2023.07.19 2023.07.19

東京冷機工業株式会社 様 「こんなことを学びたい」が自然と湧き上がる、交流の場としての複合施設 ――「TO-REI成長支援センター」の省人化にみる施設管理のDX

東京冷機工業株式会社 様

1956年、わずか6名の空調設備機器メンテナンス会社からスタートし、今や関東圏を中心に多くの企業の「脱炭素」や「省エネ推進」に貢献する東京冷機工業株式会社。カーボンニュートラル社会の実現へ向けてさらなるサービス品質向上を図るため、同社は2022年10月、東京都北区に「TO-REI成長支援センター」を新設しました。研修機能だけでなく、ショールームやイベント会場としての機能を併せもつ同施設では、受付管理システムの省人化のため、オカムラのデジタルトランスフォーメーションサービス「Work x D(ワーク・バイ・ディ)」が導入されています。

閑静な住宅街に突如として現れる、木格子と円形モチーフが印象的な建物。ここが「TO-REI成長支援センター(Growth Support センター)」(以降、GSセンターと称する)です。この施設は、持続可能な産業の実現において最も重要な要素と言われる空調設備について、その専門技術を学べる複合施設です。館内には大小さまざまな研修室や実機に触れながら実技研修を行える実習室があり、社員だけでなくパートナー企業の技術力やサービス向上にも役立てられています。また、ショールームとして最新設備機器の見学ができる展示ルームや、オープンキッチンを備えた多目的ホールも設けられており、社内外問わず活用できる「交流の場」としても位置付けられています。





同施設では、それまでは人力で行っていた受付対応や来館者情報の管理をシステムで一元化するため、デジタルトランスフォーメーションサービス「Work x D(ワーク・バイ・ディ)」を導入。その背景には一体どのようなプロセスがあったのでしょうか。
GSセンターの備品構築を担った、経営推進本部企画部次長の澤拓司さんにお話を伺いました。



Interview

一方通行ではなく、双方向かつ主体的に学べる環境を。キーワードは“成長支援”

—まずは、GSセンターを新設した狙いとコンセプトを教えてください。

澤さん
澤さん

この施設は単なる研修施設ではなくて、施設名にもある通り「成長支援」というキーワードを強く謳っています。当社の事業の中心はサービスメンテナンスになりますので、この施設でもサービスエンジニアを対象にした研修を多く行っています。しかし、サービスエンジニアといっても当社の場合は、単純に機器のメンテナンスや修理ができればよいというわけではありません。お客様のお悩み事を聞くことから、具体的なサービスの提案や説明、見積を出すところまで、すべてサービスエンジニアが対応するんです。そのためには当然テクニカルな研修だけでなく、コミュニケーションや法律の知識などの研修も必要になってくる。さらには社員から自律的に上がってくる「こんなことを学びたい」などの意見も取り入れて、一方的に教え込むのではなく「学びの場」を用意して、成長支援することを最大の目的としています。座学研修だけでなく、ショールーム機能や実機体験も可能な施設は業界でも類を見ないですし、屋上の憩いスペースでは近隣の花火大会を鑑賞することもできるので、今後は多くのイベントを開催してたくさんの方に活用いただきたいと思っています。

東京冷機工業株式会社 様

GSセンター内でショールームの役割を果たしている展示ルーム。空調設備機器の断面模型から細かい部品まで幅広い展示品が並んでおり、研修時や来客の案内時に役立っている

社内利用はもちろんのこと、将来的には社外とも交流できるよう大小さまざまなサイズの研修室を完備

東京冷機工業株式会社 様
東京冷機工業株式会社 様
東京冷機工業株式会社 様

実際の空調設備機器を用いて研修が行える実習室。座学だけでは得られない実践的な内容の研修を取り入れ、社員の成長を支援している

屋上の憩いスペースは、さまざまなイベントが開催される場として社員同士の自然なコミュニケーションを促す。バーベキューで交流を深めたり、地域の花火大会を鑑賞することも

東京冷機工業株式会社 様

—なるほど、そのためにこれほどの機能を備えた施設が必要だったのですね。その中で、受付対応や来館者管理をシステム化されたことにはどのような経緯があったのでしょうか?

