集中ブースやコラボレーションエリアなど複数のスペースを用意している場合も、ホテリングによってそれらを確実に利用できる状態をつくりやすくなります。事前に空き状況を確認した上で予約できるため、当日になって場所を探したり、空いている席にその場しのぎで座ったりする必要がなく、業務の予定に沿ってスムーズに働き始めることができるでしょう。

<具体的なメリットの例>

  • 出社前に席を確保できるため、「席があるかどうか」の不安がなくなる
  • メンバーの在席状況を把握しやすく、業務連携がスムーズになる
  • チームで並んで作業をしたい日は隣接した席をまとめて予約できる
  • 集中作業の日は、静かな席を確保して出社できる
  • 営業など外出から戻った後の短時間利用にも対応しやすい

4. ホテリングを導入するデメリット

ホテリングは、オフィス運用の効率化や働きやすさの向上につながる一方で、導入や運用の進め方によっては負担や混乱が生じることもあります。ここでは、導入前に理解しておきたい代表的なデメリットを整理します。

導入初期のルール整備・運用負荷が発生する

ホテリングを導入する際には、予約やキャンセルの方法、利用できる席の種類、利用マナーなど、一定の運用ルールを定める必要があります。これらが曖昧なまま運用を始めてしまうと、「予約せずに利用する」「キャンセルされないまま席が空く」といったことが起き、混乱が生じやすくなります。また、社員にとっては「出社前に席を予約する」という新しい行動が加わるため、導入初期は戸惑いや手間を感じるケースも少なくありません。

システムトラブル時に混乱が生じやすい

ホテリングは予約システムを前提とした運用であるため、システム障害やネットワーク不具合が発生すると、席の予約や在席状況の確認が一時的にできなくなる可能性があります。その結果、「どこに座ればよいかわからない」「空いている席を判断できない」といった混乱が生じることもあります。

5. ホテリング導入のポイント

ホテリングの導入に社員が戸惑わないように、日常業務の中で自然に定着させていくためには、運用ルールの設計と空間の使い方の整理をセットで考えることが重要です。ここでは、ホテリング導入時に押さえておきたいポイントを紹介します。

導入目的を明確にし、社内で共有する

まず重要なのは、「なぜホテリングを導入するのか」という目的を明確にすることです。目的が曖昧なまま導入すると、社員が使い方を理解できず、定着しない恐れがあります。例えば、「出社が集中した際の席不足を解消したい」「空席を減らしてスペース効率を高めたい」「働き方の柔軟性を高めたい」など、企業によってさまざまな目的があるでしょう。導入時にはこうした目的や導入背景を社内で共有し、社員が利用イメージを持てる状態をつくることで、スムーズな定着につながります。

予約運用のルールを明確にし、使いやすくする

ホテリングでは、予約方法やキャンセル期限、利用可能時間など、日常的に使うルールをあらかじめ明確にしておくことが欠かせません。あわせて、FAQや簡単なガイドを整備し、社員が迷わず利用できる環境を整えることが重要です。ルールが曖昧なままだと、予約忘れや無断利用が発生しやすく、かえって運用上の混乱を招く原因になります。

また、「予約なしで利用できる席」を一定数設けておくのも有効な方法です。これは導入初期の混乱を和らげるだけでなく、他拠点の社員の利用や来客対応、急な出社といったイレギュラーなケースにも柔軟に対応しやすくなります。予約制を基本としながらも、こうした余白を持たせた運用を行うことで、ホテリングをより現実的で使いやすい仕組みにできるでしょう。

運用状況を定期的に見直し、ルールやレイアウトをアップデートする

ホテリングは、導入して終わりではありません。実際の使われ方を確認しながら、定期的に運用を見直すことで効果を最大化できます。

予約データや利用状況を分析すると、「特定の席に利用が偏っている」「ほとんど使われていないエリアがある」「会議室が慢性的に不足している」といった傾向が見えてくるでしょう。こうしたデータをもとに、席数やルールを調整したり、空いたスペースをミーティングエリアやリフレッシュスペースなどの用途へ再配分したりすることで、実態に合ったオフィス運用が可能になります。継続的な見直しが、社員の満足度と運用効率の向上につながるのです。

トラブル発生時の対応を事前に決めておく

ホテリングは予約システムに依存するため、システム障害やネットワークトラブルが発生した場合、「どこに座ればよいかわからない」といった混乱が起こりやすくなります。そのため、万が一の際の対応を事前に決めておくことが重要です。

例えば、自由に利用できるエリアをあらかじめ設けておく、システムが使えない場合は一時的に先着順運用に切り替える、トラブル時の連絡フローを明確にしておくなどの対策が考えられます。いざというときの動き方が共有されていれば、社員も安心してホテリングを利用でき、業務を止めずに対応しやすくなるでしょう。

6. オカムラのホテリングシステム「Work×D」

ホテリングを定着させるためには、座席の予約管理だけでなく、在席状況の把握や利用データの分析など、複数の運用を並行して行う必要があります。これらを個別のツールで管理していると、運用負荷が増え、ルールが浸透しにくくなるケースも少なくありません。

こうしたホテリング運用を1つの仕組みでまとめて管理できるのが、オカムラのクラウドサービス「Work×D(ワーク・バイ・ディ)」です。Work×Dでは、座席や会議室の予約、在席状況の見える化、利用データの取得までを一元的に管理できます。スマートフォンやPCから簡単に予約でき、出社後は誰がどこにいるかをリアルタイムで把握できるため、「席が見つからない」「誰が出社しているのかわからない」といった、フリーアドレスやホテリング運用で起こりがちな課題を軽減します。

