日本精蠟株式会社

研究・試験棟

プロジェクトデータ

所在地:山口県周南市大字大島850番地

2021年6月運用開始

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大型の分析装置などを設置する機器室。メンテナンスを考慮して機器の背面に通路を設けた。機器室を独立させることで、機器の共有化が可能になり、実験室の騒音防止にもつながった。

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清潔な環境を守るために、実験台、局所排気装置(ヒュームフード)、収納から、壁や床、天井まで、白で統一された実験室。

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ウォークインタイプのヒュームフードには、大型機器の搬出入のしやすさを考えて、上下2枚のスライドサッシをつけた。

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数人が同時に作業できる大型の卓上フード。様々な作業内容が細かく検証されたものが設置されている。

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ゆとりを持たせた会議室。将来の実験室への転用も考えられたフューチャースペース。

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実験室と同じように白で統一された事務室。大きなガラス張りの壁からは実験室の様子がよく見える。

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レンガ造りの旧建屋のイメージを壁面に取り入れた打ち合わせスペース。

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出荷した製品のサンプルを数年間、置いておくための保管庫。落下防止バーなどの地震対策を施した。

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ワックスを使うことが多い実験室では、実験台の天板にはステンレスを、床はコンビニなどで使われているセラミックタイルを採用。清潔な環境を守るために、清掃のしやすさにこだわった。

インタビュー

青木 嘉幸

技術部 技術課
電気主任技術者 代務者

玉野 宣子

品質管理部 試験課 課長

西村 佳真

開発・営業部 用途開発課 課長
工学博士

新製品開発を
加速させることができる、
効率的で快適な
研究環境を創造
石油ワックスの国内シェア70%以上、アジアNo.1のワックス専業メーカー

日本精蠟は国内唯一のワックス専業メーカーです。

ワックスというとロウソクをイメージする方が多いかも知れませんが、その用途は広がり続けています。タイヤに老化防止剤として配合されたり、プリンターのインク、建築材料、化粧品、医薬品、食品などにも様々な目的で使用され、今では重要かつ不可欠な材料のひとつです。

そうしたニーズに対応した製品を生み出したり、新しい使用方法を見つけ出すのが研究開発部門と品質管理部門です。これまで山口県徳山工場と茨城県つくば事業所に分かれていた施設をひとつに統合して、新しい研究・試験棟を完成させました。

様々な製品をお客様と一緒に開発、多彩な研究開発に対応できる新施設

新しい研究・試験棟で目指したのは、研究開発の強化です。分散していた研究開発部門と品質管理部門を同じ場所に統合することで効率化をはかり、老朽化した施設を今の時代に合ったものに一新。作業環境の大幅な改善を実現し、研究開発をスピードアップさせる準備が整いました。

施設内の大きな特徴は、1階・2階の開発エリアから3階の試験エリアまで、多くの局所排気装置(ヒュームフード)が並んでいることです。よく見るとサイズも仕様も少しずつ違っていて、作業内容にきめ細かく合わせたつくりになっています。

また、実験台の天板にはステンレスを採用し、床は大判セラミックタイルを敷きました。これはワックスが落ちたとき清掃をしやすいように、特にこだわった部分です。

その他にも、機器室では分析装置の裏側にスペースを設けてメンテナンスをしやすくしたり、保管庫では固定棚や飛び出し防止金具などで、地震対策にも取り組みました。

各部屋の配置についても、これまでは実験室の中に大型の機械や事務机が同居していた状態から、機器室と事務室を独立させ、実験室と事務室の間はガラス張りとして、いつでも目が届くように工夫しました。

日本を代表するワックス研究の拠点としてふさわしい環境のもと、新製品開発が始動

新しい施設を使い始めて約2ヵ月、職員からの評判は良好です。実験室の機械音が聞こえなくなったことで、研究についての相談が活発になるなど、少しずつ良い影響が出始めています。

建設プロジェクトの進行では、分からないことや迷うことがたくさんありました。オカムラのコーディネーターと共に、設計や建築会社との交渉に臨めたことは、新施設を理想に近づけるためにとても有効でした。社内各部門からの要望への対応についても、「それはできないがこれならできる」と、しっかり代案を出していただけたことが心強く感じました。

業界を取り巻く状況は、海外との価格競争が激化しています。だからこそ、どこにも負けない研究開発力を発揮することで独自の技術に磨きをかけて、さらに大きなマーケットをつくっていきたいと考えています。

(2021年 取材)

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