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2014.11.04  取材・文/山下久猛 撮影/守谷美峰

日本の伝統を未来の子どもたちに

──矢島さんが代表取締役を務める「和える」とはどのような会社なのですか?

「日本の伝統を未来の子どもたちにつなげたい」という理念のもと、日本の伝統産業の技術を用いた赤ちゃん・幼児向けの日用品の企画、開発、販売を手がけている会社です。大学4年生の2011年3月に設立し、1年後の2012年3月に「0から6歳の伝統ブランドaeru」を立ち上げました。以来、15アイテム、70種類ほどの商品を日本全国の伝統産業の職人さんたちと一緒に作ってきました。現在、商品は東京の目黒駅徒歩3分にある直営店『aeru meguro』や当社のオンラインショップで販売しているほか、伊勢丹新宿店、日本橋三越本店、西宮阪急などの百貨店でも取り扱っていただいています。

その他にも日本の伝統産業の職人技を活かしたイベントの企画、制作や、当社のノウハウを提供することによる和えるプロデュース事業なども行っています。


──矢島さんの役割は?

私は経営者であると同時にクリエイティブ・ディレクターとして、商品開発、オンラインショップ、直営店など、ブランド全体を通しての世界観を生み出しています。『aeru meguro』は、和える君のお家をイメージして設計されました。現代の日本のリビングの中で、伝統産業品が日常品として使われるイメージを大切にしています。接客するスタッフは和える家のホストマザーやホストシスター・ブラザーと位置づけているので、このお店に来ていただいたお客様には「いらっしゃいませ」とは言わず、「こんにちは」「こんばんは」とご挨拶しています。

aeru meguro店内

──商品を買いに来たお客様ではなく、和える君のお家に遊びに来た人という設定なんですね。具体的にはどのような商品を作っているのですか?

商品は0~6歳児のために作っていますが、正確に言うと、すべて職人さんの手仕事によって作られているので、成長して大人になってからもずっと使えます。例えばこぼしにくいコップシリーズ(福岡県・青森県)は、小さい子どもが両手でちょうど持ちきれる大きさですが、大人は片手で持って使える大きさなので、子どもの頃はミルクやジュースを、大人になったら日本酒などを飲んでほしいと思って作りました。実際、お子様とおそろいで購入して家族で使ってくださるお客様もいらっしゃいます。『長崎県から 波佐見焼の 前掛け』も、ボタンが長崎県の伝統技術の波佐見焼という焼き物なので、お子さんが成長して使わなくなったらボタンだけを取り外して髪飾りに作り変えたり、お子さんのコートのボタンにつけ直したりできます。このように和えるの商品は、そのまま長く使えるものもあれば、形を変えて長く使えるものもあります。基本は0歳から6歳児の成長や感性を磨くお手伝いができる子どもの目線で作った商品ですが、人が生まれてから一生使い続けられるものを目指しています。

お店にいらしたお客様には、商品を見て赤ちゃんや子ども向けの商品だと思わない方もいらっしゃいます。「これって大人が普通に使えますよね」とよく言われますし、aeruのことをご存じない方には、「何屋さんですか?」とよく聞かれます。

矢島里佳(やじま りか)
1988年東京都生まれ。株式会社和える(aeru)代表取締役。

職人の技術と伝統の魅力に惹かれ、19歳の頃から日本の伝統文化・産業の情報発信の仕事を始める。「21世紀の子どもたちに、日本の伝統をつなげたい」という想いから、大学4年時である2011年3月株式会社和えるを設立、慶應義塾大学法学部政治学部卒業。幼少期から職人の手仕事に触れられる環境を創出すべく、子どもたちのための日用品を、日本全国の職人と共につくる“0から6歳の伝統ブランドaeru”を立ち上げる。また、全国の職人とのつながりを活かしたオリジナル商品・イベントの企画、講演会やセミナー講師、雑誌・書籍の執筆など幅広く活躍している。『青森県から 津軽塗りの こぼしにくいコップ』『福岡県から 小石原焼の こぼしにくいコップ』が2014年度グッドデザイン賞を受賞。 2013年3月、慶應義塾大学院 政策・メディア研究科修士課程卒業。2013年末、世界経済フォーラム(ダボス会議)のヤング・グローバル・シェイパーズに選出される。2014年7月、書籍『和える-aeru- 伝統産業を子どもにつなぐ25歳女性起業家』を出版。

初出日:2014.11.04 ※会社名、肩書等はすべて初出時のもの

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