オフィスのセキュリティを高める重要性とは?
具体的な対策と導入事例をご紹介

2026年1月6日公開
  • レイアウト

リモートワークやハイブリッドワークの普及により、オフィスの役割は大きく変化しています。

こうした変化に伴い、人や情報の出入りも複雑化しており、従来以上にセキュリティ対策が求められるようになりました。物理的な安全だけでなく、情報漏洩や内部不正、サイバー攻撃といった多様なリスクに対応するには、空間設計や運用ルールも含めた総合的な視点が欠かせません。

この記事では、オフィスセキュリティを重視すべき理由のほか、セキュリティを高める4つの柱と、事例をもとに具体的なレイアウト設計を解説します。

1. オフィスセキュリティを重視すべき理由

働き方の多様化が進み、オフィスの役割そのものが大きく変わってきました。リモートワークやフリーアドレスの導入によって場所に縛られない働き方が広がる一方で、情報の扱いや出入りが複雑になり、セキュリティへの配慮がこれまで以上に重要になっています。

特に注意すべきなのが情報漏洩です。万が一、情報漏洩が起こると顧客や取引先との信頼関係に影響を及ぼすだけでなく、損害賠償を求められるリスクもあります。

さらに、近年は災害や感染症、サイバー攻撃といった、従来の想定を超えるリスクも増加傾向です。こうした多様な脅威に備えるには、個人情報保護などの法令に対応することはもちろん、情報の取り扱いルールや空間設計、人の行動に着目した仕組みづくりも欠かせません。オフィスのセキュリティは、社員が安心して働ける環境づくりの土台として必要であり、企業としての信頼を守る上でも欠かせない視点といえるでしょう。

2. オフィスにおける主なセキュリティリスク

一見安全に思えるオフィス環境にも、さまざまなセキュリティリスクが潜んでいます。ここでは、特に注意すべき3つのリスク「物理的リスク」「人的リスク」「情報リスク」について、それぞれの特徴と発生しやすい場面を紹介します。

物理的リスク:不法侵入、盗難、備品の持ち出しなど

オフィスにおけるセキュリティリスクの中で、まず押さえておきたいのが物理的リスクです。具体的には、不審者の侵入や機器の盗難、備品の無断持ち出しといった行為が該当します。

これらは、出入口や共有スペースなど外部との接点が多い場所で起こりやすく、来訪者の管理が不十分な場合に発生しやすくなります。例えば、受付が無人だったり、社員証がなくても自由に出入りできたりする環境では、不審者がオフィス内に入り込むリスクがあるため注意が必要です。

日常的に多くの人が行き交う場所だからこそ、こうしたリスクを想定した管理体制が必要になります。

人的リスク:内部不正、誤操作、情報の持ち出し、スピーチプライバシーなど

セキュリティ上の脅威というと、外部からの攻撃を思い浮かべがちですが、実は多くのトラブルは内部で発生しています。ヒューマンエラーや内部不正といった人的リスクは、日常業務の中に潜む見えにくい危険のひとつです。

例えば、書類やUSBメモリの紛失、メールの誤送信といった操作ミスは、誰にでも起こりうるものです。さらに深刻なのは、意図的な情報の持ち出しや、退職者によるデータの悪用といった内部不正です。これらは発見が遅れやすく、被害が広がりやすいという特徴があります。

また、見落とされがちなのが「スピーチプライバシー」に関するリスクです。オープンスペースでの電話や打ち合わせなど、日常的なコミュニケーションの中で機密情報が周囲に漏れてしまうケースもあります。

人的リスクはすべての社員が無関係ではいられない課題です。日常の行動がセキュリティに直結するという意識を、職場全体で共有していくことが求められます。

情報リスク:不正アクセス・情報漏洩など

クラウドやネットワークの活用が進む一方で、情報リスクも確実に増しています。不正アクセスやサイバー攻撃、業務データの漏洩といったトラブルは、業種や企業規模を問わず発生しており、全社的な対策が欠かせません。

例えば、業務で使用しているクラウドサービスの設定や外部共有のリンクを間違えた場合、機密情報が第三者に閲覧されるおそれがあります。加えて、パスワードの使い回しなどの意識の低さが、セキュリティを破られるきっかけになるケースも少なくありません。

