Wil BE

4 Action Interview
2020 Autumn & Winter

変化していく時代に、WiL-BEは今
- #03 Work Rule -

追浜事業所 製造管理部 
吉田 香代(Yoshida Kayo)写真左

オフィス技術部 
神谷 惇太(Kamiya Junta)写真中央

オフィス製造部 
東海林 智裕(Shouji Tomohiro)写真右

オカムラの働く環境を考える活動は、いま各拠点へと広がっています。中でも、主力製品のオフィスシーティングをはじめとした椅子をメインに扱う追浜事業所では、WiL-BE「Work Rule」アクションの一環でもある、拠点ごとで働き方を見直し変えていく自主的な取り組み「カエル!活動」を、事業所全体でひとつのチームとして進めています。ものづくりの最前線では、ICTの活用だけではカエル!活動が思うように進まないといった独自の悩みもあるなか、独創的な取り組みで奮闘。試行錯誤しながらも着実に進んでいく挑戦の日々を、カエル!活動推進担当の吉田香代氏、カエル!活動リーダーの東海林智裕氏、神谷惇太氏に伺いました。

ものづくり最前線の事業所全体がワンチーム
みんなで取り組む「OPK(オッパマカエル)」活動

オカムラ社内で展開するカエル!活動は部門、部署などの単位で参加するケースが多いようですが、追浜事業所は事業所全体をチームとして活動していますね。皆さん、どのような経緯で参加することになったのですか?

吉田: 実は取り組みを始めるまで、カエル!活動についてあまりよく知りませんでした。たまたま社内の全社掲示板で「早帰り宣言カード」(その日の帰宅時間を各自で設定し掲示する取り組み)を営業支店が導入している様子を見てこれは面白い、追浜事業所でも導入したいと思ったのがきっかけでした。その後、カエル!活動に参加することになったのですが、追浜事業所内には、製造・技術・スタッフなどさまざまな部署がある中で、部門の壁を超えて一つのチームとして活動をすると何か新しい変化が生まれるんじゃないかと考え、事業所全体で参加することを決めました。

東海林:これまでも業務改善活動は取り組んできていて、トヨタ生産方式(TPS: Toyota Production System)※にならった独自のオカムラ生産方式(OPS: Okamura Production System)があります。追浜に限らず全ての生産事業所で導入していますが、技術や製造の部署ごとの活動になりがちという面はあると思いますので、カエル!活動のように横断的にやるのは面白い取り組みだと思いました。

※トヨタ生産方式(TPS:Toyota Production System)
トヨタ自動車の生み出した、工場における生産活動の運用方式の一つ。

神谷:生産事業所で定着しているOPSにならって、追浜のカエル!活動は「オッパマカエル=OPK」と命名しています。事業所のメンバーがちょっと困っていることやお悩みの解決、働く環境を心地よくするというところに目標を位置づけています。

吉田: 具体的には、コロナウイルス感染予防の徹底のため、消毒などの対策導入や協力の呼びかけ、月次全体朝礼をオンラインで実施したり、日常の問題点をヒアリングするアンケートを取って改善しています。小さくても、より良くみんなのためになりそうなことを、自分たちで試行錯誤しながら進めています。ただ、コロナ禍で今まで以上に働き方が変化する中で、製造に携わる職場では必ずしも全ての業務をリモート化できない部分もあります。働き方をより良く変えていくにはどこを目指すべきなのか、何が正解なのか…手探りではありますが、立ち止まらず活動していますね。

神谷: OPSは例えば作業を何分・何秒短縮すればムダをなくし改善につながると明確に結果が見える一方で、OPKは数値だけではない部分にも重きを置くというのも意識しながら活動をしています。

他に生産事業所ならではの難しさはありますか?

吉田:追浜事業所全員に伝えることと、それを浸透させていくことはなかなか難しいです。
同じ事業所内とはいえ、部署によって業務がかなり異なります。例えば製造工程に従事する職場では、PCを業務では使用しない人も多い。そのため、社内イントラネットなどで情報を共有するだけでは、広く認知してもらえないのが実情ですね。

神谷:最初はOPKに関するお知らせをオンラインで広報していたのですが、そのような理由もあり人通りの多いところに掲示板を設置しての広報も行っています。カエル!活動のニュースだけでなく、例えばトップメッセージがより伝わるように、中村社長のブログ記事を用紙に出力して掲示しています。
アンケートもオンラインのほかに業務でPCを使用しない人には紙で配布したり、対面でヒアリングするなど追浜事業所全員でのOPK参加をめざして、できることから取り組んでいます。

事業所内の掲示板ではOPKやカエル!活動全体のお知らせを掲示している

東海林:日々業務のいろいろな面で感じることですが、同じ部署内でも同じ考えを共有したり心を一つにすることは簡単なことではないのに、部署も職種も立場もまったく違うメンバーで同じ活動を進めていくのは至難の技です。みんなで同じ気持ちで進んでいくためにはどうしたらいいか、そこを意識して取り組んでいます。

OPKオリジナルキャラクター誕生。
変える、帰る、替える…カエルってなんだろう?

