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2015.08.17  取材・文/山下久猛 撮影/大平晋也

今後の展望

新興国での活動を通して大きく成長する留職者たち

──今後の展望を教えてください。

それをまさに今、団体の中で再構築していこうとしているところです。方向性はいくつかありますが、1つはターゲットを広げるということです。これまでは比較的若手の社員向けにプログラムを提供してきたのですが、今後は経営幹部向けのプログラムを作っていきたいと考えています。実際、まさに今、いくつかの企業において、経営幹部が新興国のNGOをめぐるスタディツアーのようなことを企画しています。

また、プログラムの価値を突き詰めることも大事だと思っています。人材育成だけが留職の価値ではなく、そこから新しい事業やコトが起きる可能性だってあるはずです。そういう観点で、より新しい価値を生み出せないかという挑戦をしていく予定です。


──今後国内での留職を増やしていくお考えは?

国内でのプロジェクトは2014年から着手しています。もちろん今後増やしていく考えがありますし、実際に増えています。先ほどもお話しましたが、そもそも国内と海外との分けが本質的なものではないと今でも思っているので。

新興国現地NPOのスタッフと

新興国現地NPOのスタッフと

仕事と家庭のバランス

──日々の働き方ついて教えてください。現在ご家族は?

結婚していて、もうすぐ2歳になる娘がいます。


──仕事と家庭のバランスは?

小沼大地-近影8

うちの奥さんはキャリア志向で今もバリバリ働いているのですが、彼女の仕事上の挑戦を応援したいという気持ちが強く、子育てなどはできる限り分担してやるようにしています。保育園の送り迎えも、日によって担当を分けながら協力してやっています。土日は仕事が入ることもありますが、何もなければできるかぎり家族で過ごすように心がけています。とはいえ、それがなかなかできずに怒られていたりもするのですが...(笑)。

そもそも僕は仕事と家庭をあまり分けて考えていないんですよね。妻が生き生きと働くということは、広い意味では僕がクロスフィールズの活動を通して目指している世界と合致するので、まずは一番身近なところからやっていこうと。それができなければ自分のやってることに説得力をもたせることができませんからね。


──小沼さんにとって働くということは?

自分の志を体現することです。今は幸いにも、まさにこのために生きていると思えることを仕事にして取り組めているので、いろいろ大変なことがあっても乗り越えられるんですよね。

幸福は後から振り返ったときに感じるもの

──現在大きな理想に向かって突き進んでいるわけですが、小沼さんご自身は今、充実感や幸福感は感じていますか?

小沼大地-近影9

今が充実しているとか幸せを感じているというのとはちょっと違うと思いますね。幸せというのは振り返ってから感じることなんじゃないかと。例えば創業期は、「この先、生活していけるかすらわからない」という悲壮感に支配されていたけれど、今振り返れば「あの時はがむしゃらで楽しかったし、幸せだったなぁ」となります。同じように、現在はこれからの組織のあり方や事業を再構築していくことに悩み苦しんでいる時期ですが、2、3年後に振り返ったとき、あのときの苦しみは健全な苦しみだった、幸せだったと感じるでしょうね。

ただ1つ、確実に言えるのは、常に困難に逃げずに向き合ってはいるので、自分自身に後ろめたい気持ちはないですね。志や使命から逃げたら一番後悔すると思うので、今、後悔しない生き方をしているという自負はあります。これからもどんなに苦しくても自分自身に恥ずかしくないように、誠実に生き、働いていきたいと思っています。

小沼大地(こぬま だいち)
1982年神奈川県生まれ。NPO法人クロスフィールズ代表理事

一橋大学社会学部・同大学院社会学研究科修了。大学卒業後、青年海外協力隊として中東シリアに2年間赴任し、現地NPOとともにマイクロファイナンスや環境教育のプロジェクトに携わる。帰国後、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。人材育成領域を専門とし、国内外の小売・製薬業界を中心とした全社改革プロジェクトなどに携わる。同時並行で若手社会人の勉強会「コンパスポイント」を立ち上げ、講演会の企画やNPOの支援活動などを行う。2011年3月退社、松島由佳と共同でNPO法人クロスフィールズを創業。2011年、世界経済フォーラム(ダボス会議)のGlobal Shapers Community(GSC)に選出。2015年からは国際協力NGOセンター(JANIC)の理事も務める。1児の父親として家事・育児にも積極的に参加するイクメンでもある。

初出日:2015.08.17 ※会社名、肩書等はすべて初出時のもの

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