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2017.10.10  取材・文/山下久猛 撮影/林景沢(スタジオアップル)

自身にとっての幸福

写真提供:丹羽さん

写真提供:丹羽さん

──丹羽さんにとっての人生の豊かさ、幸せとはなんでしょうか。

寝ること、食べること、話すこと......何気ない日常のクオリティが高いことが幸せだなと感じます。例えば、みんな呼吸しているじゃないですか。でも、本当にきちんと息を吸って吐けているかというと、実は人間は肺の10%しか使ってないんですって。その命の手綱である呼吸のクオリティを上げると、それだけで人生の質が上がるんですよ。仏陀も「人生の質を高めたければ呼吸の質を高めなさい」と言ったらしいんですけどね。そういうことを呼吸法のワークショップで教えているんです。今この瞬間に注意を払って息をしたり、人と目を合わせたり、人の話を聞いたり、そういった日常の行動のクオリティを上げることが幸せにつながると思いますね。


──さまざまな場所に移り住んできた丹羽さんが、一番大切にしていることが「日常」というのがおもしろいですね。

すべては自分の中にあるんですよ。内側を見れば全部ある......やばい、泣きそう(笑)。(涙を拭いながら)それに中々気づかないから、私自身も外へ外へと向かっていた時期も長かった。どこに行っても、何をしていても、自分自身と向きあうことですべての答えが見えてくるような気がしています。だけど、特に日本に帰ってくると感じるのが、ほとんどの人は自分の内側を見ようとしないということ。都市には情報も、お店も、おもしろいものも、おいしいものも何だってたくさんあるから、自分自身と対話する時間というのが本当に限られてしまう。私が住んでるノサラには何もないので、瞑想して自分と向き合わざるをえない。それが本当によかったなと思います。

これまでの自分の人生のあゆみを話しながら、あっちへ行ったりこっちへ行ったり本当にしっちゃかめっちゃかな人生だなと思いますけど(笑)、すべての辻褄が合ってるというか、現段階では全部よかったなと思います。自分にとってよかったものを人様に提供して、それでお金っていうエネルギーもいただいていますからね。

今後の展望

丹羽順子-近影2

──今後やりたいことや展望を教えてください。

娘が小学校を卒業する3年後くらいにはコスタリカを離れて新しい国に行くかもしれないです。


──次はどの国に?

まだ全然わからないのですが候補の1つにカナダがあります。娘がカナダに行きたがっているんですよ。娘に合わせて生きてるっていうか、住む場所を決めてるところもあるのでそうするかも。


──仕事や活動としてやりたいことは?

海外に出た日本人って日本のよさを再発見するっていうじゃないですか。私もご多分に漏れず本当に日本ラブなんですよ(笑)。本当に最高ですよ、日本は。人の礼儀正しさ、奥ゆかしさ、おもてなしの心、そして日本食。どれをとっても素晴らしいと思います。だからゆくゆくは外国人向けに日本でゆったりできたり、ディープな経験ができるツアーをやりたいと思っているんです。


──ということはいずれは日本に帰るんですね。

はい。娘の子育てが終わったら私は日本に住みたいので。娘はどこに行くか知らないですけどね(笑)。あとは、瞑想というものが私にとって、自分が幸せでいられる、自分が自分でいられる大切な毎日の修業なので、それをずっと続けていきたいと思っています。


丹羽順子(にわ じゅんこ)

丹羽順子(にわ じゅんこ)
1973年神奈川県生まれ。平和環境活動家

慶應義塾大学卒業後、NHKに入社。報道記者として3年間勤務した後、退職。日本映画学校で講師をしつつ、ドキュメンタリー映像制作にも携わる。2003年、イギリスのミドルセックス大学院に1年間留学。持続可能な開発とリーダーシップコース修了。帰国後、フリーランスのサスティナビリティー活動家としてドキュメンタリー制作やイベントMC、各種講師など様々な分野に携わる。2006年、長女を出産。鎌倉を持続可能にするNPOかまわなどで地域活動を展開ほか、オシャレな古着の交換会xChangeを主催。J-WAVEのLOHAS SUNDAYのナビゲーターも務める。2011年、東日本大震災を機に家族で鎌倉を離れ、西日本を放浪後、香川で半年間ほど暮らす。2012年、タイに移住し1年半ほどの自給自足生活を送る。その後、娘とコスタリカへ移住。現在は10歳になる娘と愛犬チョコ、フランス人のパートナーとともに大自然に囲まれた場所に暮らし、自身の心、みんなの心に平和の芽を育てる活動を続けている。著書に『小さいことは美しい』(扶桑社)、『深い愛に気づく女性のためのヒーリング』(ブルーロータス・パブリッシング)などがある。

初出日:2017.10.10 ※会社名、肩書等はすべて初出時のもの