働き方・働く場の研究と視点

KNOWLEDGE

働き方で違うオフィスの印象

2026.2. 9
  • Research
  • Workplace
  • Workstyle

「個人作業がしやすい環境」と言ってイメージするのはどのような空間でしょうか。一言で個人作業といっても人によって求める環境は異なるはずです。そこでワーカーの働き方別に、個人作業・集団作業・息抜きを行いやすいと感じるオフィス空間の特徴を探りました。
この記事では『KNOWLEDGE - WORK DESIGN REVIEW 2025 RESEARCH 働き方で違うオフィスの印象』より一部内容を抜粋してご紹介します。

POINT:

  • 働きやすいと感じる環境は働き方のタイプによって異なることが明らかになった。
  • 特に協働することが多く、非定型な業務が多いタイプのワーカーのニーズは、他の働き方よりも特徴的で、個人作業では周囲から情報を引き出せる状況を好み、反対に息抜きをする場面では、一人でいられる場所を好んでいた。

人によって好むオフィス空間は異なる

オフィスで働く場所にさまざまな選択肢があったとしても、好む環境は人それぞれでしょう。

環境の好みは、単純な好き嫌いだけでなく、個人の職務特性やチームとの関係性によっても異なると考えられます。働き方によって空間の好みがどのように異なるのかを明らかにし、オフィスづくりのヒントを探るための研究を名古屋市立大学・東京科学大学と共同で行いました。


調査概要

調査では働き方を「個人業務が多いか、協働業務が多いか」「定型業務が多いか、非定型業務が多いか」といった観点から上の図のような4つに分類しました。そしてアンケート調査などから「どのような特徴のある空間に対し、どのような印象を抱くのか」といったオフィス空間に対する感じ方について、ワーカーの働き方タイプ別に明らかにしました。


ワーカーの働き方タイプ別に見た空間の好みの違い

調査で提示した画像に対し、個人作業・集団作業・息抜きを行えると評価された空間を、ワーカーの働き方タイプ別にまとめました。


個人作業が行いやすそう とされた空間

「協働/非定型タイプ」では窓やガラスの仕切りがあり大人数での利用が可能な空間が選ばれていました。それ以外の「個人/定型タイプ」「個人/非定型タイプ」「協働/定型タイプ」ではクローズドで個人利用できる空間や同じくクローズドで質素な空間が選ばれていました。


共同での作業や打合せ・会議など集団作業が行いやすそう とされた空間

「個人/定型タイプ」ではクローズドで質素な空間、「協働/定型タイプ」では窓やガラスの仕切りがあり大人数での利用が可能な空間、「協働/非定型タイプ」では遊び心がある家具で緑や木材が利用されている空間や、活気がある雰囲気で大人数での利用が可能な空間でした。「個人/非定型タイプ」では顕著な特徴は見られませんでした。


息抜きが行いやすそう とされた空間

4つの働き方タイプすべてで、遊び心がある家具・緑や木材が利用されている・お洒落・広々としている・クローズドなどの多様な空間が選ばれています。さらに「協働/非定型タイプ」は、上記に加えてクローズドで個人利用できる空間も選んでいました。


「協働/非定型タイプ」の特徴的な空間の好み

全体の傾向を踏まえ特徴が際立っていたのは「協働/非定型タイプ」でした。個人作業が行える空間では他の働き方タイプと違い、窓やガラスの仕切りがあり大人数での利用が可能な空間を選んでいました。息抜きができる空間では他の働き方が選んでいる空間に加えて、クローズドで個人利用できる空間も選んでいました。「協働/非定型タイプ」は普段からチームでいることが多く、周囲の同僚に相談しやすい環境で個人作業を行うことが重視されている一方で、集団での作業が多いことから息抜きの際には一人でこもれるような場所も好むと考えられます。


ワーカーが心に抱く印象まで配慮して
働きやすいオフィスをつくる

個々のワーカーの働き方をふまえ作業しやすい環境を把握し、ニーズに合わせた空間を用意することで、パフォーマンスは上がることが期待されます。そこでこの研究では、働き方別に個人作業・集団作業・息抜きを行いやすいと感じるオフィス空間の特徴を探りました。

その結果、協働で行う業務かつ非定型な業務を多く行うワーカーが、他の働き方のワーカーよりも特徴的なニーズを持つことがわかりました。具体的には、個人作業であっても人とのインタラクションが必要なため、周囲から情報を引き出せる状況を好んでおり、反対に息抜きの場面では、普段からやりとりが多いからこそ一人でいられる場所を選びたいと考えているようです。

また、経営層に今後重要になる業務について尋ねると、協働で行う業務かつ非定型な業務が最も重要視されていました。このことから、今後はそのような働き方のワーカーの特徴的なニーズをふまえた空間づくりが重要になると考えられます。

さらに詳細な情報を掲載したPDF版(掲載ページP48〜)は下記バナーからダウンロードしてご活用ください。

Research: 花田愛、野々田幸恵、鯨井康志
Edit: 吉田彩乃
Illustration & Infographic: 浜名信次(Beach)、堀内宏臣(Kanaalstraat Studio)
Photography (Top Banner): 伊藤司
Production: Plus81