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2015.09.01  取材・文/山下久猛 撮影/大平晋也

ブランディングにこだわる

──なぜミュージシャン自身がグッズのデザインや使い方まで考えるのですか?

わたなべだいすけ-近影2

わたなべ すべてはニコルズというバンドを自分たちが思い描いている通りに、世の中に正しく伝えていくためです。そういう意味では企業のブランディングに似ていると思います。ニコルズというバンドのブランディングを自分たちできちっとやっていくということ。そのためには音楽性は元より、グッズやデザインなどすべてにおいて統一されたコンセプトがなければならない。それを自分たち発信で考えていくことにより、グッズなどもメンバーの血が通うものになって、ブランディングがより強固になったと思いますね。

鈴木 ブランディングについては日々考えていて、思いついたことはすぐにみんなで話し合っています。さっきりっちゃんも言いましたが、全国ツアーなどの移動中でもよく話してますね。それをこの10年の間でしっかりできるようになったと感じています。最初の頃はそこまで考えてなかったんですが、数年前からブランディングの重要性がわかるようになってきたんです。

岡田 ただ演奏するだけがバンドマンじゃないということですよね。自分たちのバンドをどうプロモーションしていくかを自分たちで考えた方がファンにより濃く、正しく伝わるからファンのみんなも喜ぶと思うんです。


──プロモーションといえば、YouTubeにアップされているミュージックビデオ(MV)もすごく凝っているというか完成度が高いですよね。

わたなべ YouTubeのような世界中の人が視聴するインターネットの動画配信サイトは、たくさんの人が僕らを知る第一歩になる可能性が大きいので、そこにアップされているものは僕らの魅力が詰まったものでないといけない。だからそのMVを見ただけで僕らのライブに行きたくなるような、いろんなことを誘発する作品をと思って作っています。僕らの曲をただ聴いてもらうためのものではないんですよね。

C.W.ニコルさんとの交流

──ミュージックビデオにC.W.ニコルさんも出演していますね。

わたなべ 2010年10月にリリースした「一秒でもはやく」という曲で、MVを制作した当時のレコード会社の人のアイディアです。ニコルさんが僕らのライブに来てくれていて面識はあったので、出演をお願いしたら快諾してくれたんです。


──C.W.ニコルさんとの交流は?

わたなべ 初めてお会いした時も、ニコルさんは僕らの歌の歌詞やハーモニーがいいねと褒めてくれて、「僕のことをD.W.ニコルズのおじいちゃんだと思ってね」とまで言ってくれたんです。先日はニコルさんのアファンの森にも行って、森の中で数曲レコーディングをしたんですよ。森の中のレコーディングはすごく楽しかったです。そしてご飯を一緒に食べながらいろいろと話をしました。

岡田梨沙-近影2

岡田 最近ニコルさんとここまで親交が深くなれたのは、ニコルズの結成10周年のお祝いコメントをニコルさんにお願いして、快諾していただいたことがきっかけです。じゃあひさしぶりにご飯でもということでみんなで焼き鳥屋に行ったのですが、その時にアファンの森に遊びに行く約束をし、そこからまたトントン拍子にアファンの森でレコーディングしようという話にまで進んだんです。

セルフブランディングにこだわる理由

──音楽関係以外の活動は?

岡田 例えば以前、よくライブをするライブハウスの下にあるカフェを期間限定で「ニコルズカフェ」と銘打って、オリジナルメニューを作ったり、店内をニコルズのライブ写真パネルで飾ったり、私たちがセレクトした曲をBGMとしてかけたりしたんです。メンバーが一日店員になって接客するイベントもしました。ニコルズはただライブをしてるだけの4人組じゃないということをいろんな人に知ってほしい、また、ニコルズはいつも何かおもしろそうなことをやっているバンドだなと認知してほしいから、カフェのような企画もみんなで練って実践しているんです。このように、私たち自身がプロモーションやブランディングのアイディアを考えて実践するようになって、以前より確実にグッズなどは売れるようになりました。その成功体験の積み重ねでここまで来たという感は確かにあります。

わたなべ 確かにそれはあるよね。そもそもこういったことは自分たち自身で考えざるをえなかったから始めたことです。でも自分たちでやる方が楽しいし、メンバーも自分で自分たちのバンドを動かしているという意識が芽生えてきたのでよかったなと思います。

バンド結成の経緯

D.W.ニコルズ-近影2

──バンド結成の経緯をもう少し詳しく教えて下さい。

わたなべ 僕は大学卒業後、プロのミュージシャンを目指して1人でライブハウスでギターを弾いて歌っていたのですが、ある日まなんに声をかけられました。それがすべての始まりです。

