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2014.11.04  取材・文/山下久猛 撮影/守谷美峰

新たなライフスタイルを提案したい

aeruの商品は既存の生活の中にあるものの発展型・問題解決型と、新しいライフスタイルの提案型の大きく2つのタイプがあります。例えば『東京都から 江戸更紗の お出かけ前掛け』は、子どもの前掛けにも、お出かけ用の一張羅があってもいいですよね、というライフスタイルの提案です。

『滋賀県から 米ぬかの 誕生祝い和ろうそく』も、お子さんのお誕生日を日本の和ろうそくでお祝いするのはいかがでしょうかという提案です。現代の子どもたちは、電気のある生活に慣れているので家で火を使う機会がなかったり、火は危険だからという理由であまり身近に体験したことがありません。また、いつでも明かりがつくのが当たり前の生活をしているので、本当の暗闇を知らないという子が多いと思います。そこで、年に1回、誕生日のお祝いをするときに部屋を暗くして、和ろうそくに火を灯します。和ろうそくは火を灯すと徐々に炎が大きくなり、そしてまた最後は小さくなって消えるのです。まるで炎が生きているかのような感覚になります。

そんな和ろうそくの力強くも温かい炎を見て心を落ち着けて、お子さんの1年間の成長を家族で語り合う時間を持つライフスタイルの提案なのです。

先人の知恵を受け継ぎ、今生きる私たちの感性を和えることで、どんな新しいライフスタイルを生み出すことができるか。そこに私たち和えるは挑戦したいのです。

一番お目の高いお客様は赤ちゃんと子どもたち

──お客様の反応はどうですか?

一度aeruの商品を贈ってくださった方が、「とても喜んでくれたので、今度は違うものを贈りたい」と、また贈ってくださったり、ご自身で購入してくださった方が「使ってすごくよかったから同じものを友達の出産祝いに贈りたい」「子どもが成長したら、今度はこれを贈ろう」と、何度も来てくださる方が多いですね。

あと、aeruの商品は子どもの反応が明らかに違うと言ってくださる方が多いんです。例えば、「出産祝いでいろんな産着をもらったけどaeruの『徳島県から 本藍染の 産着』を着ているときが一番いい顔をする」、「『愛媛県から 手漉き和紙の ボール』は子どもがすごく集中して遊ぶんですよ」、「『福岡県から 小石原焼の こぼしにくいコップ』で飲むようになったら、子どもがこのコップ飲みやすい!と言うんですよ」など。言葉を話せる子は自分で感想を話すけど、まだ話せない子も表情や集中度合いなどで何かしら表そうとするそうです。なんでも触って口に入れてしまう赤ちゃんや子どもたちは、自分が触っていいものか悪いものかを感覚的に判断する直感力が研ぎ澄まされているんですよね。だから赤ちゃんや子どもたちが一番お目の高いお客様だと思うんです。

徳島県から 本藍染の 産着

魅力的な職人とは

──実際に商品を作る職人さんはどんな人なのですか?

現在お付き合いしている職人さんは全国に300人ほどいます。学生時代に全国の職人さんを取材して回ったことがあって(※後編で詳述)、そのとき出会った数十名の職人さんたちからスタートしたのですが、さまざまな方からのご紹介で、お知り合いになる職人さんが増えてきました。最近は全国の職人さんからお声がけいただけることも増えてきました。

年齢的には20代から70代くらいまでで、一番厚い層は30代です。これからの伝統産業を担っていく若手の職人たちに継続的に一緒にお仕事をしたいという想いから意識的にそうしています。お子さんをもつパパ職人が多いですね。

──矢島さんにとって魅力的な職人とは?

高い技術力をもち、こだわりを持ったものづくりができることが第一条件です。自分が自信をもって世の中に送り出せると思ったものしか出さないという人。自分の仕事にとても正直で、妥協を許さないという方が魅力的な職人さんですね。

伝統産業の職人さんといえば無口で小難しく頑固一徹なイメージがあるかもしれませんが、和えるに携わってくださっている職人さんは、心が広く、多様な意見を受け入れてくださる方が多いですね。まさに、"和える"ことができる職人さんですね。人間味にあふれている方々と、お仕事をさせていただけるのはとても楽しいですよね。


インタビュー後編はこちら

矢島里佳(やじま りか)
1988年東京都生まれ。株式会社和える(aeru)代表取締役。

職人の技術と伝統の魅力に惹かれ、19歳の頃から日本の伝統文化・産業の情報発信の仕事を始める。「21世紀の子どもたちに、日本の伝統をつなげたい」という想いから、大学4年時である2011年3月株式会社和えるを設立、慶應義塾大学法学部政治学部卒業。幼少期から職人の手仕事に触れられる環境を創出すべく、子どもたちのための日用品を、日本全国の職人と共につくる“0から6歳の伝統ブランドaeru”を立ち上げる。また、全国の職人とのつながりを活かしたオリジナル商品・イベントの企画、講演会やセミナー講師、雑誌・書籍の執筆など幅広く活躍している。『青森県から 津軽塗りの こぼしにくいコップ』『福岡県から 小石原焼の こぼしにくいコップ』が2014年度グッドデザイン賞を受賞。 2013年3月、慶應義塾大学院 政策・メディア研究科修士課程卒業。2013年末、世界経済フォーラム(ダボス会議)のヤング・グローバル・シェイパーズに選出される。2014年7月、書籍『和える-aeru- 伝統産業を子どもにつなぐ25歳女性起業家』を出版。

初出日:2014.11.04 ※会社名、肩書等はすべて初出時のもの

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