WAVE+

2014.05.01  取材・文/山下久猛 撮影/守谷美峰

READYFOR?ならではの特徴

──今、日本にクラウドファンディングサービスはいくつか存在しますが、READYFOR?ならではの特徴は?

システムとしては今はどのサイトもほぼ同じですが、READYFOR?の場合は特に公共性・社会貢献性の高い活動、例えば自治体やNPOなど社会問題を解決するプロジェクトへの支援が多いことが挙げられます。そのほか、クリエィティブなジャンルのプロジェクトも数多く立ち上がっています。

もうひとつの大きな特徴としては、実行者へのサポートが手厚いという点です。実行者ごとに「キュレーター」というスタッフがついて、プロジェクトページを作成する際に、より実行者の思いが伝わり、共感を集めるための書き方などをアドバイスしたり、公開されるとより多くの人の目に触れる方法を指南したりして、プロジェクトが成立するようにバックアップします。


──なぜそこまで実行者をサポートするのですか?

いわゆるソーシャルメディアを使って多くの人からどんどん支援金を集められる人なんて、ほんの一握りしかいません。他のクラウドファンディングサイトは、強い人をもっと強くするためのツールというか、元々自分の意見を通せる、強い影響力をもつ人が使ってる印象があるんです。

そうじゃなくて、私自身もそもそも普通の学生という立場からREADYFOR?を立ち上げ、今まで戦ってきたので、これまでやりたいことはあってもなかなか一歩踏み出せなかった、強い力をもっていない普通の人にこそREADYFOR?を使ってほしいと思っているんです。そういう大多数の普通の人たちにこそ社会を変える可能性があると思っていて、だから実行者の背中を押すことを一所懸命やりたいし、いろんな面からサポートできるような体制を作っていきたいし、多くの人に伝わるようにシステムとしてどんどん改良していきたいと強く思っているんです。それだけにやりたいことがあるんだけどなかなか実行に移せない人たちがREADYFOR?を使って一歩踏み出したときに、この仕事をしていてよかったなと痛感します。とにかくすべての人の力になるようなサイトをつくりたいんですよね。このような点が、他のクラウドファンディングサイトとは一線を画している点かなと思います。

企業とも連携

──特にユニークなサービス、取り組みは?

マッチングギフトサービス」があります。READYFOR?で過去に成功したプロジェクトがその後も継続して支援を求めるとき、目標金額の半分を一般の人々からの支援、残りの半分を企業が提供する仕組みです。企業が共同実行者となるわけなので、より大きな目標金額を得ることができます。


──なぜそのようなサービスをつくったのですか?

特に公共性・社会貢献性の高い活動は1回だけじゃなくて、何度も継続して行うことがとても重要です。その支援をしたいという思いがひとつ。もうひとつは、READYFOR?が社会を変えるひとつのシステムになっていくために、個人が個人を応援するだけじゃなくてより大きな力をもつ企業という枠組みでも何かの活動を応援できるような仕組みをつくりたいという思いでマッチングギフトサービスをつくりました。

マッチングギフトサービスの仕組み

企業側は、CSR活動の一環として、多くの市民から共感を集め、資金調達に成功し、かつプロジェクトを達成したものに限って支援を行うことができるため、企業の新たな社会貢献活動として活用できます。また、READYFOR?のプロジェクトを支援するとSNSで世界中に広まっていくので、効果的な企業PRの一環になるというメリットもあります。事実、これまで別のところに使っていたCSRの予算をREADYFOR?に使ってくださるようになった企業も増えています。第1弾は、asobi基地代表の小笠原舞さん(WAVE vol.7に登場)の、親子で楽しんでもらえる場をつくるというプロジェクトで、支援企業はアサヒグループホールディングスさんでした。READYFOR?もソーシャルな活動をする人たちのデータベースになりつつあるので、実行者と企業をいい形でマッチングしていくことを今後もっと推進していきたいと思っています。

米良はるか(めら はるか)
1987年東京都生まれ。READYFOR?代表/オーマ株式会社取締役

慶應義塾大学経済学部に在学中、「あのひと検索スパイシー!」の開発に携わり、「あのひと応援チアスパ!」を立ち上げる。卒業後は、2012年同大学院メディアデザイン研究科に進学。米スタンフォード大学に留学し、クラウドファンディングサービスの研究に没頭。帰国後、2011年3月、日本初のクラウドファンディングサービスREADYFOR?を立ち上げる。以後、READYFOR?の統括責任者としてチームを牽引、日本最大のクラウドファンディングサービスにまで育て上げる。2012年には世界経済フォーラムグローバルシェイパーズ2011に選出され、日本人史上最年少でダボス会議に参加。「国・行政のあり方に関する懇談会」のメンバーも務めている。

初出日:2014.05.01 ※会社名、肩書等はすべて初出時のもの