bp Interview

アムニモ株式会社 横河電機株式会社 事業開発センター

「うれしい瞬間」が みんなにあるようにと 願っています!

アムニモ株式会社
代表取締役社長
谷口 功一 さま
知識創造を加速する
オフィスを創りたい

私は横河電機の変革に取り組んでほしいという命を受けて、2016年に事業開発センターを設立しましたが、人員がどんどん増えて100人を超え、場所も6ヵ所にまで分かれました。ですから、他の場所にいる人が何をしているかが分からない。こうした状況をなんとかして改善するために、まずは1ヵ所に集約して、そしてそこには知識創造を加速するオフィスを創りたいと申し出ました。また、私たちが行う産業向けIoTの領域では、スピードということが大事になってきます。2018年にアムニモを立ち上げた背景には、どれだけスピードを出せるかの挑戦の場として、横河電機の子会社として独立させたということもあると思います。

 そして分散していた拠点をワンフロアに集約したオフィスが誕生したのが、2019年7月です。実際に新しいオフィスに入居してみると、みんなの表情が明らかに違います。あちこちで打ち合わせが行われるようになり、カーペットを厚めのものにしたこともあって、音や声が気にならない。以前のオフィスでは、通りかかった人が座っている人に「昨日のアレ、どうだった?」と聞くと、周りの人から「うるさい!」と声が返ってくることがあったのです(笑)。そんなギスギスした、舌打ちされるようなオフィスで働きたくないという想いはありました。

物理的な場とバーチャルな場の二重構造をイメージした

今回オフィスに取り入れたSECIモデルには、私は野中郁次郎先生が提唱された頃から長く接していたんです。その後私がMBAのコースに入って、野中先生と同研究を進めた紺野登

先生*のゼミでディスカッションした時、紺野先生はSECIモデルも進化していて、「場」という概念が入ってくるようになったと強調されていました。そこで私は当時所属していた会社で観察したところ、「場」というものが、物理的な場と、ネットワークで支えられたバーチャルな場のデュアルレイヤーになって上手く回っていると感じました。それを私は修士論文のテーマにしたのですが、そのイメージがずっと頭の片隅にあって、今回このモデルによる考え方を、オフィスづくりのベースとして取り入れることができました。

 

*野中教授と知識創造経営についての共著もされている紺野登教授(多摩大学大学院教授)

「コーヒートーク」の様子。カフェコーナーには本格的な水出しコーヒーを淹れる装置も。

コールセンターの横には、各拠点の時間が一目で分かるワールドマップが備えられている。

円形の上下昇降テーブルのある、オープンな社長席。気軽に相談できる設えが用意されている。

メンテナンスするのも
楽しいオフィスがいい

オフィスづくりは、常識に縛られる必要はないと思うんです。やりたいことに向けて、必要なことをすればいい。天然木の家具をふんだんに取り入れて、質感や触感というものを大切にしたのもそうです。メンテナンスに手間がかかってたいへんだとか言われますが、そんなものは私がせっせとオイルフィニッシュすればいい。私がオフィスの設備課長みたいになっていますが(笑)、メンテナンスするのは楽しいものですよ。

 会社にいることの意味を大事にし、仕組みなども含めて「楽しくやろうよ」と思っていますね。「月間いいね賞」という社内アワードを創ったのも、多くの人に「うれしい瞬間」を味わってほしいと思ったからです。また、大人数の会社になると、誰がどんな仕事をしているか、周りの人にしか分からなかったりします。だから「そんな仕事があったんだ!」という気づきも、「月間いいね賞」で生まれると思っています。

 今は、アナログ的なコミュニケーションの部分は、カタリストの二木さんが先頭に立ってやってくれていますから、これからはバーチャル空間でのデジタルコミュニケーションを、ツールなどを使いながら活発にしたいですね。あとは、ここから高いアウトプットが生まれるように努めていきます。

マーケティング本部 事業開発センター
エンゲージメント カタリスト
二木 佐知子 さま

メンバー間の活発なコミュニケーションや活動が大きな熱を発して、新しい出会いやつながりから、価値ある製品・サービスを提供し続ける。そんな有機的な組織をめざして、エンゲージメントの促進に取り組んでいます。オフィスもそのツールの一つとして、大事な役割を担うものです。メンバーの暗黙知が組織で共有されるSECIモデルの「共同化」の仕組みとして、黒板を利用した情報発信を行い、オフィスに入ってすぐに目に飛び込んでくる黒板では部門の一大ニュースをタイムリーに共有。さらにカフェコーナー隣りの黒板にはコーヒー片手に読めるような「週刊壁新聞」を貼り出すなど、オフィスのあらゆる場所をメディア化して活用しています。共同化された知を形式知に変えていく「表出化」の取り組みにも力を入れ、さまざまな場も設定。カフェコーナーで行う「アイスクリームフライデー」という部門や役職を越えた気軽なコミュニケーションを目的とした場、フロアに設置された格納式の大型スクリーンを使ってメンバー全員が参加する「コーヒートーク」という部門情報共有の場などを設けています。

WORKER’SVoice

明るく、カラフルで、エネルギーに満ちた場は
ダイバーシティを発信できる場でもあります。

アラグ: 私はインドの横河電機の子会社から日本に来ました。このオフィスはとても「bright & energetic」。カラフルで、新しいアイデアを生み出すのに適していると思います。

宇田川: 私はサポート業務なので、普段はコールセンターの固定席にいますが、仕事の内容によって場所を使い分けています。自分の仕事に没頭したい時には集中席を使いますし、打ち合わせの時にはファミレスタイプの席を使うこともよくありますね。

アラグ: 集中席は確かに面白い空間で、革新的なアイデアが生まれたりします。私はフリーアドレスで、毎日違う席で仕事をしていますが、特にお互いにコミュニケーションを取りながらいい距離感で仕事のできる、おにぎり型のテーブルが気に入っています。ただ、みんなに人気のある場所なんですよね。それから、自由に書きながら話せる「コラボテーブル」はよく使います。プロジェクトワークに適した場だと思います。

宇田川: カフェコーナーはみんなが気軽に集まりやすい、いい場所ですね。テクニカルチームが毎日夕方の17時15分から、15分ほど集まってお菓子を食べながら話す「モグモグタイム」を見ているのも楽しいです。オフィスをみんなが歩き回りますし、固定席の私たちのところに立ち寄ってくれることも多く、コミュニケーションは活発になりました。

アラグ: このオフィスはさまざまな国籍の人たちが集う場所でもあり、ここでのダイバーシティを外に向けてアピールすることもできるでしょう。躍動的な「change」を体感できる場だと思います。

クラウドアプリケーション開発課
パラニラジ アラグラジャ パンディアン さま
横河電機株式会社
マーケティング本部 事業開発センター
事業オペレーション部
サポート&サービス課 課長
宇田川 智子 さま
bp vol.33掲載(2020.04発行)