現場スタッフの声

【第4回】移転プロジェクトの背景広島市立北部医療センター安佐市民病院

リニューアルした広島市立北部医療センター安佐市民病院。
拠点移転に際し、病院施設について様々な工夫をされています。
全4回のインタビュー、第4回は「移転プロジェクトの背景」について話を伺いました。

広島市立病院機構本部事務局安佐市民病院整備室整備担当課長 福長賢氏(左)、主事 堀江祐矢氏(右)

災害時の"いざ"に対応できる病院づくりを大事にされた理由を教えて下さい。

福長:
 今はどこでも災害が起こる時代です。地域を守り安心を届けるのは公立病院の使命だと考えています。避難所ではありませんが、何かあった時に駆け込む場所として病院は地域の方から安心できる存在であるべきだと考えました。

災害拠点病院として工夫された点はありますか?

福長:
 災害拠点病院には、通常外来患者の5倍程度(当院の場合は4000人程度)の被災傷病者の受入れができるスペースが必要といわれています。そのスペースを1階に集約させているのが特徴です。1階に集約することで入院をしている患者様と完全に分離して対応ができます。また、低層(5階建て)にしたのも意味があります。エレベーターが動かなくなってもケアを続けるスタッフの負担軽減や避難を容易にすることを目的としています。他には非常用発電設備や免震構造、災害備蓄倉庫の設置などを工夫しました。

災害対策は地域を守る病院として大切だと改めて感じました。次は弊社に関係のある什器・備品についてお聞きします。移転をするときに什器・備品についてどのようなことを考えましたか?

福長:
 正直申し上げますと、什器・備品は後回しになりやすいです。病院づくりに関わる「モノ」で考えますと、建物、医療機器、什器・備品の順番で考えます。什器・備品は「全て持っていく。買わないで前の病院のものを使うこと」が基本スタンスでした。

実際には新しい什器・備品を購入して頂いております。基本スタンスが変わった理由を教えてください。

福長:
 基本スタンスを変えたわけではありませんが、一言で言えば、病院長のこだわりです。こだわりと聞くと鶴の一声みたいにあまり良くないイメージがあるかもしれませんが、病院づくりにおいてはとても重要です。什器・備品だけではなく、何に力点を置いて進めるのかこだわりを持って言える人がいないと色んな意見がある中でまとまりません。

どんなこだわりだったのでしょうか?

福長:
 1つは、患者様から見えるところは新しくしました。地域の方に選ばれる病院になるために新しい建物に見合う什器や備品を購入しています。感染症対策にも配慮しました。もう1つは、「医療スタッフに選ばれる病院」です。広島市内には広島市民病院や広島大学病院など人気の高い病院があります。安佐市民病院は通いにくい立地だからこそ、スタッフを一番に考えるべきだと。特に女性スタッフが働きやすい環境作りに力を入れました。

女性の働きやすい環境を目指している病院は増えています。具体的にどのような工夫をされたのでしょうか?

堀江:
 例えば、更衣室のロッカーは面白い事例です。男性用は前の病院のものを移動してきましたが、女性用は新設しています。男性医師は最新の医療機器でモチベーションが上がりますが、女性の場合は、普段の働きやすさやきれいさを求めています。現場のニーズを考えて什器・備品の購入計画を考えました。

「医療スタッフに選ばれる病院」を実現するために新規購入が増えたということですが、予算の問題はどうやって解決したのでしょうか?

福長:
 廃棄費用に目をつけました。 移転に伴って多くの廃棄がでることが分かった時に概算してもらったところ1億5,000万円くらいかかることが分かりました。最終的には廃棄費用は2,000万円に収まります。これを実現したのが「リユースマーケット」の実施です。

リユースマーケットについて具体的に教えて下さい。

堀江:
 リユースマーケットのためのカタログを作成しました。 院内のいるものいらないものをリスト化して、それぞれをABCDの4段階でランク付けしました。カタログを元にまずは病院内の他部署で使えるものをピックアップしてもらいました。さらに、病院機構の4病院にもカタログを渡して欲しいものを取りに来て頂きました。他病院に4,000点は移動しました。

この取り組みは真似したい病院もいそうですね。やってみて大変だったことはありますか?

堀江:
 移転という慌ただしい中、そして、人手が少ない状況でやっていたので、リストの管理が大変でした。あるはずの什器を誰かが持っていくことや、カタログと違うこともありました。リユースマーケットを実施する場合は、前もってリストを作成し、常に管理できる体制を作ることをお勧めします。

失敗事例も話して頂き大変に参考になります!最後に今後移転をされる方にアドバイスはありますでしょうか?

福長:
 平面計画で工夫した点があるので紹介します。平面計画は皆さまの陣取り合戦になります。すべての要求を反映した理想的なレイアウトはできません。私たちは病院を4つの区分(病棟、外来、診療、物流)に分けて、全国の平均値を元に説得をしました。「全国的に見て病棟は〇%、外来は〇%です」「500床だと診察室は〇部屋くらいですね」と、データを元に平面計画を行ったことで納得度は高くなったと思います。

堀江:
 私は什器・備品の購入時に、新しい病院でスタッフの動線や使い方が変わることを意識することをお勧めしたいです。予算決めの時、什器・備品は1つ1つが少額なのであまり考えないで決めることが多いです。購入する時はレイアウトも固まって具体的になっています。什器・備品でスタッフのモチベーションが変化することを今回の移転で実感しています。

施設紹介

広島県北部医療センター安佐市民病院は、地域の基幹病院として、患者の皆さんの利益のために、「愛と誠の精神」、そして「誇りをもって安全で質の高い医療を提供すること」を基本理念に掲げています。高度急性期機能、地方包括ケアの生活視点、人材派遣/教育体制、DXの4つの分野で様々な試みを進めております。新しいことにチャレンジしながら、北部医療センターが可部の健康ランドとして地域の方々をお守りしています。

施設データ
所在地
〒731-0293 広島市安佐北区亀山南1丁目2-1
病床数
434床(一般病床414床、精神病床20床)
ホームページ
広島市立北部医療センター安佐市民病院