Wil BE

4 Action Interview
2020 Autumn & Winter

変化していく時代に、WiL-BEは今
- #02 Human Development -

オフィス営業本部 営業開発部 
林 昌毅(Hayashi Masaki)写真左

商環境事業本部 中央支店 
坂根 隆一(Sakane Ryuichi)写真中央

マーケティング本部 広告宣伝部 
髙橋 卓也(Takahashi Takuya)写真右

多様な働き方ができる環境整備を進めているオカムラ。中でも、一人ひとりのWork in Lifeの実現に向けて、性別を問わず育児に参画しやすい職場環境づくりは、社内活動も活発です。今回は、WiL-BE「Human Development」アクションの一環でもある、ダイバーシティ&インクルージョン推進活動「こそだて支援プロジェクト」リーダーの林 昌毅氏と、育児休職(以下、育休)を取得した坂根 隆一氏と髙橋 卓也氏の3名にインタビュー。育休を経て気づいたことや、父親もしっかり育児に向き合える企業風土づくりという目標に向けて、現状と課題について伺いました。

父親も育児にしっかり向き合える
風土づくりをめざす

リーダーの林さんを筆頭に、皆さんが関わっている「こそだて支援プロジェクト」はどのように始まったのでしょうか?

林:もともとはダイバーシティ&インクルージョンの推進を目的に展開していた「ソダテルプロジェクト」の中で、男性の育児支援を検討する「ファザーズプロジェクト」を始めました。女性は産前・産後休暇の後、育児休職を取ることがほとんどでしたが、男性の育休取得はほぼありませんでした。性別に関係なく全員が自分らしい働き方を実現するためには、男性を含めて皆の意識が変わる必要がある。そこで男性従業員の行動変容を目的に、父親になるタイミングが比較的多い、30代前後のメンバーを集めてワークショップを実施しました。参加した人の多くは世代的に仕事量が増え、後輩もいてという忙しい立場。育児に関わりたいのになかなかできていない、せっかくある人事制度が使われていない現状がありました。そこで、家庭の状況を上司と話し合う機会をつくってもらうようにしたんです。例えば、特にこの曜日は早く帰って子どもの世話をしたいなど、周囲に希望を伝えれば調整できるかもしれない。実際にコミュニケーションの溝を埋めることでフレックスタイム制度が使いやすくなったという声もありました。この活動に関しては、できることはまだまだあると感じて、育児を始める人へ面談などの施策を実施しています。

「ソダテルプロジェクト」は数年かけて取り組み、2020年3月に一旦プロジェクトとしては区切りがつきましたが、父親の育児参画を浸透させるためにも、Team WiL-BE、人事部、人財開発部、労働組合などと連携して、「こそだて支援プロジェクト」という形で継続することになりました。毎月「こそだて支援ニュース」として情報を発信し、プロジェクトでつくった「こそだてコミュニケーションプログラム」をe-Leraningで普及する活動なども予定しているのですが、育休経験者の声を届けたいと思って、髙橋さんと坂根さんにもプロジェクトに参画してもらいました。

毎月配信している「こそだて支援ニュース」では、育休前後の段取りや「保活」など実用的な情報も発信している。

坂根さんと髙橋さんが育休を取得したきっかけや経緯を教えてください。

坂根:第一子が誕生した時は仕事優先で育児や家事は妻に任せっぱなしだったので、二人目の子どもが生まれるとわかった時に、育休を取りたいなと思いました。ちょうど労働組合で担当をもっていたことも多少影響していますね。組合でも働き方の多様化を積極的に進めていますので。育休を取得したのは2020年2月中旬から3月末まで。取得を考えたのは昨年で、年内に上司に直接意向を伝えて、快諾していただきました。

髙橋:制度があることは知っていたものの、実際男性が育休を取ったら、例えば人事評価に影響があるのではといった懸念も正直言うと多少ありました。ただ、妻もフルタイムで働いていて、仕事に早く復帰したいという希望もあったので、ぜひ取りたいという気持ちではいました。2019年12月に子どもが生まれて、育休を取ったのは2020年年明けから2月半ばまでです。休職前も配偶者出産休暇と有給休暇を利用していました。本当は3月いっぱいまで休みたかったんですけど、展示会の企画や販促物制作開始なども迫ってきていましたので、そこは仕事の具合をみて復帰しました。ただ今から思えば乳幼児の成長は早いので、保育園が始まるまで休んで成長を見届けてもよかったかなと思う事もあります。

坂根:私は営業職ですが、営業職の男性として、育休を取得したのは私が初めてでした。顧客に迷惑をかけることになってしまうのでは、と考える人も多いのかもしれませんね。

社外、社内を含めて、育休取得に対する周りの反応はいかがでしたか?

