WAVE+

2017.10.02  取材・文/山下久猛 撮影/林景沢(スタジオアップル)

タイで自給自足の生活

──タイのどんな場所に住んだのですか?

丹羽順子-近影3

電気もガスも水道もない「タコメパイ」というファームです。ネットで移住先を探していて見つけた時、おもしろそうだなと思ってパートナーに言ったら彼もいいねと言ってくれて。そこで自給自足の生活が始まりました。お米は自分たちで全部作って、水牛を引いて畑を耕して野菜を作ったり、家も竹や木を切って自分たちで作りました。だから毎日泥だらけになっていましたね。携帯電話がナタに代わったみたいな感じですかね。6キロ先に小さな農村があって、そこに行けばネットも使えたので、私は週1~2日はそこでコンピュータを使って仕事もしていました。とにかく刺激的でしたね。


──娘さんの教育は?

ラッキーなことに、その近くの農村にコロンビア大学と国際連合のテストケースというような形でインターナショナルの幼稚園ができたんですよ。だから、娘は私たちがバイクで送ってオルタナティブな教育を受けていました。すごくいい生活だったのですが、いよいよ小学校に上がるってなったときに、近くに学校がなかったのでタイを離れ、コスタリカに移り住むことにしたんです。


──コスタリカを選んだワケは?

知人に次にどこへ行こうかという話をしたら、ある人から「日本からなるべく遠く離れた場所がいいよ」って言われたんです。いくら行きたくなっても、親が老いてくるとあまり遠い場所へは行けないから、この機会にアフリカとか中南米といった遠いところに行くのがいい、と。今考えたらすごく無責任な意見ですけどね(笑)。そこで、いろいろ調べていくうちに、コスタリカは軍隊のない平和な国だし、エネルギーもほぼ100パーセント自然エネルギーに近かった。原発事故を経験しているからこれは大きかったですね。


──現在住んでいるノサラを選んだ理由は?

自宅近くの海岸にて(写真提供:丹羽さん)

自宅近くの海岸にて(写真提供:丹羽さん)

Googleさんが連れてきてくれました(笑)。Googleで「コスタリカ インターナショナルスクール」「environment nature」といったキーワードを打ち込んで検索して出てきたのがノサラだったんです。そもそもタイを離れようと思った理由は娘の学校の問題だったというのは先程お話したとおりですが、ノサラには素晴らしい小学校があったんです。教科書もカリキュラムもテストもない、魂の教育といわているシュタイナーという教育法を採用している学校で、立地も海がすぐそばのジャングルの中。そんな大自然の中で世界中の子どもたちと一緒に学べるというまさに理想的な小学校でした。だからノサラに決めたんです。

でもコスタリカへ移住したのは私と娘の2人だけでした。娘の父親と話し合った結果、これを機に別々の道を行こうということになり、彼はタイに残ったんです。でも決してお互い嫌いになったというわけではないので、彼も娘に会いにコスタリカまで来たり、日本や旅行先で落ち合って、みんなで家族の時間を楽しく過ごしたりもしますよ。

ノサラのビーチに沈む夕陽(写真提供:丹羽さん)

ノサラのビーチに沈む夕陽(写真提供:丹羽さん)

コスタリカでの生活

──コスタリカでの生活はいかがでしたか。

写真提供:丹羽さん

写真提供:丹羽さん

タイで自給自足のものすごく泥臭い生活をしていたのが一変しました。冒頭でもお話した通り、移住したノサラという場所はジャングルと海が近い田舎なのですが、世界中からお金持ちが移住してくるリゾート地に近い感じで、物価も高いし、アメリカナイズされていたりと、想像していたのとは全然違ったんです。最初はそのギャップに戸惑いました。それでもノサラを離れなかったのは、ヨガとの出会いがあったからです。ヨガは動く瞑想みたいなもので、瞑想を始めたら、この土地を受け入れられるのが私の人生なんだ、という気になったんです。

また、先ほどお話した娘の小学校が理想的だったことも大きいですね。私も娘も世界一の学校に巡り合えたなと思っていて、だったらここでやっていこうって思ったんです。だからこの学校がなかったら別のどこかに移っていたかもしれませんね。


インタビュー第4回はこちら

丹羽順子(にわ じゅんこ)

丹羽順子(にわ じゅんこ)
1973年神奈川県生まれ。平和環境活動家

慶應義塾大学卒業後、NHKに入社。報道記者として3年間勤務した後、退職。日本映画学校で講師をしつつ、ドキュメンタリー映像制作にも携わる。2003年、イギリスのミドルセックス大学院に1年間留学。持続可能な開発とリーダーシップコース修了。帰国後、フリーランスのサスティナビリティー活動家としてドキュメンタリー制作やイベントMC、各種講師など様々な分野に携わる。2006年、長女を出産。鎌倉を持続可能にするNPOかまわなどで地域活動を展開ほか、オシャレな古着の交換会xChangeを主催。J-WAVEのLOHAS SUNDAYのナビゲーターも務める。2011年、東日本大震災を機に家族で鎌倉を離れ、西日本を放浪後、香川で半年間ほど暮らす。2012年、タイに移住し1年半ほどの自給自足生活を送る。その後、娘とコスタリカへ移住。現在は10歳になる娘と愛犬チョコ、フランス人のパートナーとともに大自然に囲まれた場所に暮らし、自身の心、みんなの心に平和の芽を育てる活動を続けている。著書に『小さいことは美しい』(扶桑社)、『深い愛に気づく女性のためのヒーリング』(ブルーロータス・パブリッシング)などがある。

初出日:2017.10.02 ※会社名、肩書等はすべて初出時のもの

pagetop