新庁舎整備は単なる建物の建て替えではなく、職員の働き方や来庁者へのサービスのあり方を大きく変えるチャンスでもあります。
これまでの庁舎は、「行政サービスを提供する場所」という役割が中心でした。しかし、これからの庁舎は、職員にとっては効率的に業務を遂行しながら創造性を発揮できる場所、来庁者にとっては手続きや相談がを短時間で済ませたり、人とのつながりや交流が生まれる場所であり、職員と来庁者双方の視点を持ち計画することが大切です。
また、新しい働き方や行政サービスのあり方を庁舎整備と一体的に見直すことで、その価値を最大限に引き出すことができます。職員一人ひとりが行政サービスのあり方に真摯に向き合い、来庁者へのサービスを継続的に向上させていく――そんな「人」を中心に据えた庁舎づくりが望まれます。

前例にとらわれず、将来の変化やさまざまな状況に対応できる庁舎環境を整えます。
若い世代からベテラン職員まで、「働きたい」「働き続けたい」と思える、多様な働き方に対応した庁舎を構築します。
限られた庁内面積を有効活用し、物品や書類の保管を減らして、職員と来庁者のための機能的な空間を創出します。
FLOW

POINT
新庁舎整備は長期にわたるプロジェクトであり、職員の理解と協力が不可欠です。そのためには、職員の意識醸成や合意形成を目的とした「継続的な情報提供」と「参加の機会づくり」が重要です。具体的には、先進事例の視察やワークショップなど、職員参加型の検討プロセスを通じて当事者意識を高めます。また、庁内広報紙などで目的やメリットを分かりやすく伝えたり、パイロットオフィスを設置して効果を実感してもらうことで、自発的な参加を促します。さらに、定期的な経過報告や意見交換の場を設けることで、職員がプロジェクトを「自分ごと」として捉え、継続的に関わる姿勢を育むことができます。
デスクサイズや通路の幅、収納スペースなど、庁内全体で共通の基準=オフィススタンダードを策定します。これは単なる什器の統一にとどまらず、働き方改革や将来の運用を支える基盤となるものです。執務室のあり方や働き方の方向性を全庁で共有することで、属人的・慣例的な判断を避けられ、職員の納得感や公平感を高めることができます。
スペースを有効活用する3つの施策

従来の個人固定席の運用では、外出や時間帯によって使用されない席が生じるほか、各席ごとに設けられた通路や席間にデッドスペースが多く見られました。デスクを共有化することで、利用頻度の低い席や余剰スペースを削減し、打ち合わせや集中作業など、職員にとって機能的な空間として活用できます。

複合機やプリンターを集約し、機器の台数を削減することで、設置スペースや周辺に生じていた待機スペース・通路面積を縮小できます。また、ペーパーレス化や業務見直しの促進につながるほか、管理部門の負担軽減や運用の効率化にも寄与します。

来庁者が少ない窓口は複数課で共通窓口化し、省スペース化を図ります。これによって生まれた余剰スペースは、職員の業務効率向上のためのスペースや、地域の協働・共創スペースなど、有効活用できる場として整備します。
確実な移行を支援
業務への支障がないよう開庁準備期間を確保した効率的な移転計画を作成します。進捗や課題を見える化することで関係者との情報共有を円滑にし、供用開始へ導きます。
庁舎利用マニュアル・運用ルールの作成
新庁舎の利用方法をまとめた庁舎利用マニュアルの作成をサポートします。そこで働く、利用するという視点で必要とされることや細かな運用ルールや取り決めを職員の皆さまと一緒に検討します。
CASES



FAQ
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竣工予定時期から逆算し、各年度ごとに実施すべき重要項目を整理します。そのうえで、発注や予算要求の時期を把握し、全体工程を立案することが大切です。
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視察先については、事前にホームページなどで情報を収集し、目的を明確にして訪問することをおすすめします。庁舎のどういったエリアや取り組みを重点的に見たいのかを整理したうえで、見学ポイントに応じた担当部門の職員の同行も効果的です。
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自治体に限らず、民間企業も含めさまざまな事例や先進的な取り組みを実際に見学し理解を深めることが有効です。一歩先の事例を参考にするだけでなく、将来のありたい姿を見据えた視点を持つことで、職員の意識や機運をさらに高めることができます。
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庁舎の空きスペースなどにトライアルオフィスを設け、新しい働き方を試験的に体感することが有効です。さらに、新庁舎での働き方をテーマにしたワークショップを開催したり、他自治体の先進事例を視察したりすることで、その具体像をより鮮明に描くことができます。
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対象となる什器の数量は膨大です。新旧の什器に附番をしたレイアウト図面や什器リストを作成し、作業に関わるすべての人が分かりやすいよう見える化するのが望ましいです。
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事前説明会を実施し、約1か月前から業務再開の項目とスケジュールを作成します。職員個々の必要作業を共有化することで、作業負荷の軽減を分かりやすく伝え、協力を得やすくします。