オフィスの床材の選び方は?
種類や張り替え時の注意点も解説

2026年5月12日公開
  • インテリアデザイン
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  • レイアウト

オフィスの床は、空間の印象を左右するだけでなく、働きやすさを整える上でも重要な要素です。来訪者に与える第一印象や企業イメージの形成に関わるほか、歩行音の大きさや清掃のしやすさ、耐久性など、日常業務の快適性にも影響します。

しかし、床材にはカーペットやビニル系、天然素材などさまざまな種類があり、「どれを選べばよいのかわからない」「張り替えの際に何に注意すべきか知りたい」と悩む担当者の方も少なくありません。

この記事では、オフィスで使用される床材の主な種類と特徴、選定のポイント、張り替え時の注意点、施工事例をわかりやすく解説します。

1. オフィスの床が果たす役割

床はオフィス内で占める面積が大きく、来訪者や社員が必ず目にする要素のひとつです。そのため、空間全体の印象や快適さに大きく影響します。例えば、明るい色の床は開放感や清潔感を演出しやすく、落ち着いた色合いは安心感や信頼感を与えるなど、企業イメージの形成にも関わる重要な要素といえるでしょう。

また、床材の色や質感をエリアごとに変えることで、パーティションを設けなくてもゾーニングや動線の明示が可能です。執務スペース、応接エリア、休憩スペース、通路などの用途を視覚的に分けることで、空間の使い方が直感的に伝わり、利用者の行動を自然に誘導できます。

さらに、防音性・耐久性・清掃性といった機能面も床材によって大きく異なります。歩行音や椅子の移動音を抑えたいのか、人通りの多さに耐える強度が必要なのか、日常清掃を効率化したいのかなど、求められる性能によって最適な素材は変わります。これらは業務のしやすさや維持管理コストにも直結するため、見た目だけでなく機能面を含めて検討することが重要です。

2. OAフロアとは? 床材を選ぶ前に

現在のオフィスでは、配線を整理しやすくするために、床材の下に配線スペースを確保する「OAフロア」がほぼ標準的に採用されています。OAフロアは床面を二重構造にすることで配線の収納を可能にし、電源やLANケーブルを床下に収められるのが特長です。配線の露出を防いで見た目をすっきり保てるほか、レイアウト変更にも柔軟に対応できます。

しかし、築年数の古いビルなどではOAフロアが設置されていない場合も珍しくありません。その場合は、新しくOAフロアを設置するか、床上に配線モールを設けたり、床や天井から電源を供給したり、ポータブル電源を活用したりして対応することになります。

また、OAフロアが設置されていても、すべての床材をその上に施工できるとは限りません。重量のある素材や特殊な施工が必要な床材などを採用する場合には、OAフロアを部分的に撤去し、下地から施工するケースがあります。この場合、周囲との床の高さに差が生じるため、段差解消のための下地調整やスロープ設置などの対策が必要になります。安全性や動線への影響にも十分配慮しながら計画することが大切です。

このように、床材の選定は見た目や機能だけでなく、建物の条件や配線計画とも密接に関係しています。快適で安全なオフィスにするためにも、事前にOAフロアの有無や施工条件を確認しておきましょう。

3. オフィスで選ばれる床材の種類

オフィスで使用される床材にはさまざまな種類がありますが、代表的なものは大きく「カーペット」「ビニル系」「天然素材」の3つに分類できます。それぞれ機能性や見た目、メンテナンス性が異なるため、エリアごとに使い分けることが一般的です。

以下では、オフィスでよく採用される床材の特徴と、適したスペースを紹介します。

カーペット

カーペットは歩行音や椅子の移動音を吸収しやすく、静かな環境づくりに適した床材です。そのため、執務スペースや会議エリアなど、集中やコミュニケーションなどを重視する場所で広く採用されています。

色や柄のバリエーションが豊富で、貼り分けによってゾーニングや動線の可視化にも活用しやすい点も特長です。特にオフィスでは、タイル状に施工する「タイルカーペット」が主流で、汚れや破損が生じた場合でも部分的な交換が可能で、メンテナンス性に優れています。

また、クッション性があるため下地の影響を受けにくく、既存床に多少の凹凸がある場合でも施工しやすいのがメリットです。レイアウト変更や退去時の原状回復にも対応しやすく、コストを比較的抑えられることから、多くのオフィスで標準的に採用されています。

