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2017.02.01  取材・文/山下久猛 撮影/大平晋也 イラスト/フクダカヨ

木育とは何か

木育とは何か

──オカムラでは長年、木育活動を行っていますが、「木育」という言葉自体、一般的にはまだ馴染みがない人も多いと思うので、まずは木育とは何かというところからお話ください。

佐藤政満 近影2

佐藤政満(以下、佐藤) 木育というと前提として、幼児期から木に親しみ、木との関わりを深めることによって、木で身近な社会を作っていこう、森を作っていこうという意識がもてるように人に育てるということがポイントとしてあると思います。さらに、木育の重要なテーマの1つとして環境配慮がありますよね。家具をはじめとする物を作るということは、その素材を得るために何らかの形で自然環境の一部を切り取るという行為にほかならない。一方的に好きなだけ切り取っているといずれなくなってしまうので、メーカーの立場でできるだけ環境を壊さずに物を作るかに尽力することと、それによってできた製品を消費者のみなさんに知っていただくことが重要だと考えています。これがオカムラとして木育に取り組む意義だと考えています。

そもそも私たちの暮らしは、多くの生きものの営み、つまり生物多様性によって支えられています。オカムラの事業活動もまた、生物多様性の恵みに支えられている以上、 生物多様性に貢献することは私たちの使命。オカムラは「生物多様性に向けたアクション」を「ACORN(エイコーン)」と名づけ、積極的に取り組んでおり、木育は今のところACORNの中の1つの切り口にしか過ぎません。ですが木育には教育や販促の側面もあるので、重要な1つのテーマと捉えてこれからより活動の場を広げていきたいと考えています。

森田舞 近影3

森田舞(以下、森田) 「木育」という言葉が初めて登場したのは2004年、北海道で「木育プロジェクト」が発足して、その中で「子どもをはじめとするすべての人びとが、木とふれ合い、木に学び、木と生きること」が木育だと言及されています。その後2006年に「森林・林業基本計画」が閣議決定され、その中に「市民や児童の木材に対する親しみや木の文化への理解を深めるため、多様な関係者が連携・協力しながら、材料としての木材の良さやその利用の意義を学ぶ、『木育』とも言うべき木材利用に関する教育活動を推進する」と明記されました。木育の定義はそれぞれ企業・団体によって違いますが、私が考えるオカムラの木育は①自然や木を知る ②木に触れる ③木で作る、の3つだと思います。


──ではみなさんがそれぞれ取り組んでいる具体的な木育活動について教えてください。

角田知一 近影2

角田知一(以下、角田) 私は木を使った製品の開発や木素材の研究をしています。木育には、東北芸術工科大学の特別講師として木製家具のデザインや木の使い方を学生に教えたり、木を通した地域創生活動などで関わっています。

浅野裕一(以下、浅野) 僕は早稲田大学建築学科の古谷誠章先生と一緒に「木育家具」の開発に取り組みました。また、出前授業にも参加しています。普段はパブリック製品部で教育系の製品開発や販促ツールの作成を行っています。

佐藤 私は長年、オフィス製品やパブリック製品の開発と販促に携わってきたので、木育を通して生まれる新しい製品のプロモーションに取り組んでいます。


佐藤政満(さとう まさみつ)

佐藤政満(さとう まさみつ)
1956年東京都出身。株式会社岡村製作所 マーケティング本部 企画部長

大学でプロダクトデザインを専攻後、岡村製作所に入社。オフィス製品やホームインテリア製品のデザイン、パブリック製品やオフィス製品の企画開発などを経て、現在はマーケティング本部にてプロジェクト単位の製品開発支援、また個別営業物件の製作調整、支援などに従事している。


角田知一(かくた ともかず)

角田知一(かくた ともかず)
1964年神奈川県出身。株式会社岡村製作所 きづくりラボ チーフデザイナー

大学でインダストリアルデザインを専攻後、岡村製作所に入社。ホームインテリア家具やオフィス家具のプロダクトデザインを担当。現在は木に関する研究や木製家具の開発と地域創生に繋がる産学官研究などに従事している。


浅野裕一(あさの ゆういち)

浅野裕一(あさの ゆういち)
1968年東京都出身。株式会社岡村製作所 マーケティング本部 パブリック製品部

大学で機械工学を専攻後、岡村製作所に入社。製品設計や特注製品のデザイン業務を経て、現在は教育施設向け家具の企画開発を担当している。


森田舞(もりた まい)

森田舞(もりた まい)
1978年東京都出身。株式会社岡村製作所 マーケティング本部 オフィス研究所 主任研究員

大学、大学院で建築学を専攻後、岡村製作所に入社。オフィス製品の企画開発を経て、現在は教育施設を中心として、よりよい空間・環境のあり方に関する調査・研究に従事。専門は建築計画。博士(工学)、一級建築士。

初出日:2017.02.01 ※会社名、肩書等はすべて初出時のもの

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