また、近年では、生成AIの業務活用に伴うリスクにも注目が集まっています。よく聞かれる代表的なリスクは、業務データをAIに取り込む際、その情報が外部に送信されてしまう可能性があることです。

こうした情報リスクは、単独で発生するものではなく、人的・物理的リスクとも密接に関連しています。だからこそ、「情報」「人」「空間」が連動するかたちでセキュリティ対策を考える視点や、企業として社内の取り扱いルールや環境整備が求められているのです。

3. オフィスセキュリティを強化する4つの柱

オフィスのセキュリティ対策は、情報漏洩や不正侵入といったさまざまなリスクに対応しなければならないため、複数の視点からバランスよく対策を講じる必要があります。「情報」「設備」「運用」「空間」の対策が相互に補い合うことで、はじめて効果を発揮するのです。

ここでは、セキュリティ対策を強化する柱となる4つの要素について解説します。

情報セキュリティ:守るべき資産を把握・管理する

情報セキュリティ対策の第一歩は、「何を守るべきか」を明確にすることです。顧客情報や契約書、社員データなど、オフィスには多種多様な情報資産が存在しています。まずは、どの情報がどこに保管され、誰がアクセスできるのかを可視化し、機密度に応じて管理方法を区分することが重要です。そのためには、紙の資料からクラウド上のデータ、USBICカードといった物理的な媒体まで、あらゆる情報資産を対象とした棚卸しが欠かせません。 

<把握すべき主な情報資産の例>

  • 顧客情報・個人情報(住所・電話番号・メールアドレス・契約情報など)
  • 社員情報(人事・給与・勤怠データなど)
  • 機密文書・紙資料(契約書・見積書・社内報告書など)
  • 電子データ(共有ファイル・業務システム・クラウド上のバックアップデータなど)
  • ハードウェア資産(パソコン・スマートフォン・サーバー・USBICカードなど)
  • アクセス権限情報(システムログイン権限・外部委託先のアカウントなど)

また、クラウドや外部委託を活用している場合は、アクセス範囲や委託先の管理体制も定期的に点検する必要があります。

設備セキュリティ:仕組みで不正を防ぐ

オフィスの安全を守るためには、設備による対策も欠かせません。設備を整えることで、不正侵入や情報の持ち出しといったリスクに対して抑止力を働かせることができます。

代表的な対策として挙げられるのが、入退室管理システムや監視カメラの導入です。誰が、いつ、どの場所にアクセスしたかを記録することで、トラブル発生時の原因究明や再発防止に役立ちます。

<設備における具体的な対策の例>

  • ICカード・顔認証による入退室管理
  • 防犯カメラの設置と録画データの保管
  • 鍵付きロッカーやキャビネットの利用
  • VPNや多要素認証によるネットワークセキュリティの強化

また、勤怠管理システムと連携すれば、在席状況と入退室ログを一元的に管理することも可能になります。設備による仕組みづくりは、人的ミスや油断をカバーする重要な対策です。

運用セキュリティ:ルールと教育で仕組みを支える

どれだけ設備を整えても、それを正しく運用するのは人です。セキュリティ対策を現場で機能させるには、日常業務に即したルールづくりと、社員一人ひとりの意識づけが欠かせません。例えば、離席時の画面ロックや紙資料の管理、来訪者の対応フローなど、細かな行動の積み重ねがリスクを防ぎます。また、セキュリティに関する知識や判断力を高めるための教育・研修も、定期的に実施することが求められます。

<運用における具体的な対策の例>

  • 情報の取り扱い・持ち出しに関する社内規定の整備
  • 定期的なセキュリティ教育・研修の実施
  • 不審な行動や物品紛失時の報告ルールを明確化
  • ログ管理やシステム設定の定期点検
  • 経営層・担当者・社員それぞれの役割を明確化

特にフリーアドレスやハイブリッド勤務のように、個人の席や端末が固定されない働き方では、資料やデータの責任の所在が曖昧になりやすい傾向があります。万が一トラブルが起きた際に迅速な対応が取れるよう、誰が何を管理しているのかを明確にしておくことが大切です。

空間セキュリティ:設計で安心して働ける環境をつくる

セキュリティ対策というと設備やルールに意識が向きがちですが、実は空間の設計そのものにも大きな役割があります。オフィスレイアウトや動線の工夫によって、リスクを未然に防ぎつつ、社員が安心して働ける環境をつくることが可能です。

