Wil BE

Interview

「生き方」を描き、
「はたらく」を創る
#Part.1

Team WiL-BEメンバー
フューチャーワークスタイル戦略部
共創センター 所長 / Work in Life Labo. 所長

薄 良子(Usuki Ryoko)

場創りの現場から生まれた、
「はたらく」を変える
プロジェクト

2019年4月、オカムラが全社をあげてスタートさせたWiL-BE。
人が働き、活きる場を創るオカムラは、なぜ今この活動に取り組むのでしょうか。
今回は「Work in Life」という考え方の発案者であり、WiL-BEを主導している薄良子氏にインタビュー。全2回にわたってオカムラが目指す「はたらく」と「生き方」のカタチを紐解いていきます。
Part1では、「はたらく」を考えるオカムラのプロジェクトはどのようにして生まれたのか、その誕生までのストーリーを伺いました。

○WiL-BE ・・・オカムラが推進する働き方改革の名称。自分らしくLifeを楽しむために、いきいきと働く人でいっぱいの職場をつくっていくための活動
○Team WiL-BE・・・2019年4月に再編されたオカムラの働き方改革を推進する事務局の名称。
○WiL-BE 推進委員会・・・全社一丸となってWiL-BEを進めるための全役員と組合委員長で構成する委員会。委員長は社長が務める。

現場と会社が互いに動き出すとき、
オカムラの「働き方改革」が
始まった

WiL-BEという活動がオカムラの中で生まれた経緯を教えてください。

まず、WiL-BEのお話をする前に、取り組みを始めるきっかけとなった「WORK MILL」というプロジェクトのお話からさせてください。オカムラでは、働き方改革が社会的に本格化し始めた2015年に2つの方向からアプローチが始まりました。1つは企業として組織的に取り組む「働き方改革」。これは会社が陣頭指揮をとって行ってきた取り組みです。一方で、同時期に現場の声から始まった取り組みとして「WORK MILL」というものがあげられます。こちらは、半世紀以上働く環境について考えてきたオカムラが、長年のノウハウを結集し「はたらく」を考え変えていくプロジェクトです。その「WORK MILL」を皮切りに、会社発・現場発の働き方を変えていくプロジェクトがいくつも立ち上がっていきました。具体的には長時間労働を是正していく会社発の取り組みである、「ワークライフバランス推進委員会」、ダイバーシティを推進していく「ソダテルプロジェクト」、現場発の改善の取り組みである「働き方カエル!プロジェクト」などです。いずれも「はたらく」を考える取り組みであるため、プロジェクトを進めるにつれ活動領域に重なりが生じました。それぞれが同じ目的で取り組んでいるのならば、連携して1つの活動として進めていったほうがよいのでは?という話から2018年6月に生まれたのがWiL-BEという活動です。

同時に2017年の初めに、オカムラが提唱する新しい考え方として「Work in Life」という言葉も生まれました。「Work in Life」とは、仕事も、家族や友人、趣味、休み、健康、学びなどと同じように、自分の人生の中の一つとしてとらえましょう、という理念です。そのうえで自分らしい生き方を想像し、自分らしい働き方を考えること、「Work in Life」という考え方があってこそ、オカムラの働き方を変えるWiL-BEの活動が繋がってくるのです。

薄さんご自身は、どのような経緯でプロジェクトに関わることになったのでしょうか。

私は2015年9月にオカムラに入社しました。入社以前は人材情報サービスの会社で、研修開発や組織開発のコンサルティングを担当していました。そんな経験からオカムラに入社した当時社内の状況や環境を見て「これは、やりがいがあるな」という第一印象を受けました(笑)。人材育成や採用、さらにはもっと現場レベルの細かな部分に関しても改善できる余地はまだまだあるというのが最初の所感。企業規模が大きくなれば必ず出てくる課題ですが、会社は一つひとつの現場の細かな作業や人の動きまで見ることはなかなかできません。そうなると、現場では「不満」が生まれます。それがやがて「愚痴」となり表面化してくるのですが、この愚痴を愚痴で終わらせず改革へつなげていく、ということがプロジェクトの役割であり、意義だと感じました。そこで、現場と会社の橋渡しとしての機能を担っていこうと動き出しました。

ボトムアップで始まったプロジェクト
「働き方カエル!プロジェクト」

プロジェクトのスタート期はどんなことを具体的に行っていったのでしょうか。

WiL-BE以前の取り組みとして、ソリューション戦略部(※現フューチャーワークスタイル戦略部)では、2016年に新宿支店と「働き方カエル!プロジェクト」を始めました。これは現場からのボトムアップで始まった働き方改革プロジェクトです。新宿支店のメンバーと現場が抱える課題をワークショップ形式で洗い出し、課題を抽出。それを、どう改善していくのかを徹底的に話し合いました。具体的にあがった課題の1つは「会議が多い」ということ。その改善のため、まずは各会議の目的や時間、参加者をすべて洗い出し会議の「見える化」を行いました。そのうえで、まずその会議が必要かどうかを検討、必要でない会議は廃止、必要な会議は時間短縮できないか、さらに、招集メンバーは適正か、など細かなところまで手を入れていきました。合わせて、アジェンダの事前設定・共有や、資料の事前配布など効率的な会議を進めるためのルールもつくっていきました。
当たり前のことのように思いますが、働き方改革は当たり前のことから始まるのです。それらに真剣に取り組み始めて数か月後、新宿支店の会議時間を調査してみたところ、目に見える結果として時間の短縮につながりました。人によってはなんと、月の会議時間を2桁も短縮することができたんです!