千葉 当時私はライブハウスでアルバイトをしていたのですが、たまたまそのライブハウスに出演しただいちゃんのライブを観てすごくいいなと思ったんです。歌詞がストレートに伝わってきて、曲の雰囲気とメロディが好みでした。それからだいちゃんのライブを観に行くようになり、「バンドはやってないんですか?」と聞いたらやってないと。私はベースをやってたので、「私とバンドを組んでやってみませんか?」と誘ったのが最初です。それが2005年くらいですね。当時は私もいくつかのバンドを掛け持ちしてベースを弾いていたのですが、自分のイメージにぴったりのボーカルがなかなかいなくて、自分の働いているライブハウスでいろんなシンガーを見て探していたけれど、グッと来る人になかなか出会えなくて。そんなときにだいちゃんと出会えたので声をかけたというわけです。

わたなべ まなんに声をかけられたとき、ちょうど僕も周囲を見て「このままこの場所で弾き語りをしていてもダメだ、別の世界に行きたい」と思っていたので、バンドという世界に踏み込んでみたら違う可能性が拓けるかもと思い、まなんの誘いに乗ることにしたんです。まずはまなん(ベース)と僕の高校時代の友人(ドラム)と僕(ボーカル&ギター)の3人でバンドを結成し、「D.W.ニコルズ」と名付けました。それがバンド誕生の瞬間ですね。


──ギターとドラムはどのような経緯で?

千葉真奈美-近影2

千葉 ギターのけんちゃんとは2006年の5月頃に対バンを通して知り合いました。けんちゃんのギターを聴いてニコルズにすごく合うと思い、打ち上げの席で当時の状況を聞くと、けんちゃんも色んなバンドを掛け持ちしていてとても忙しそうでした。でも「音源だけでも聴いてくれませんか」と連絡先を交換。後日音源を聴いてもらったらすごく気に入ってくれて、サポートとしてもらえることになったんです。

鈴木 当時は自分のバンドをやりつつも、他のバンドから誘われたらサポートギターとしてライブに出演したりレコーディングに参加したりと、いろんな人といろんな音楽を試すことで、自分のすべてを懸けられる場所をひたすら探していました。バンドも5、6個掛け持ちしていたのですが、どれももう一歩決め手に欠けるという感じで。そんな時にまなんに誘われたんです。当時一番忙しい時期で、関わるバンドをこれ以上増やすのは無理だと思っていたのですが、まなんからもらったニコルズの音源がすごくよかった。シンプルで土や太陽の匂いがする、地に足をつけた音楽だなと。奇をてらっていないオーソドックスなスタイルという点も僕のプレイスタイルと一致したので、このバンドならあれこれ難しいことを考えずに自分のいいところを出せるなと感じました。ただ、最初から正式メンバーでやる余裕はなかったので、まずはサポートメンバーとしてニコルズに入ることにしました。それが2006年の夏頃ですね。

わたなべ その頃からニコルズでプロのバンドとしてちゃんとメシを食っていきたいと思うようになりました。でもそう考えた時、ドラムだけが技術的にも覚悟的にも不安でした。当時のドラムは高校時代から仲がよかった同級生だったのですが、正直に話したところ、彼は「おれはお前が有名になってくれればうれしいから、おれは抜けるよ」と言ってくれました。その時のことは今でもよく覚えています。ちなみにその後、彼は公務員になり結婚して子どもももうけて、僕らより幸せな人生を手に入れました(笑)。

D.W.ニコルズ

わたなべだいすけ(ボーカル、アコースティックギター)、千葉真奈美(ベース)、鈴木健太(ギター)、岡田梨沙(ドラムス)の4人で構成される音楽バンド。2005年、ライブハウスで働いていた千葉真奈美がわたなべだいすけの弾き語りライブを観て「バンドでやろう!」と誘い、D.W.ニコルズを結成。都内でバンドとしての活動を開始。わたなべだいすけのイニシャルがD.W.であることからC.W.ニコル氏を連想。自然を愛するニコル氏に共感と敬意を示し、D.W.ニコルズと命名(C.W.ニコル氏公認)。2007年、鈴木健太と岡田梨沙が加入し現在の編成に。2009年、ミニアルバム『春うらら』を携え“うららかツアー”として初めての全国ツアーへ。9月、メジャーデビューを果たすも、2011年、インディーズに。2013年、EMI Records Japanから再メジャーデビューを果たす。2015年4月には結成10周年を記念したD.W.ニコルズのオールタイムベストアルバム、「ベスト オブ D.W.ニコルズ『LIFE』」を発売。好評を博す。CD制作やライブの他にもラジオやイベント出演など幅広く活動中。10月11日には結成10周年記念ライブとして、破格の入場料1000円の「感謝の1000円ブリッツ!」@赤坂BLITZを開催。

初出日:2015.09.01 ※会社名、肩書等はすべて初出時のもの

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