プロジェクトデータ
所在地:三重県松阪市嬉野天花寺町647番地24
2017年12月完成・運用開始
理化学的な実験や検査を行なうエリア。全面ガラス張りの開放的な空間では検査員同士、外を通りかかる人からも、検査業務の様子をうかがうことができる。実験台の棚パネルをなくすことで見通しをよくし、検査員同士の会話もしやすくしている。収納やラックも極力なくすことでオープン性を高めながら、美観や清潔感の維持にも務めている。
製品情報
機器のコード類を実験台背面へ納めることで美観を保つことができメンテナンスも容易に。電気やLANなどのコードは奥のユーティリティカラム(ダクト)から天井へ。床にコンセントがなく、将来のレイアウト変更も容易になっている。
集密書架を用いた保管・収納エリア。大型の収納が実験室の整理整頓や美化にも役立っている。
微生物試験室の書棚。耐震対策として、床から天井まで棚を設けることで転倒を防止している。
液体クロマトグラフをはじめとした分析機器が並ぶエリア。天井から床までの全面ガラスを通して室内の隅々まで見渡すことができる。実験台は機器を最適に乗せるための特注品。全ての機器に地震対策の工夫を施している。
製品情報
伊勢工場 品質管理部
兼)品質管理2課
伊勢工場 品質管理部
品質管理1課
ニプログループは医療用の医薬品を製造しており、ジェネリック医薬品や医薬品と医療用容器を組み合わせたキット製剤の製造、さらには医薬品の受託製造などを行っています。特にキット製剤においては、医薬品・医療用容器両方のノウハウがある当社ならではのアイディアを活かして、スピーディに使える製品を医療現場に提供しています。
伊勢工場は、アンプル・バイアル剤と呼ばれる注射剤の主力工場であり、日本一のアンプル製造ラインを誇ります。さらには、注射剤のキット製剤全般の製造も行っており、国内外に7つある生産拠点の中で、基幹工場的な位置づけにあります。
近年のジェネリック医薬品市場の拡大、受託製造の増加を受け、また欧米諸国の製薬業界におけるデータ管理の厳格化などの流れの中で、業務処理能力の拡大をめざし、新しい品質管理棟を建設しました。
以前の施設と比べると、今度の品質管理棟はとても広くなりましたが、それだけではなく、作業者の目線で使いやすい検査台・実験台のレイアウト、動線にもこだわりました。かなり細かなお願いをしましたが、私たちの立場になって、設計事務所や建設業者の方と交渉していただいたことで理想のものができたと思っています。
液体クロマトグラフなどの分析機器の配置についてもこれまでにないものができました。いろいろなノウハウを提供していただき、廃液をはじめ、電気や水やLANなども全て上のシャフトから繋げています。それにより作業者の健康面にもしっかりと配慮でき、床にもコードなどの段差がなく、機器の後ろもすっきりとしてメンテナンスがしやすくなっています。
もう一つこだわったのは地震対策です。当社の工場が福島県にもあり、東北での震災の時の教訓を活かしたいと思いました。方法について相談させていただきながら、全ての分析機器と実験台に耐震の施工をしました。
新しい品質管理棟でもう一つ実現したかったのは、「見せるQC」ということです。そのために天井から床までの全面ガラスを採用するなど、ラボの外側から室内の様子が一望できるつくりにしました。
実験台や機器の周りには必要最小限のものだけを置くようにして、収納などもできるだけなくしました。いま使うもの以外は倉庫のキャビネットにしまって置くわけですが、それが気持ちよく働ける環境になり、備品の数の管理もしやすくなりました。
企業の方や官公庁の方も見学に来られますが、「ここまでオープンにしているラボは見たことがない」という声を聞きます。品質管理棟という性格上、そのオープン性が信頼にもつながっていると感じています。またリクルートの学生が「こんな所で働きたい」と言って当社を選んでくれることも多く、うれしく思っています。
今後は、より一層、海外との取引も増える状況です。さまざまな業務に対応できるよう進化を続けていきます。
(2018年 取材)