物流システムのコラム

COLUMN

倉庫保管効率を高める重要性や具体的な方法を紹介

2025.6. 6

荷物は入荷と同時に出荷するわけではないため、倉庫や物流センターに保管する必要があります。 ただ保管するといっても、庫内のスペースロスをなくし保管量を増やしたり、ピッキングの生産性向上や在庫の把握のため、 ロケーションを管理するなど、ざまざまな工夫が必要です。

この記事では、保管スペースと入出庫の作業性を高めるポイントや、具体的な方法などをご紹介します。

物流における保管とは

物流には5大機能があり「輸配送」「保管」「荷役」「包装」「流通加工」の5つに分類され、「保管」はその機能の一つです。保管とは、荷物を一定の場所において、品質、数量の保持など適正な管理のもとで、ある期間蔵置することとJIS(日本産業規格)で定義しています。

また、保管機能には主に3つの機能として「需給調整機能」「運送調整機能」「物流拠点機能」があります。

需給調整機能

需要に応じたタイミングで物資を供給する

輸送調整機能

大量に輸送されてきた物資を輸配送するために小分けし、行き先別にまとめる

物流拠点機能

包装や流通加工などの活動を提供する

倉庫保管効率を高めることが重要な理由

コストを削減するため

近年では倉庫の賃借料が上昇傾向にあるため、無駄なスペースの使用は企業にとって大きな負担となります。また、荷物の配置や作業動線の効率が悪くなると、無駄な人件費が発生します。

こうしたコストを抑えるためには、保管効率を向上させ、スペースを有効活用し、作業効率を改善することが重要です。

生産性を高めるため

物流業では、翌日配送や納期通りの配送が当たり前とされ、サービスレベル向上が求められています。

そこで適切なロケーション配置や、在庫管理の徹底、保管形態の見直し、入出庫作業を効率化することで、必要な荷物の出荷作業を正確かつ迅速に進められ、生産性を高められるでしょう。

ビジネスの成長に対応するため

企業が成長し、取り扱う商品数や出荷量が増加すると、倉庫の運営にも柔軟性が求められます。保管効率が低いまま事業規模が拡大すると、スペース不足や作業遅延が深刻化し、業務全体が停滞する恐れがあります。

効率的な倉庫運営を実現することで、業務量の増加にも柔軟に対応できる基盤を構築でき、事業拡大の足かせを防ぐことが可能です。

倉庫の保管効率を見極めるポイント

スペースの使用状況はどうか

倉庫保管効率を改善するには、まず現状を正確に把握する必要があります。
以下に、倉庫の保管効率を評価するための具体的な指標やポイントを挙げます。
 

保管効率 = 保管間口数 ÷ 総間口数

上記の計算式を用いて、倉庫内のスペースがどの程度有効活用されているかを把握します(保管効率の計算式)。
保管効率をもとに、適切な保管設備が効率のよいレイアウトで配置されているかを確認しましょう。
また、一つの間口に対して、荷物の梱包サイズが適していない場合、保管できる荷物の量が減ってしまう原因になります。

限られたスペース内により多くの荷物を保管するためには、荷姿・保管設備や棚段ピッチなどを見直し、荷物に合せて最適化する必要があるでしょう。

作業動線が適正に設定されているか

商品の入庫から出庫までの動線に無駄がないかを分析します。

例えば、荷物のピッキング後、作業エリア間の移動ルートが遠回りになっていて、作業者が何度も行き来しなければならない場合があります。荷物の種類ごとに適切な保管場所を選べているかを見直し、レイアウトに合せた作業動線を適正に設定するとよいでしょう。

また、出荷頻度の高い荷物は中段の取り出しやすい位置に配置したり、重量のある荷物は作業性を考慮して低い位置に保管したりすることで、安全に効率よく入出庫作業ができます。

在庫管理が正確にできているか

在庫回転率や在庫精度を正確に把握することで、過剰在庫や不明・不要な荷物を削減でき、保管効率向上につながります。

倉庫保管効率を高める方法

出荷頻度に合わせてロケーションを設定する

倉庫内の保管効率を高めるためには、頻繁に出荷する商品をまとめて出入口付近に配置するなど、荷物のロケーションを最適化することが重要です。
以下のイラストは、ABCパレート図をもとに倉庫内ロケーションをABC分析したものになります。

無駄なスペースを削減する

保管効率を高め、スムーズに出荷作業を進めるためには、保管スペースの無駄をなくして限られたスペースにできるだけ多くの荷物を保管し、スペースを最大限活用することが大切です。以下では、主な無駄なスペースの種類や、削減するための方法をご紹介します。

倉庫でよくある無駄の種類

倉庫上部空間を活用できていない

保管スペースとして設置している棚の上部空間を有効活用できていないと、無駄なスペースが発生します。

倉庫上部空間を活用するためには、天井部分まで荷物を収納できる背の高い棚を設置することで、保管量を増やすことが可能です。ただし、人の手が届かない位置の入出庫方法については、自動倉庫を導入するか、フォークリフトやピッキングリフターを活用するなどの対応が必要です。

