働き方・働く場の研究と視点
KNOWLEDGE
求められるオフィスライブラリー
オフィスライブラリーにはどのようなニーズがあるのでしょうか。オフィスライブラリーの空間設計や運用支援の指針を明らかにする調査を行いました。
この記事では『KNOWLEDGE - WORK DESIGN REVIEW 2025 FEATURE #04 求められるオフィスライブラリー』より一部内容を抜粋してご紹介します。
POINT:
- 「オフィスライブラリーが仕事の役に立つと思う」と6割以上のワーカーが回答。
- オフィスライブラリーに対するワーカーのニーズの特徴は3つのタイプに分けられた。
オフィスライブラリーは仕事に役立つ?

まず、オフィスライブラリーが仕事の役に立つと思うか尋ねたところ、65.3%のワーカーが「そう思う」「ややそう思う」と回答しました。さらに、仕事の役に立つと回答した人を対象に、その理由、必要な環境、必要な運用を聞きました。役に立つと思う理由で最も回答が多かったのは「気分転換ができるから」、次いで「知的な刺激を受けられるから」、「リラックスできるから」でした。ただ、特定の選択肢に回答が集中したわけではなく、半数以上の選択肢が3割前後のワーカーに選ばれており、必要な環境、必要な運用に関しても同様の傾向でした。これらの結果より、オフィスライブラリーへのニーズは多様であることがわかります。
そのため、統計的手法を用いてオフィスライブラリーのニーズの特徴を明らかにしたうえで、回答傾向から「プロフェッショナル性重視タイプ」「インスピレーション性重視タイプ」「リフレッシュ性重視タイプ」の3つのグループに分けました。それぞれのタイプの特徴を詳しく見ていきましょう。
プロフェッショナル性重視の
オフィスライブラリーに求められることは?

プロフェッショナル性重視タイプは、「情報探索」を重視している人たちです。オフィスライブラリーが仕事に役立つ理由は「時間の節約になるから」、必要な環境には「たくさんの本や雑誌がある」が挙がり、多くの情報にアクセスし、効率的な「情報探索」を求めていることがわかります。また、仕事に役立つ理由に「自社の企業文化がわかるから」も挙げて、必要な運用に「プロが本や雑誌を選書してくれる」と「ワーカー自身が選んだ本や雑誌を置ける」を選んでいます。これらは業務に関連した独自性の強い選書を求める点で共通しています。
また、必要な環境として「周囲の音や視線が遮られている」、「読書以外の作業をする場所がある」も挙がり、収納量の多い棚や間仕切りで空間を区切り、パソコン作業などができる空間があることが望まれていることが分かります。
インスピレーション性重視の
オフィスライブラリーに求められることは?

インスピレーション性重視タイプは、「知的な刺激」を重視している人たちです。必要な運用は「定期的に新しい本や雑誌に入れ替わる」、仕事の役に立つと思う理由に「知的な刺激を受けられるから」、「世の中の動きがわかるから」が多く選ばれました。また、必要な環境には「執務席から立ち寄りやすい」が挙がり、オフィスライブラリーへのアクセスのしやすさを望んでいます。一方で、必要な運用は「本や雑誌を一定期間借りられる」も多く選ばれており、滞在時間は短いことが予想されます。
オフィスライブラリーは通路や執務席に面した空間など、アクセスしやすい場所に設けるとよいでしょう。また、表紙を見せて陳列可能な書架を配置すると、利用者が最新の書籍や雑誌を手に取りやすくなります。
リフレッシュ性重視の
オフィスライブラリーに求められることは?

リフレッシュ性重視タイプは「気分転換」を重視している人たちです。仕事の役に立つと思う理由を「気分転換・リラックスができるから」とし、必要な環境としては「開放的な雰囲気である」、必要な運用は「飲食・会話しながら本や雑誌を読める」を挙げています。見通しのよいオープンな棚や、ハイカウンター、植栽など居心地のよい空間づくりにより会話がしやすい工夫があるとよいでしょう。
また、「定期的に新しい本や雑誌に入れ替わる」運用も選ばれていますが、気分転換が目的だと考えると、本の内容は業務と無関係でもよさそうです。
これまで述べてきたようにオフィスライブラリーのニーズのタイプは、ほぼ均等に分かれていました。オフィスライブラリーを計画する際には、ワーカーのニーズを個別に把握し、適切に構築することが重要です。
「プロフェッショナル性」「インスピレーション性」
「リフレッシュ性」でパフォーマンスを向上させる
オフィスライブラリーはワーカーの知的好奇心を刺激し、情報収集やアイデア創出の効率を向上させます。さらに、本を介したコミュニケーションや交流を支援する空間でもあります。こうした理由から、ライブラリーはこれからのオフィスに欠かせない空間になると考えられます。
そこで本研究では、全国のオフィスワーカーを対象にオフィスライブラリーの利用ニーズについて調査しました。その結果、大多数のワーカーが「本や雑誌が置かれた空間が仕事の役に立つ」と考えていることがわかりました。特筆すべきは、「仕事の役に立つ」と考えているワーカーのタイプは大きく3つに分けられることです。1つめは、プロフェッショナル性を重視するタイプ。このタイプは、専門性のある多量の情報源から、自分に必要な情報を効率よく手に入れることを重視していました。2つめは、インスピレーション性を重視するタイプ。情報の新しさや更新頻度を重視する人たちです。3つめは、リフレッシュ性を重視するタイプ。本による気分転換や空間の居心地のよさを重視していました。このように、本や雑誌が置かれた空間の価値は、ワーカーがオフィスに求める役割によって変わります。例えば趣味に関わる本や雑誌は、一見仕事に無関係と感じられるかもしれませんが、気分転換や交流という目的には適っています。こういった本が置かれた空間は、雑談を促し、ワーカーの創造性を刺激する効果が期待できます。
さらに詳細な情報を掲載したPDF版(掲載ページP24〜)は下記バナーからダウンロードしてご活用ください。
Research: 中塚力、浅田晴之、森田舞
Edit: 吉田彩乃
Illustration & Infographic: 浜名信次(Beach)、堀内宏臣(Kanaalstraat Studio)
Illustration(Top Banner): noa1008
Production: Plus81
