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上司、部下、それぞれが考える理想の1on1環境とは?

2023.9.19
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1on1とはワーカーの育成のために上司と部下が1対1で行う対話のことで、企業の人事施策として導入が進んでいます。対話の内容を充実させ、より効果を高めるには、どのような環境で行うとよいのでしょうか。ワーカーを対象に、1on1を行う際の環境の希望について調査しました。

POINT:

  • 1on1を行う際の相手との位置関係は、上司と部下とで希望するものが異なる。

1on1の実施場所には
どんなことを望んでいる?

1on1とは、上司と部下が定期的に1対1で行う面談のことをいいます。従来の人事面談とは異なり、上司が部下の話に耳を傾け、成長を支援する機会として、近年さまざまな企業で導入されています。

1on1をより効果的に行うには、どのような工夫をするといいのでしょうか。物理的な環境面からアプローチできることはあるのかを探るため、実際に1on1を行っている上司・部下を対象に、実施環境の現状と希望についてのアンケート調査をしました。


ポイントは
相手との「距離」「位置関係」

1on1を実施している場所について聞いたところ、「個室の会議室」や「天井・壁・床が囲われているブース」という回答がそれぞれ約7割となりました。一方で、「カフェ・リフレッシュスペース」や「食堂」といったオープンなスペースはわずか数%となり、対話の内容が外に漏れないことを意識していることがわかりました。

それでは、上司と部下がどのような位置関係で座るとより対話を深められるのでしょうか。まずは「相手との距離が十分に取れる環境」であることが重要か否かを尋ねると、7割以上が「重要」と回答していました。上司と部下がそれぞれ座る位置にも関係があるのかを調べるため、次に、1on1で座る位置に関するアンケートを行いました。

「対面の1on1で希望する位置関係」を尋ねたところ、回答者全体で最も回答が多かったのが「斜め向かい」でした。注目したいのは、 上司と部下で回答が分かれていたことです 。上司は「机の角を挟んだ位置」、部下は「真正面」を望む人の割合が多い結果となりました。「横並び」 の希望者は、回答者全体のうちの2割でしたが 、実際にその位置関係での1on1を経験したことのある人が少なかったことが影響していると考えられます。


座る位置を調整できる
環境を用意しよう

調査結果では、1on1を行う際の相手との位置関係について、上司と部下の回答の傾向が異なっていました。部下が「真正面」を望んでいたということは、物理的に一定の距離をあけつつも、顔がよく見える位置を希望しているのかもしれません。

一方で上司は「机の角を挟んだ位置」を望む人が多く、この結果から、真正面を避けて部下に緊張感を与えずに会話しようという配慮がうかがえます。

オフィスで1on1を行う際は、相手との関係性や、1on1の話題をふまえつつ、相手が希望する座り位置を選択できる環境を整えることが望ましいといえます。オフィスのスペースが限られている場合でも、今回のアンケート結果を参考に、1on1の実施場所を検討されてみてはいかがでしょうか。

Research: 嶺野あゆみ
Edit: 吉田彩乃
Illustration: 川添むつみ
Production: Plus81