オフィスのカーペットに関しては、以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。

オフィスに最適なカーペットとは? タイルカーペットが選ばれる理由を解説

ビニル系

ビニル系床材には、タイル状の「フロアタイル」とシート状の「フロアシート」があります。木目調や石目調など意匠性の高いデザインが豊富で、天然素材のような見た目を比較的リーズナブルに実現できる点が特長です。

耐久性や清掃性に優れており、人の出入りが多い通路やエントランス、飲食スペースなどに適しています。水や汚れに強く、日常清掃がしやすいことから、メンテナンス性を重視するスペースで採用されることが多い床材です。

ただし、下地の状態が仕上がりに影響しやすく、凹凸やひび割れがある場合は事前に調整が必要になります。また、接着剤による施工が一般的なため、レイアウト変更や退去時には剥がし作業が発生し、原状回復の負担が大きくなる可能性があるでしょう。

天然素材

木材や石材などの天然素材は、素材本来の質感や経年変化を楽しめる点が特長で、空間に高級感や落ち着いた印象を与えます。企業ブランドや来客への印象を重視するエントランスや応接エリアなど、ブランディングを重視する空間で採用されることが多い床材です。

フローリングや無垢材は温かみのある雰囲気を、石材やタイルは重厚感や清潔感を演出できるなど、素材によって空間の印象を大きく変えられます。また、木材や畳を用いた小上がりスペースを設け、リラックスできるコミュニケーション環境をつくるケースもあります。

一方で、下地の影響を受けやすく施工工程も多いため、工期や初期コストはふくらむ傾向があるでしょう。執務エリア全面に採用するというよりも、用途やゾーンを限定して取り入れるケースが一般的です。適切なメンテナンスを行えば長期間使用できるため、自社ビルや長期利用を前提としたオフィスで検討されることが多い床材といえます。

4. オフィスの床材の選び方

床材を選ぶ際は、デザインの好みだけで決めるのではなく、空間の用途や運用方法、将来の変更可能性まで含めて総合的に検討することが重要です。以下のポイントを押さえると、自社に適した床材を選びやすくなります。

空間イメージから考える

床の色や柄、質感はオフィス全体の印象を大きく左右するものです。企業のブランドイメージや来訪者に与えたい印象、働く人に感じて欲しい雰囲気などを踏まえて選定します。例えば、落ち着きや信頼感を重視する応接室や役員エリアでは深いトーンや無彩色、創造性や活気を重視するスペースでは明るい色やアクセントのあるデザインが効果的です。

カーペット・ビニル・天然素材それぞれに質感や柄のバリエーションがあるため、サンプルで実際の見え方や足ざわりを確認し、適切なイメージの床材を選びましょう。

用途から考える

オフィスの床はエリアごとに求められる性能が異なるため、用途に応じた使い分けが基本です。執務エリアでは吸音性の高いカーペット、通路や飲食スペースでは耐久性や清掃性に優れたビニル系床材、エントランスでは意匠性の高い素材など、それぞれの機能と利用状況に合わせて選定します。用途に適さない床材を選ぶと、騒音や汚れ、劣化の早さなどの問題が生じる可能性があります。

また、床材をエリアごとに貼り分けることで、パーティションを設けなくてもゾーニングや動線の表現が可能になります。

運用から考える

日常的な清掃方法や管理体制も重要な判断材料です。人通りが多く汚れやすい場所では、掃除のしやすさや耐久性を重視することで管理の負担を軽減できます。また、ワックスがけの必要性や部分補修のしやすさなど、維持管理の手間も床材によって大きく異なります。将来的にレイアウト変更や移転を予定している場合は、剥がしやすさや原状回復のしやすさも確認しておくと安心です。

オフィスでは、特に「タイルカーペット」や「フロアタイル」が人気の床材として活用されることが多い傾向にあります。どちらもタイル状の床材を一つずつ並べていくもので、部分的な補修がしやすい点が人気の理由です。

オフィスに最適なカーペットとは? タイルカーペットが選ばれる理由を解説

コストから考える

床材を選ぶ際は、初期費用だけでなく長期的なコストも含めて判断することが大切です。材料費や施工費に加え、清掃やメンテナンス、将来的な張り替え費用なども考慮する必要があります。使用期間や運用方法を踏まえてトータルコストで比較しましょう。

