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2017.10.10  取材・文/山下久猛 撮影/林景沢(スタジオアップル)

お金との関係性

──丹羽さんはこれまでタイのコミュニティファームで自給自足の生活を送ったり、コスタリカのジャングルの中で暮らしたりと一般的な日本人にはなかなかできない生き方をされてきたように思えます。ただ、世界中どこにいてもある程度はお金って必要じゃないですか。そのお金に対してはどのような考え方をもっているのでしょうか。

丹羽順子-近影1

実はお金っていうのは私の中に重大なテーマとしてずっとあるんです。例えば、私がずっと考えている環境問題も究極はお金の問題に行き着くんですよ。世界のみんながお金に対する価値観を変えない限り、環境問題も改善しません。そこはすごく大事なポイントだと思っているんですが、問題として切り出して提示してくれる人ってあんまりいなくて。

私の中ではずっとlove & hateな関係というか、その時々で自分なりにいつも折り合いをつけながら、一番ヘルシーな関係を築こうとはしてますね。


──今現在はどんな関係なんですか?

タイ時代は何とかなっていたんですが、コスタリカに移住したばかりの頃はちょっとヤバいぞとなり、今はちょっと盛り返してきてるというか、何とかなりそうな感じですね。ただ、今、すごい悩んでます。その悩みをはっきり答えが見つかるまでためておかないで、表に出すようにしています。人と話すことで見えてくることもよくありますからね。


──その悩みとは具体的には?

例えば私のメインの仕事である、ヨガや瞑想、呼吸法などのいろんなワークショップの料金体系を作るときに、適正価格にするものもあれば無料にするものもあったりといろいろ試してます。お金がないからワークショップに参加できないという人をあまりつくりたくないから。お金だけでスクリーニングしたくないんですよ。でも、だからといって全部誰でも無料でウェルカムですよってしちゃうと私と娘の生活が成り立たなくなっちゃう。そのバランスが悩ましいですね。

写真提供:丹羽さん

写真提供:丹羽さん

でもお坊さんに「瞑想なんか教えてお金取るの?」と怒られたりもするんですよ。そう言われると確かにどうなんだろうとか思うし、ヨガだって5000年の歴史があってすごく深い叡智があるのに、私なんかが3、4年勉強したくらいでお金取って教えていいんだろうかと考えたりもします。だから行ったり来たりですね、そこは。「そうは言っても」って思う時もあれば、「でも確かにそうだよなー」っていう時もあるし(笑)。

とにかくこれまであっちいったりこっち行ったりしてきましたが、その時々で自分ができることを精いっぱいやって食べてきただけなんですよね。


──丹羽さんは軽くおっしゃいますが、それってすごいと思うんですよ。見ず知らずの国に行ってお金を稼いで生きてる、しかも子どもまで養っているということが。

でも日本に帰国した時にやってるワークショップの収入がなかったらまだやっていけないかな。全部合わせて数百万レベルなのでどっちの割合が大きいも何もないんですけどね(笑)。


──でもそれだけでも十分に暮らしていける感じなんですね。

そうですね。もちろん贅沢はできないし、何とかやっていけてるという感じだけど、本当に豊かな生活をしてるなって思うから、今は満足してますね。

丹羽順子(にわ じゅんこ)

丹羽順子(にわ じゅんこ)
1973年神奈川県生まれ。平和環境活動家

慶應義塾大学卒業後、NHKに入社。報道記者として3年間勤務した後、退職。日本映画学校で講師をしつつ、ドキュメンタリー映像制作にも携わる。2003年、イギリスのミドルセックス大学院に1年間留学。持続可能な開発とリーダーシップコース修了。帰国後、フリーランスのサスティナビリティー活動家としてドキュメンタリー制作やイベントMC、各種講師など様々な分野に携わる。2006年、長女を出産。鎌倉を持続可能にするNPOかまわなどで地域活動を展開ほか、オシャレな古着の交換会xChangeを主催。J-WAVEのLOHAS SUNDAYのナビゲーターも務める。2011年、東日本大震災を機に家族で鎌倉を離れ、西日本を放浪後、香川で半年間ほど暮らす。2012年、タイに移住し1年半ほどの自給自足生活を送る。その後、娘とコスタリカへ移住。現在は10歳になる娘と愛犬チョコ、フランス人のパートナーとともに大自然に囲まれた場所に暮らし、自身の心、みんなの心に平和の芽を育てる活動を続けている。著書に『小さいことは美しい』(扶桑社)、『深い愛に気づく女性のためのヒーリング』(ブルーロータス・パブリッシング)などがある。

初出日:2017.10.10 ※会社名、肩書等はすべて初出時のもの

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