坂根:育休に入る前に顧客に引き継ぎの挨拶に伺ったのですが、よい反応をいただけました。バックアップ体制や制度が充実していて、周りの理解もあっていいですねと、オカムラの働き方が進んでいる点を評価していただきました。そして、担当が一人しばらく不在だとしても会社は大丈夫なんだ、と分かった瞬間でもありました。

髙橋:僕も上司から「家族も喜ぶだろうし、休めるなら休むといい」と言ってもらえました。たまたま繁忙期のピークが過ぎたタイミングだったというのも良かったのかもしれませんが、育休に対して肯定的な意見が多く、職場で受け入れられたのは、これまでのWiL-BEやさまざまなプロジェクトがあって、ある程度下地ができているという背景もあったのかなと。

林:忙しい立場の2人が、育休を取ったというのはとても良かったと思います。より若い世代へのロールモデルになってくれていると感じます。

坂根:育休を取りたいと思っても、自分の周囲に実際に取った人が誰もいないと、それだけでハードルが高く思えてしまうかもしれませんよね。これから取る人が増えていけば、その下の年代にも波及していくのかなと。

髙橋:僕は妻の希望がなかったら、育休を取ることを真剣に考えなかったかもしれません。すでにお子さんがいる男性からは、生まれたばかりの子どもを世話する女性の大変さや赤ちゃんの成長の早さを見ているから、「(育休を)取った方がいい」と言われました。けれど、僕は第一子だったので実感がわかなくて。こんなに大変だと正直思っていなかったので、育休のあいだはゆっくり休んでいるわけではないと伝えたいです(笑)。「休めていいな」って言われたこともあったし、僕もこんなに長く会社を休むのは初めてということもあって、これを機に仕事に活かせる勉強もしようと思っていましたが、結局何もできませんでした(笑)。

育休は単なる“休み”ではなく育児参画の期間
認識を改めていくことが大切

育休中、具体的にどのようなことが大変だと感じましたか?

髙橋:2~3時間おきにミルクをあげることです。妻は出産後早い時期から仕事に復帰したので、一人で子どもの面倒を見ている時間も多かったですね。時間をかけてミルクを飲ませてから寝かしつけ、片付けて、子どもが寝ている間は余裕があると思っても自分も疲れて寝てしまって、またすぐ起きてミルクをあげる…というサイクルでした。子どもから離れられないし、何もやる気が起きなかったです。正直、仕事している方が楽だとさえ思いました(笑)。昼間は一人でしたが、夕方から義母が食事をつくりに来てくれるなど援助してくれて、本当に助かりました。これがなかったら育児ノイローゼになっていたかもしれません。

坂根:妻が普段やってくれていることを休み中は代わりたいという目的があったので、家族4人分の家事・育児をやるつもりで張り切っていましたが、こんなに難しいのかと痛感しました。上の子はイヤイヤ期で言うことを聞かないし、自分の思い通りにいかないのがあたりまえの世界で、同時に家事もやらなきゃいけない。仕事の方がスケジュール管理もコミュニケーションもスムーズだと、当初はストレスが溜まりましたね。
育休中はまるで修行のように日々鍛錬を積み重ねて(笑)、できることを一つずつ増やしていきました。そんな経験からか、仕事復帰後は今まで苛立ってしまっていたようなことも気にならないというか、気持ちにゆとりが出ました。

育休を取ったことで、家族関係に変化はありましたか?

坂根:もともと妻は実家に帰省するつもりだったのですが、私が育休を取得したことで帰省しないことになったので、移動の負担や準備が減って良かったと言われました。第一子の時は帰省していたので、自分自身家族と一緒にいられなかったことがとても寂しかったという思いもありました。結果的に絆が深まって、なんでも言い合えるようになった気がします。

髙橋:うちは役割分担が明確になりました。育児の大変さはわかったし、休職後も引き続き、保育園の送り迎えもあります。育休を取って終わり、とはならないようにしないとと思うようになりました。喧嘩はいっぱいしますけどね(笑)。

林:僕は2人みたいに育休を取っていないし、ある程度子どもが育ってから育児をやらなきゃと思ったタイプです。中1と4歳の子どもがいて、上の子が生まれた時は仕事に比重を置いていて、家事も育児もあまりやってこなかった。今になっていざやってみるものの、わからないことも多く、家族から怒られる、そして凹むという厄介なお父さんになってしまって(笑)。“育児参加”と“育児参画”は違うというけれど、結局まだお手伝いのような感覚が抜けていないのかもしれません。タスクのうちの一つを消化するだけじゃなくて、家族で一緒にやるべきことを分け合い、補い合うフェーズに持っていかないといけないと反省しています。

育休以外に、利用したまたは今も使っている制度はありますか?

坂根:配偶者出産休暇、在宅勤務制度、コアタイムなしのフレックスタイム制度、時間単位有給休暇制度などを使っています。オカムラは育児と仕事を両立するための制度は整っていると思います。

髙橋:託児サービス費用の補助を利用しました。コロナウイルスの影響で保育園が閉園し、しばらく預かってもらえなかったことがあったんです。外せない仕事がある日はベビーシッターを頼んで、在宅勤務をしていました。住んでいる地域でも助成があるので、両方を活用しました。今後取得する人にも、会社と住んでいる地域、両方の制度を確認してみることをおすすめしたいです。

育児はこの先も続くからこそ、
働き方を変える必要がある

育休を取ってみて、ご自身の働き方の意識の変化は? そして、オカムラでは男性の育休取得を促進していますが、今後の課題はどのようなことだと感じていますか?