その後はどのように広がっていったのでしょうか。

新宿支店での取り組みを皮切りに、別の拠点からも「やってみたい」という声が上がり始めました。そこを聞き漏らさずに、すかさずヒアリングと営業に出向きました(笑)。そうして、プロジェクト開始初年度はともに課題解決に向けて歩んでくれる5拠点でプロジェクトがスタートしました。この「5拠点」というのも成り行きの数ではありません。1つの拠点の声では会社が意見を吸い上げることはなかなか難しいかも知れませんが、もし複数の拠点が同時に同じことを言ったら?会社もこの声を見過ごすわけにはいきません。そういった戦略もあり、早い段階から5拠点で一緒にプロジェクトを始められたのはとても幸運だったと思います。

当時は社会的にも「働き方改革」が注目されてきたタイミングでもありましたし、社としてもワークライフバランス推進委員会を立ち上げたり、という後押しもありました。そんな中で「働き方カエル!プロジェクト」は開始の翌年には正式に全社プロジェクトとなったのです。全社の取り組みとなってからも我々はやり方を変えず、現場の悩みや課題を洗い出し、グルーピングしてその中から優先順位をつけ、具体的な行動に落としていく・・・という地道な活動を続けました。最初に新宿支店が結果を出してくれたということもあり、他拠点が活動に参加しやすくなったのは言うまでもありません。そして、全社プロジェクトとしてスタートした初年度には18拠点にまでこの活動が広がりました。

小さな積み重ねが、
やがて企業の揺るぎない強みになる

プロジェクトを進めて行く中で、苦労はありましたか。

当初多かったのは、現場のリーダーには「変えたい」という思いがあっても、その他の人にはその取り組みが「仕事が増える」と感じられてしまうなど、現場内でも温度差が見受けられました。「そんなことやっても、変わらないよ」という言葉もありましたね。
ですが、私自身は正しい意見ならば会社も必ず受け止めてくれると信じていましたし、絶対に変わる、いや、変えてみせる!という強い信念を持っていました。現場でも「今課題があるならば、それをどこかのタイミングで変えないとダメ。それならば今変えるべきですよね?」と根気強く話をしていきました。今考えると、私自身本腰を入れてやりきるという覚悟はありましたが、やり方はまだ手探りの状態でした。だからこそ、とにかくスピード感を持って進めていく、各拠点の進捗をこまめに把握し問題点は早期に一緒に解決する、他拠点の成功事例・失敗事例はいち早く共有するといったことは意識していましたね。

社内プロジェクトを行う上で、大切にしていることはありますか?

現場のメンバーと一緒に取り組むにあたり「小さなチャレンジをして、成果を出していく」というのは非常に大切にしている部分です。働き方改革は課題解決の小さな積み重ねだと思うんです。会議の目的や参加者を洗い出す、業務時間内に全会議を開催するよう仕組みを変える、そしてプロセスと結果を記録する…その小さなチャレンジに真剣に取り組み結果を出す、その成果を積み重ねていくことが何よりも大事だと思っています。その1つ1つの積み重ねが現場の改革ひいては会社の改革に必ずつながっていくんです。また、良い働き方や「Work in Life」は人によってさまざまで、私に合う働き方がほかの人に合うとは限りません。ですから、良し悪しで判断するのではなく、一人ひとりのライフが幸せで充実した状態になれば、それが正解なのだと思います。プロジェクトを進めていく中でも、決して型にはめず、さまざまな視点で考えて丁寧に進めようという思いは以前と変わらず持っています。

また一方で、我々プロジェクトを進める側で重要視していたのは、全社をあげて取り組むプロジェクトに育てるためにも「どれだけ変わったのか」という数字を実績として残すことです。ここに意識を向けることは、結果的に会社の利益や売り上げに大きく関わってきます。というのも、現場で自分たちの働き方を考え、改善することは、「場創り」というサービスを提供するオカムラとして、お客様への提案にも必ず活きてくるのです。「オフィス空間を変えたい」というお客様の課題は、ファシリティやレイアウトを変えるだけでは解決しません。どういう空間にし、そしてどのように運用するのかということも提案として求められてくるのです。その提案と自分たち自身の働き方が繋がってくれば、必ず良いサービスが生まれ、会社にとっての強みとなってくるはずですから。

top