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2014.05.01  取材・文/山下久猛 撮影/守谷美峰

文化的事業も

また、企業とREADYFOR?がコラボしているプロジェクトもあります。例えば、映画会社の松竹さんの「映画『晩春』デジタル修復プロジェクト」は、日本が世界に誇る名監督・小津安二郎の『晩春』(1949年)を、最新のデジタル技術(4K)で修復・復元するというプロジェクト。日本の名作映画が高いクオリティで保存されることは、映画文化を未来に残していくためにとても重要なことです。また、こういう事業は国の財政状況を考えた場合、助成金や補助金に頼るのは現実的ではないので、小津安二郎や映画が好きな人たちが少しずつ資金援助することで日本の文化を守ることを浸透させていきたいと思っていて、そこに松竹さんが参加することになったので一緒にやろうということになったわけです。プロジェクトは目標金額を大きく上回る額が集まり、成立しました。今後も今の文化を守る活動を増やしていきたいと思っています。

もうひとつは、J-WAVEの「復興途上の三宅島を伝える番組を皆で作ろう!一口スポンサー募集中!」プロジェクト。通常、民放の場合、番組の制作費はスポンサーとなった企業の広告費で賄われますが、そうなっている以上、番組制作にスポンサーの意向もある程度は反映せざるをえません。しかし、そもそも番組はリスナーのためにつくりたいというのが制作に携わっている人たちの思いです。ですので一般のリスナーから制作資金を募って、自分たちが本当にリスナーに届けたい番組をつくりたいようにつくろうということでプロジェクトを立ち上げ、私もその思いに賛同したので実行者のひとりとして加わりました。

こちらも目標金額に達し、番組をつくって放送できました。スタッフは「リスナーが望む番組をつくってたくさんの人に伝えることができたのはとても画期的。マスメディアの原点にある喜びや手応えをもう一回手にできた感じがした」と感動していました。

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READYFOR?にプロジェクトを立ち上げ支援を呼びかけるJ-WAVEのスタッフ

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番組テーマは、「島の人たちと島の外側の人たちをつなぐ友情」だった

──他に特に強く印象に残っているプロジェクトは?

ここ最近では「沖縄の大自然に"森のおもちゃ美術館"を皆で作ろう!一口館長募集中!!」というプロジェクトですね。支援者は1万円の引換券を買うとヤンバルクイナの形をした積み木がもらえます。それを繰り抜いた外枠には購入者の名前が彫られ、「森のおもちゃ美術館」に展示され、完成後は来館の証として、ヤンバルクイナのピースを購入した積み木の中央に収めることができます。

支援者の名前が掘られた外枠とヤンバルクイナの積み木

このプロジェクトを支援したあるお年寄りから「孫が10人いるので10口購入しました。成人して1人で森のおもちゃ美術館に行けるようになったら1人ずつピーズをはめに行きます」という声を頂きました。頑張る人と応援する人との新しいつながりを生むということも、私の目指していたことのひとつであったので、すごくうれしかったですね。ただプロジェクトを立ち上げて、お金をもらって終わりです、ではなくて、そこに人と人とのつながりや新しい出会いが生まれたとき、READYFOR?を運営していてよかったなといつも思います。この他にもたくさんのプロジェクトを通して実行者と支援者、実行者と実行者、支援者と支援者の新しいつながりが生まれているんですよ。

成功しなくても失敗ではない

──どんなプロジェクトが成功しやすいのでしょう。

成功に導くための最大のポイントはいかに人々の共感を得られるかなので、共感を得られるような紹介文が書かれたプロジェクトですね。また、途中経過をマメに書くことや魅力的な引換券を用意することも重要です。

ただ、プロジェクトそのものが成功しなくても失敗とは言い切れないと思っているんです。今はみんな何をするのでも「失敗」、「成功」の2つしか頭にないようで、確かに何かに挑戦するなら成功を目指して一所懸命努力をする必要がありますが、結果的に失敗に終わったとしても、成功するために全力で頑張っていれば何かしらの学びはあり、身につくものもあるので、失敗とは言い切れないと思うのです。一番よくないのは「何もしないこと」なのではないでしょうか。

米良はるか(めら はるか)
1987年東京都生まれ。READYFOR?代表/オーマ株式会社取締役

慶應義塾大学経済学部に在学中、「あのひと検索スパイシー!」の開発に携わり、「あのひと応援チアスパ!」を立ち上げる。卒業後は、2012年同大学院メディアデザイン研究科に進学。米スタンフォード大学に留学し、クラウドファンディングサービスの研究に没頭。帰国後、2011年3月、日本初のクラウドファンディングサービスREADYFOR?を立ち上げる。以後、READYFOR?の統括責任者としてチームを牽引、日本最大のクラウドファンディングサービスにまで育て上げる。2012年には世界経済フォーラムグローバルシェイパーズ2011に選出され、日本人史上最年少でダボス会議に参加。「国・行政のあり方に関する懇談会」のメンバーも務めている。

初出日:2014.05.01 ※会社名、肩書等はすべて初出時のもの

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