またWork×Dは、座席や会議室の予約・在席管理といったホテリングの中核機能を備えているほか、ロッカー予約や受付、入退室管理など、フリーアドレス環境で必要になる周辺業務もまとめて管理できます。ホテリングをきっかけに、スムーズなオフィス運用に移行させるために、有効な選択肢のひとつとなるはずです。

Work×Dの詳しい機能については、以下のページをご覧ください。

Work×D(ワーク・バイ・ディ)

7. 働き方の変化に合わせて"最適なオフィス運用"を整えましょう

働き方が多様化する今、限られたオフィスをどのように活用し、その価値を最大化するかは、多くの企業にとって重要なテーマとなっています。ホテリングは、出社率の変動やフリーアドレス運用で生じやすい課題に対応しながら、働きやすさとスペース効率の両立を図れる有効な運用手法です。

一方で、ホテリングはシステムを導入するだけで効果が出るものではなく、目的の明確化やルール整備、利用データをもとにした継続的な改善が欠かせません。運用や空間づくりを含めて総合的に考えることで、はじめて「行きたくなるオフィス」に近づいていきます。

自社だけで検討・運用するのが難しい場合は、働き方や組織の特性を理解したパートナーと一緒に進めるのもひとつの選択肢です。オカムラでは、オフィス設計から運用の仕組みづくりまで一貫して支援しています。ぜひ本記事を参考に、自社にとって最適なホテリング運用を検討してみてください。

オカムラがオフィスのさまざまなお悩みをまとめたダウンロード資料も、ぜひご活用ください。

よくある質問

Q:ホテリングとはどのような仕組みですか?

A:ホテリングとは、オフィス内の座席や会議室、特定のワークスペースを、出社前に事前予約して利用する仕組みのことです。フリーアドレスのように固定席を持たない働き方を前提としながら、誰が・いつ・どこを利用するのかを可視化し、出社人数や在席状況を把握しやすくするために導入されます。

Q:ホテリングを導入すると、どのようなメリットがありますか?

A:ホテリングを導入すると、出社率や座席・会議室の利用状況をデータとして把握できるようになります。これにより、感覚に頼らず、実態に即したオフィス運用が可能です。予約データをもとに席数の適正化やレイアウト改善を判断できるため、オフィス維持コストの最適化と働きやすい空間づくりの両立につなげることができます。

Q:ホテリングにはどのようなデメリットがありますか?

A:ホテリングは、導入初期にルール整備や運用の負荷が発生しやすい点がデメリットです。「席を予約する」という新しい行動が社員の負担になる場合もあり、予約忘れや無断利用が起こることもあります。そのため、社内で定着するまでは、担当者によるサポートが必要になるでしょう。

Q:ホテリングシステムにトラブルが起きた場合の対応はどうなりますか?

A:予約システムやネットワークにトラブルが発生すると、座席の予約や在席状況の確認が一時的にできなくなる可能性があります。そのため、自由に使える予備席を設けておく、緊急時の対応フローを決めておくなど、想定外の状況でも業務を止めないための運用設計が重要です。

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オフィスづくりに関するQ&A

Q1

オフィス移転や改装を検討しはじめるタイミングは、いつが良いですか?

A1

社員数や内容によって異なりますが、100名規模のオフィスの場合、移転予定の1年前、改装の場合は6か月前からの検討が理想です。
現状課題の整理や物件選定、レイアウト設計、施工期間などを考慮すると、余裕をもった準備期間を設けることでスムーズに進められます。
オカムラでは、初期段階からお客様のニーズや課題を伺い、スケジュール立案や検討資料づくりをサポートしています。 お問い合わせ

Q2

オフィスづくりを依頼すると、どこまでサポートしてもらえますか?

A2

オカムラでは、オフィスの企画・設計・施工・運用までを一貫してサポートします。
働き方や組織課題を丁寧にヒアリングし、レイアウト、家具、照明、ICT環境などを総合的にデザインします。
また、移転・改装後のアンケートや改善提案を通して、働き方の変化に寄り添った空間づくりを支援します。 オカムラのオフィスづくりソリューション

Q3

オフィス改装の費用はどのくらいかかりますか?

A3

改装の内容や規模、目的によって費用は大きく変わります。
例えば、部分的なリニューアルなのか、働き方改革を目的とした全面リニューアルなのかによっても必要な費用は異なります。
具体的な金額を知りたい場合は、現状の課題やご希望をお伺いしたうえで、最適なプランをご提案いたします。まずはお気軽にお問い合わせください。 お問い合わせ

Q4

まだ具体的な計画がなくても、相談して大丈夫ですか?

A4

もちろん大丈夫です。
多くのお客様が「何から始めればいいか分からない」という段階からご相談されています。
オカムラでは、丁寧なヒアリングを通して課題整理や事例紹介、スケジュール・費用感の目安提示など初期検討をサポートします。
「移転か改装か迷っている」、「まずはイメージを膨らませたい」など、どんな段階でもお気軽にご相談ください。 お問い合わせ

Q5

自社に合った働き方やレイアウトがわかりません。どうすれば良いですか?

A5

オカムラでは、オフィスづくりの初期検討をサポートする無料ツール「OFFICE KIT」をご用意しています。
質問に答えるだけで、自社に合った働き方の方向性やレイアウトタイプが見えてきます。
まだ具体的な計画がなくても活用できる内容です。ぜひ一度お試しください。 OFFICE KITで診断する