ワークキャリアー
「ワークキャリアー」は、個人の作業席となる大型のアンカーテーブルに、動かしやすいサテライトユニットを組合わせ、自由でダイナミックな空間を構築。高さ違いのレイアウトや他のエリアとのシームレスな連携により、自然と人が集まり、幅広いコミュニケーションが生まれる環境を実現します。
「ワークキャリアー」は、個人の作業席となる大型のアンカーテーブルに、動かしやすいサテライトユニットを組合わせ、自由でダイナミックな空間を構築。高さ違いのレイアウトや他のエリアとのシームレスな連携により、自然と人が集まり、幅広いコミュニケーションが生まれる環境を実現します。
テレワークやフリーアドレスワークが特別なものではなくなった今、仕事の内容や目的に合わせて働く場所を選ぶABW(Activity Based Working)の考え方が広がっている。これらの特別な目的と機能を持った空間同士をつなぐ、ベースとなるエリアの検討が必要となっているのだ。オフィスの中心となる空間は、従来大型のベンチデスクなどが担ってきたが、ABW・テレワークが当たり前になったニューノーマル時代のオフィスにおいて求められる要素を改めて整理・検討する必要があると感じていた。これからのオフィスにふさわしい「働く場のベース」となる製品を開発するために議論を重ねた。
「働く場のベース」となる空間の在り方について議論を重ねるなかで、2つの要素にたどり着いた。ひとつはレイヤードレイアウトだ。オフィスの中心にふさわしいダイナミックな存在感を生むだけでなく、敢えて作業空間に高低差を付けることで視線がずれ、適度に集中できながら、必要なときはすぐにアイコンタクトが取れるレイアウトだ。もう一つはアール形状で統一されたデザインだ。敢えて直線を排除することで、レイアウトに自由度が生まれ、様々な空間への導入が可能になると考えた。オフィスに来る意味が改めてが問われる今の時代、様々なコミュニケーションを誘発でき、ユーザーがフレキシブルに使い方を変えられる環境づくりのための新たな製品づくりが始まった。
上段:ABW環境を構成する様々な空間のつなぎ役としてのWORK CARRIER 下段左:R形状の製品群 下段右:レイヤードレイアウトの可視化CG
空間に対して使用方法が多様化する中で、家具が整然と揃った空間ではなく、家具が人に合わせて自由に配置、移動し使用される空間を実現するためにはどうしたらよいのか。
レイヤードレイアウトに加えて、全てのアイテムをR形状で統一することで、空間から角や、直線を無くし、様々な角度で置かれても違和感のない「揃わなくても美しい空間」を作るためのデザインを目指した。
また、家具が重なり合っても違和感が生まれないように、全てのアイテムを線の少ない「ソリッドデザイン」でまとめた。ソファやスツールは三面図だけでは表現しきれない立体的な形状だ。生地の張りやふくらみ、縫製の入れ方も試行錯誤を重ねた。大型のアンカーテーブルは板金で生産できるよう3次曲面を使用せずに作り出せるスタイリングの限界に挑戦した。
様々な2次元加工形状を組み合わせることで質の高いデザインを実現できた。
上段:初期の品揃え構想 下段左:ソファーのデザインは木製モデルを削り出して検討した 下段右:OCポータブルバッテリーと組合わせることで働き方はよりダイナミックに
一見、板金では実現不可能に見えるファーストデザインを前にし、「設計し易いデザインに妥協する。」のではなく、「デザインを実現するための設計に挑戦する。」ことを目指した。積極的に新しい構成を提案し、ファーストデザインに限りなく近い形状を量産可能な設計で実現する。
これはデザイン自体よりも、価値のある挑戦とも言える。それだけ困難度が高いのだ。設計部門とデザイン部門が臆することなく意見を出し合い、壁にぶつかりながらもあきらめなかった結果だ。「設計の力で実現させたデザインと自信をもって言えます。」デザインを担当した吉田龍介が言う。
WORK CARRIERは家具単品としてではなく、空間を作ることを強く意識した製品だ。家具デザインの視点から、コーディネートされた空間で働く、居心地の良さを体感してほしい。
上段:構造試作で修正点を確認する 下段左:強度を保ちつつデザインを活かすことが難しかった脚 下段右:デザイナーもチーム一丸となって構造を考えた
レイヤードレイアウトの実現は当初考えていた以上に障壁が高く、いくつもの壁を乗り越えてやっとたどり着いた感があります。高低差が生み出すコミュニケーションの心地よさをぜひご体感いただきたいと思います。また、モバイルバッテリー OCとの組合せはWORK CARRIERの使い勝手を向上させるので、電源を持ち歩くという働き方でダイナミックに仕事をしてもらいたいと思っています。