棚などを適切に配置できていない

床など平面部分に空きが多いと、無駄なスペースが発生します。例えば、作業者が移動しやすいよう通路を広げすぎてしまうと、無駄なスペースがあるにもかかわらず、荷物の保管スペースが減ってしまいます。

通路幅が狭いことでピッキングや搬送作業がしづらくなってしまうものの、通路幅が広すぎると多くの荷物を1つのスペースに集約しづらくなり保管効率が下がってしまう恐れがあるため、保管スペースの広さと通路幅のバランスを適切に維持することが大切です。

なお、一般的に適切な通路面積は、倉庫面積のうち50~55%といわれています。

荷物同士の間に隙間がある

棚のスペースを有効活用できていないと、無駄なスペースが発生します。例えば、棚に置かれた荷物同士の間に隙間があったり、長さのある荷物を横向きに置いてしまい余分にスペースを消費していたりすることで、保管効率が低下します。

棚に無駄な隙間が生じなくなるよう、形状の同じ荷物をまとめて配置したり、荷物のサイズに合った棚を選んで設置したりするなど、工夫することが大切です。

自動化設備を導入する

倉庫内の保管、入出庫作業を自動化することで、保管・作業効率を大幅に向上させられます。

例えば、自動倉庫を導入することで、倉庫内のスペースを有効活用した棚の配置を実現しながら、ピッキングや仕分けといった作業も効率化でき、倉庫保管効率や倉庫における生産性を最大限に高められます。

オカムラが提供する自動倉庫「AutoStore(オートストア)」では、コンテナを床から隙間なく積み上げ、平置き棚よりも約2~3倍の収納力を発揮します。また、荷物の出し入れ時は作業者が定点でピッキング・補充できることから、作業者の負担の減少や、オペレーションの簡略化を実現でき、作業効率化や人件費の削減にもつながるでしょう。

オートストアを導入し、実際に倉庫の保管効率を改善した納入事例は、以下のページをご覧ください。

ティーツーケー株式会社 様|課題はスペース不足と人手不足 オートストア導入で事業成長の実現へ

このように、自動倉庫を導入することで収納力や倉庫保管効率を高められるため、より効率的な出荷作業が期待できます。

オカムラのそのほかの自動倉庫はこちら

在庫管理システムを活用する

在庫管理システムを導入することで、在庫管理の精度を向上させられます。

在庫管理システムでは、在庫状況をリアルタイムで把握し、過剰在庫や欠品を防ぐことが可能です。また、需要予測や在庫回転率を分析し、効率的な在庫管理を実現します。

在庫管理システムを導入するメリットについては、以下の記事でご紹介しています。
在庫管理とは? 効率化のポイントや注意点を紹介

倉庫保管効率を高める際の注意点

保管スペースの効率だけを重視しない

倉庫保管効率を高める際は、保管スペースを重視しすぎるあまり、そのほかの作業効率が低下してしまうレイアウトを設計しないよう注意が必要です。

例えば、ピッキング時の移動が最小限で済むよう棚同士を密集させた場合、保管効率が高まりより多くの荷物を倉庫内に保管できるようになりますが、ピッキングの際に荷物が取り出しにくくなったり、作業者が通路を移動しづらくなったりする可能性があり、出荷までの作業効率が低下してしまいます。

保管効率だけでなく、そのほかの作業効率も最大限高められる動線やレイアウトを設計することで、倉庫作業全体の効率化や生産性の向上が実現できるでしょう。

ミスの起こりにくいレイアウトを意識する

倉庫保管効率を高める際は、作業者のミスが生じないようレイアウトを設計することも大切です。

例えば、保管場所が密集しピッキング時の移動距離が削減できていたとしても、荷物の保管場所が定まっておらず煩雑に保管されていた場合、作業者のピッキングミスが起こる可能性があります。

荷物をミスなく取り出せるか、荷物を探し出すのに手間がかからないかなども考慮し、ヒューマンエラーを最小限に抑えられるレイアウトを意識しましょう。

まとめ

この記事では、倉庫保管効率を高める重要性や、具体的な方法などをご紹介しました。

倉庫保管効率を高めることによって、保管量増大だけでなく、出荷までの作業効率が上がり、限られた時間内でより多くの荷物を出荷でき、顧客満足度の向上や、人件費・保管スペースの確保といったコストの削減が期待できます。

しかし、スペース効率を意識するあまり、ピッキングがしづらく作業効率がかえって低下するレイアウトになってしまうケースもあるため、スペース効率と作業効率の両方を高める必要があります。

このようなリスクを抑える場合は、記事内でご紹介した自動倉庫をはじめとしたマテハン機器を活用することで、倉庫内のスペースロスや作業者のヒューマンエラーを防ぎつつ、作業者の負担も軽減できる倉庫環境を実現できるでしょう。

オカムラでは、お客様の倉庫の調査や最適な倉庫設備の提案、製造、保守メンテナンスまで一貫してサポートしています。

お客様の課題を自動倉庫をはじめとしたマテハン機器によって解決し、さらに生産性を高められる倉庫設備をご提案します。ぜひお気軽にご相談ください。

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