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オフィス見学は採用・就職活動のカギとなる

2025.5.26
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採用・就職活動の一環としてオフィス見学の機会を設けることは、人材の確保につながるのでしょうか。
入社後2年以内のオフィスワーカーを対象に調査し、採用・就職活動とオフィスの関係を明らかにしました。

POINT:

  • 就職活動中に現在の勤務先のオフィスを見学した人のうち約半数が「見学後に志望度が上がった」と回答した。
  • オフィスを見学をしたい主な理由は「社員の雰囲気を知りたい」「実際に働く時のイメージを持ちたい」。

採用・就職活動中に
オフィスを見学した人は約3割 

近年、人材の確保を経営課題と捉える企業が増えています。オカムラが行った調査(※)では、7割以上の経営者・役員が「優秀な人材の確保」を課題と感じていることがわかりました。さらに、「優秀な人材の確保」は半数の経営者・役員が「オフィスを見直すことで改善が期待できる経営課題である」と感じていることも明らかとなり、人材の確保において、オフィスは大切な役割を担うと考えられます。

では、実際に採用・就職活動にオフィスはどのような影響を与えるのでしょうか。新卒・中途採用での就職活動を2022年~2024年に経験したワーカーに対して「就職活動とオフィス」に関するアンケート調査を行いました。

まず、就職活動中に現在の勤務先のオフィスを見学したかどうかについて尋ねました。その結果、面接エリアとあわせてオフィスを見学した人は3割にすぎず、面接エリアのみ見学した人が2割、どこも見学をしていない人は4割いることがわかりました。

※参考記事:オフィス環境は人材の確保・育成に役立つ?


オフィス見学によって
志望度が変化する

次に、現在の勤務先に限定せず就職活動の過程で企業のオフィスを見学した経験のある人554名を対象に、オフィスを見学したことによる企業の志望度の変化を聞きました。その結果、約半数から志望度が上がったと回答がありました。一方で、志望度が下がった人は5%未満にとどまり、採用・就職活動の一環でオフィス見学の機会を設けることは応募者の志望度を高めることに貢献すると考えられます。


オフィス見学は
採用・就職活動の有効な施策になる

さらに、今後の希望として就職活動をもう一度する場合にオフィス見学をしたいか尋ねたところ、半数以上が見学したいと考えていることがわかりました。その理由の上位2つに「社員の雰囲気を知りたい」「実際に働く時のイメージを持ちたい」があがっていました。

今回の調査から、オフィス見学は企業の雰囲気を知り、実際に働いている姿をイメージしてもらうために有効であり、かつ、応募者の志望度を上げる一つのきっかけにもなることがわかりました。また、現状では採用・就職活動中にオフィスを見学した人は3割にとどまっている点を考えると、オフィス見学を実施することで他社との差別化を図れる可能性もあります。

人材確保を考える上で、オフィス見学の実施は重要なカギとなると言えそうです。その際、企業の個性を伝える設えにしておくと、さらにオフィス見学の効果が高まると考えられます。社内の雰囲気や従業員が働いているイメージが伝わるオフィスづくりを検討してみてはいかがでしょうか。


Research: 牧島満、井熊七央海
Edit: 吉田彩乃
Illustration: 川添むつみ
Production: Plus81