オカムラ、東京大学大学院、ディスカバリーズが、ハイブリッド・ワークにおけるクリエイティビティと時間・場所の研究について共同論文を発表

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2022年9月20日 ※記載内容は発行時のものです

株式会社オカムラ(本社:神奈川県横浜市、代表取締役 社長執行役員:中村 雅行、以下、オカムラ)は、東京大学大学院経済学研究科 稲水 伸行准教授の研究室(以下、稲水研究室)とディスカバリーズ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:島田 祐一朗、以下、ディスカバリーズ)と共同で行っている、行動データを用いたハイブリッド・ワークの研究について、論文「時間展望とクリエイティビティ:細かい時間単位の行動データを用いたハイブリッド・ワークの分析」を、組織学会学術誌『組織科学』に共著で発表しました。

オフィスとオフィス以外を使い分けるハイブリッドな働き方が広まる中で、クリエイティビティ(業務における望ましい結果・創造/革新行動)につなげるには、どの場所でどれくらい働くとよいのか、オンラインのコミュニケーションツールをどう使うのか、といった課題について指針となる知見が求められていました。
今回の研究では、オフィスの使い方というオフラインでの行動と、チャットなどのオンラインでの行動の両面から、ワーカーの行動を分析・検証しました(ビーコン※1によるオフィス内の行動データ、IntelliReportc?※2を使用したオンライン上の行動データ、質問紙調査による回答の3点を組み合わせた分析)。
働く場所、ツールの使い方、時間の配分の仕方と、クリエイティビティの関連性を明らかにしています。
※1:極低電力の近距離無線通信規格「Bluetooth Low Energy(BLE)」を利用した位置特定技術ないしはそのデバイスのこと
※2:ディスカバリーズ社が提供するクラウドサービス。業務アプリの利用状況から従業員の働き方の実態を可視化できる

【主な結果】

ワーカーのクリエイティビティが高いのは、オフィス内利用場所の多様性が中程度である(高過ぎず、低過ぎない)ということが明らかになりました。具体的には、ホームベースとなるような場所(トータルで7~8割程度滞在する場所)がありつつ、適宜複数の場所を使うという行動パターンです。これは、働き方が大きく変わり、場所と時間の配分に関する物理的・空間的な制約がなくなる中、働く場所やそこで働く時間の配分を主体的に選択できていることが重要であるということを示唆しています。

本研究では、ハイブリッド・ワーク下でのオフィス内の利用状況とオンライン上の交流(チャットデータ)の分析により、クリエイティビティとの関係を明らかにすることができました。これは、クリエイティビティ以外にも生産性やエンゲージメント等の組織マネジメントのテーマにも広げられる可能性を示しています。

■論文

題名:「時間展望とクリエイティビティ:細かい時間単位の行動データを用いたハイブリッド・ワークの分析」
著者名:稲水 伸行(東京大学大学院経済学研究科 准教授)、牧島 満(株式会社オカムラ ワークデザイン研究所 チーフリサーチャー)、島田 祐一朗(ディスカバリーズ株式会社 代表取締役社長)
書誌情報:組織学会学術誌『組織科学 組織の寿命と未来の時間展望 第56巻 1号』(2022年9月20日発行)

研究の概要

■背景

近年、ABW(Activity-Based Working)という、仕事の内容に合わせて場所を選ぶ働き方が注目され始めていますが、その実践はオフィス内が主でした。新型コロナウイルス感染症の流行によって、テレワークが一気に広まり、自宅をはじめとするさまざまな場所を含めたABWが広がりました。オフィスとオフィス以外を使い分けるハイブリッドな働き方が広まる中で、クリエイティビティにつなげるには、どのくらいオフィスに出社するのか、オンラインのコミュニケーションツールをどう使うのか、といった課題についての指針となる知見が求められていました。

■研究の目的

本研究では、コロナ禍以前は海外でもあまり行われていなかったオフィスとオフィス以外を使い分けるハイブリッドな働き方「ハイブリッド・ワーク」を題材としました。オフィスの使い方というオフラインでの行動と、チャットなどのオンラインでの行動の両面からワーカーの行動を分析・検証し、どの場所にどのように時間配分を行い、コミュニケーションツールをどう使えばクリエイティビティにつながるのかを明らかにすることを目的にしています。

■研究の手法

ある家具メーカーの、固定席と自由席を組み合わせてABWが推奨されているオフィス1拠点(3フロア)において、そこで働く4つの事業部に所属している従業員257名を対象に、ビーコンによるオフィス内の行動データ、IntelliReportc?を使用したオンライン上の行動データ(チャットデータ)、質問紙調査による回答の3点を組み合わせて分析を行いました。

■結果

ワーカーのクリエイティビティが高いのは、オフィス内利用場所の多様性が中程度である(高過ぎず、低過ぎない)ということが明らかになりました。具体的には、ホームベースとなるような場所(トータルで7~8割程度滞在する場所)がありつつ、適宜複数の場所を使うという行動パターンです。これは、働き方が大きく変わり、場所と時間の配分に関する物理的・空間的な制約がなくなる中、働く場所やそこで働く時間の配分を主体的に選択できていることが重要であるということを示唆しています。

【具体的な行動の傾向】
・1日のオフィス滞在時間が、3~5時間のワーカーが最も「クリエイティビティ」が高い
・オフィス内の行動では、場所の使い分けが適度にできていると「クリエイティビティ」が高い
・チャットコミュニケーションでは、チャットを行う日数が少ないと「クリエイティビティ」が高い

グラフ

■各社の概要

・東京大学大学院経済学研究科 稲水 伸行准教授
2003年東京大学経済学部卒業、2008年東京大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学、2005年~2008年日本学術振興会特別研究員(DC1)、その後、東京大学ものづくり経営研究センター特任研究員、同特任助教、筑波大学ビジネスサイエンス系准教授を経て、2016年より現職にあります。博士(経済学)(東京大学,2008年)。企業との共同研究によるオフィス学プロジェクトを主宰しており、主な著作として『流動化する組織の意思決定』(東京大学出版会,第31回 組織学会高宮賞 著作部門 受賞)などがあります。

・ディスカバリーズ株式会社
「働くすべての人たちがイノベーションをもたらす世界を創る」をミッションに、組織のコミュニケーションやコラボレーションを再設計し、新しい価値(=イノベーション)を生みやすい組織変革を目指したDX(デジタル・トランスフォーメーション)を実現するクラウドサービスとコンサルティング・サービスを提供しています。
https://discoveries.co.jp

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