将来の変更や原状回復を見据えて考える

オフィスではレイアウト変更や組織改編、移転などが発生することも少なくありません。そのため、将来的な変更のしやすさを考慮して床材を選ぶことが重要です。

また、接着施工の床材は、撤去に手間と費用がかかる場合があり、原状回復の負担が大きくなる可能性があります。一方、部分交換が可能な床材は維持管理や改修の面で柔軟性が高く、長期的な運用に向いていると言えるでしょう。

5. オフィスの床を張り替える際の注意点

床の張り替え工事を進める際には、ほかの業務に支障をきたさないように配慮が必要です。ここでは、張り替え工事の際、事前に注意しておきたいポイントを紹介します。

工期と業務への影響を抑える

床の張り替え工事中は、対象エリアを使用できなくなる場合があります。そのため、施工範囲や工期を把握し、業務への影響を最小限に抑えるスケジュールを立てることが重要です。

全面施工だけでなく、エリアごとに分けて段階的に施工できるかどうかを確認すると、業務を止めずに改修を進められる場合があるでしょう。また、仮設通路の確保や養生範囲の設定など、社員の動線への影響にも配慮が必要です。繁忙期を避けたり、休日や夜間に施工したりすることで、業務への支障をさらに抑えられます。

下地・建物の構造を確認する

既存の床材を撤去した後、下地の状態によっては補修が必要なケースがあります。凹凸やひび割れ、湿気などがある場合、追加費用や工期延長につながる可能性も。

また、建物の構造や床荷重、耐火性能などによって、選定できる床材が制限される場合もあります。特に重量のある素材や特殊な施工を伴う床材を検討している場合は、事前に確認が必要です。賃貸物件では、床への加工の可否や原状回復の条件も重要なポイントとなります。契約内容を確認し、管理会社やオーナーと調整しておきましょう。

6. オフィスの床材の施工事例

オフィスでは、エリアの用途や過ごし方に応じて床材を使い分けることで、働きやすさや空間の印象を高められます。ここでは、ダイコク電機株式会社 様の事例を見ていきましょう。

エリアごとに異なる床材を使い分けている事例|ダイコク電機株式会社 様

エレベーターホール

入り口となるエレベーターホールには、コンセプトである「和」の趣を感じさせる落ち着いたデザインの床を採用。柔らかな質感の仕上げにより、静けさと上質感のある空間を演出し、来訪者を迎える空間としての品格を感じさせます。企業の第一印象を形づくる重要なエリアとして、コンセプトに合わせた床材を選びました。

ワークエリア

ワークエリアには、落ち着いた色調で吸音性の高い床材が採用されています。歩行音や椅子の移動音を抑えることで、集中しやすい環境を確保。周囲のエリアとの床の違いによって、作業に適したゾーンであることが自然に認識できるようになっています。

カフェコーナー

カフェコーナーには、執務エリアとは異なる質感と色調の石調のビニル系床材が採用されています。重厚感のある仕上げにすることで、落ち着いて過ごせる雰囲気を生み出し、休憩や雑談、ちょっとした打ち合わせにも利用しやすい空間を視覚的に示しました。

また、飲食を伴う利用や人の滞在時間が長い場所でも安心して使えるよう、耐久性や清掃性にも配慮されています。床の仕上げを変えることで、同一フロア内でもワークエリアとの心理的な切り替えが生まれ、利用目的に応じた行動を促す効果が期待できるでしょう。

ワークエリア

通路部分と個室スペースでは、同じカーペット系の床材であっても色やデザインを変え、役割を明確に使い分けました。通路は人の移動が多い場所であることが分かりやすい仕上げとし、滞在して作業を行うスペースには、落ち着いた雰囲気と快適性を重視した床材が採用されています。床材の使い分けによって、動線と作業エリアを自然に区別している例です。

ワークエリア/コミュニケーションエリア

靴を脱いでくつろげる小上がりスペースは、ワークエリアとコミュニケーションエリアの共存を実現させた空間です。床材には、靴を脱いでくつろげる環境に合わせ、温かみのある木目調の床を採用。ソファ席や掘りごたつ式の席と組み合わせることで、リラックスした姿勢での作業やカジュアルな打ち合わせが行いやすい空間となっています。

ほかのエリアとは異なる柔らかい印象の床仕上げにしたため、同じフロア内でも働き方の切り替えがしやすくなり、「くつろぎながら話せる場所」であることを自然に認識できるでしょう。

