株式会社アイネス
OFFICE

株式会社アイネス
東京本社/晴海オフィス

INES Corporation

透明性とともに、新しい働き方が「見える」オフィス
photo:Nacása & Partners

10Fの執務エリア。大動線を中心に多様な設えが用意され、場所を選んで働くことができる。

緩やかなメイン動線の左側は、11Fの固定席エリア。チェアなどの家具には、同社のコーポレートカラーであるブルーやグリーンが多く採用されている。

上下昇降テーブルを採用した、立ち会議もできるスペースも設けられている。

執務エリアの中央に設けられ、みんなが自然に集う「カフェエリア」。リフレッシュやランチ、打ち合わせなど、多目的に使われている。

みんなが自然に集う「カフェエリア」。なお、セキュリティレベルの設定が異なるため、厳格な入退場管理を行っているフロアもある。

社員の働き方を分類しながら
効率のよいスタイルを選択

1964年に創業し、地方自治体や金融機関をはじめ、さまざまな産業分野で幅広く活躍するシステムインテグレーター、株式会社アイネス。首都圏にあるオフィスの効果的な再配置を行い、働き方改革を推進するために、千代田区三番町にあった本社ビルを売却した。事業競争力の強化、経営資源の効率化を図り、さらなる事業継続性の強化を進めるために2019年9月、本社機能と営業部門、開発部門を中心としたオフィスを、中央区晴海に移転。建物の8〜11Fが晴海オフィス、12Fが東京本社である。

 アイネスの社名は、「Information Network Engineering & Solutions」の頭文字に由来している。新しく誕生したオフィスは、情報や技術が集まり、さまざまなものをネットワークでつなぎ、ソリューションとして発信する拠点。まさに社名を体現する場であり、同社が持っている世界観が伝わる場になっている。

 オフィスづくりにおいては、社員の働き方を4つのタイプに分類。顧客を訪れることの多い「ノマド」、拠点内を移動する「クリエイティブ1」、拠点をまたがって行動する「クリエイティブ2」、そして自席を有する「スペシャリスト」。それぞれが働きやすいようにフリーアドレスを導入し、固定席との境界を意識しないで動けるようなエリアデザインにした。また働き方のルールも見直しを図り、必ずしも出社しなくても仕事ができる体制が整えられた。会社が外部のサテライトオフィスのサービスと契約し、首都圏の数十拠点を利用することが可能。さらにテレワークも推進され、オフィスの内外において場所を選んで働くことができる。

1行目:11F執務エリアの窓側に設けられた、三角形のテーブルで気軽にコミュニケーションの取れる社内会議室。

11F執務エリアの窓側に設けられた、三角形のテーブルで気軽にコミュニケーションの取れる社内会議室。

3行目:執務エリアの窓側には、ファミレスタイプの席なども用意されている。

執務エリアの窓側には、ファミレスタイプの席なども用意されている。

2行目:カーペットの貼り分けによって明示されている、11Fのメイン動線。フロアによって色を変え、雰囲気を変えている。

カーペットの貼り分けによって明示されている、11Fのメイン動線。フロアによって色を変え、雰囲気を変えている。

遮るもののない視線の先には
鮮やかな水辺の光景が広がる

新しいオフィスの大きな特徴の一つは、「見えるオフィス」であること。12Fの東京本社のフロアでは、エレベーターを降りると、気持ちのいい開放的な空間と東京湾岸の光景が鮮やかに広がっている。この空間は、受付・ロビー機能も備えた「コミュニケーションエリア」と呼ばれる多目的な場である。ここに隣接する会議室は、すべて透明のガラス張りだ。外の景色が楽しめる上層階のオフィスであることを、最大限に生かしている。新鮮な驚きとともに、思わず笑顔になる空間が展開されている。

 12Fは役員エリアと、会議室などのカスタマーエリアで構成。その中央にある「コミュニケーションエリア」は多目的に利用され、社内外に向けたセミナー、会社説明会や懇親会などが行われている。経営管理本部 総務部長の中田裕子さんはこの場所について、「情報発信の場であり、当社の顔となる空間ですから、どんな設えにするかは相当な議論を重ねました。当初は、お客様をお迎えするエリアで社内的なイベントを開催してもいいのかという疑問もありました。でも、運用してみるとお客様から『今日はこういう集まりですか。面白いですね』『社員さんがみんな、元気な明るい顔になっていますね』と声をかけていただくこともあり、うれしく感じています。社員にももっと自由に活用してもらえたらと思っています」と語る。また、経営管理本部 副本部長の佐藤宗一さんは、「開かれた空間にすることに、どうしてもこだわりたかったですね。会議室をガラス張りにしたのも、当初は『落ち着かないのでは?』という懸念もありましたが、慣れると問題ないようです。人間はきっと、慣れることに優れた生き物なのでしょう」と微笑みながら語った。

 同社の企業理念には、「創造」と「和」と「挑戦」を大切にする姿勢が盛り込まれている。和を大事にする企業風土を持ちながら、強い意志とともにチャレンジしたオープンなオフィス。そこには、未来を拓く創造性があふれている。

「コミュニケーションエリア」は透明性が高く、受付からガラス張りの会議室を見渡すことができる。

12Fの「コミュニケーションエリア」はさまざまなセッティングによって、イベントなど多目的に使える空間であり、セミナーなども開催されている。

12Fの「コミュニケーションエリア」はさまざまなセッティングによって、イベントなど多目的に使える空間であり、セミナーなども開催されている。

すべての会議室がガラス張りになっているため、空間全体が明るく広く、ほどよい緊張感が感じられる。

すべての会議室がガラス張りになっているため、空間全体が明るく広く、ほどよい緊張感が感じられる。

1行目:多目的に利用できるワークブース。他の拠点とのTV会議、2〜4人でのちょっとした打ち合わせなど幅広く使われている。

多目的に利用できるワークブース。他の拠点とのTV会議、2〜4人でのちょっとした打ち合わせなど幅広く使われている。

2行目:会議室にはTV会議システムが備えられ、拠点間のやり取りも快適に行われている。

会議室にはTV会議システムが備えられ、拠点間のやり取りも快適に行われている。

DATA

所在地東京都中央区晴海3-10-1
オフィス対象面積4,770㎡
オフィス対象人員780名
インテリア竣工2019年9月
プロジェクトマネジメントスペイド
オフィス設計・デザインオカムラ
(園山 篤志、向井 幸博、今井 沙耶)
bp vol.33掲載(2020.04発行)