例えば、来客エリアと執務エリアを明確に分けるゾーニングで、外部の人が社内の情報に無意識に触れるリスクを防げます。また、通路からパソコンの画面が見えないように配置したり、ガラスや植栽などで自然な仕切りを設けたりする工夫も効果的です。

<空間設計における工夫例>

  • 来客・共用・執務・機密エリアのゾーニング
  • 来訪者動線と社員動線の分離
  • 通路や共有部から機密情報が見えない配置の工夫
  • 透明パネルや植栽を活用した視線のコントロール
  • 防災・避難経路も同時に検討し、安全計画と一体化

中でもゾーニングは、空間セキュリティを考える上で非常に重要です。業務内容や利用者に応じてスペースを区分けすることで、機密情報へのアクセスや持ち出しといったリスクを大きく減らせます。レイアウト設計の工夫によって、安全かつストレスの少ない職場環境を目指しましょう。

4. セキュリティを高めているオフィスの事例

ここでは、セキュリティと働きやすさを両立させたオフィスづくりを実現している企業の事例を3つ紹介します。どのような課題に対して、どんな工夫を行ったのかを知ることで、自社にとって参考になるヒントが得られるはずです。

<セキュリティを高めているオフィスの事例>

  • セキュリティを確保しつつ「通いたくなるオフィス」を実現
  • クライアントの見学を前提とした安心の設計
  • 明確なゾーニングで情報を守る営業拠点

セキュリティを確保しつつ「通いたくなるオフィス」を実現

北電情報システムサービス株式会社 様

北電情報システムサービス株式会社 様は、東京事業所の移転を機に、富山県の本社からの転勤者も含め、社員が心地よく働けるようカフェのような空間を実現しました。情報セキュリティを扱う事業に取り組みながら、従来の固定席が並ぶ形式ではなく、開放的で柔軟に働ける環境を整えた点が特徴です。

例えば、機密情報を扱う開発部の執務エリアには個室を用意し、壁をあえてガラス張りに。視認性を高めつつも、黒い格子を取り入れることで視線をやわらかく遮り、セキュリティと快適さのバランスをとっています。

見せながら守る。そんなオープンで安心感のある空間づくりが、訪れる人にも働く人にも好印象を与えるオフィスです。

もっと会社を好きになってもらうために、オフィスができること|北電情報システムサービス株式会社

クライアントの見学を前提とした安心の設計

株式会社プライムアシスタンス 様

新潟市古町エリアに開設された新潟コンタクトセンターは、地域文化を取り入れたデザインと、高いセキュリティ性を両立したオフィスです。花街・古町をモチーフにしたエントランスや、地元民の憩いの場所である白山公園をイメージしたビューエリアなど、空間全体に新潟らしさを感じられる工夫が施されています。

こちらのオフィスは、取引先の見学を前提とした設計がなされており、執務エリアが2階ビューエリアのガラス越しに見渡せる構造になっています。来訪者は内部に立ち入ることなく、社員の働く様子や運用体制を見学可能です。透明性とセキュリティがバランスよく両立されています。

業務で使用するマニュアル類は共用書庫で一元管理し、必要なときにすぐ取り出せるように整備するなど、社員にとっても安心して働ける環境づくりが行われています。

地域色&社員満足度を重視、新潟ナンバーワンの"愛されオフィス"へ|株式会社プライムアシスタンス

明確なゾーニングで情報を守る営業拠点

株式会社アイネス 様

営業拠点として東京・八重洲に開設された新オフィスは、「安心」と「革新」をテーマに、来訪者に感動を与える演出と営業拠点としての快適さを両立しています。特に注目すべきは、来客エリアと執務エリアを明確に分けたゾーニングです。来訪者が立ち入るスペースと、社員が業務を行うスペースを物理的に分離することで、情報漏洩や不正アクセスのリスクを低減しています。

また、会議室にはガラス張りの壁とカーテンを採用。外からの視認性を確保しつつ、必要に応じて視線を遮ることができる設計です。執務エリアにはフリーアドレスとABWActivity Based Working)を導入し、業務内容に応じた柔軟な働き方を実現。セキュリティを保ちつつ、快適に働けるオフィス空間が構築されています。