部門を越えた人の「輪」×アイデアの「和」が育つオープンフロア|ダイコク電機株式会社

7. 自社の働き方に合った床材選びが、快適なオフィスづくりにつながる

オフィスの床は、空間の印象だけでなく、業務のしやすさや日常的な使い勝手にも影響する重要な要素です。用途やエリアに応じて適切な床材を選び分けることで、働き方に合った快適な環境を実現できます。

床は長期間使用する部分だからこそ、自社の業務内容や運用方法を踏まえて慎重に検討することが大切です。適切な床材選びは、持続的に使えるオフィス環境づくりにつながります。床材選びや張り替えに迷ったときは、専門業者へ相談し、自社に合った最適な計画を検討しましょう。

床を含めたオフィス環境の整備を検討する際は、レイアウトや設備、働き方との関係など、空間全体を俯瞰して計画することが重要です。オフィスづくりの基本的な進め方や検討のポイントをまとめた資料をご用意していますので、ぜひ参考にしてください。

よくある質問

Q:オフィスの床材にはどのような種類がありますか?

Aオフィスで使用される床材には、主にカーペット、ビニル系、天然素材の3種類があります。カーペット床材は吸音性に優れ、ビニル系床材は耐久性や清掃性が高く、木材や石材などの天然素材は意匠性が高いという特長があります。用途や求める機能に応じて使い分けることが重要です。

Q:オフィスの床材はどのように選べばよいですか?

Aオフィスの床材は、空間の用途や働き方に合わせて選ぶことが重要です。執務スペースでは静かな環境づくりに適した素材、通路や飲食スペースでは耐久性や清掃性に優れた素材など、エリアごとに求められる性能が異なります。デザインだけでなく、運用方法や将来的な変更の可能性も踏まえて検討するとよいでしょう。

Q:オフィスの床を張り替える際に注意することはありますか?

A張り替え工事中は対象エリアが使用できなくなるため、業務への影響を考慮したスケジュール調整が重要です。また、選んだ床材の種類や既存床の下地状態によっては、補修が必要となり、追加費用や工期延長が発生する場合もあります。さらに賃貸物件では床材の変更が制限されるケースもあるため、事前に契約条件を確認しておきましょう。


イラスト:Masaki

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オフィスづくりに関するQ&A

Q1

オフィス移転や改装を検討しはじめるタイミングは、いつが良いですか?

A1

社員数や内容によって異なりますが、100名規模のオフィスの場合、移転予定の1年前、改装の場合は6か月前からの検討が理想です。
現状課題の整理や物件選定、レイアウト設計、施工期間などを考慮すると、余裕をもった準備期間を設けることでスムーズに進められます。
オカムラでは、初期段階からお客様のニーズや課題を伺い、スケジュール立案や検討資料づくりをサポートしています。 お問い合わせ

Q2

オフィスづくりを依頼すると、どこまでサポートしてもらえますか?

A2

オカムラでは、オフィスの企画・設計・施工・運用までを一貫してサポートします。
働き方や組織課題を丁寧にヒアリングし、レイアウト、家具、照明、ICT環境などを総合的にデザインします。
また、移転・改装後のアンケートや改善提案を通して、働き方の変化に寄り添った空間づくりを支援します。 オカムラのオフィスづくりソリューション

Q3

オフィス改装の費用はどのくらいかかりますか?

A3

改装の内容や規模、目的によって費用は大きく変わります。
例えば、部分的なリニューアルなのか、働き方改革を目的とした全面リニューアルなのかによっても必要な費用は異なります。
具体的な金額を知りたい場合は、現状の課題やご希望をお伺いしたうえで、最適なプランをご提案いたします。まずはお気軽にお問い合わせください。 お問い合わせ

Q4

まだ具体的な計画がなくても、相談して大丈夫ですか?

A4

もちろん大丈夫です。
多くのお客様が「何から始めればいいか分からない」という段階からご相談されています。
オカムラでは、丁寧なヒアリングを通して課題整理や事例紹介、スケジュール・費用感の目安提示など初期検討をサポートします。
「移転か改装か迷っている」、「まずはイメージを膨らませたい」など、どんな段階でもお気軽にご相談ください。 お問い合わせ

Q5

自社に合った働き方やレイアウトがわかりません。どうすれば良いですか?

A5

オカムラでは、オフィスづくりの初期検討をサポートする無料ツール「OFFICE KIT」をご用意しています。
質問に答えるだけで、自社に合った働き方の方向性やレイアウトタイプが見えてきます。
まだ具体的な計画がなくても活用できる内容です。ぜひ一度お試しください。 OFFICE KITで診断する