澤さん

以前は埼玉県川口市の研修センターで研修を行っていたのですが、当時はあまり規模が大きくなかったこともあって、アナログで来館者管理を行っていました。有人受付を設けて、研修の参加者にも紙で出席票を提出してもらうというもので…。しかしGSセンターの新築を計画するにあたって、せっかく「交流の場」として多くの人に活用してもらいたいと思っているのに、アナログなオペレーションでは対応が追い付かないだろうと感じていたんです。ちょうどコロナ禍になって感染症対策や来館者情報の履歴管理も必要になったことで、これらを同時に行えるシステムの導入を検討していました。

東京冷機工業株式会社 様

建物の入り口横に設けられた受付。来館者は「Work x D」専用アプリケーションを搭載したタブレットに、事前にメール送付されたQRコードをかざすことで入館できる(※検温機能は他社ソリューション)

本当に必要なのは、目指したオペレーションが実現できるシンプルなシステム

-それで、「Work x D」の導入に至ったと。サービスの存在にはどのようにしてたどり着いたのでしょうか?

澤さん

当初は、ビルのセキュリティとも連動する大掛かりなシステムも検討していました。最新のビルにあるようなフラッパーゲートをつけるとか。ただ、いざコストを算出してみると導入費だけで数千万円、その後のランニングコストも結構かかってくる…。「果たしてここまでの機能が必要なのだろうか」と思い直し、改めて実現したい内容を整理して、 それに合ったサービスを探してみることにしたんです。そこでインターネットで情報収集しているうちにたどり着いたのが、「Work x D」というシステムでした。オカムラさんは歴史ある企業ですし、館内の一部什器の導入もお手伝いいただいていたので、安心してお話を伺うことができました。

東京冷機工業株式会社 様

-ありがとうございます。実際にはどのようにシステムを活用されているんでしょうか?

澤さん

来館者の方には、事前に「Work x D」からQRコードを発行するシステムを使っています。QRコードがメールで送信されるので、当日その画面を1階の受付タブレットにかざせば、入館と履歴管理が行えるというものです。社員は予め社員証情報を登録してあるので、その隣のカードリーダーに社員証をかざせばいつでも入館できます。研修がある際は、その来館者データと研修参加者名簿を照らし合わせて出欠管理も行っています。

東京冷機工業株式会社 様
来館者はタブレットにQRコードをかざして入館
※QRコードは(株)デンソーウェーブの登録商標です。
東京冷機工業株式会社 様
社員は隣のカードリーダーに社員証をかざして入館

決め手は、直感的に操作できて気軽に設定変更できたこと

-他社のサービスとも比較検討されていたかと思いますが、決め手となったのはどんな点なのでしょうか?

澤さん

まず、カスタマイズ性ですね。ちょっとした設定変更でもいちいちシステムエンジニアさんに依頼しないといけないとなると正直手間なので、我々エンドユーザー側である程度自由に画面や設定が変更できるシステムが良いなと思っていたんです。「Work x D」はそのカスタマイズ範囲が広いなと感じていました。実際、現在の受付タブレットの画面は私が自分で設定したのですが、かなり直感的に操作ができましたね。特に取り扱い説明書などを見る必要もありませんでした。欲を言えば、プレビュー機能があって改行位置なども細かく確認できれば、なお良しでしたが(笑)。それから導入コストが想定範囲に見合っていたこと、そしてホテリングなどのシステム拡張が可能ということも、導入の後押しとなりましたね。 

東京冷機工業株式会社 様
「Work x D」のPC上の管理画面。用途に合わせて直感的にメニューやテキストを調整できる

-導入されてすでに半年ほど経過していますが、運用していて困った点などはありませんでしたか?

澤さん

最初のうちはやはり初めて扱うものなので、現場のスタッフは困惑したところもあったようです。しかし、テスト運行から導入後のフォローまでかなり丁寧に対応いただけて、正直感心しましたね。こちらがどのように質問して良いかわからないような専門的なことも、なんとなく意図を汲み取って対応いただけたのでありがたかったですし、そのおかげで特にトラブルもなく現在まで利用させてもらっています。 

東京冷機工業株式会社 様

システムを活用してさらなる企業の成長へ

-最後に、このGSセンターやシステム活用の今後の展望を教えてください。

澤さん

当社は現在570名程度の会社ですが、これから1,000名規模の会社に成長させていきたいという想いもありますし、そうなるともっとこのGSセンターも活気づいてくると思います。今はシステムも来館者管理のみですが、将来的にはこのGSセンターの研修室や会議室を外部から予約できるようにしたり、座席を予約して利用するホテリングのシステムを導入したり、拡張の可能性は大いにあると思います。まだちょっと先の話にはなると思いますが、GSセンターだけでなく本社や他の拠点もシステムで連携させるなど、この拠点をきっかけに全社的にもDXの取り組みを波及させられたらいいですね。 

ワーク・バイ・ディこれまで以上に便利な「働き方のデジタル化」を実現する、「はたらく」のデジタルトランスフォーメーションサービス

Data

企業名
東京冷機工業株式会社
所在地
東京都北区上中里2-19-1 TO-REI成長支援センター
納入時期
2022年10月
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