働き方・働く場の研究と視点
KNOWLEDGE
1人当たり面積などのデータを分析した「Office Data Report 2025」ポイント紹介
オカムラでは、オフィスづくりのヒントを探るため、自社で手掛けた先進的なオフィス(日経ニューオフィス賞の応募資格に該当するもの)を対象に、レイアウトに関する基礎データを30年以上集め続けています。
最新のトレンドやこれまでの変化などオフィスづくりにかかわる基本的なデータを、「Office Data Report 2025」に掲載しました。こちらの記事ではその中から特にポイントとなるものを抜粋してご紹介します。
「Office Data Report 2025」のダウンロードはこちら
POINT:
- オフィス全体の面積比率は執務エリアは徐々に増加し、受付エリアや特殊エリアの比率は減少傾向にある。
- 執務エリア内の面積比率は、通路・空きスペースがやや増加し、ゆとりのある空間に。
- 執務エリア内の座席は、一人で集中して作業を行えるように設えた集中席が増加。
- 働く場所を仕事の内容や目的に合わせて選択できるABW(Activity Based Working)に対応するレイアウトのオフィスは、やや減少の傾向が見られた。
執務エリアはオフィス全体のおおよそ半分
その割合は徐々に増加
このレポートでは、オフィス全体を9つのエリアに分け、その面積を計測しています。エリアごとの面積比率を見ると、オフィスの約半分は執務エリアが占めています。また、10年ごとの変化を見ると、執務エリアは徐々に増加し、受付エリアや特殊エリアの比率は減少していることがわかりました。
執務エリアのゆとり拡大
次に、執務エリア内の各スペースの面積比率を紹介します。オフィスの主要な機能である執務エリア内は、さらに細かく6つのスペースに分けて計測しました。2004年から10年ごとにデータを比較したところ、最も大きなスペースを占めている通路・空きスペースは徐々に増えており、執務エリアは徐々にゆとりのある空間になりつつあることが見えてきました。
執務エリア内の集中席
有するオフィスは8割以上
執務エリア内には、集中して作業を行うための集中席を採用するオフィスが増えているようです。ここでは集中席を、パネルなどで囲まれたクローズな環境にある『ブースタイプ』と窓際などオープンな環境にある『オープンタイプ』の2種類に分けて調査しています。集中席を有する物件の割合の変化を調べたところ、どちらも顕著に増加の傾向が見られました。2024年にはどちらのタイプも8割以上になり、年々、集中席をオフィスに設ける考えが広がってきていることがわかります。
ABWに対応するオフィスはやや減少の傾向
ABWとはActivity Based Workingの略で、仕事の内容や目的に合わせて働く場所を選択する働き方を意味します。このレポートでは、図面上に執務できる場所の選択肢がどれだけあるかを見て、ABWに対応したオフィスかどうかを判断しています。ABWに対応したオフィスの割合の変遷を見ると、2017年以降は上昇傾向が顕著でしたが、2021年の29.9%をピークに減少傾向となり、2024年は24.1%となりました。
この変化は、コロナ禍が収束しワーカーがオフィスに戻ってくることにより、オフィスで落ち着いて仕事ができる場所を確保しなければならない状況が生まれているためだと考えられます。つまり、座席の種類が多様であることよりも、シンプルな執務のしやすい座席を用意することが優先されるようになっている可能性があります。このトレンドはこのまま続く可能性もありますが、出社回帰の流れが落ち着けば、再度増加に転じるかもしれません。
このように「Office Data Report 2025」では図面データから見たオフィスの面積やレイアウトの傾向を紹介しています。他にも属性別の1人当たり面積や会議室の設置数の目安など、より詳細なデータを掲載しておりますので、下記よりダウンロードして是非ご活用ください。
「Office Data Report 2025」のダウンロードはこちら
Research: 野々田幸恵、牧島満、井熊七央海
Edit: 吉田彩乃
Design: 椎葉麻亜里(Adver)
Production: Plus81