来客に驚きと感動をもたらす、新たな営業拠点|株式会社アイネス

5. オフィスセキュリティは「働きやすさ」と「信頼」を支える基盤

オフィスセキュリティの目的は、単に不法侵入や情報漏洩を防ぐことではありません。企業の信頼を守り、組織が持続的に成長していくための仕組みとして、重要な役割を担っているのです。

これからのオフィスづくりには、見た目のデザインや快適さだけでなく、「安全に働ける空間」をどう実現するかという視点が欠かせません。働き方が多様化している今だからこそ、情報・設備・運用・空間のすべてを見直し、バランスのとれたセキュリティ対策を行うことが求められています。

オフィスのセキュリティは、社員の働きやすさと企業の信頼を同時に支える重要な基盤です。今ある環境を一度見直し、小さな改善から始めてみてはいかがでしょうか。

以下の資料で働きやすさと企業の信頼を支えるオフィスづくりのポイントを分かりやすく解説しています。ぜひ参考にしてください。

よくある質問

Q:オフィスセキュリティを強化することでどのようなメリットがありますか?

A:セキュリティ対策を強化することで、不正侵入や情報漏洩といったリスクを防げるのはもちろん、社員が安心して働ける環境づくりにもつながります。結果として企業への信頼を高めることができ、業務の継続性や成長の基盤を支える大きなメリットがあります。

Q:オフィスで起こりうるセキュリティリスクにはどんなものがありますか?

A:主なリスクには、部外者の侵入や盗難といった「物理的リスク」、社員の誤操作や内部不正による「人的リスク」、サイバー攻撃や情報漏洩といった「情報リスク」があります。これらは複雑に関係しており、設備やルールだけでなく、人の行動や空間設計も含めて対策する必要があります。

Q:オフィスのセキュリティ対策は何をすればいいですか?

A:「情報」「設備」「運用」「空間」の4つの視点からバランスよく対策していくことが重要です。まずは守るべき情報資産を明確にし、入退室管理や監視カメラなどの設備、社員の行動ルールや教育、そしてレイアウト設計などを総合的に見直すと効果的です。


イラスト:Masaki

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オフィスづくりに関するQ&A

Q1

オフィス移転や改装を検討しはじめるタイミングは、いつが良いですか?

A1

社員数や内容によって異なりますが、100名規模のオフィスの場合、移転予定の1年前、改装の場合は6か月前からの検討が理想です。
現状課題の整理や物件選定、レイアウト設計、施工期間などを考慮すると、余裕をもった準備期間を設けることでスムーズに進められます。
オカムラでは、初期段階からお客様のニーズや課題を伺い、スケジュール立案や検討資料づくりをサポートしています。 お問い合わせ

Q2

オフィスづくりを依頼すると、どこまでサポートしてもらえますか?

A2

オカムラでは、オフィスの企画・設計・施工・運用までを一貫してサポートします。
働き方や組織課題を丁寧にヒアリングし、レイアウト、家具、照明、ICT環境などを総合的にデザインします。
また、移転・改装後のアンケートや改善提案を通して、働き方の変化に寄り添った空間づくりを支援します。 オカムラのオフィスづくりソリューション

Q3

オフィス改装の費用はどのくらいかかりますか?

A3

改装の内容や規模、目的によって費用は大きく変わります。
例えば、部分的なリニューアルなのか、働き方改革を目的とした全面リニューアルなのかによっても必要な費用は異なります。
具体的な金額を知りたい場合は、現状の課題やご希望をお伺いしたうえで、最適なプランをご提案いたします。まずはお気軽にお問い合わせください。 お問い合わせ

Q4

まだ具体的な計画がなくても、相談して大丈夫ですか?

A4

もちろん大丈夫です。
多くのお客様が「何から始めればいいか分からない」という段階からご相談されています。
オカムラでは、丁寧なヒアリングを通して課題整理や事例紹介、スケジュール・費用感の目安提示など初期検討をサポートします。
「移転か改装か迷っている」、「まずはイメージを膨らませたい」など、どんな段階でもお気軽にご相談ください。 お問い合わせ

Q5

自社に合った働き方やレイアウトがわかりません。どうすれば良いですか?

A5

オカムラでは、オフィスづくりの初期検討をサポートする無料ツール「OFFICE KIT」をご用意しています。
質問に答えるだけで、自社に合った働き方の方向性やレイアウトタイプが見えてきます。
まだ具体的な計画がなくても活用できる内容です。ぜひ一度お試しください。 OFFICE KITで診断する