髙橋:産まれたての赤ちゃんの傍にいて、一生のうちのほんの短い時間を少しでも多く一緒に過ごせたことは本当に良かったですし、仕事への価値観が変わりました。育児しながらだと時間の制約があるので、より効率的に働こうと意識するようになりました。

坂根:意識は180度変わりましたね。在宅勤務や中抜け(在宅勤務時可能)など、社内のさまざまな制度を活用して対応したいし、早めに帰宅して育児に携わる時間を確保したいと思うようになりました。

髙橋:復帰後に、仕事量が前と同じ状態で育児をしようとしても難しいですよね。保育園に迎えにいこうとすると、定時には業務を終わらせたい。時間がないなかどうすればいいのかなって思うし、今後は事前に復職後の相談もできたらいいのかなと思います。

坂根:確かにそうですね。男性は比較的短期間で復職する人が多いですし、仕事も前と同じことがほとんどですから、働き方も同様に戻りがちです。でも育休が終わっても育児は終わるわけではないので、そこが今後の課題です。

髙橋:女性で育休明けの人はお子さんがいるし大変でしょう、と配慮されることも多いと思うけれど、男性だと元通り働けるよねと思われがちな気がします。これからこういった雰囲気も少しずつ変わっていけばいいなと思いますね。

坂根:自分の後輩が育休を取る時にも協力していきたいですね。女性・男性関係なく育児によって働き方に影響が出る可能性があるということを、マネジャー含めて職場全体が意識するようになるといいと思います。

林:上の子は中学生ですけど、習い事の送り迎えがあったりして、子どもが大きくなっても子育ては終わらないんですよね。僕も送り迎えの日はちょっと早めにフレックスで帰ったり、娘を習い事に送り、待っている間は近くのシェアオフィスで仕事をすることもあります。会社全体でも、マネジャーとの定期的な面談で家庭環境がどうなっているか話して、チームでサポートしあって、うまく業務が進むようになっていけばいいなと。それぞれがWorkとLife両方の課題を棚卸しして、全体を最適化できるように、皆で働き方を考えていけたらと思います。

自宅からオンラインミーティングに参加する際は、次女が登場するのは定番となっているそう
(写真:林さん)

髙橋:WiL-BEを自分たちで実践しながら、お客様へ働き方を提案する会社として、人事制度も含めてちゃんと整えていこうと、ここ数年でオカムラは大きく変わったと思います。育休に興味はあるけど仕事の調整が大変そう、言い出しにくいと諦めてしまう前に、まずは周りに相談してみるといい。実際に話をしてみたら、オカムラならばそういった希望や状況を受けとめ、背中を押してくれる、いい土壌があると思いますから。

WiL-BE COLUMN
-あなたの考える「Work in Life」とは?-

「WiL-BE」を推進していく上で、オカムラが提唱する理念「Work in Life」はとても重要です。仕事も、家族や友人、趣味、休み、健康など学びと同じように自分の人生の中の一つとして捉えていくという考え方は、自分らしい働き方、そして生き方に通じています。ここでは、各アクション担当者にご自身の「Work in Life」について伺います。現在のLifeとWorkの割合、そして理想とする割合についてどのように考えていますか?

※本来のWork in Lifeの考え方ではWork は Lifeの中の1つと捉えますが、ここでは分かりやすくするため、Lifeの中のWork 以外を Life として表しグラフにしています。

髙橋’s VOICE

現在はWorkの時間が大半を占めています。基本仕事は好きですし、今までは仕事後に自分の時間が持て、学んだことや考えたことが仕事につながることもありました。ただ、今は自分だけの時間はほぼないですし、子どもとの時間は大事にしたいので、今後はWorkよりLifeの割合を増やしていきたいと思っています。

坂根’s VOICE

物理的な時間という意味で、現在はWorkが60%です。今後は妻が仕事に復帰するかもしれないので、なおさら育児・家事の時間を増やしていきたい。働き方を工夫し、会社制度を使うことに加えて、自分の仕事のスキルを上げないと達成できないと考えています。育児など家族との時間を1日の中でもう少し増やし、働く時間を今より多少減らしていくのが理想です。

林’s VOICE

WorkとLifeのバランスよりも、大事なのはストレスマネージメントだと思っています。
ストレスはWorkに限らずLifeの中で出てくるかもしれない、そんな時はWorkの方に力を入れたくなるでしょうし。自分の中でストレスをマネージメントできれば、時間の使い方はあまり気にしすぎなくてよいかなと。図のグラデーションゾーンとは、ビジネス関連の書籍を読んで仕事のインプットをしたり、仕事関係の人たちと話したり、「仕事っぽいことをしている時間」のこと。自分にとって大事な時間なので、この部分は増やしたいです。

※2020年10月14日 取材

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