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2014.05.15  取材・文/山下久猛 撮影/守谷美峰

コンプレックスの塊だった

──前編ではREADYFOR?の仕組みや米良さんの役割・仕事についてお聞きしましたが、後編ではまずREADYFOR?立ち上げの経緯について教えてください。やはり学生の頃から人がやらないようなことをやりたいとか社会を変えたいと思っていたのですか?

いえいえ、とんでもないです! そもそも私は小さい頃から人と違うことを好んでするとか、将来絶対に叶えたい夢をもっていたとかは全然なくて、本当に普通の子どもでした。むしろ、無個性というかいつもぼーっとしているような子どもで、さらに父や祖父は個性的でクリエイティブな人たちだったので、彼らに比べて自分なんてバカだしダメな人間だなとずっとコンプレックスを抱いていました。高校でも特にやりたいことも将来の夢も何もなかったですね。

転機が訪れたのは大学時代です。私は小学校から大学まで一貫教育を行っている私立の学校に通っていたのですが、成績がよかったのでより上の大学を目指そうと大学受験をして慶應義塾大学の経済学部に入学しました。ここで私の人生を大きく変える出会いがありました。

3年生のときにインターゼミで当時東京大学大学院数理学研究科准教授だった松尾豊さんと出会いました。松尾先生はWebと人工知能の研究を行っており、当時「あのひと検索 スパイシー」(以下、スパイシー)というあらゆる人のプロフィールとつながりを知ることができる人物検索Webサービスを開発中でした。松尾先生からインターネットのことを教えていただいて、無限の可能性と面白みを感じて、スパイシーの開発プロジェクトのメンバーに加えていただきました。たくさんの人が集まって今までにない、社会にインパクトを与えられるサービスをつくることはとてもおもしろく、スパイシーの研究・開発のお手伝いに没頭しました。

READYFOR?の原型をつくる

4年生のときには、何か成し遂げたいことをもっている個人を応援できるサイトをつくれないかと松尾先生に相談して、「cheering SPYSEE」(あのひと応援チアスパ! 以下、チアスパ)という、何かに取り組む人が、ネット上でたくさんの個人から少額ずつ寄付を集められるサービスを立ち上げました。私自身、パラリンピックのスキーチーム日本代表のワックス代100万円の寄付を募るプロジェクトを立ち上げ、成功させました。自分で手を動かして何かをつくって成果を出せたので、今の私に至る大きな原点だと思います。

チアスパの仕組み

──チアスパはまさにREADYFOR?の原型のようなサービスですね

確かに成功は収めたのですが、このままではいけないと思いました。というのは、このサービスは、いわゆる「ネット投げ銭」的なプラットフォームなので、確かに支援された側はうれしいのですが、支援した側はあまり楽しくないしメリットがありませんでした。ここがREADYFOR?との最大の違いです。つまり、スキーチームの監督やハンディキャップをもつ選手たちはすごく頑張っているから支援をしてくださいとネットで訴えかけてお金を集めたのですが、それ自体があまり楽しいコミュニケーションではないなとすごく感じたんです。支援者にはもっと純粋に彼らの活動自体を知って、おもしろそうだから支援したいと判断した上で主体的にお金を出してほしいし、支援する側とされる側が何らかの形でつながって、長期的に一緒に活動し、結果を出したときは一緒に喜びを分かち合うという仕組みをつくりたい。そしてみんながやりたいことに気軽にチャレンジし、実現できるようなプラットフォームをつくりたいと強く思うようになったんです。そういう意味では、このチアスパがREADYFOR?の原型だといえるでしょうね。

イギリスの大学へ留学

──大学3、4年生のときは一般の学生のようにインターンや就職活動はしなかったのですか?

やりましたよ。ただ、これからの世の中はインターネットがトレンドになると確信していたので、もう少しインターネットの世界を勉強したいと思っていましたし、スパイシーのようなワクワクするプロジェクトを途中でやめたくないなと思っていました。それでいったん海外へ出てこれからのことをじっくり考えようと思い、ロンドンのロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE/ロンドン経済学校)に留学したんです。

米良はるか(めら はるか)
1987年東京都生まれ。READYFOR?代表/オーマ株式会社取締役

慶應義塾大学経済学部に在学中、「あのひと検索スパイシー!」の開発に携わり、「あのひと応援チアスパ!」を立ち上げる。卒業後は、2012年同大学院メディアデザイン研究科に進学。米スタンフォード大学に留学し、クラウドファンディングサービスの研究に没頭。帰国後、2011年3月、日本初のクラウドファンディングサービスREADYFOR?を立ち上げる。以後、READYFOR?の統括責任者としてチームを牽引、日本最大のクラウドファンディングサービスにまで育て上げる。2012年には世界経済フォーラムグローバルシェイパーズ2011に選出され、日本人史上最年少でダボス会議に参加。「国・行政のあり方に関する懇談会」のメンバーも務めている。

初出日:2014.05.15 ※会社名、肩書等はすべて初出時のもの

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