独自の環境で、試行錯誤を重ねるなかでオリジナルキャラクターも生まれるなど、ユニークさがありますね。

吉田:みんなをどう巻き込んでいけるか、OPKの活動をどう伝えるのが良いか知恵をしぼるなかで出てきたアイデアでした。キャラクターの名前は「カエ郎」です(笑)。
これは、OPKメンバーのお子さんが描いてくれたイラストから生まれました。話のきっかけにもなりますし、OPKにまつわる活動や広報の資料にはカエ郎を掲載し目印や案内役として、さまざまな場面で活躍してもらっています。

「帰る」「変える」「孵る」など、さまざまな意味が込められている。

東海林:コロナ禍ならではの工夫として私たちOPKリーダーは会社支給のマスクにもカエ郎をプリントしているんです。着用しているとやはり目に留まるので「そのカエル何?」と声をかけられる機会も多くて、カエ郎マスクの話題からOPKやカエル!活動の話をするきっかけになるのがいいですね。

神谷:OPKリーダー以外の人でも希望者にはプリントをするのですが、徐々に増えていまして、キャラクターの訴求力はやっぱり高いです(笑)。

コロナ感染予防とともにOPK広報ツールとしても役立つカエ郎マスク

可愛らしいので、直感的に伝わるのがいいですね。他に活動で心がけていることはありますか?

吉田:「カエル=帰る、変える」という活動だけでは決してないということでしょうか。良いことは取り入れたいですし、無駄を省いて「早く帰る」、「より良く変える」というのは大切なことです。けれど、この活動を通して働き方を考えるうちに、追浜事業所やオカムラ全体の長い歴史で培ってきた大切な点や想いがたくさんあることにあらためて気づかされ、学ぶことが多くありました。会社の基本方針や先輩の教えを「振り返る」、創業時の理念を学び直して「原点に還る」。そのなかでOPK活動独自の卵が「孵る」ことだってあるかもしれません。OPKでは新しくカエル、だけでなく引き継いできたことや想いをより良くして、さらに伝えていく「温故知新」の要素を大切にしていきたいと考えています。

神谷:OPK活動の一環として、休憩や打合せに使える事務所内のコミュニケーションスペースの見直しに取り組んだのですが、事前にヒアリングを行ったところ「座り心地のよい椅子がほしい」「いろいろな椅子があるといい」などの意見が出てきたんですね。それで、追浜事業所で製造しているさまざまな種類の椅子を置いて、レイアウトも工夫してみたところ、以前に比べスペースを利用する人が増えました。追浜事業所で生産している製品といっても触れる種類や機会も限られているので、製品への理解も深められたと思います。さらにそこから、使ってみた感想を募集して業務に活かそうという活動もできて一石二鳥になりました。このようにみんなの意見を反映することを心掛けていますね。

さまざまなタイプの椅子を揃えたコミュニケーションスペース

東海林:事業所内で人が良く通る場所に追浜事業所で製造している製品を展示しはじめたのもOPK活動の一つですね。工場内での部品製造や組み立てなど、それぞれ担当は分業化しているので意外と完成品に触れる機会がない人も多いんです。みんなに例えば自分で製造した部品がどこにどうやって使われているか、そして最終的にどんなかたちになって追浜事業所から出荷されていくのか知ってほしくて展示しはじめました。展示した製品に実際に触れてみて「最終的に製品がどうなるか見られてよかった」という言葉をもらった時は本当にうれしいですね。追浜事業所製品への愛着や誇りも増しますし、活動としてやってみてよかったです。

変化を起こすなら、まず自分から。
働く意味を考えるように

活動に取り組むなかでご自身にも変化はありましたか?

東海林:メリハリの大事さをあらためて考えるようになりました。会社にいるときは仕事に集中、会社を出たら家族やその他のことに専念することを意識。そのときどきの集中力をアップさせることがWork、Life両方の充実につながると、意識して気持ちを切り替えるようになりました。

全社「カエル!活動」の一環としてスタッフ部門では「早帰り宣言カード」を導入

吉田:以前は、働くなかで疑問や不満に思う事があっても、そのままになってしまいがちでしたが、活動を始めてからは「変えられるのは自分」と意識するようになりました。そう思えるようになったのは、もともと追浜事業所では所長や課長といったリーダーが意見や提案に耳を傾けてくれる風土がありましたし、加えて意見をみんなで共有し、実行の後押しとなってくれるOPKという活動の場ができたという事が大きいです。
意志をもって提案し行動していけば状況は変わる、そう考えるようになれました。自分でもOPKをきっかけに成長できたのかなと思います。

神谷:僕も「人に広げよう、伝えよう」という気持ちが増えました。今までは仕事の進め方など自分なりに工夫・改善しても自分の中で完結しがちだったかもしれませんが、今は周囲との共有を心掛けています。自分だけじゃなくて他の人も同じことを知りたかったんだと分かったり、お互いに作業時間の短縮につながったりしたことが、OPK活動の中でもたびたびあったので、ちょっとしたことでも情報を共有する大切さを感じています。

迷いながらでも、一歩ずつその先へ。
OPK活動のアンテナを立てて進んでいく

前例や慣習にとらわれず、本質に向き合いながら取り組まれているOPKだからこそ、可能性は無限大だと思います。最後に、目標や課題などをお聞かせください。

東海林:OPKはまだまだこれからです。全員が活動対象となる取り組みで規模が大きいので、課題や困難もありますが、それと同じくらい、やりがいもあります。一つひとつ解決方法を探り、みんなを巻き込んでいけるよう、知恵を絞りながらやっていきたいですね。

神谷:生産事業所としては、やっぱり良い製品をつくるのが一番の仕事。いろいろな取り組みが、働きやすさや一人ひとりのモチベーションアップにつながって、最終的に良いものづくりにつながっていけばいい、究極はそれが願いです。

吉田:オカムラのコーポレートメッセージに「人を想い、場を創る」とあるように、生産事業所として、良いものをつくり、広くお客様へ届けるというミッションがあります。私たち自身の働き方をより良くしていくことも、このミッションの基本要素になるんじゃないかなと思っています。いずれは他の生産事業所ともカエル!活動を通して連携をさらに深めて、生産や製造に関わる職場の新しい働き方をつくっていけたらと考えています。
悩んだりすることもありますが、できることから。スモールスタート・スモールステップで、OPKの活動を追浜事業所全体で継続していきます。

WiL-BE COLUMN
-あなたの考える「Work in Life」とは?-

「WiL-BE」を推進していく上で、オカムラが提唱する理念「Work in Life」はとても重要です。仕事も、家族や友人、趣味、休み、健康など学びと同じように自分の人生の中の一つとして捉えていくという考え方は、自分らしい働き方、そして生き方に通じています。ここでは、各アクション担当者にご自身の「Work in Life」について伺います。現在のLifeとWorkの割合、そして理想とする割合についてどのように考えていますか?

※本来のWork in Lifeの考え方ではWork は Lifeの中の1つと捉えますが、ここでは分かりやすくするため、Lifeの中のWork 以外を Life として表しグラフにしています。

吉田’s VOICE

割合は変えず、Life・Workともに質をあげていきたいです。あえて言うならば、LifeとWorkをキラキラ化(笑)。プライベートでは子どもがまだ小学生なのでいまは子育て中心。子どもがもう少し大きくなったら何か新しいことを始めたいと考えています。

東海林’s VOICE

時間的には半々ですが、気持ちを数字にすると今はWorkがやや多め。理想は半々ぐらいになるともっとバランスが取れるかなと思います。LifeもWorkも大事だから、同じくらい充実させるのが目標です。今は家族と過ごす時間が多いですが、子どもたちが大きくなった時を考えると、何か新しく趣味を見つけたいなと思っています。

神谷’s VOICE

仕事の割合が多めですが、趣味でクライミングジムに通うなどLifeも充実しています。現在は仕事に没頭できる環境ですが、例えば今後家庭をもち、生活環境が変わる可能性を考えると、将来的には効率を上げてLifeの時間をより確保していけるようにしたいです。波線部分は通信教育やe-Learningを使った「オカムラ・ユニバーシティ」といった社内で提供されているコンテンツを通じた学びの時間です。通勤時間や家事の合間に日常では得られない知見を得ることができるので、積極的に利用していきたいです。

※2020年10月14日 取材

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